コラム〜教育図書館所蔵資料から(5) 目次
暫定教科書
小学読本  第二次世界大戦終戦後、それまで使用していた国定教科書の軍国主義的な部分などに「墨ぬり」をして使用していましたが、昭和21年4月からは削除・修正と補充を加えた暫定教科書が使用されるようになります。
 粗末な新聞用紙に印刷されたものを折りたたんで使用することから「折りたたみ教科書」「タブロイド版」などとも呼ばれています。
 左の『中等数学二 第一類 前』は配布されたときの形のまま残されていますが、実際は折りたたんで、3方向をカットして、16ページの冊子として使用しました。
 戦時中に使用されていた国定期国語教科書『ヨミカタ』を比較すると、暫定教科書では挿絵がすべてカットされ文字だけの簡素な教科書となっていることが分かります。教材では、「ヒノマルノハタ」「ヘイタイサンススメススメ」などが削除されています。

中等数学二 第一類 前(ちゅうとうすうがく)
 文部省(中等学校教科書,1946.3)【K240.4||2】
小学読本 小学読本 小学読本
折りたたんだ状態の
「中等数学 二」
国定第5期国語教科書「ヨミカタ 一」 暫定教科書(国語)「ヨミカタ 一」
※各画像はクリックすると拡大します。
【参考文献】
  • 『文部省著作戦後教科書 ; 解説』
  • 長崎栄三「中等数学 第一類・第二類の墨塗りと暫定教科書 : 終戦直後の中学校数学教育」(学芸大数学教育研究 11, 69-82, 1999 )
  • 【2017.3作成】