第5節 保 健 体 育

 

第1款 目   標

 

 運動の合理的実践を通して,心身の調和的な発達を促すとともに,個人および集団の生活における健康や運動についての理解を深め,これらに関する問題を自主的に解決する能力や態度を養い,国民生活を健全にし,豊かにしようとする意欲を高める。

 この目標は,「保健体育」の「体育」と「保健」の両科目のもととなるものである。指導にあたっては,両科目の目標とともに教科の目標の達成に努めなければならない。

 

第2款 各 科 目

 

第1 体  育

 1 目  標

(1) 各種の運動を適切に行なわせ,自己の体力に応じて自主的に運動する能力や態度を養い,心身の健全な発達を促し,活動力を高める。

(2) 運動についての科学的な理解に基づき,合理的な練習によって,運動技能を高めるとともに,生活における運動の意義についての理解を深め,生活を健全にし,豊かにする能力や態度を養う。

(3) 運動における競争や協同の経験を通して公正な態度を養い,自己の最善を尽くし,相互に協力して,個人や集団の目標の実現に向かって努力する能力や態度を養い,社会生活における望ましい行動のしかたを身につけさせる。

 2 内  容  以下に示す「体育」の内容は,男子にあっては9単位,女子にあっては7単位を標準として,毎学年継続して履修させることを前提として作成したものである。

A 徒 手 体 操

1 身体各部の運動を確実に行ない,身体の柔軟性を高めるとともに,他の運動の準備,整理,補強などに活用できるようにする。 (1) 次の身体各部の運動を複合したり結合したり,初めの姿勢に変化をつけたり,組みになったり,手具を用いたりして行ない,律動的な動きができるようにする。 ア 下肢(し)の運動(屈伸,挙振,跳躍)

イ 上肢(し)の運動(屈伸,挙振,回旋)

ウ くびの運動(屈,転,回旋)

エ 胸の運動(伸屈)

オ 体側の運動(屈,倒)

カ 背腹の運動(屈,倒)

キ 胴体の運動(転,回旋)

(2) 徒手体操を準備,整理,補強,きょう正などの目的に応じて適切な運動を選び,強度や速度などを変化させて行なえるようにする。
2 運動のねらいや効果を理解し,互いに批判し合って行なう能力や態度を養う。
[取り扱い上の留意点] (1) 一般的事項 ア 指導にあたっては,運動の効果やねらいを理解させるとともに,生徒の自覚を高めて行ない,形式的にならないようにする。

イ 各部位の運動は,その方法や形のみにとらわれず,リズミカルな動きを重視する。

(2) 女子については,女子向きの運動を選ぶとともに,特に手具(棒,輪,ボールなど)を利用した運動を取り入れることも考慮する。

(3) 盲学校においては,特に固癖の予防きょう正,疲労の回復に活用させるようにする。

B 器 械 運 動 1 次の運動によって,基礎的な運動能力を高めるとともに,それぞれの運動が正しく美しくできるようにする。  男子――次の懸垂運動,跳躍運動,転回運動のうちから,それぞれ2種目以上を選択する。

(1) 懸垂運動

両足中かけ上がり

振り上がり

け上がり

ともえ

腕立て前(後)転

振りとび

横とび越しおり

開(閉)脚とび越しおり

2〜3種目の連続

(2) 跳躍運動 とび上がりおり(各種姿勢)

腕立てとび越し(斜め,あおむけ)

なわとび(短なわ,長なわ)

(3) 転回運動 前転(開脚,伸膝(しつ),とび込み,台上)

後転(開脚,伸膝(しつ))

腕立て前(側)転,倒立前転

2〜3種目の連続

 女子――次の懸垂運動,跳躍運動,転回運動および平均運動のうちから,それぞれ1種目以上を選択する。

(1) 懸垂運動

懸垂移行

懸垂振り

さか上がり

前回りおり

腕立て前(後)転

(2) 跳躍運動 腕立てとび上がりおり

腕立てとび越し(開,閉脚)

腕立て横とび越し(正面,あおむけ)

なわとび(短なわ,長なわ)

(3) 転回運動 横転,前(後)転(屈膝(しつ),台上)

