第4章 教育課程の編成

 

1.教育課程編成の方針

 工業に関する課程の教育課程は,「高等学校学習指導要領一般編」に述べられているように,いかなる課程においても,国語科のうち「国語甲」,社会科のうち「社会」を含む3科目,理科のうち2科目,数学科のうち「数学T」,保健体育科の「体育」・「保健」,工業に関する科目のなかから30単位以上および特別教育活動を少なくとも履修させるように編成しなければならない。しかしながら,各教科目にはそれぞれ単位数の幅があるので,具体的にどの教科目を何単位とするか,あるいは工業に関する科目とそれ以外の科目との割合をどのくらいにするかは,各学校のそれぞれの課程の具体的な目標に照して,その目標を達成するのに妥当な程度に定められるべきものである。

 なお,教育課程の編成にあたっては,次の点を考慮する必要がある。

(1) 第1章に述べたように,工業教育および工業に関するそれぞれの課程の目標は,一つに定まったものはなく,各学校ごとに具体的に定められるべきものである。したがって各学校においては,日本工業の現状や将来,その課程の直接につらなる工業界の動向を広く見通し,その学校のおかれている環境や実情などをじゅうぶん考慮して,これらさまざまの要求を満たすよう適切な教育課程を編成することがたいせつである。

(2) 普通教科目は,その課程の目標とする工業人育成の一般教養の面だけを受けもつものではなく,また工業に関する科目は単に専門教養の面だけを受けもつものではない。両者がその目標の達成のために有機的に運営されることが必要である。特に数学や理科などは,工業に関する科目と密接な関連をもつので,必要に応じて相互の内容上の重複や欠陥を整理して,それぞれの内容を修正したり,必要な事項を補ったり,その課程に特に必要とされているところを強調して取り扱うなど,工業に関する課程の多様性に応じて変化させることが適当である。したがって教育課程を編成するにあたっては,以上のことをじゅうぶん考慮することがたいせつである。

 

2.教育課程編成上の留意事項  工業に関する課程の編成のためには,前に述べたように,まず目標を決定し,次にその目標を達成するために,それぞれの科目とその内容とを選定し,学年別の履修配当を定める。さらにこれに基いた学習指導計画をたてることが必要である。

(1) 目標の決定について

 各学校において,それぞれの課程の目標を定める際には,関連する産業を広く見通した上でその学校のおかれている地域の実情,社会の要求,生徒の必要,学校の実情などをじゅうぶん考慮するとともに,工業界の進歩発展に取り残されたり,現実の産業の要求にかけはなれたりしないような配慮も必要である。

 このようにして定められた具体的な目標は,次のようなものでなければならない。

a.その課程が目ざしている方向と,終局の目的とを示すものであること。

b.終局の目的が達せられる時期を決定するのに役だつものであること。

c.学習内容を選定する手びきとして役だつものであること。

d.指導の方法を選定するのに役だつものであること。

e.学習結果の評価の指針として役だつものであること。

(2) 学習内容の決定について  上記のようにして各学校のそれぞれの課程の目標が決定したならば,この目標を具体的に分析することによって,選定される科目とその内容とが決定されることになる。第3章には各課程のそれぞれの科目の目標とその内容が示されているが,これらは全国的な幅を考慮しているので固定的なものではないから,これらについては各学校の各課程において適切に選定することが必要である。

 学習内容を選定する場合の指針をあげてみると,次のようである。

a.学習の時間を考慮する。

b.生徒の必要と学習価値を考える。

c.利用できる施設や設備を考える。

d.実際に使われるひん度数も考慮する。

e.就職後比較的早期に用いられる可能性を考慮する。

f.学習の難易を考える。

g.標準的な職業上の実際を考える。

h.必要欠くことのできない基本的なものを考慮する。

i.他教科との関連を考える。

(3) 学習指導計画  学習指導計画の作成の手続については,指導書や手びき書で述べることとする。
   
高等学校 学習指導要領 工業科編
                          MEJ 2552
昭和31年30日 印 刷 

昭和31年日 発 行 

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