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プロジェクト研究

「プロジェクト研究」とは,行政上の政策課題について,本研究所として取り組むべき研究課題を設定し,広く所内外の研究者の参加を得てプロジェクトチームを組織して行う研究活動です。研究期間は概ね2〜5年間で,令和5年度に進行中の研究課題は,次のとおりです。

1.初等中等教育

(1) 社会情緒的(非認知)能力の発達と環境に関する研究:教育と学校改善への活用可能性の視点から【令和2〜5年度】

◎ 研究代表者 大金伸光(生徒指導・進路指導研究センター長)

  • ○  本研究では、非認知能力の中核として国際的に注目されている社会情緒的能力に焦点化した調査研究を行う。@「小学生と中学生の社会情緒的能力の発達と環境に関する調査」においては、小中接続期における我が国の児童生徒の社会情緒的能力に関する発達の実態と環境に関する追跡調査を実施する。また、A「学校改善に向けた児童生徒の社会情緒的能力のデータ活用の制度・政策に関する研究」においては、海外では認知能力と非認知能力の測定、分析の結果を教育改善、学校改善、行政サービスの提供につなげようとする取組が始まっていることから、制度・政策に関する海外での先進的な取組について調査する(令和4年度で完了)。これらの調査研究を通して社会情緒的能力に関する教育実践や教育改善に資する知見を得ることを目的とする。
  • ○  令和5年度は、@「小学生と中学生の社会情緒的能力の発達と環境に関する調査」において実施してきた児童生徒、保護者、担任、管理職に対する質問紙調査のデータを分析し、得られた結果を総括して、研究報告書にまとめる。社会情緒的能力の発達的変化を捉えるとともに、学力や他の要因との関連を分析する。特に、小学校から中学校への進学に伴う学級担任制から教科担当制への変化、部活動等の学級以外の所属単位の発生など、この時期の環境の大きな変化による児童生徒の社会情緒的能力への影響について重点的に分析を行う。児童生徒の「学力」と「社会情緒的能力」が相互に関連しつつ、児童生徒の学校生活への適応と心身の健康を予測するというモデルについて検証を行う。
  • • 「社会情緒的(非認知)能力の発達と環境に関する研究:教育と学校改善への活用可能性の視点から」(学校改善チーム)中間報告書(米国・中国調査)
    研究報告書/概要版 研究報告書/全体版


    • 発達調査チーム研究報告書「新型コロナウイルス感染症流行下における児童生徒の社会情緒的(非認知)能力をめぐる状況:流行初期に関する文献調査」
    研究報告書/概要版 研究報告書/全体版


(2) 学力アセスメントの在り方に関する調査研究【令和3〜5年度】

◎ 研究代表者 梅澤敦(所長特別補佐(全国学力・学習状況調査CBT化担当))

  • ○  GIGAスクール構想の推進や、CBTによる学力調査が国際的な標準となりつつある中で、全国学力・学習状況調査等においても、CBT化に向けた検討・取組を進めることが急務である。また、児童生徒の学習指導の改善や地方の教育施策の検証に資する観点からは、学習指導要領の趣旨の十全な実現を期するとともに、次期改訂に向けて適切に対応する必要がある。こうした中、調査問題のCBT化にとどまらず、Society5.0に向けて学習をめぐる新しい評価改善のサイクルを確立することが求められている。本研究では、先行事例等を踏まえ、学習科学、教育測定、教科教育、データサイエンス及び実務的知見等を架橋して、CBT移行を展望した作問・結果分析の枠組みの在り方を検討するとともに、新たなPDCAサイクルの要となる学力アセスメントの改善充実に向けた調査研究を行う。
  • ○  令和5年度は、以下の@〜Dについて検討し、最終まとめと情報発信を行う。
      @教育改革に対応した学力アセスメントの在り方
      A学習指導要領(平成29年告示)の理念を踏まえ、教科等横断的な視点に立った資質・
       能力を見取る調査の仕組み

      BCBT・IRTの導入を踏まえた作問・結果分析のPDCAサイクル
      C試行調査の結果を踏まえたIRTを活用した学力調査の在り方
      D公的な学力アセスメントや教育データ分析・研究の将来像
  • • 令和4年度教育研究公開シンポジウム「学力アセスメントの動向と展望〜CBT化に向けて〜」
    報告書
     
    • 令和4年度教育研究公開シンポジウム当日の講演資料につきましては、こちらから御覧いただけます。


(3) 新たな学びの実現に向けた教育課程の在り方に関する研究【令和4〜6年度】

◎ 研究代表者 大金伸光(教育課程研究センター長)

