| 平成14年度高等学校教育課程実施状況調査 |
平成14年度高等学校教育課程実施状況調査の結果概要等をみるに当たって
(1)具体的な調査対象学科,学級の抽出方法
ア 文部科学省の学校基本調査におけるいわゆる大学科を抽出単位とし,
これらを設置者,学科別に5層に分け,1人の生徒が選ばれる確率を等しくする方法により,
まず,調査対象学科を無作為抽出する。抽出に当たっては,
平成13年5月1日現在の学校基本調査(以下,「平成13年度学校基本調査」という。)
の数値を用いた。
5層の区分については,@公立学校の普通科等,A公立学校の専門学科,
B国私立学校の普通科等,C国私立学校の専門学科,D国公私立学校の総合学科とした。
大学科については,普通科,農業に関する学科,工業に関する学科,商業に関する学科,
水産に関する学科,家庭に関する学科,看護に関する学科,その他の専門教育に関する学科,
総合学科の9の類型に区分されている。
このうち,農業に関する学科から看護に関する学科までを層化に当たって,
専門学科として区分した。
また,理数や体育,音楽,美術等の芸術,
英語等に関する学科等があるその他の専門教育に関する学科については,
科目の開設状況等から普通科と同じ層の扱いとし,層の名称を普通科等とした。
総合学科については,数が少ないことを踏まえ,公立と国私立を合わせて一つの層とした。
イ 大学科を無作為に抽出した後,その学科の中で調査を実施する2学級についても,
研究所の定める方法により無作為に抽出し,
当該学級全員を調査対象とした
(このような抽出方法を一般に層化2段階無作為クラスター抽出という。
今回の抽出方法は,IEA(国際教育到達度評価学会)の
TIMSS−R(国際数学・理科教育調査)において我が国が採用した
考え方を基本的に踏襲している。)。
調査対象となった生徒は,その学級に割り当てられた3科目のうち,
履修している(した)ものに取り組むこととなる。
小中学校の場合,調査対象となった学校の各学年から1学級のみを抽出した。
これに対し,高等学校については,
抽出単位となる大学科数が小中学校の学校数に比べて少ないことを考慮し,
調査対象となる学科数を抑制する観点から,2学級の抽出とした。抽出された2学級は,
同一科目のそれぞれ異なる問題冊子(A,B)が割り振られる。
なお,大学科において1学級しかない場合は,
残り1学級分を同様の抽出方法によって補充した。
教師質問紙については,当該学級で調査対象とする教科を担当している(した)
教師全員を調査対象とした。
(2)抽出計画の決定と調査の実際
表1 高等学校第2学年(平成13年5月1日現在)の学科,生徒数を基にした抽出計画数
区分
全 体
抽出計画数
学科数
生徒数
(割合)
平均学級規模
…@
1セット
6セット
学科数
…A
(B/@)
生徒数
…B
学科数
…C (A×3)
生徒数…D(割合)(@×C×2) 公立
3,208
659,090
(50.1%)
38
233
8,821
699
53,124
(50.1%) 公立
1,811
236,584
(18.0%)
37
86
3,166
258
19,092
(18.0%) 国私立
1,434
338,917
(25.8%)
35
130
4,536
390
27,300
(25.7%) 国私立
539
54,317
(4.1%)
35
21
727
63
4,410
(4.2%) 総合学科
137
26,120
(2.0%)
39
9
350
27
2,106
(2.0%)
計
7,129
1,315,028
(100.0%)
-
479
17,600
1,437
106,032
(100.0%)
今回調査では,7科目を調査対象として,1科目当たりA,Bの2種類の問題冊子
(「3 問題作成の基本的考え方 (3)2種類の問題冊子」参照)を作成し,
1学科(学級)当たり,最大3科目を割り当てることとした。
このような前提の下で,調査対象となった生徒に国語 I ,数学 I ,
英語 I のいずれかの1科目と理科の I B の科目を組み合わせたものを課し,
国語 I ,数学 I ,英語 I のA,Bの問題冊子それぞれについて1万6千人分の調査結果を
得ようとすると,1万6千人×1.1=1万7千6百人の生徒の集団が6セット,
計10万5千6百人が必要となる
(「2 調査対象学科における実施方法 (1)ペーパーテストの実施方法」参照)。
なお,学級数については,大学科単位では(1)イで述べたように一の学科から2学級を
