2.工  芸
家屋文鏡(かおくもんきょう) 直径23.4cm

鋳 銅 製

古   代

諸 陵 寮

古墳時代の日本鏡は中国漢代の形式を模したものが多いが,これは日本独特の模様であり,当時の建築様式を知る重要な資料である。
銅   鐸(どうたく) 高  42cm

鋳 銅 製

古   代

鳴物の形態をした古代日本の祭器である。日本人が金属の使用を覚えて最初に作ったもので外国に類例を見ない。家屋・動物・脱穀・狩猟など当時の日常生活に関係あるものを線でそぼくな模様にまとめている。
灌 頂 幡(かんちょうばん) 長  515cm

銅板,透彫,鍍金

飛鳥(あすか)時代

御    物

銅板を透し彫にして模様を出し鍍(と)金したものである。寺院の屋内における飾の一種で,飛天や唐草模様には中国の影響が見られ,ことに唐草文は古代ギリシアの植物文との関連を示す。上代日本の透彫技術を示す最高の資料である。
几 帳 金 具(きちょうかなぐ) 大 17cm

小 約6cm

銅板,透し彫,鍍金

飛鳥時代

御  物

ギリシア植物文の影響のある六朝風な唐草を銅板に透し彫にし,鍍金したものである。大きさおよび模様の形式はいろいろある。二枚を一組としその間にきれをはさみ,カーテンまたは幡のような繊維品の垂飾とした。上代植物文の好資料である。
薫   爐(くんろ) 径18.8cm

銀製,球形

奈良時代

正 倉 院

球形は中央から二つに割れ,内部に羅針盤(らしんばん)のような廻転自在の炉が装置されている。衣服に香をたきしめる器具である。植物唐草に獅子鳳凰(ししほうおう)を配した模様を全面に透し彫した豪華な構成はよく当期の気風を表わしている。
塔 水 煙(とうすいえん) 高193.2cm

鋳 銅 製

奈良時代

薬 師 寺

薬師寺三重塔(東塔)の巨根の頂に立つ九輪の上部に付属している。雲上の飛天を浮彫風に透した同形の四枚の部分から成っている。飛天の衣が炎のように天に向かってゆらめくこの様式は他に類例を見ない。奈良時代初期を代表する建築金具である。
八 角 燈 籠(はっかくとうろう) 高約460cm

鋳 銅 製

奈良時代

東 大 寺

大きさと精巧な製作において金属製燈籠中第一位である。大部分は大仏建立当時のものであるが,一部後代の補修がある。火袋のとびらに菩薩(ぼさつ)や獅子を鋳透し,火袋受の台縁に精巧な唐草の彫りを施している。柱の燃燈巧徳の刻文は後補との説もある。奈良朝盛期の豊麗さがよく表わされている。
和   鏡(わきょう) 径9.2cm

径8.8cm

鋳白銅製

平安時代

多度神社

日本風な模様が発達してくるのは平安中期以降で.鏡の模様には特に藤原的な優美さを現わしたものが多い。鏡は貴族たちが日常使用するほかに,社寺への奉納品ともなり,また特別な地域に埋納されることもあった。この二面は発掘品である。
仏具(ぶつぐ)(三鈷(さんこ)・独鈷(どっこ)) 長さ約24cm

   25cm

鋳銅鍍金製

平安時代

金剛峯寺

寺伝では弘法大師が唐から持ち帰ったという。このような仏具は武器の形体から発展したもので,中国で完成し密教の伝来とともに日本に伝わった。初期のものは鋭く,平安中期には優美な形へ移っていった。密教仏具にはこの他数十種のものがある。
須弥壇飾金具(しゅみだんかざりかなぐ) 鍍金銅板

平安時代

中 尊 寺

奥州藤原氏三代の遺骸を安置する壇はそれぞれ孔雀(くじゃく)模様を打ち出した鍍金銅板で飾られている。孔雀姿態の変化の妙,彫金技術の優はよく当代工芸技術の高さを物語っている。仏寺用室内装飾金具の好資料である。
赤糸威大鎧(あかいとおどしおおよろい) 鍍金透彫その他

鎌倉時代

春日神社

鍍金透し彫の竹雀文を豊富に張り,そでには虎の金物を置き,威(おど)しの赤色と金具の金色との対比で華美な武士好みの調子を出している。兜(かぶと)も同様の意匠で,装飾的武具の好資料である。
舎 利 塔(しゃりとう) 高 37cm

