国立教育政策研究所は,昭和24 年(1949 年)6月に「教育に関する実際的,基礎的研究調査を行う」国立教育研究所として発足し,来年創立75年を迎えます。この間,平成13 年(2001 年)に,中央省庁等改革による文部科学省の発足に伴い,「教育に関する政策に係る基礎的な事項の調査及び研究」を担うとミッションを明確化し,その名称を国立教育政策研究所としました。
令和5年(2023年)度の組織は,総務,研究企画開発,教育政策・評価研究,生涯学習政策研究,初等中等教育研究,高等教育研究,国際研究・協力の7部,教育データサイエンス,教育課程研究,生徒指導・進路指導研究,幼児教育研究,社会教育実践研究,文教施設研究の6センターの体制です。
本研究所では,@様々な政策課題に関するプロジェクト研究,A教育の各分野に関する専門的・実証的な調査研究を行うほか,B文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査において,教科に関する調査の問題や解説資料の作成、調査結果の分析,報告書の作成などを担当するとともに,C経済協力開発機構(OECD)の生徒の学習到達度調査(PISA),国際教員指導環境調査(TALIS),国際成人力調査(PIAAC),国際幼児教育・保育従事者調査(TALIS Starting Strong),国際教育到達度評価学会(IEA)の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)などの国際共同研究の国内実施機関としての役割も担っています。これらの結果や成果は,政策の立案・評価の資料として,また教育現場での実践を支えるものとして,多方面で生かされています。
AIをはじめとした技術革新やグローバル化,少子高齢化や人生百年時代など社会の大きな変化が進む中で,一人ひとりが主体性をもって幸せに生きていくことができるようにするとともに,皆で協力して持続可能な社会をつくっていくために,教育の役割はますます重要になります。
教育は一人ひとりの未来を切り開き,我が国社会や地域の未来を創るものです。
折しも5月には,質の高い教師の確保等に向けて中央教育審議会に総合的な諮問がなされました。また6月には,新たな教育振興基本計画が閣議決定され,EBPMの更なる推進を図るため,全国学力・学習状況調査のCBT化を進めることや,本研究所が客観的な根拠に基づく政策に資する研究を行う体制整備を進めることなどが改めて示されたところです。
本研究所は,教育政策に関する唯一の国立研究所として,これからも文部科学省や全国の自治体,大学,教育研究機関などと連携を図りつつ,教育に関する政策に係る調査・研究を一層推進し,その成果や取組の状況を積極的に発信していきたいと考えています。
引き続きの御支援を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。

所長挨拶
![]() |
未来を創る教育を支える
|
令和5年7月
所長 瀧本 寛