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NIER NOW(国研の様子)

令和3年度 文教施設研究講演会の開催結果について(概要)

プログラム


13:30〜13:35 主催者挨拶
 国立教育政策研究所長 浅田 和伸

13:35〜14:20

基調講演
「創造的な学びの場の実現に向けて
−新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について(中間報告)を踏まえて−」

 教育環境研究所所長/東洋大学名誉教授/
 国立教育政策研究所客員研究員  長澤 悟

14:20〜14:50

講演1(国内事例)
「新しい時代の創造的な学習空間づくり」

 シーラカンスアンドアソシエイツ代表取締役/
 法政大学デザイン工学部教授  赤松 佳珠子

休憩

15:05〜15:35

講演2(海外事例)
「北欧、オランダにおける5つの学校モデルを横断してみる学習空間」

 東京理科大学理工学部建築学科准教授 垣野 義典

15:35〜16:05

講演3(海外事例)
「エイジェンシーを支える教育環境とコモンコア −デンマークの学校を中心に−」

 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系助教 立花 美緒

質疑応答

16:25〜16:30 閉会挨拶
 国立教育政策研究所文教施設研究センター長 齋藤 福栄


概要

「新しい時代の創造的な学習空間づくり−海外と日本の事例から−」をテーマに、令和4年2月9日(水)にオンライン配信により開催しました。
定員500名に対し、480名の方が参加し、各講演者による講演に加え、活発な質疑応答が行われました。



基調講演
 長澤 悟 氏(教育環境研究所所長/東洋大学名誉教授/国立教育政策研究所客員研究員)


 新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方(中間報告)の5つの目標である学習、生活、共創、安全、環境の観点について説明がありました。 中間報告を踏まえて、アクティブ・ラーニングのための学習空間としての捉え方について、「新しい時代の学びを実現する学校施設の姿(ビジョン)」、「これからの学習空間のキーワード」が示されるとともに、 新しい時代の学びを実現するための考え方として、「コモンズ」という概念で構成される学校空間について、これまでの個々の教室・スペースの問い直しと充実の観点からそれぞれの「コモンズ」の考え方を、 写真や図面を用いながら具体的な説明がありました。

長澤 悟 氏 糸魚川市立糸魚川小学校(学年で集まれるスペース)
   糸魚川市立糸魚川小学校(学年で集まれるスペース)


講演1(国内事例)
 赤松 佳珠子 氏(シーラカンスアンドアソシエイツ代表取締役/法政大学デザイン工学部教授)


 学校建築を構成する要素である、教室、ワークスペース、様々な家具、地域の諸活動を支える機能を持つ施設など、それぞれの空間づくりにおけるポイントについて説明がありました。 その後、流山市立おおたかの森小中学校、立川市立第一小学校、学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンでの、多様な学習形態に対応した空間づくりにおける様々な工夫やポイントについて、 具体的な事例から説明がありました。最後に、これまでの教室と廊下を並べた画一的な空間でない、これから学びに必要な空間として捉え直しの必要性について、赤松先生が委員長として作成された「長野県スクールデザイン2020」を基に説明がありました。

赤松 佳珠子 氏 流山市立おおたかの森小中学校(オープンタイプで、様々な家具を配置)
   流山市立おおたかの森小中学校(オープンタイプで、様々な家具を配置)


講演2(海外事例)
 垣野 義典 氏(東京理科大学理工学部建築学科准教授)


 北欧、オランダの5つの教育モデルと空間モデルの事例について説明がありました。フィンランドのフィニッシュモデルでは、クラスルームを中心に空間を動き回りながら使い、授業中に児童生徒を休ませないための工夫について、 スウェーデンモデルでは、ワークユニットの複数のルームを使い分けることによる学習形態の変化への対応について、オランダのラーニングストリートモデル・スモールスペースモデルでは、クラスルーム、オープンスペースに 個性あるコーナーを設けることによる多様な学習形態への対応について、最後に、オランダのイエナプランモデルでは、対話、仕事、遊び、催しの4つのプログラムを回すための学習空間の工夫について説明がありました。

垣野 義典 氏 オランダのラーニングストリート(ラーニングストリートは共有の場)
   オランダのラーニングストリート(ラーニングストリートは共有の場)


講演3(海外事例)
 立花 美緒 氏(東京工業大学環境・社会理工学院建築学系助教)


 校舎の中心となる屋内広場であるコモンコア、OECD Education 2030プロジェクトで示されたエイジェンシーの概念について説明がありました。その後、デンマークの学校を中心に、観察調査結果を基に、 学習形態の変化に合わせた学習空間の使い方について学年毎の違いも含めて説明がありました。また、欧州におけるコモンコアでは、歴史的な背景やデンマークにおける事例を紹介するとともに、 「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を支える空間であり、エイジェンシーを支える空間の1つの在り方として、コモンコアの有効性について説明がありました。

立花 美緒 氏 デンマークのコモンコアの例
   デンマークのコモンコアの例


参加者からの御意見・御感想

参加者へのアンケートにおいて、次のような御意見、御感想をいただきました。

  • 新たな時代の教育の創造にとって文教施設の構造が大きな援護になると知りました。国内外の様々な学校施設の作りを紹介していただき、生徒たちとこんな授業をしてみたいと胸躍るとともに、学習の構想がどんどん広がります。大変勉強になりました。
  • 海外の事例より、自由な学びの場から主体的な学びが生まれてくることを実感しました。現在の日本の学校建築では、まだまだ「ティーチング」の域を出ることが難しいなと、それだけに教育における建築が担う役割が大きなものだと改めて感じました。

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