銅製鍍金透彫

鎌倉時代

西 大 寺

銅製鍍金で,透し彫の精巧さを見る代表作で,燈籠形塔の内部に銅製舎利瓶(びん)が置いてある。下方香狭間の獅子牡丹の高肉彫刻は室町以降の刀剣装具の先駆をなしている。小形舎利塔を寺に安置供養するのは鎌倉以降の一流行である。
茶   釜(ちゃがま) 高 約19cm

鋳 鉄 製

室町時代

東京国立博物館

五匹の馬模様を全面に浮き出す。環付鬼面および釜の形ともに力強く,初期茶釜の代表的作品である。有名な釜の産地として室町期には九州芦屋(あしや)と関東天明とがあり,これは芦屋の特色をよく出している。
刀剣小道具(とうけんこどうぐ) 宗  a(そうみん)

江戸時代

江戸時代は武士が刀剣装具に意をこらした時代である。室町以降後藤家が彫金の家として有名であるが,江戸期には諸流派が生れ横谷宗aはことに有名である。かれは牡丹と獅子の彫刻を得意とした。小柄笄縁頭目貫のこの一組は金獅子と銀牡丹を赤銅魚子地に配したものである。
月雁図額(つきかりずがく) 加 納 夏 雄(かのうなつお)

38.5×50cm

明  治

東京国立博物館

鉄地に雁を片切彫し,要所に金や赤銅を象嵌(ぞうがん)し,銀の月をはめ込んである。円山派の図柄を彫金に応用したもの。夏雄は江戸末期から明治にかけて活躍した近代随一の金工家で,これはかれの最晩年の作である。
獅子図額(ししずがく) 大島如雲(にょうん)

径約42.1cm

鋳 銅 製

明   治

東京芸術大学

如雲は蝋型鋳物の大家である。雨にぬれて毛の垂れている様を精巧に表現したその技巧がこの作品の見所である。金属製飾額は明治期の一流行工芸品目である。
梅花図印箱(ばいかづいんばこ) 清 水 亀 蔵(かめぞう)

高 13.7cm

黒柿,鍍金銅板

昭  和

東京国立博物館

黒柿(かき)で箱を組み,その上を梅花模様を透し彫した鍍金銅板で飾ってある。日本中世の武具の装飾や近代日本画等の影響がこの意匠に認められる。亀蔵は明治後期から昭和にかけ活躍した彫金家で,片切彫が得意であった。

 

玉 虫 厨 子(ずし) 高233cm

飛鳥時代

法 隆 寺

中国の宮殿形を模した厨子。檜(ひのき)の上を漆塗し,釈迦の伝記等を漆絵で描く。縁の部は六朝風な唐草を透した鍍金銅板でおおい,その下に玉虫の羽を伏せている。中国漢代の漆芸の伝統を受けた作品で,色漆を用いた日本の工芸品中最古のものである。
金銀平脱文琴(へいだつもんきん) 長 114cm

奈良時代

正 倉 院

金銀の薄い板を模様に切り抜き,漆面に埋め込んで模様を出す平脱技術の好資料である。この技術は唐代に発達したが,その源流は漢までさかのぼる。模様図柄は中国の文人陰土の生活を描いている。乙亥之(いつがいの)年季春造の銘がある。
木 画 棊 局(もくがききょく) 一辺約49cm

奈良時代

正 倉 院

色の異った木や象牙(げ)をはめ込んで模様を出したもの。駱駝(らくだ)など西域風なものを模様に取り入れている。両側に引出しがあり,亀形をした棊石の器となる。装飾的技巧的工芸を好んだ当代の風潮をよく表わす。
螺鈿蒔絵小唐櫃(らでんまきえこからびつ) 29×40.5×40cm

平安時代

金 剛 峰 寺

蒔絵は平安時代から非常に流行した。それに前代から発達した螺鈿(らでん)の技を取り入れ優雅な中にはなやかさのある漆工芸が平安朝の特色である。水の流れ,千鳥の配置にもすぐれた図案力があふれている。洗練された貴族工芸の美といえる。
螺鈿蒔絵硯箱(すずりばこ) 24×26cm

鎌倉時代

鶴 岡 八 幡 宮

沃懸(いかけ)地の深い金色と菊や小鳥の貝色との対比ではなやかな美しさを出している。藤原的貴族工芸の一発展として,鎌倉期のこの種の工芸品が考えられる。蓋(ふた)裏も同系統の模様があり,水滴も菊を図案化したものである。
鎌倉彫香合(こうごう) 径23.5cm