抽出するので,抽出対象となる大学科の数は,1学級抽出の場合の半分となる。
このことに基づいた抽出計画は,以下のとおりである。
表1のとおり,
抽出に当たっては,まず1セット1万7千6百人の数値を層ごとの生徒数で比例配分し,
抽出すべき生徒数を決定する。
表1で言えば,公立普通科等の生徒数は,
全生徒数1,315,028人中659,090人,50.1%を占めるので,
抽出すべき公立普通科等の生徒数は,1万7千6百人の50.1%,8,821人(Bの数値)となる。
次に,それぞれの層ごとの人数を得るために必要な学科数を決めることとなるが,
その際には,層ごとに,抽出すべき生徒数をそれぞれの層の平均学級規模(@)で
割るという手続きをとる。学校基本調査では,学級の規模に関するデータがないため,
平均学級規模については,あらかじめ複数の県に調査を依頼し,得られた結果を平均した。
計算に用いた平均学級規模は,各層について,
それぞれ38人,37人,35人,35人,39人(小数第1位切り捨て)である。
この結果,公立普通科等についていえば,
5層から構成される1万7千6百人の全体の集団を構成するために8,821人を38人で割った数,
すなわち,233学科(小数第1位切り上げ)(Aの数値)を抽出する必要がある。
表1の抽出計画数における1セットの欄の学科数(A),生徒数(B)は,
1万7千6百人に対応したもの,また,×6セットの欄は,
その結果抽出される学科,生徒数の合計である。生徒数は,
1万7千6百人を6倍したものが必要となるが,学科数については,
1学科から2学級を抽出するため,3倍の数値で足りることとなる。
6セットの欄の学科数(C)のA×3,
生徒数(D)の@×C×2はこのことを表している。
普通科等
専門学科
普通科等
専門学科
抽出計画に対応する層ごとの調査実施の学科数及び生徒数は,
次の表2のとおりである。
調査を実施した生徒数(以下,「調査実施生徒数」と言う。)については,
欠席等により結果集計の対象とならなかったものを除いている。
調査実施生徒数の定義については,
「4 結果の処理方法 (2)調査実施生徒数の確定,通過率,履修率」で記述する。
なお,「1 調査対象の抽出方法について
(1)具体的な調査対象学科,学級の抽出方法」で
述べたように抽出された大学科において1学級しかない場合,
残り1学級分を同様の抽出方法によって補充したため,
調査実施数の学科数が抽出計画数を上回っている場合がある。
表2 高等学校第2学年(平成13年5月1日現在)の抽出計画数に対する調査実施数
|
区分 |
抽出計画数 |
調査実施数 |
||||
|
6セット |
6セット計 |
|||||
|
学科数 |
生徒数 (割合) |
学科数 |
生徒数 (割合) |
|||
|
公立 |
699 |
53,124 |
(50.1%) |
711 |
47,328 |
(50.3%) |
|
公立 |
258 |
19,092 |
(18.0%) |
274 |
17,291 |
(18.4%) |
|
国私立 |
390 |
27,300 |
(25.7%) |
363 |
23,841 |
(25.3%) |
|
国私立 |
63 |
4,410 |
(4.2%) |
67 |
3,896 |
(4.1%) |
|
総合学科 |
27 |
2,106 |
(2.0%) |
27 |
1,782 |
(1.9%) |
|
計 |
1,437 |
106,032 |
(100.0%) |
1,442 |
94,138 |
(100.0%) |
|
第1番目 |
第2番目 |
第3番目 |
|
国語 I |
物理 I B 化学 I B 生物 I B |
地学 I B |
|
数学 I |
物理 I B 化学 I B 生物 I B |
|
|
英語 I |
物理 I B 化学 I B 生物 I B |
このことに関連し,
「
平成14年度高等学校教育課程実施状況調査の結果概要について」
の「3 調査結果の概要」
表1
で理科科目の選択状況について示しているが,
理科の各科目の選択率については,次のような数値を用い算出している。
|
区分 |
理科の I B 各科目の選択者数(欠席者等を含む。) ……@ |
理科の I B 各科目を実施した学級における全体の生徒数(欠席者等を含む。)……A |
選択率(%) @/A |
|
物理 I B |
8,760 |
34,660 |
25.3 |
|
化学 I B |
21,047 |
34,461 |
61.1 |
|
生物 I B |
18,466 |
34,547 |