補助倒立前転

2種目程度の連続

(4) 平均運動 歩−前(後)進

跳−片足とび,両足とび

回転−1/2回転,1回転

支持姿勢−片足支持,腕と足との支持

上がり方−腕立て懸垂の姿勢から上がる,腕立てとび上がり

おり方−とびおり,腕支持でおりる。

2 練習計画を立て,互いに協力して安全に運動を行なう能力や態度を養う。 (1) 運動の要領を理解して,互いに批判し合って行なう。

(2) 正しい補助の方法を理解し,互いに協力し合って行なう。

(3) 適切な準備運動を行ない,安全に注意して練習する。

[取り扱い上の留意点] (1) 器械運動においては,主として鉄俸,とび箱,マット,平均台を用いる運動を取り上げたが,懸垂,跳曜,転回,平均の各運動の目的を達成するために他の適当な用具を用いた運動を行なってもよい。

(2) 懸垂,跳躍,転回,平均の各運動のうちからそれぞれ数種目を選択し,簡易な規則で競技を行なわせてもよい。

(3) 懸垂,跳躍,転回,平均の各運動のうちから2種目以上を選択する場合には,異なった種類のものを選び,同じ種類のものに片寄らないようにする。

(4) 指導にあたっては,用具の整備,点検を行なうとともに,生徒の能力および技能の発展段階などを考慮し,特に安全に注意する。

C 陸 上 競 技 1 次の運動によって,走,跳,投の技能や基礎的運動能力を高め,正規の規則に準じて,競技や審判ができるようにする。

 次の走と跳の運動のうちから,男子はそれぞれ2種目以上,女子はそれぞれ1種目以上,投の運動のうちから1種目以上を選択する。

(1) 走の運動−短距離走(男・女),リレー(男・女),中・長距離走(男子のみ),持久走(女子のみ) ア 走 法  短距離と中長距離走のスタート,疾走フォーム・中・長距離走のペース,持久走の走り方,リレーにおける引き継ぎのしかた イ 規 則  競走する場合のスタート,順位の決定,計時やリレーの引き継ぎなどについての規則 (2) 跳の運動−幅とび(男・女),高とび(男・女),三段とび(男子のみ) ア 跳躍法  踏み切り,空間のフォーム,着地のしかた イ 規 則  跳躍競技をする場合の試技,計測,順位の判定についての規則 (3) 投の運動−砲丸投げ,ソフトボール投げ ア 投てき法  持ち方,ステップまたはホップのしかた,突き出し方や投げ方 イ 規 則  投てき競技をする場合のファール,計測などの規則 2 目標を決め,練習の計画を立てて自主的に練習する能力や態度を養う。 (1) 自己の到達目標を決め,目標に向かって最善を尽くす。

(2) 準備,審判のための役割を決め,責任をもってそれをなしとげる。

(3) 互いに協力し合って練習する。

(4) 投てきでは,特に他の人に傷害を与えないようにする。

[取り扱い上の留意点] (1) 一般的事項 ア 走,跳,投の運動を個々に取り扱うだけでなく,これらの種目を適宜組み合わせた混成競技の形式でも競技を行なわせるようにする。

イ 投の運動では,男子は主として砲丸投げ,女子は主としてソフトボール投げを取り扱うようにする。

ウ 投てき種目を指導する場合には,特に安全に関する練習上の約束を決め,それを厳守させる。

(2) 女子の持久走は,競走的な取り扱いを避け,体力に応じた指導の方法をくふうし,漸次持久力を高めるようにする。

(3) 視力および視機能の障害に応じて助走の指導を行なうこともできる。

D 格 技(男子のみ)  すもう,柔道のうちから1種目以上を選択する。

1 次の運動の技能や規則を習得し,正規の規則に準じた試合ができるようにする。

(すもう)

(1) 構え,四股(こ),伸脚,仕切り(立ち合い),攻め,防ぎ,四つ身,運び足,調体,受け身などの基本動作

(2) 前さばきの技能(あてがい,しぼり込み,巻きあげ,はねあげ,巻き返しなど。)

(3) 押し,寄りの技能

(4) 投げの技能(すくい投げ,巻き落とし,うわ手投げ,出し投げなど。)