  • ○  本研究は、新たな時代の学びを実現する教育課程の在り方について、学習指導要領における教育課程の基準の示し方及び学校における教育課程編成への支援という視点から理論的・実証的検討を行い、学習指導要領改訂の審議に資するデータを提供することを目的としている。教育課程の基準の改善に向けた今後の中教審の審議では、現行学習指導要領の理念を継承発展しつつ、@教育課程全体を貫く「資質・能力の三つの柱」と各教科等に固有の「見方・考え方」の両方を見据えて教育内容の構造化・重点化を図り、学びの質を高めること、A現代的な諸課題への対応を含む教科等横断的な学びや探究的な学びを実現するための教育課程の基準の示し方を検討すること、B新たな学びを各学校の教育課程編成に基づいて実現するための「社会に開かれた」カリキュラム・マネジメントの推進・支援方策を検討すること、が求められている。本研究では、これらの課題について、国内外のカリキュラム研究の動向を踏まえた理論的検討と事例分析(諸外国における教育課程改革の動向調査・文部科学省研究開発学校等の先進事例の成果分析)を行い、今後の検討に資する基礎資料を提供する。
  • ○  令和5年度は、@令和4年度に実施した文献研究の分析を踏まえ、学習指導要領における各教科等の内容構成に関する複数のモデルの検討、A理論的研究と実践事例研究を中心に、STEAM等の教科等横断的な学習と探究との関係を整理する枠組の検討、B文部科学省の授業時数特例校制度を活用した各学校におけるカリキュラム開発の成果と課題の検討等を行う。

(4) 「データ駆動型教育」の課題と実現可能性に関する調査研究【令和5〜7年度】

◎ 研究代表者 藤原文雄(初等中等教育研究部長)

  • ○  本研究の目的は、社会のデジタル化に呼応して教育分野にも提言されている「データ駆動型教育」の実現に際して、その課題と可能性を総合的・多角的に検討するための知見を提供することである。本研究では、@国・自治体の教育施策において「データ駆動型教育」が公正で質の高い教育の実現に貢献するための課題と条件の整理、A学校教育現場の指導改善において「データ駆動型教育」を公正で質の高い教育に繋げるためのアクションリサーチ(実践変革型研究)、B教育施策と実践を結び付けるための各種関係者間のコミュニケーションやリテラシーの在り方の検討、及び、ELSI(倫理的・法的・社会的課題)も含めた多様な観点からの「データ駆動型教育」の課題と実現可能性に関する知見の整理を行う。
  • ○  令和5年度は、上記@については、公正で質の高い教育の実現に向けたICT活用の促進条件に関する研究の目的で収集すべきデータを検討、教育委員会のニーズの把握、今後本研究で実施する調査計画立案等を行う。Aについては、各自治体での「主体的・対話的で深い学び」の定義、その実現のためのICT利活用も含めた教育方法、及びデータ利活用も含めた学習評価方法の選定・決定、それらに基づく教育実践記録データの収集、及び児童生徒の学習過程・成果のデータ収集・分析等を行う。Bについては、「データ駆動型教育」に関するレビュー結果や事例調査結果を持ち寄り、基礎用語、方法論、教育データの特殊性(教育と他分野との相違)、収集・分析したデータの内容とその効果、フィードバックの在り方、個人情報保護などセキュリティ上の問題等について検討し、知見を整理する。
  • • 海外の生成AI関連教育行政文書@(英国の例)
    "Generative artificial intelligence in education"

    • 海外の生成AI関連教育行政文書A(米国の例)
    “Artificial Intelligence and the Future of Teaching and Learning” 要約
    “Artificial Intelligence and the Future of Teaching and Learning” 抄訳


(5) 幼小接続期における教育の質の基盤形成に関する研究【令和5〜7年度】

◎ 研究代表者 掘越紀香(幼児教育研究センター・副センター長)

  • ○  幼児期の教育の質が生涯にわたって影響を持つことが海外の縦断研究で示されて以降、日本でも幼児教育の重要性に関する認識の高まりがみられてきた。幼児教育の重要性を踏まえてその無償化が実現した後、政策の焦点はその質及び幼児期と児童期の教育の円滑な接続に移ってきており、当センターにおいても、子供の多様性にも配慮しながら、幼小接続期の教育の質を支える仕組みに関する研究に取り組むことが求められている。このため、令和5年度からの3年間で、@幼小接続期の教育における幼児教育センターの役割・機能、A幼小接続に関する国際比較、B幼小接続期の子供の育ちと学び、という3つの視点で研究に取り組む。
  • ○  令和5年度は、上記@については、幼小接続期・架け橋期カリキュラムの資料を収集するとともに、地方自治体への質問紙調査を実施する。Aについては、調査対象国の幼小接続や子供の多様性に関する制度・政策の動向について、カリキュラムや指針などを中心とした文献調査による資料収集と分析等を実施する。Bについては、平成29〜令和4年度に実施したプロジェクト研究で収集した、認知的スキル、社会情緒的スキル等に関する3歳児から小学校2年生までの5年間の縦断データの二次分析を実施する。

(6) 老朽化した学校施設の計画的かつ効率的な再生・活用に関する調査研究【令和5〜7年度】

◎ 研究代表者 藤井隆(文教施設研究センター長)