53.5 |
|
地学 I B |
5,657 |
103,668 |
5.5 |
ペーパーテストの問題作成は,外部の協力者によって構成された問題作成委員会が担当する。
問題作成に当たっての基本的考え方は以下のとおりである。
なお,質問紙調査については,生徒の学習に対する意識,学習にかかわる態度や行動,
教師の指導の態様等を把握することを目指し,質問を作成する。
このうち,生徒質問紙については,
観点別学習状況評価の関心・意欲・態度の全体的な実現状況を把握することに
役立てようとするねらいも込めることとする。
(1)出題対象
各科目の学習指導要領の内容で,ペーパーテストで調査を行うことが適当なものとする。
(2)問題構成,分量等
学習指導要領の目標,内容に照らした学習の実現状況を,
内容や評価の観点等にできるだけ片寄りのない形で把握することを目指す。
また,問題の分量についても生徒が時間内(50分)
に全ての問題にひととおり取り組むことができるようにする点に留意する。
解答については,正答の他,問題によって準正答を設ける。準正答については,
完全な正答とは言えないが,学習指導要領の目標,
内容に照らしての学習の実現状況を判断しようとする際,
その問題のねらいからは正答をしたものと同等に扱ってよいと判断できるものを指す。
(3)2種類の問題冊子
各科目で,A,B2種類の問題冊子を作成し,
各科目の学習指導要領の目標,内容に照らしての学習の実現状況を総合的に把握する。
A,B問題冊子に共通な問題は含まない。
また,各冊子が含む問題の内容,評価の観点等にできるだけ片寄りが生じないようにするとともに,
問題の全体の水準も同程度とすることに努める。
(4)予備調査の実施
本調査に先立ち予備調査を実施する。
予備調査の結果を踏まえて,問題の精選,再検討を行い,
学習指導要領の目標,内容に照らした学習の実現状況を評価する上での調査問題の妥当性,
信頼性を高める。
また,結果処理に当たって生徒の解答結果を数字に置き換えるための解答類型区分及びその内容
(「4 結果の処理方法
(1)解答(回答)類型のコード化,転記等」参照)
についても予備調査における実際の解答状況を基に見直しを行う。
(1)解答(回答)類型のコード化,転記等
ペーパーテストについては,各学校において,
記述式の問題も含め研究所で作成した解答類型に従って生徒の解答結果を0〜9の数字に置き換え,
整理票に転記する。このうち,0は,無解答に当てる。
9は解答類型上,「上記以外の解答」としている。
0,9は必ず用いるが,1〜8については,
1から始まってどの数字までを用いるか問題によって異なる。
例えば,ア〜エまでの4つの選択肢の中から1つを選んで解答する問題の場合,
アを解答すれば「1」,
イを解答すれば「2」,
ウを解答すれば「3」,
エを解答すれば「4」となり,
無解答の場合は「0」となる。
また,選択肢にないもの,例えばオと解答すれば「上記以外の解答」ということで「9」となり,
1つを選ぶ問題であるにもかかわらず,ア,イといった解答がある場合も「9」となる。
選択問題以外の場合についても同様に,解答類型を示しながら,
数字に置き換えることができるようにする。
0,9も結果集計に当たり,有効な解答とみなす。
また,ペーパーテストの解答結果の転記に当たっては,
調査時点までの各問題に関する当該学級の履修状況を1(履修済み)又は0(未履修)と記入する。
生徒質問紙については,各学校において,
生徒の選択した番号の数字をそのまま転記するが,一部の質問については,
生徒の選択状況に応じて,番号の置き換えを行う
(例;国語 I は,どの学年で履修しましたか,
第1学年→「1」,
第2学年→「2」,
第3学年→「3」,
第1学年及び第2学年→「4」,
第1学年及び第3学年→「5」,
第2学年及び第3学年→「6」,
第1,2,3学年→「7」)。
ペーパーテスト及び質問紙の解答(回答)状況を転記した整理票については,
研究所で回収し,コンピュータ処理できるように入力を行う。
教師質問紙については,各教師が記入後,自分で封筒に入れて封をしたものを研究所で回収し,
開封の上,入力を行う。
教師質問紙のうち,年齢,経験年数等については,記載された数字を直接入力し,
選択肢については選択された番号を入力する。
研究所においてこれらの入力されたデータを基に,分析を行う。
なお,各学校が転記した整理票において,解答類型に対応しない数字等が転記されていたり,
転記がそもそもなかったりするものについては,