(5) 試合およびそれに必要な規則

(柔 道) (1) 受け身,くずしと体をはきなどの技能

(2) 投げわざ

ア 背負い投げ,体落とし

イ 浮き腰,大腰,つり込み腰,払い腰,はね腰

ウ ひざ車,ささえつり込み足,大内刈り,大外刈り,小内刈り,出足払い,送り足払い

(3) 固めわざ ア けさ固め,肩固め

イ 横四方固め,かみ四方固め

(4) 試合およびそれに必要な規則
2 相手を尊重し,互いに協力して練習や試合をする能力や態度を養う。 (1) 計画を立て,協力して練習をする。

(2) 礼儀正しく,常に自己の最善を尽くして練習や試合をする。

(3) 服装や練習場所を清潔にし,安全に留意して行なう。

[取り扱い上の留意点] (1) すもうでは,次の点に留意する。 ア 基本動作は準備運動としても活用する。

イ 押し,寄りの技能は個々に取り扱うだけでなく,これらの技能を適宜組み合わせて練習させる。

ウ 投げの技能は安全なものを選び,押し,寄りの変化として指導する。

エ 練習や試合において,手刀,けん突き,向こうげり,頭髪をつかむ,頭突き,のどわ,指取り,張り手,さばおりなどの禁じわざを用いないようにさせる。

オ 中学部ですもうを履修しなかった生徒には,基本動作,前さばき,押し,寄りの技能などをじゅうぶん身につけさせてから,投げの技能を指導するようにする。

(2) 柔道では,次の点に留意する。 ア 投げわざ,固めわざでは,できるだけ類似したわざを関連させて指導する。

イ 投げわざの指導にあたっては,既習のわざを利用した連絡わざも取り扱うようにする。

ウ しめわざと関節わざについては,技能の上達した者についてのみ指導するようにする。

エ 中学部で柔道を履修しなかった生徒には,受け身およびくずしと体さばきなどの技能をじゅうぶんに身につけさせてから,投げわざや固めわざを指導するようにする。

E 球 技(盲生徒向き)  男女別の運動種目とその選択は,次のとおりとする。

男 子

バスケットボール

ハンドボール

バレーボール

卓 球

サッカー

ベースボール

以上の運動種目から3種目以上

女 子 バスケットボール

ハンドボール

バレーボール

卓 球

ベースボール

以上の運動種目から2種目以上

1 次の運動の技能や規則を習得して,ゲームができるようにする。

(バスケットボール)

(1) 個人技能  パス,ドリブル,ショット,ガーディング (2) 集団技能  攻撃と防御 (3) ゲーム  作戦および規則 (ハンドボール) (1) 個人技能  パス,ドリブル,シューティング,ガーディング (2) 集団技能  攻撃と防御 (3) ゲーム  作戦および規則 (バレーボール) (1) 個人技能  パス,タッチ,キル,サーブ,レシーブ (2) 集団技能  攻撃と防御 (3) ゲーム  作戦および規則 (卓 球) (1) 個人技能  ストローク,サービス,レシーブ (2) ゲーム ア ゲーム

イ 作戦および規則

(ベースボール) (1) 個人技能  投球,補球,投手の投球,打撃 (2) 集団技能  攻撃と防御 (3) ゲーム  作戦および規則 (サッカー) (1) 個人技能  キック,ドリブル,シューティング (2) 集団技能  攻撃と防御 (3) ゲーム  作戦および規則 2 計画を立て,互いに協力して,練習やゲームを公正に行なう能力や態度を養う。 (1) グループやチームの計画を立て,目標をもって練習やゲームを行ない,自己の責任を果たす。

(2) はげしく競う場合でも平静さを失わず,相手の立場を尊重して公正にプレーする。

(3) 審判の判定にすなおに従う。

(4) 急激なプレーに適応できるように準備運動をじゅうぶんに行ない,規則を守り,安全に運動を行なう。

[取り扱い上の留意点] (1) 一般的事項 ア 各競技の人数については,生徒の実態や学習環境などを考慮し,たとえば,ハンドボール7人制,バレーボール6人制,サッカー6人制などとして指導する。

イ 球技の指導にあたっては傷害防止の立場からも特に留意する。

F 水 泳 1 次の運動によって,泳ぎや飛び込みの能力を高め,救助法を理解し,水中で安全に対処できるようにする。 (1) 泳 法 ア 各種の泳法  クロール,平泳,背泳,横泳,立泳,潜水 イ 競 泳  スタート,ターン,リレーの引き継ぎ,泳ぎ方の規則 (2) 飛 込  立ち飛込,さか飛込 (3) 救助法  自分がけいれんを起こした場合の処置や救助法についての理解

