往来物・和算書

算学知恵海

算学知恵海
タイトル
算学知恵海
ヨミ
サンガク チエ ノ ウミ
出版者
瀬戸物屋庄右衛門, 天王寺屋市郎兵衛,須原屋茂兵衛
出版年
1718(享保3)
縦×横(cm)
22.7×16.0
請求記号
KI419||3

解説

庶民用に編まれた算術書です。「序」では,社会生活や事業に果たす算術の重要性を短く説き,次葉の見開きで勇壮な千石船の絵を掲げて,それが緻密な数値計算に支えられていることを暗示しています。算術を扱う本文は「塵劫記」の内容に準じていますが,その冒頭には<煙管(きせる)を好みに切ること>,<双六賽の目の算>,<倍々盃のこと>など,身近な話題を扱った章を補って,算術の世界への導入がはかられています。このように,内容は高度な算術を扱いながらも,生活に忙しい庶民を算術へと動機付けるための工夫が見られます。

【塵劫記とは】
寛永4(1627)年に発行された吉田光由(よしだ・みつよし)の『塵劫記』は,江戸時代に算術書として,最も広く長く普及しました。吉田光由自身も十数回増補・改訂を重ねましたが,そのほかにも多数類書が発行されました。九九・そろばんだけでなく,米の売り買い・金両替・船の運賃など生活に即した内容が含まれています。