*幼小接続期カリキュラム全国自治体調査


「幼小接続期の育ち・学びと幼児教育の質に関する研究」の調査のうち,全国自治体から収集した幼小接続期カリキュラムについて検討した結果を,一部紹介します。

  • 幼小接続期カリキュラムとは,アプローチカリキュラム(就学前の幼児が円滑に小学校の生活や学習へ適応できるようにするとともに,幼児期の学びが小学校の生活や学習で生かされてつながるように工夫された5歳児のカリキュラム)と,スタートカリキュラム(幼児期の育ちや学びを踏まえて,小学校の授業を中心とした学習へうまくつなげるため,小学校入学後に実施される合科的・関連的カリキュラム)を指します。

< 参考 > 文部科学省「平成26年度幼児教育実態調査」 2015年

市町村ごとの幼小接続の状況

ステップ0: 連携の予定・計画がまだない。
ステップ1: 連携・接続に着手したいが,まだ検討中である。
ステップ2: 年数回の授業,行事,研究会などの交流があるが,接続を見通した教育課程の編成・実施は行われていない。
ステップ3: 授業,行事,研究会などの交流が充実し,接続を見通した教育課程の編成・実施が行われている。
ステップ4: 接続を見通して編成・実施された教育課程について,実践結果を踏まえ,更によりよいものとなるよう検討が行われている。

目的:全国的に増加する幼小接続期カリキュラムについて,その実態や傾向を把握し,より適切に構成された接続期カリキュラムの特徴を分析する。

対象:都道府県または市区町村で作成した「保幼小接続に関する資料」(指導資料,ガイドブック,事例集,パンフレットなど)のうち,幼小接続期カリキュラムに関する資料。平成20-23年度に作成されたカリキュラムは51自治体,平成24-27年度に作成されたカリキュラムは96自治体(重複あり)であった。

調査・分析方法:文部科学省において,平成24,26,27年の幼稚園担当指導主事・担当者会議の際に依頼して収集した自治体の提出資料(任意)のうち,幼小接続期カリキュラムに関する資料を抽出し,発行年度により平成20-23年度と平成24-27年度に分けた。 その後,自治体ごとに,カリキュラムの体裁,柱立て,アプローチカリキュラム開始時期,スタートカリキュラム終了時期,交流連携の位置づけ,関連事例の有無,交流指導案の有無,環境構成・教材・援助・指導の工夫,家庭との連携,特別支援,カリキュラム作成者の項目に分類して検討した。

結果:主な調査結果の一部は,以下の通りである。

1)幼小接続期カリキュラムの体裁

  • 平成20-23年度,平成24-27年度に,幼小接続期カリキュラムを作成・改訂した自治体は,51自治体から96自治体へと約2倍に増加した。
  • アプローチカリキュラムとスタートカリキュラムを共に作成している自治体の割合が増加している。

2)カリキュラムの柱立て

  • 幼小接続期を貫く柱立てをしたカリキュラムが作成されている自治体の割合が増加した。柱立ては2~4本3本が最も多い(柱立てのうち91.4%)。
  • 柱の下位項目として,より詳細な視点が設定されている自治体もある。学びの基礎力生きる力へつながる柱立てが多い。

考察:幼小接続期カリキュラムとして適切に構成されている特徴は,以下の通りである。

  • 目指す子供の姿や育てたい力が明確である。自治体で強調したい視点が明確である。
  • 柱立てやより詳細な視点が,アプローチカリキュラムとスタートカリキュラムの両方に位置づいており,つながり(接続)が明示されている。
  • カリキュラムに,交流連携計画,環境構成や授業の工夫(朝の楽しい時間の設定・モジュール),援助・支援や指導の工夫・配慮,家庭との連携,特別支援(別冊を含む)が位置づいている。
  • 実践事例・実践例など具体例が提示され,柱立てやより詳細な視点に沿って考察されている。事例の中で幼保小のつながりを示す工夫がされており,子供の学びや育ちのつながり(協同性,学びの芽生え等)が見えやすい。

例:事例での幼保小のつながりを示す欄の設定,柱に沿った幼保小の事例・単元のつながりを分かりやすく紹介


お問合せ先:youji@nier.go.jp

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