
|
江戸時代に寺子屋で使われた教科書は往来物と呼ばれています。平安時代末期から明治初頭まで,広く使用されました。
庭訓往来は,1年間の往復書簡をとおして,年始の挨拶から,花見詩歌の宴への招待,盗賊討伐出陣,食べ物の名称や病気の治療法まで様々な事柄を学べるようになっています。
江戸後期には,少童用・初学用として絵入の庭訓往来が多く普及しました。この『絵本庭訓往来』は,葛飾北斎による挿絵がふんだんに使われており,絵だけでも楽しめる内容になっています。なお,本文と関係のない挿絵も多数あり,例えば左図は,文章は医師を紹介してもらうために病名を列記している部分ですが,秋田と近江の挿絵が使われています。
絵本庭訓往来(えほんていきんおうらい)
葛飾北斎画, 永楽屋東四郎, [文政11(1828)]
|