第17期共同研究中間発表

研究主題U
 「ITを活用した教員研修」
国立教育政策研究所  客員研究員  貞本 勉  

1 研究の目的

 ミレニアムプロジェクト「教育の情報化」に続くe-JAPAN戦略「2005年に世界最先端のIT国家」の推進によって、全ての学校の全ての教室で情報通信手段を高度に利用できる情報環境が構築されつつある。そして、この「いつでも、どこでも、誰でも」活用できる情報通信インフラの整備によって、従来は、情報教育担当者や一部の情報通信手段の授業利用に関心の高い教員だけが関わっていた状態から、授業を行う全ての教員が活用できる構想が進められている。
 こうした中で、2002年、今年4月、いよいよ新教育課程がスタートした。完全学校週五日制の導入、教育内容の3割減、総合的な学習の時間の新設、さらに基礎基本の徹底の関連から絶対評価と個人内評価の全ての教科領域に導入と、次々に新しい学校像の実現に向けての施策が打ち出され、教員研修の課題は山積みになっている。その多くを学校を離れて実施してきたこれまでの集合研修システムでは、対応できなくなってきている。そこで注目されているのが「Web利用による教員研修」である。
 今日、e-Learningと呼ばれるネットワークを利用した学習システムがそれである。現在、企業内教育、大学教育、生涯学習等で先導的な活用が進み、その成果が着実に見えてきている。
 そこで、今期17期の共同研究は、全国教育研究所連盟加盟機関の協力を得て、3年間の計画で、「ITを活用した教員研修」をテーマとして研究発表や研究協議等を行い、e-Learningを利用した研修の現状と課題を整理し、その課題の克服のための新しい視点を提示すると共に、e-Learningを効果的に行うためのノウハウを集めて提供しようと企図したものである。
2 研究の内容
 本研究を推進するために関東地区の15の教育研究機関の協力のもとに運営委員会を設け、次のような段階で研究を進めることにした。毎年度末には研究経過を報告書にまとめ、最終年度には、e-Learningの一分野の実践モデルの開発提案することにした。
(1) 平成13年度は、各センターの教員研修の現状とWeb研修の有効性と可能性を調査
(2) 平成14年度は、一部Webベースでの研修の試行と効果的な活用方法の研究
(3) 平成15年度は、e-Learningの制度や個人認証システムの研究  
 初年度は、基礎調査として、次のような柱立てで研究調査を行った。
 @e-Learningが登場する背景
 A我が国のe-Learningの現状
 B米国におけるe-Learning の先進活用
 C教員研修と分野別e-Learningの検討
 DWebによるアンケート調査と分析
 E各運営委員機関の教員研修の現状調査
 F第1回「ITを活用した教員研修」全国研究集会(平成13年10月4日、5日)の実施概要
3 研究のまとめ

 上記の成果は、「平成13年度 共同研究プロジェクト中間報告書」としてまとめた。ここでは、誌面の都合で、e-Learningへの期待と可能性についてのアンケートの概要と今年度の展開を報告する。
 e-Learningへの期待と可能性について、次の7分野について調査した。 @生涯学習関係、A教科教育関係、B総合的な学習関係、C情報教育及び教育の情報化関係、D教育相談・カウンセリング関係、E特別支援教育関係、F管理職研修関係 これらの項目の全てに80%を超える期待の声が寄せられている。
  例えば、「都合がつくときにすぐ研修できる」「わざわざ教育センターに出掛けなくともよい」「経費節約できる」「多くの教員が受講できる」「研修参加への敷居が低くなる」など、多くのメリットが抽出され、一学校に孤立しがちな教師同士の連携強化のツールとしても情報共有の場が設けられることへの期待値が高まって来ていることがわかったが、導入に向けての多くの課題も指摘された。
 これらの実態に基づいて、第2年目は、全国の教育センターに参加を呼びかけ、次のような構想のもとに研究を発展させたい。  
@開発実施部会:開発と試行(開発分野の協議選定)  
A運用制度検討部会:国内の教育センターでの研修実施のための問題点とその解決方法の検討  
B海外調査部会:インターネットで調べられる範囲で、教員研修でのe-Learning活用事例の調査
C技術調査部会:e-Learningのためのオーサリングシステム、運用システムと機能等について調査