集計の際,除外することとなる「欠損値」として扱う。
また,教育課程実施状況調査という性格を踏まえ,
ペーパーテスト調査の問題の内容が調査時点までで未履修のものについても欠損値として扱う。
さらに,生徒質問紙の設問4においては,
当該科目で履修する内容についての意識をたずねることとしているが,
教師が当該設問内容について「調査時点までに指導していない」又は「指導を担当していない」
と回答した場合には,
その教師が指導している生徒が同じ内容について何らかの回答をしていたとしても,
欠損値とする(教師が「指導を担当していない」と回答した場合については,
その教師が指導していないとしても,他の教師が指導した可能性がある。
したがって,教師と生徒の回答を突き合わせるのではなく,
生徒のデータだけを用いる場合については,
その回答を生かすことも考えられる。
ただし,実際に指導がなされたかの実態を質問紙で確認しようとする自体きわめて困難であり,
また,基本的には,例外的な場合であり,
その分を除いても,全体的な傾向をみる本設問では,
大きな影響を与えないと考えられることから,
欠損値扱いとすることとした。)。
(2)調査実施生徒数の確定,通過率,履修率
調査実施生徒数とは,有効な解答(回答)を行ったものとして,
集計対象となる生徒の人数を言う。
各学校においては,出欠等の欄に解答(回答)者の状況を次の
表5の要領に従って入力することとしている。
|
解答(回答)者の状況 |
入力する数字 |
|
欠席した |
1 |
|
調査を途中から始めた |
2 |
|
海外から帰国した,あるいは外国人であるために,日本語が不自由で,調査に取り組むことが難しい |
3 |
|
視覚障害,聴覚障害,知的障害など障害があり,調査に取り組むことが難しい |
4 |
|
上記以外 |
0 |
このうち,「1」に加え,「2」,「3」,「4」の入力がある生徒についても,
調査実施生徒数に含めないこととし,調査実施生徒数を確定する。
@出席者(表5の「0」に相当)
A
欠席者等
(表5の「1」〜「4」に相当) @+A
調査対象となった生徒
問題ごとの履修,解答の状況
問題の扱う内容を履修済み
問題の扱う内容が未履修
B当該問題について研究所の作成した解答類型に対応する番号(無解答「0」,「上記以外の解答」「9」を含む。以下,本表において同じ。)が転記されている生徒
C当該問題について研究所の作成した解答類型に対応しない番号が転記されている生徒又は転記自体がなされていない生徒
D当該問題について研究所の作成した解答類型に対応する番号が転記されている生徒
E当該問題について研究所の作成した解答類型に対応しない番号が転記されている生徒又は転記自体がなされていない生徒
ただし,調査実施生徒数に含まれることとなった生徒についても,(1)のとおり,
ペーパーテスト調査の結果が個々の問題で欠損値扱いとなるものがある。
ペーパーテストにおける問題ごとの「通過率」については,
上記によって確定した調査実施生徒数から,
更に個々の問題について未履修等の事由により欠損値となった人数を
除外したものを分母とし,そのうちで,
正答又は準正答いずれかを解答した生徒数の割合を示した数値となる。
前述のとおり,
無解答の者についてもその問題の内容を履修している限り,
集計対象となるため,分母に加えられる。
なお,この「分母」の数については,個々の問題によって異なるため,
各問題の解答類型ごとの反応率を示す「ペーパーテスト調査集計結果 表6」
においては,問題ごとに「履修者数」として示すこととしている。
また,同表においては,調査実施生徒数には含まれ,
その問題についても解答類型に含まれる解答をしたが,内容が未履修であったため,
集計対象とならなかった生徒の人数を加えた数値を出し,
これを基に問題ごとの「履修率」を算出している。
以上のことを表によって説明すると
表6のとおりとなる。
問題冊子単位での調査実施生徒数は,
表6中の@に相当する。
問題ごとの通過率については,Bの生徒数の中で,
正答,準正答をした生徒数の割合である。
また,問題ごとの履修率は,BとDの合計の数値に対するBの割合である。
なお,質問紙についてもこれと同様の扱いとなっており,
整理票に回答類型に含まれない番号が転記されていたり,
転記のないものについては,欠損値扱いとなり,
回答ごとの割合を出す際の分母からも除かれることとなる。
(3)得点の標準化
表7 有効に解答した問題数の割合が一定の基準(8割以上,6割以上)
を満たした生徒の人数及び割合
区分
冊子