  • ○  全国の公立小中学校施設のうち、改修を必要とする施設が約70%を占めており、老朽化した既存ストックの早期の解消が求められている。本研究では、まず、少子高齢化の進行が及ぼす学校施設整備施策への影響を概観し、学校施設の「インフラ長寿命化計画(個別施設計画)」や当該計画を掘り下げた具体的な学校施設に特化した中長期的な施設建築計画を分析し、現状の把握と課題の抽出を行う。そのうえで、課題解決に寄与すると思われる事例、例えば、自治体の所有する公共施設全体面積を最適化するために複合化された学校施設などについて、事例収集を行い、学校施設に他の公共施設等の役割を持たせることによるメリット・デメリットや、建築計画(既存施設の長寿命化改修や改築等)を行う際の留意点等を検討・整理して取りまとめることにより、老朽化した学校施設を改築・複合化する際や長寿化改修等を行う際の参考に資する。
  • ○  令和5年度は、@少子高齢化の進行に係る報告書や、学校施設の長寿命化対策、複合化への取組など、文科省の既存施策などについて文献を調査し、分析を行う。A全国の学校施設のインフラ長寿命化計画(個別施設計画)を収集・集計し、傾向の分析、課題の抽出を行うとともに先進事例の洗い出しを行う。B老朽化施設の既存ストックを計画的かつ効率的に解消してきた自治体に対し、具体的な計画内容及び学校施設の中長期計画(学校統廃合・複合化など)について質問紙調査を行うため、内容等を検討・精査する。C複合化された学校施設等を訪問し、設置者・学校管理職・設計者等へのヒアリングを実施する。D研究会を開催し、有識者による知見を得つつ、文献調査や学校施設に係る中長期計画に係る調査等を基に、これからの学校施設整備における傾向を分析し、課題等を抽出する。
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2.教職員

(1) 教育分野の公務労働に関する調査研究【令和4〜6年度】

◎ 研究代表者 藤原文雄(教育政策・評価研究部長)

  • ○  本研究では、文部科学省職員、教育委員会事務局職員、学校教員を対象にアンケート調査を実施し、公務労働者の動機付けに関わるPSMや、上司部下間関係(Leader-Member exchange)、メンバー間関係(Team-Member exchange)、校務のICT化、労働時間、離職志向、仕事の満足度や成果、ストレスの自己認識などを可能な範囲で調査し、それらの間の関係を分析する。また、分析結果から、好事例と思われる職場に着目し、その実態を観察やインタビュー調査などで描き出す。さらに学校段階においては、諸外国(イギリス、カナダ、スウェーデン、韓国、ドイツなど)の学校教員の労働環境の改善に関する同様の調査等を活用している事例を調査し、今後、さらに教育分野の公務労働における働き方改革を進めていく際に必要な知見について考察することを目的とする。
  • ○  令和5年度は、@文部科学省調査では、令和4年度に実施した文部科学省職員アンケートの分析作業を行う。並行して、分析結果を基に好事例と思われる職場を抽出する。A教育委員会調査では、アンケート調査を実施・分析し、より詳細な情報を知るべくインタビュー調査も実施する。また、並行して「教育行政調査」や「教育委員会の現状に関する調査」のような教育委員会に関する文部科学省収集の統計データの二次分析を実施する。B学校調査では、教員を対象としたアンケート調査の実施、集計、分析作業を行う。また、分析の視野や解釈を幅広に検討するために、教員を対象とするインタビュー調査も必要に応じて実施する。C海外調査では、対象国における学校教員の労働環境に関する法制度、改革動向及び、労働環境改善に関する文献研究を行う。

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3.高等教育

(1) 「全国学生調査」の効果的な活用方法に関する調査研究【令和5〜7年度】

◎ 研究代表者 濱中義隆(高等教育研究部長)

  • ○  本研究では、既に実施された3回の「全国学生調査」の試行調査の個票データを分析し、単純集計や大学の機関属性等との基礎的クロス集計を超えた、集計・分析結果の効果的な公表方法としてどのようなものがありうるかを検討する。また、試行調査に参加した各大学が、調査結果を自らの教育改善に結びつけているかに関する好事例の情報収集を行うとともに、各大学のIR担当者等のネットワーク構築を通じてその共有を図る。以上の調査・分析を通じて、「全国学生調査」の本格実施後の活用方法について有益な知見を提供することを目的とする。
  • ○  令和5年度は、3回の「全国学生調査(試行実施)」のローデータを入手し、統計パッケージでの分析が可能となるようデータを整備するとともに、個別大学・学部別の集計データへの変換作業を実施する。あわせて、大学・学部の機関属性、既存調査における大学改革の取組状況に関するデータを収集してデータベース化し、全国学生調査の集計データと結合したデータセットを作成し、基礎的な分析に着手する。データセットの作成後、研究分担者間におけるデータの共有ならびに分析テーマ確認のための研究会を実施する。また、国内外における大規模学生調査の事例について、文献調査ならびに当該調査のウェブサイト等から最新の状況に関する情報を随時収集して、情報のアップデートに努める。さらに、全国学生調査の試行実施に参加した大学の担当者等を招聘して、自大学における調査の活用状況に関する報告をお願いするための研究会も実施する。
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