 人工呼吸法

2 互いに協力して,能力に応じた計画をもって自主的に練習する。 (1) 個人の泳ぎや飛込を批判するとともに安全に練習する。

(2) 予定した距離は泳ぎきるように努力する。

(3) 競泳を計画し,各自の役割を果たす。

(4) 水泳の一般心得や水泳場の遵守事項を守って安全に泳ぐ。

(5) 水の汚染を防止するように協力する。

(6) 自己の泳力を過信して無理な泳ぎをしない。

(7) からだの調子が悪くなったときは,指導者に告げてから休む。

[取り扱い上の留意点] (1) 水泳の心得をよく理解させ,それを励行させる。

(2) 足の動作その他の基本動作の練習は,授業の初めや終わりなどに適宜行なわせる。

(3) 初心者に対しては,別に計画を立てて指導する。

(4) 近くの海などを使用して泳法を実施する場合は,競泳的な種目にかえて遠泳に適する泳法を選び,その泳法に習熟させ,長く泳ぐような練習計画を立ててもよい。

(5) クロール,平泳,横泳のうち,いずれか一つに習熟させることが望ましい。

G ダンス  男子にあっては,フォークダンスのみとする。

1 次のダンスの技能を習得し,フォークダンスを楽しく踊れたり,美しい作品がつくれるようにする。

(フォークダンス)

(1) 各国の異なった型のフォークダンス(民踊)を選び,風土的(民俗的)特性を知って,それにふさわしく踊る。

(2) それぞれの民踊に応じ,ステップや動作を相手に合わせてリズミカルにできるようにする。

[舞踏創作] (1) 自然,生活事象,芸術および思想感情から題材を選び,変化と統一のある美しい作品にまとめる。 題 材 例 流れ,四季,動きのデザイン

労働のリズム,音楽によせて,人間の感情

(2) 個人や集団(2〜8人)で歩走,屈伸,回旋,回転,振動,平均,倒,波動などのリズミカルな動きや場所の使い方をくふうし,対比,均衡などの美的原理を活用した表わし方をする。
2 グループごとに計画を立て,互いに協力して,練習や発表をする能力や態度を養う。 (1) 礼儀正しく,親しみをもって行なう。

(2) 役割や配役を分担し,責任をもって果たす。

(3) 題材および内容や表わし方についてグループで決定し,協力して一つのものを完成する。

(4) 創作の手順を理解し,グループ内または他のグループと協力して練習する。

(5) 目標を知り,計画をもって学習を進め,また発表会を計画して,じょうずに運営する。

(6) 互いに作品を批判し合って美意識を高める。

[取り扱い上の留意点] (1) 男子のフォークダンスは,上学年に配当して指導することが望ましい。

(2) フォークダンスは,現在および将来のレクリエーションとして,生活に活用されるように内容や指導の方法をくふうする。

(3) フォータダンスは,できるだけ男女いっしょに学習させるようにする。

(4) フォークダンスと舞踊創作の指導時数の割合は,各学校の実情に応じて適宜配分する。

(5) 舞踊創作は,美的原理の理解に基づいてよい作品ができるようにする。また,広く社会の舞踊に対しても理解を深めるように指導する。

H 体育理論 1 発達と運動 (1) 高等部期の発達や生活の特性と運動  高等部期における男女の身体の形態,機能,運動能力の発達の特徴とそれらに関連する精神的特性および生活時間や生活環境の特性と運動との関係を取り扱う。 (2) 運動の類型と特性  体育・レクリエーションとして行なわれている運動の類型や構造および発達や生活における運動の意義を取り扱う。