調査実施生徒数
8割以上
6割以上
人数
割合(%)
人数
割合(%)
国語 I
A
15,726
13,938
88.6
14,989
95.3
数学 I
A
15,770
15,408
97.7
15,699
99.5
物理 I B
A
3,949
2,393
60.6
2,930
74.2
化学 I B
A
9,578
6,811
71.1
8,553
89.3
生物 I B
A
8,237
5,536
67.2
7,110
86.3
地学 I B
A
2,639
925
35.1
1,724
65.3
英語 I
A
15,618
14,725
94.3
15,320
98.1
今回の調査は,当該科目履修者の集団としての学習の実現状況について,
無作為抽出による調査を通じて,把握しようとするものである。
したがって,個人ごとに得点を出し,
それを分析評価の対象とするということは予定していない。
問題ごとに,例えば選択問題は1点,記述問題は5点というように,
異なる配点を行っていないのもこのような調査の性格による。
しかしながら,個人単位での実現状況の分布や個々の質問紙の回答状況と
ペーパーテストからうかがえる全般的な学習の実現状況との関連といった点については,
社会的な関心も高いところである。このことを踏まえ,一定の制約つきながらも,
個人の実現状況を表すものとして,それぞれの問題冊子について,
有効に解答した問題数に対する正答,準正答数の割合を基に平均点を500点,
1標準偏差を100点とする得点の標準化を行うこととした。
ここでの「有効に解答した」とは,調査を実施した生徒が履修した内容の問題で,
どのような解答をしたかを判断できる結果(無解答等を含む。)が得られているものをいい,
実際には,問題ごとにあらかじめ作成した解答類型に対応する番号の記入がなされているか
どうかで判断する。当該問題について有効に解答している生徒は,
上記表6では,Bの範疇となる。
得点の標準化の対象は,有効に解答した問題数が各冊子の問題数全体の8割以上となる生徒である。
8割以上としたのは,有効に解答した問題数に対する正答又は準正答を解答した問題数の割合を
基に得点の標準化を行うため,有効に解答した問題数が少ない場合までをも対象にすると,
推測の程度が大きくなるとともに,
有効に解答した問題がどれであったかということの影響が大きくなることを考慮したためである。
ただし,理科科目については,未履修扱いとなった問題が多いことがあり,
有効に解答した問題数の各冊子の問題数全体に対する割合の基準を6割以上とした。
これは,8割以上という数値を維持した場合,
結果的に特別な性格を持った集団のみを取り上げることとなる可能性があり,
抽出された集団の状況から全体を推定するという今回の調査の考え方に
なじまないと考えたからである。もっとも,このように基準を緩和したことで,
標準化した得点については,有効に解答した部分の結果を基にする推測の程度が一層大きくなる。
この点をあらかじめ踏まえた上で,結果をみる必要がある。
以下の表7に問題冊子ごとの調査実施生徒数と8割,
6割基準を適用した場合に,標準化の対象となった生徒数及びその割合を示す。
なお,得点の標準化の前提には,A,Bの異なる問題冊子を課せられた集団は,
先に述べたようにいずれもが母集団を厳密に推計できるよう,
無作為に抽出された1万7千6百人規模の集団であることから,
それらが等質な集団であるとみなすことができると判断したことがある。
(注)太字は,得点の標準化の対象とした生徒数及びその割合を示す。
B
15,683
13,705
87.4
15,079
96.1
B
15,693
14,888
94.9
15,312
97.6
B
3,927
2,335
59.5
2,904
73.9
B
9,511
6,513
68.5
8,497
89.3
B
8,437
5,619
66.6
6,661
78.9
B
2,421
988
40.8
1,628
67.2
B
15,571
14,853
95.4
15,259
98.0
(4)数値の表示
解答類型及び質問紙の設問項目ごとの反応率は,小数第2位を四捨五入し,
小数第1位までの数値で表示した。
この結果,反応率の合計が100%にならない場合がある。
また,上記(3)の標準化した得点についても小数第2位を四捨五入し,
小数第1位までの数値で表示した。
ただし,「質問紙調査集計結果 生徒質問紙設問4 教師質問紙設問3」において,
生徒と教師の回答の組み合わせごとに該当するペーパーテストの問題の正答,
