○キー・コンピテンシーの生涯学習政策指標としての活用可能性に関する調査研究


キー・コンピテンシーとは、OECDが1999年〜2002にかけて行った「能力の定義と選択」(DeSeCo)プロジェクトの成果で、多数の加盟国が参加して国際的合意を得た新たな能力概念です。20世紀末頃より、職業社会では、コンピテンシーという能力概念が普及し始めました。この考え方は、次図に示しましたように、従来の学力を含む能力観に加えて、その前提となる動機付けから、能力を得た結果がどれだけの成果や行動につながっているかを客観的に測定できることが重要と視点から生まれてきました。言葉や道具を行動や成果に活用できる力(コンピテンス)の複合体として、人が生きる鍵となる力、キー・コンピテンシーが各国で重視され始めたのです。


 
  図 コンピテンシーとは
コンピテンシーとは
 
     
 

 そこで、OECDのDeSeCoプロジェクトでは、12の加盟国からの今後どのようなコンピテンシーが重要となるかのレポートを得て、その結果を教育学から哲学、経済学、人類学など学際的な討議を行い、次図の3つのカテゴリーにまとめました。DeSeCoプロジェクトは終了しましたが、その後このプロジェクトの成果は各国の教育政策にどのように活かされることとなったのでしょうか。そこで、本研究では、日本の生涯学習政策の策定の参考資料とするため、このプロジェクトへの参加国と非参加国を対象とし、OECD教育研究革新センター(CERI)、ユネスコ生涯学習研究所(UIL)、米国教育テストサービス(ETS)の協力を得て、各国の教育分野や労働分野の政策に、キー・コンピテンシーをどう生涯学習政策として活用しているかを明らかにします(平成19〜21年度)。


                

 
  図 3つのコンピテンシー
3つのコンピテンシー
 



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