 なお,登山,キャンプ,スキーなどの野外活動に関しては,特に安全のために必要な自然に対する知識,計画の立て方なども取り扱う。

2 運動の練習 (1) 運動練習の基礎 ア 運動の生理  運動の練習と筋肉,神経,呼吸,循環,内分泌などとの関係および疲労や栄養との関係についても取り扱う。 イ 運動の力学  運動技能に関連した力,速度,重力などの原理を取り扱う。 ウ 運動の心理  運動技能の上達と運動の欲求,練習過程における進歩や停滞,競争の場における精神的緊張およびリ一ダーシップやチームワークなどを取り扱う。 (2) 運動の練習方法 ア 体力を高めるための練習法  運動技能の上達と身体の柔軟性,敏しょう性,筋力,持久性などとの関係およびこれらを高めるための各種の練習法を取り扱う。 イ 運動技能の練習法  運動技能の特性に応じた練習の方法を取り扱い,また,練習の配分,練習量および練習の順序など練習計画についても取り扱う。 (3) 運動の練習と健康,安全  運動の練習と傷害予防,疾病などとの関係を取り扱う。また,身体虚弱者や肢体不自由者と運動との関係についても取り扱う。 (4) 練習効果の測定  呼吸,循環機能の簡易な検査法や柔軟性,敏しょう性,筋力などの測定方法,運動技能の測定方法およびこれらの結果の評価法などを取り扱う。 3 社会生活と体育 (1) 現代生活と体育  都市の発達,職業の分化,交通通信の発達および自由時間の増加などによる社会生活の変遷と体育,レクリエーションの関係を概観する。 (2) 職業生活と体育  職業生活の特性と運動との関係および職場における体育・レクリエーションの現状や問題などを取り扱う。 (3) 地域社会の生活と体育  現代における家庭生活や地域社会の生活の特性と運動との関係および地域社会における体育・レクリエーションの現状や問題などを取り扱う。 (4) わが国の体育  わが国における体育・レクリエーションに関する制度,施設などの現状や問題を取り扱い,社会における体育・レクリエーションの意義について考えさせる。
 3 指導計画作成および指導上の留意事項 (1) 各領域の内容については,示された事項に基づき,地域や学校および生徒の実態などを考慮して選択するとともに,これに示していない運動種目(たとえばスキー,スケートなど)を加えて指導してもよい。この場合においても,示された目標や内容の趣旨を逸脱しないようにする。

(2) 各領域の運動種目の選択にあたっては,学年の発達段階を考え,低学年では身体の発達を促進させるような種目,高学年では将来の生活に取り入れやすい種目に重点をおくようにする。

(3) 適当な水泳場がなく,水泳を実施することができない場合には,これを欠くことができる。

(4) 指導計画の作成や指導にあたっては,それぞれの運動の特性,生徒の健康状態,体力,視力およびその他の視機能の障害の状態,運動の経験,男女の特性を考慮するとともに,施設,用具なども考慮する。また特別教育活動や学校行事等と関連させて自発的,積極的な学習が行なわれるようにすることが望ましい。

(5) 身体機能や基礎的運動能力などの測定を行ない,生徒に自己の体力の現状をはあくさせるとともに,これらを指導のための資料として活用し,学習効果を高めるようにする。

(6) 各運動の指導にあたっては,指導のねらいや運動の特性に応じ,単に運動技能の指導のみに陥ることなく,必要な内容が片寄りなく学習されるように考慮する。

(7) 専門教育を主とする学科については,生徒の日常生活や学習環境などをじゅうぶん考慮し,運動の片寄りを防ぎ,職業による固癖を予防するなど,生活との調和を考えて,計画し指導する。

(8) 体育理論の指導は,体育の全体計画の中に位置づけ,できるだけ各運動の指導と関連を図るとともに,保健や他教科との図連を図り,それらの学習成果を有効に利用して指導する。

(9) 各運動の指導にあたっては,病弱者,身体虚弱者および肢体不自由者などに対しては,学校医と連絡をとり,その程度に応じて適切な指導をする。

(10) 姿勢や歩行に関する指導は,中学部の基礎の上に立ち基本的事項を体育の分野で行なうほか,保健の分野や他の教科,特別教育活動および学校行事等の指導とも関連を図って行なう。特に歩行指導については各生徒が安全歩行,ひとり歩きの自信と能力を高めるよう配慮する。なお,歩行に関する指導計画を立てる際は各生徒の視力およびその他の視機能の障害の状態や個人差などに即応するよう留意する。