鎌倉時代

南 禅 寺

牡丹模様を木に浮彫して漆をかけたものである。漆を塗り重ねて作った厚い層に彫りをする堆朱(ついしゅ)の技術を簡略化したもの。鎌倉期に禅宗寺院で使用され始めたらしい。牡丹模様は宋代の影響で当期に流行するようになった。
塩山蒔絵硯箱 22.7×26.6cm

室町時代

古今集の「塩の山……」の歌を模様にしたものである。当代蒔絵中随一の精巧。漢画的表現と大和絵(やまとえ)的表現とが合流し律動的図様を作り出している。岩を盛り上げて高蒔絵にし,質感を強調している点も特色である。
蒔 絵 懸 盤(かけばん) 約39.5×37.5cm

桃山時代

高 台 寺

桃山期の蒔絵漆器は時代の風潮を反映して華麗豪奢(しゃ)である。ことに高台寺に伝わる秀吉一家が使用した道具類は高台寺蒔絵と称され,当期を代表するものである。懸盤とは足のある膳(ぜん)で,黄金趣味を強調した工芸品である。
日光東照宮(とうしょうぐう)

本 殿 内 陣

江戸時代

東 照 宮

彫刻塗装等あらゆる技術を手間をかけて精密にやり,装飾を施す手間そのものの中に美を見いだそうとする工芸の代表的資料である。模様の一部に,中国,明・清の影響が見られる。
八橋(やつはし)蒔絵硯箱 20×27.7cm

江戸時代

東京国立博物館

尾形光琳作と伝えている。鉛の橋,銀の杙(くい),貝の花,金蒔の杜若(かきつばた)の葉,地の黒漆が組み合って,独特な美しさを出している。材料の美を生かした工芸品で,徳川期の華美と粋との気分がよく現われている。光琳は光悦とともに近世を代表する日本的意匠家である。
烏鷺蒔絵菓子器(うろまきえかしき) 柴 田 是 真(しばたぜしん)

13×18.5cm×12.5cm

明  治

東京国立博物館

是真は幕末から明治にかけての蒔絵家である。烏鷺の白黒を対照的に扱ったざん新な構成で,鳥の姿態の様々を描いた描写力も高い。明治以降の漆工芸はかれの影響を多分に受けている。
漆 軸 盆(うるしじくぼん) 六 角 紫 水(ろくかくしすい)

長39.4cm

昭  和

紫水は明治から昭和にかけての漆工家である。楽浪漆器を研究し,その技法を現代漆技に取り入れた。この軸盆の刀筆による彫模様もその一例である。晩年はアルマイト素地の彫漆等の研究を行った。
現代木材家具 現  代 生活様式の変化につれ,また機械工作機の進歩により,現代は新しい様式の家具が新しい技術によって生産されている。これらは主として実用的な面に向けられるが,他方旧来の技術による古風な家具類も趣味的家具として現存している。

 

縄 文 土 器(じょうもんどき) 高 22.4cm

古  代

縄文土器は日本最古の焼物である。いろいろな形体のものがあり,装飾の種類も豊富で,彫刻的装飾に特色がある。焼成火度は低く手づくりや輪積等により成形している。
弥生式(やよいしき)土器 古  代

東京国立博物館

縄文式とは系統を異にする土器で,西日本に起源し,しだいに東に移って縄文式と交流した器も作られている。器形はだいたい単純で,装飾模様も櫛(くし)目等比較的簡単なものが多い。焼成火度は低いが轆轤(ろくろ)を使用して成形したものもある。
須 恵 器(すえのうつわ) 古  代

東京国立博物館

祝部(いわいべ)ともいう。焼成火度がやや高く自然釉のかかるものもある。ろくろ使用の成形になれている。朝鮮から同類の焼物が発堀されているから,半島文化の影響下に発達した新技術と考えられる。器形の変化が多く,装飾的なのもまた多い。
磁  鉢(じばち) 口径 22cm

奈良時代

正 倉 院

奈良時代になり人工的な釉薬(ゆうやく)をかけた焼物が作られるようになった。これは中国唐代の窯(よう)業の影響で,正倉院にはこのほかに皿・鼓胴・塔等の焼物があり,いずれも唐三彩風のものである。
緑瑠璃(りょくるり)十二曲長杯(きょくちょうはい) 奈良時代