準正答の状況を比較した箇所は,小数第2位までの表示としている。
|
○学習指導要領の目標,内容に照らしての学習の実現状況を評価する判断基準としての
「設定通過率」について (1)設定通過率の数値の持つ意味 設定通過率は,学習指導要領に示された内容について,標準的な時間をかけ, 学習指導要領作成時に想定された学習活動が行われた場合,個々の問題ごとに, 正答,準正答の割合の合計である通過率がどの程度になると考えられるか ということを示した数値である。 (2)設定通過率を設けた理由 本調査においては,ペーパーテスト調査の結果に基づいて調査対象となった学年全体としての 学習指導要領の目標,内容の実現状況を把握するものであるため, 結果の評価に当たり一定の具体的かつ客観的な基準が必要となる。 (3)問題ごとの設定通過率を決める手続き 「設定通過率」については,問題作成委員会において, 個々の問題における出題のねらいを踏まえて数値を決定し, 分析委員会においてその数値の妥当性について慎重に検討した。 数値については,本調査結果が明らかになる前に確定している。 (4)各科目の設定通過率を平均した数値 問題作成時においては,各科目単位,さらには,その中の問題冊子単位で, そこに含まれる問題の設定通過率を平均した数値がおおむね60%〜70%となることを目安とした。 |
(1)共通的事項
高等学校教育課程実施状況調査は,
平成13年度の小中学校教育課程実施状況調査に引き続くものであるが,
小中学校と比較して様々な点で差異があり,これらの点については,
結果をみる上でも留意が必要である。
まず,大きな差異として挙げられるのは,選択の科目も調査対象となっていることである。
この結果,理科の科目については,
表4で示したように選択率に差異があるため,
調査実施生徒数も異なることとなる。今回の調査からうかがい知ることのできるのは,
物理 I B でいえば,この物理 I B を選択履修している(した)
集団の物理 I B における学習の実現状況や学習に対する意識等である。
したがって,物理の勉強が好きだといった質問に対する回答の状況を
,他教科((注)ここでは,物理,化学,生物,地学も教科とみなす。)のものと比較したり,
あるいは,小学校,中学校の理科についての結果と比較したりしようとすることについては,
十分な注意が必要である。
また,高等学校調査においては,小中学校に比べて,特に,理科科目で履修率の低い問題があり,
最も履修率の低いものは,4割を割った。履修率の低い問題については,
その科目を履修している生徒のうちの一定の特色を持つ集団だけの状況を示していると
理解すべきものもあると考えられる。
結果をみるに当たっては,履修,未履修の問題を考慮すべき点について,
留意しておく必要がある。
さらに,高等学校においては,各科目の履修時期が学習指導要領上,指定されていないため,
調査対象者全員が履修をほぼ終えていると考えられる第3学年の11月を調査実施時期とした。
このため,調査対象となった生徒については,当該科目の履修時期,
関連する科目の選択状況等も異なることとなる。
今回の結果は,調査対象科目を履修した生徒の学習の実現状況を高等学校卒業に近い時期において
把握する性格をもつこととなっている。
(2)標準化された得点を用いた結果の解釈について
「4 結果の処理方法 (3)得点の標準化」で述べたとおり,
科目単位での個人の実現状況全体を何らかの形で表すため,
有効に解答した問題数に対する正答,準正答数の割合を基に得点の標準化を行った。
例えば,有効に解答した問題数の割合を8割以上とする場合,1問題冊子20問として,
有効に解答した問題数が16問以上ある生徒が得点の標準化の対象となる。
得点の標準化に当たっては,正答又は準正答をした問題数の割合を基にするので,
有効に解答した問題数が20問でそのうち10問正答又は準正答をした生徒,
有効に解答した問題数が18問でそのうち9問正答又は準正答をした生徒,さらに,
有効に解答した問題数16問でそのうち8問で正答又は準正答をした生徒も
同じ評価を受けることになる。
このように,得点の標準化を行うに当たっては,
有効な解答がなかった部分についても有効に解答した部分と同じ割合で
正答又は準正答しているとの仮定に立つ結果,
「4 結果の処理 (3)得点の標準化」で述べたように,
1問題冊子当たりの有効に解答した問題数の割合が低くなるに従って,
その解答状況に基づいて推測される程度が大きくなり,