(11) 集団行動については,各運動の指導と関連させ,その必要性を理解させて適切に指導する。

第2 保   健

 1 目   標

(1) 健康な身体・精神と健康障害の基礎的な事項について科学的な理解を深め,これに基づいて,みずから進んで健康の保持増進に関する問題を解決する能力と態度を養う。

(2) 労働について保健の立場から理解させ,これに基づいて健康生活を計画し実践する能力と態度を養う。

(3) 公衆衛生について系統的に理解させ,集団の健康を増進し,国民保健の発展に寄与する態度と能力を養う。

 2 内   容  以下に示す「保健」の内容は,2単位を標準とし,第2学年および第3学年において履修させることを前提として作成したものである。

(1) 人体の生理

ア 恒常性とその維持 (ア) 恒常性の内容

(イ) 恒常性の維持

(ウ) 神経調節,化学調節

(エ) 拮(きつ)抗作用

イ 適応作用 (ア) 適応作用の内容

(イ) 馴(じゅん)化

(ウ) 限度と至適条件

ウ 余裕と物質貯蔵 (ア) 余裕と器官の機能

(イ) 貯蔵物質と貯蔵器官

エ 年齢等による身体の変化 (ア) 成 熟

(イ) 老 化

オ 全体性とその維持 (ア) 全体性の内容

(イ) 全体性の維持と生活

(ウ) 生活の構造と調和統一

(2) 人体の病理 ア 疾病の原因 (ア) 主因と誘因

(イ) 内因と外因

イ 疾病による身体の変化 (ア) 病 変

(イ) 症 状

ウ 疾病の転帰・治療 (ア) 治 癒(ゆ)

(イ) 治 療

(ウ) 後遺症

(エ) 死

(3) 精神衛生 ア 精神の発達 (ア) 生活時間と生活空間の拡大

(イ) 対人関係の複雑化

(ウ) 自我の確立

イ 精神と身体の関連 (ア) 脳の構造と機能

(イ) 行動の生理学的基礎

(ウ) 青年期における身体と精神との関連

ウ 欲求と行動 (ア) 欲求の種類

(イ) 適応の機制

(ウ) 不安と葛藤(かっとう)

(エ) 欲求の充足と不満

エ 個人差と適応 (ア) 知能と性格の個人差

(イ) 適応の個人差

(ウ) 個人差の判定

(エ) 家族関係と社会的適応

オ 適応異常と精神障害 (ア) 適応異常

(イ) 神経症・精神病・精神薄弱

(4) 労働と健康・安全 ア 労働生理 (ア) 日本人の基礎代謝

(イ) エネルギー代謝

(ウ) 疲労と作業の合理化

(エ) 労働適性

イ 労働疾病 (ア) 疾病と労働力損失

(イ) 職業病

ウ 労働衛生 (ア) 作業環境条件と健康

(イ) 婦人と労働

(ウ) 農業と労働

エ 労働災害 (ア) 作業諸条件と災害

(イ) 災害による損失

(ウ) 機能欠損とその後措置

(エ) 災害防止

オ 労働者の生活と健康 (ア) 労働寿命

(イ) 作業条件と休養・睡眠

(ウ) 作業条件・作業環境と栄養

(エ) 家事労働の合理化

(5) 公衆衛生 ア 公衆衛生の基礎的活動 (ア) 衛生統計

(イ) 保健管理

イ 公衆衛生の内容と機構 (ア) 疾病予防・医療・社会復帰

(イ) 母子衛生・家族計画・国民優生

(ウ) 栄養改善

(エ) 環境改善

(オ) 公衆衛生と社会保障・社会福祉

ウ 公衆衛生と健康の本質 (ア) 健康観の変遷と公衆衛生道徳

(イ) 公衆衛生の発展

 3 指導計画および指導上の留意事項 (1) 理科「生物」,社会「倫理・社会」,家庭「家庭一般」などの関連をじゅうぶん考慮する。

(2) 特別教育活動,学校行事等との関連を密にし,自発的,積極的な学習が行なわれるようにする。

(3) 学校における保健管理との関連を考慮して,これを学習に取り入れるとともに学習の効果のあがるようにする。

(4) 家庭や地域社会における保健問題の解決に資するようにする。

(5) 人体の生理,精神衛生,公衆衛生などの学習においては,性教育を考慮し,成熟と男女の性別,月経・妊娠出産の生理,結婚と健康などについて指導する。この学習にあたっては,性の純潔に関する道徳を高めることをねらいとして,男女の性別を考慮して指導する。

(6) 人体の病理,労働と健康・安全,公衆衛生などの学習においては,中毒とその予防の指導を考慮する。

(7) 精神衛生については,主として精神的健康の立場から取り扱うようにする。

(8) 労働と健康・安全,公衆衛生などの学習においては,法令の指導におわらぬよう考慮する。

(9) 労働と健康・安全の学習においては,生徒の日常の生活経験をもとにして,学習の効果のあがるようにする。

(10) 学習指導に際しては,実習・調査・見学などを活用し,学習の効果のあがるようにする。