正 倉 院

正倉院には数点のガラス器がある。上古以来日本でもガラス玉等は作られていたが,容器類は輸入品であり,奈良朝のものも輸入品であろう。カットで模様を出したこの杯形は唐代の一流行形であった。
楽 茶 碗(らくちゃわん) 長  次  郎

口径12.12cm

桃山峙代

楽焼の茶わんは桃山期の茶道の興隆につれて起った焼物で,不整形な雅味やわびがその美点である。長次郎を祖とし,その子孫は現代まで楽焼を業とし,多くの名工を出した。
茶   壺(ちゃつぼ) 仁   清(じんせい)

高 32cm

江戸時代

長 尾 美 術 館

仁清は江戸時代前期の京都の陶工で,京都の陶磁(じ)器が江戸期に興隆する原動力となった。絵付成形ともに妙手である。この藤画茶壺と同形の梅画の壺が東京国立博物館にある。日本風模様絵付の祖である。
鳳凰桐文徳利(ほうおうきりもんとくり) 柿 右 衛 門(かきうえもん)

高 32.5cm

江戸時代

柿右衛門は中国陶磁に匹敵する上絵付を日本で完成した人である。上絵赤色に特色がある。子孫も同名を名のり同系統の物を焼いた。この技術が藩窯となって発展したのが鍋島焼である。
大 平 鉢(おおひらばち) 古 久 谷(こくたに)焼

径42.5cm

江戸時代

九谷焼は伊万里焼の技術の影響で加賀に起った窯芸である。時勢につれたびだび廃窯した。最古のものを古九谷という。上絵の力が強く色彩の美しいのが特長である。
蟹 水 盤(かにすいばん) 宮 川 香 山(こうざん)

高 30.3cm

明  治

東京国立博物館

外国博覧会への出品や西洋陶磁技術の導入等により,明治の窯業は新しい発展を見た。竹本隼太・井上良齊・加藤友太郎・宮川香山らは新傾向の作風を代表する陶工である。
七 宝 花 瓶(しっぽうかびん) 並 河 靖 之(なみんかわやすゆき)

高 18.6cm

明  治

東京国立博物館

江戸時代微々たるものであった七宝工芸は,明治に入り急速の発達を遂げ,外国に対する日本工芸の花形となった。京都の並河,東京の濤川惣助,中京の安東重兵衛はことに有名である。日本画の絵風を七宝で表現するのを特色とした。
現代ガラス器 昭  和 ガラス器は近代的感覚が盛られやすいので,現代生活の各面で用いられている。これ等に装飾を施す技術は機械の応用の研究にともなって発達してきたが,他方手仕事の美を強調する器物も作られている。ガラスその物の素材的進歩も現代の特色。

 

天寿国繍帳(てんじゅこくしゅくちょう) 現存残欠

約 90×82cm

飛鳥時代

中 宮 寺

聖徳太子の死後,妃が太子の死後の生活を想像して作らせたもので,当時は約485cm平方くらいの大さであった。現存する日本最古の刺繍で,この時代は細かい図柄を正確に織物の上に表現するには剌しゅうによるほかしかたがなかった。
獅子狩文錦(ししかりもんにしき) 模様直径約44cm

飛鳥時代

法 隆 寺

異なった色糸を織って模様を出すのが錦で,仏教渡来とともに中国の錦織技術も盛んに移入された。獅子狩文はペルシァ系の模様で,飛鳥から奈良朝にかけて流行した。シンメントリー,繰返し的模様の構成である。
■纈屏風残闕(ろうけつびょうぶざんけつ) 高 163cm

奈良時代

正 倉 院

蝋防染による模様染は古くインドにあり,中国を経て日本に伝わった。奈良時代にはこのほかにしぼり染の纐(こう)纈や板じめによる夾(きょう)纈染が行われ,前代に比べて染色按術は長足の進歩を遂げた。
能 衣 裳(のういしょう) 桃山時代

諦 楽 舎

能楽が室町から桃山にかけて流行するにつれ,能衣裳もまた長足の発達を遂げた。しかし染色技術のみにより,じゅうぶんな効果をあげられないので,剌しゅうや金箔を押して模様効果をあげている。
扇面散し模様小袖(せんめんちらしもようこそで) 江戸時代