また,有効に解答した問題がどれであったかということが大きく影響してくることとなる。
このことに加え,1冊子当たりの問題数が少ない場合においては,
標準化した得点の「場合の数」もそれだけ少なくなるため,
「ペーパーテスト調査集計結果 表7」で表される得点別の人数分布のように
あらかじめ科目ごとに共通に設けられた得点区分に振り分けようとすると,
一部の得点区分に片寄って表示される可能性がある。
さらに,「ペーパーテスト調査集計結果 表7」の得点別にみた人数分布については,
A,Bの異なる問題冊子ごとの標準化した得点の分布を合わせたものであるが,
標準化した得点の分布については,各問題冊子を課せられた集団が等質であったとしても,
問題冊子中の問題構成によって,その形状が変わることもある。
標準化した個人得点の分布状況をみる場合には,この点にも留意する必要がある。
なお,この点を踏まえ,
得点標準化の対象となった生徒についての冊子ごとの素点による分布を
「ペーパーテスト調査集計結果 参考表1」で併せ示している。
次に,得点別にみた人数分布については,標準化した得点を基にしているので,
問題冊子によって実際には,出てこない得点区分(−で表示)がある。
例えば,数学 I の場合,上記「ペーパーテスト調査集計結果 参考表1-2」では,
15問すべてに有効な解答をして,
すべてが正答又は準正答であった生徒がA問題冊子で15,408人中1,551人,
B問題冊子で14,888人中1,057人存在したことが確認できるが,
得点区分については,675点以上が存在しない。
このことについては,有効に解答した問題数に対する正答又は準正答をした問題数の割合の
標準偏差が影響している。数学 I の場合,
得点化の対象者で有効に解答した問題数全てに正答又は準正答した者の標準化した得点は,
A問題で653点,B問題で666点となっている
(なお,数学 I においては,上に挙げた1,551人,1,057人の他,
有効に解答した問題数14問中14問で正答又は準正答,
有効に解答した問題数13問中13問で正答又は準正答,
有効に解答した問題数12問中12問で正答又は準正答をした生徒がいれば,
同じ得点となる。)。
数学 I の標準化した得点の区分をみると,右端に一つのピークが存在している。
このことは,これらの問題冊子を通じて,
一定以上の学習の実現状況であったことが確認できる生徒がそれだけいたことを示すことにはなるが,
実際に,その集団に属する生徒が,
全く同じような実現状況といえるのかについては,別途の問題を課さないと確認できない。
そのような問題は,
学習の実現状況が相当程度高まらないと正答又は準正答をすることができない問題となろう。
ただし,個人に順位をつけるのではなく,
集団としての学習の実現状況の把握を優先する本調査の性格から,
そのような問題は出題しなかった。
(3)質問紙調査
質問紙調査については,全員が回答する共通部分と,
その科目の問題冊子を課せられた生徒のみが回答する科目部分を設けている。
この結果,例えば,国語 I の場合,全体で6セット
((表1)参照)
中2セット(A,B問題冊子)分の生徒が質問紙に回答することとなるので,
質問紙における科目部分の回答数は,共通部分の約3分の1となる。
また,質問紙調査の集計結果のうち,質問紙調査の共通部分については,
まず回答者全員の回答状況を示し,次いで科目別の調査実施者の集団がそれぞれ,
共通質問紙の設問にどのように回答したかを表示している。
なお,共通質問紙回答者の中から科目別の調査実施者を特定するに当たっては,
科目別質問紙に回答しているかどうかという点を判断基準としている。
(4)質問紙調査の回答状況とペーパーテストの結果との関連について
今回,質問紙調査の回答状況とペーパーテスト結果の関連を示しているが,
これらからよみとることができるのは,
結果として示された2つの状況に何らかの関係があるということだけである。
もちろん,双方に何らかの因果関係がある場合もあると考えられるが,
この結果からだけでは,双方に因果関係があるかどうかまでを判断することはできない。
なお,質問紙調査の回答類型に含まれる生徒数が少ない場合,
その類型に含まれる個々人の結果の持つ重みがより大きくなり,平均点とした場合,
その影響が出ることにも留意する必要がある。
また,質問への回答状況に対応して,平均得点として示されているものは,
当該回答をした生徒のうち,
ペーパーテストの結果が得点標準化の対象となった者の得点を平均したものである。
国立教育政策研究所教育課程研究センター