東京国立博物館

網を干している形を扇面風に扱った模様を白倫子(りんず)地に染と刺繍で表わした小袖。十七世紀後半には扇面散らし模様が流行するが,これもその一例で,元禄時代の気分がよく表われている。
友禅染振袖(ゆうぜんぞめふりそで) 部  分

江戸時代

友 禅 史 会

友禅染は江戸前期ころから発達した糊(のり)防染による染色術で,友禅齊という人の発案と伝えられるが,明らかでない。友禅染の起る前は辻が花や茶屋染があるが,精巧な模様を豊富な色で表わすことはできなかった。
紅  型(びんがた) 江戸時代

琉  球

江戸期染色の興隆は友禅染におうところが大きい。薩摩と琉球との交易により,江戸期に発達した友禅染の技法は沖縄にも影響した。内地の日本人とは色感や模様の伝統を異にするため,紅型には独特の調子がある。
現代染織品 現代染織は二つの方向がある。科学機械の進歩の応用により美しい物を安く大衆化することと,経済的面とは無関係に美しい物を作ることである。生活方式の変化に伴い染織の需要面はますます拡大する。それを科学と美術とが追いかけている。

 

古 銅 器(こどうき) 高約 73cm

殷  代

根 津 美 術 館

殷・周時代には宗教儀礼に用いる器具が青銅で精巧に作られた。これ等は饕餮(トウテツ)と称する動物文が必ず着いている。古代生活では模様は器物を飾る付加物ではなく,模様があることによりはじめて器物の意味が生れてくる。
金 錯 銅 管(きんさくどうかん) 長 25.5cm

漢  代

東京芸術大学

南ロシアからシベリアにかけての遊牧民の文化が戦国時代に中国に入り,この影響が奏漢時代の模様にも現われている。金を象嵌(がん)したこの銅管は朝鮮楽浪発掘といわれ,精巧な模様が有名,何に使用した物か明らかでない。
銀製コップ 唐  代

大阪美術館

唐代は銀器が流行し,西方諸国との交易の影響により,西洋風な模様もまた流行した。ペルシャ風な図柄のこの銀製品は唐朝貴族工芸の気風をよく表現わしている。
三 彩 皿(さんさいさら) 唐  代

東京国立博物館

低火度釉薬で模様を出した陶器が唐代に発達しだした。茶・藍(あい)・黄・緑等が用いられ,これを唐三彩という。墓に副葬するための物も盛んに作られた。唐三彩の起源を西方に考える説もある。
青 磁 花 瓶(せいじかびん) 高 30.6cm

宋  代

毘 沙 門 堂

六朝ころからの起源らしい青磁は宋代に最高の発達を遂げた。色調が上品で美しいこと,彫刻模様がのびのびと品のよいことも世界の青磁史中第一等である。この作品は砧青磁と称する明るい澄んだ色調である。
花鳥図刺繍 26×27cm

宋  代

奉天博物館

(旧  蔵)

書や絵画の美をそのまま生かした剌しゅう技術が宋代に発達した。旧満州博物館にはこの種の物を多数を蔵した。宋代の作と伝えているが,明代の製作の物が多いとの説がある。
象嵌青磁水柱(ぞうがんせいじすいちゅう) 総高 約36cm

高  麗

朝  鮮

中国の影響により高麗時代には美しい青磁器が焼成された。それらには象嵌により精巧な模様を出した物がある。李朝の染付とともに朝鮮陶磁を代表する技術である。
万暦赤絵壺(ばんれきあかえつぼ) 明  代 宋代に起った上絵付の技術は明代になって発達し,ことに釉下の青と上絵の赤緑黄等との組合せの美をねらった器物は万暦年代に最高潮に達した。この傾向の物は江戸時代わが国でもまねて製作している。
シャム漆器 部  分

シャム

ベルリン民俗博物館

シャムは漆液を生産するために漆器製作技術も古くから発達し,キンマと称する技術は江戸時代日本でもまねられた。動的な細い模様に特色がある。仏教関係の模様が盛んなことも特色。
ジャワ更紗 ジ ャ ワ インドおよびジャワは古来染色の発達した国で,奈良朝の染色技術もこれらの影響を受けているといわれる。綿布に植物染料をもって染め出した精巧な植物文や動植模様は江戸期のオランダ貿易により輸入され珍重された。

 

古代エジプトの坐家具 木  製

新王国時代

(1555〜712B.C)

エ ジ プ ト

カイロ美術館

そ の 他

古代・中世の坐家具(いす類)の構成は,主として坐者の威厳を高めることに重点がおかれていたが,エジプトのものは坐者の安楽も大いに考慮されていて,構造も合理的であり,用を重んずる近代人に教えるところが多い。
シュメール人の杯 黄 金 製

シェメール初期

王朝時代(前第三千年初期)

メソポタミア

バグダード美術館

握りよいコップ型をなし,厚くない胴を補強するためと,黄金の輝かしさをいっそう発揮させるために縦溝が打ち出されている。材料に即した意匠をもつ工芸品の最も古い例であり,近代人にもじゅうぶん共感できる典雅で鋭い感覚が盛られている。
ギリシアのつぼ 陶  製

6〜4B.C

ギ リ シ ア

ギリシア人はつぼの種類を小数に限り,その形式に極度の洗練を加えた。幾何学的な法則に合致した形体と,人物を扱った純絵画的な絵付けとに,それぞれみずからを主張させつつ,全体の調和を期した。ギリシアのつぼの美しさはこうして生れたのである。
ビザンチィンの七宝細工 9〜14世紀ころ

東 ロ ー マ 帝 国

宗教的感銘を与えるに適した造形的要素は,直接人間の情緒に訴える色彩であり線である。中世にモザイクやステインド=グラスが発達したのはこの理由による。これを小型にして,色の美しさを最高度に高めたのが七宝細工である。
ゴシックの櫃(ひつ) 木  製

13〜15世紀

フ ラ ン ス

パリ,クリュニー美術館その他

中世は建築の時代である。建物の中におかれるばかりでなく,それ自身建築的構成をもつ家具は,建築から直接装飾モティーフを得たことは自然である。ゴシック時代の櫃で,建築の狭間飾などを装飾として彫りつけた櫃ははなはだ多い。このような,建築にマッチした家具の観念は現代にまで続いている。
マヨリカ陶器 陶  製

15〜16世紀

イ タ リ ア

ルネッサンスは古代文化の遺産だけをもとにして完成されたのではなく,回教系文化の影響が大きな役割を果し,マヨリカはもともと回教系統の陶器である。その初め素朴な絵付けが施されていたが,大芸術の進歩にともない,著名な画家の意匠を取り入れるようになり,華麗豊富なものになった。
ロココ式の家具 木  製

1715〜1774

フ ラ ン ス

パリ,ルーブル美術館その他

工芸品において,用をみたすための構成とそれに施される装飾との比例が常に問題になる。これは時代の理想によって解決されるべきものである。ルイ十五世時代のいわゆるロココ式の家具は,用を妨げない範囲で最高度の装飾の施されたすぐれた家具である。
ウィリアム=モリスの作品 家具,染織品,壁紙,印刷等

19世紀後半

イ ギ リ ス

ロンドン,ヴィクトリア=アンド=アルバード美術館その他

モリスは中世の工人のまじめな作品と,それを生んだ製産組織にあこがれ,これを十九世紀の英国に再現しようとした。このむじゅんを含んだ試みは失敗に終ったが,従来手工芸的に作られていた工芸品を,機械力を利用してそのまま製作していたにすぎなかった当時の工芸への批判になった。かれの作品そのものは回顧的であったが,その仕事はある主題をもった近代工芸運動の端緒をなした。
プロィアーの鋼管のいす 20 世 紀

ア メ リ カ

近代工芸における機能重視の直接間接の原因は,機械文明の発達にある。「用即美」などともいわれて,無駄な装飾をはぶいた機能本位の工芸品は,それ自身美しいものと考えられるようになった。その最もよい例が鋼管のいす類である。
オルレフォルスのガラス器 20 世 紀

スウェーデン

ガラスは古くから知られている材料であるが,近代における科学や機械工業の発達に伴い,著しい進歩を遂げた。最近のガラス細工には,透明であること,光を屈折させること,熱した際に熔融することなどのガラスの基本的性格をよく生かして製作されたものが多い。
  その他現代の各種工芸品

 

 

  中学校

  高等学校  学習指導要領図画工作編(試案)

     昭和26年(1951)改訂版

鑑賞資料改訂    MEJ 2116

 
 
昭和28年3月15日印刷

昭和28年3月20日発行

 

   著作権所有     文  部  省

   発行者
     東京都千代田区神田淡路町2-13

                  錦織 登美夫

   印刷者     新潟県新津市本町3丁目

                  錦織 豊松

  発 行 所  東京都千代日区神田淡路町2−13

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