付録V 英語教科書の採択基準試案

 教科書は学習指導要領に基いているのであるから,学習指導要領をじゅうぶんに研究することによってのみ,採択基準をじゅぶんに理解することができる。

1.教科書の選択にあたっては教師はみずから審査員であることを自覚しなければならない。

2.教師は一般に教育の目標,特に英語の目標を心にとめておくべきである。(第1章参照)それぞれの生徒の必要・社会の必要・市民としての必要および職業的必要に特に注意すべきである。

3.教科書は教師が指導活動をするにあたっての第一の教材となるものであるから,それぞれの学校の独特の英語課程を考慮に入れ,綿密な注意をもってさまざまな要素をじゅうぶんに考慮すべきである。

4.新しい教科書検定制度においてはすべての教科書の質が必ずしも同じではない。かろうじて検定に合格したものもあり,相当よいものもあり,優秀にしてきわめて良好なものもあり,また断然優秀なものもある。検定調査員にはいずれの教科書が優秀であるかを教師に示す方法がないから,英語教師はすべての教科書を評価し,最善のものを選択することができなければならない。

 

 教科書は英語の目標と一致しなければならない。(第1章参照)

1.中学校における英語課程の目標

 

2.高等学校における英語課程の目標

  1.語学的要素

 話しことばと書きことばとの教材を難易によって配列すること。

 

2.教養的要素

 内容の選択

 内容は次のようにすべきである。

 

3.心理的要素

聞き方および話し方

 指導計画についての章(第4章および第5章),「主として口頭に関するもの」の経験参照。

読 み 方

 指導計画についての章(第4章および第5章),「主として読み方に関するもの」の経験参照。

書 き 方

 指導計画についての章(第4章および第5章),「主として書き方に関するもの」の経験参照。

 この学習指導要領に出ている学習経験は,経験の倉庫であり,教師はその中から適当に選択し,改作し,またそれに他のものを付け加えてもよいことに注意されたい。教科書に出てくる,またはその中で示唆された経験はこの方針に一致すべきである。

 

4.組  織

 

5.その他の要素

  1.教養面から見た生徒の関心  

2.内容の変化とつりあい

 教材は生徒の関心と社会の必要とに基いて選択されなければならない。その上,教材の割合はつりあいがとれていなければならない。教科書に選択された教材が,いわゆる文学面,ことに狭義に解釈される場合の文学面に限られることは必要でもないし,望ましいことでもない。歴史・地理・旅行・自然研究・趣味・科学・その他多くの方面のりっぱな作者の材料は,言語の学習指導の目的に適するかぎり,望ましいものである。

 

 「中学校(高等学校)における指導計画」という第4章および第5章の中の英語における生徒の経験,「主として口頭に関するもの」・「主として読み方に関するもの」および「主として書き方に関するもの」参照。

1.英語の性質

 望ましい文体はだいたい口語体の標準語である。

2.教材の選択

 すべての言語材料の目的がめいりょうでなければならない。材料は生徒の経験に基いていなければならない。

 和文英訳のある場合,その分量は適当な範囲に限られるべきである。

3.帰納的な学習指導に適すること

 教科書は定義を補充的なものとして,文法と作文とを帰納的に学ぶ助けとなるようにくふうされるべきである。

4.機能的な組織

   商業英語教科書においては,上に述べた要素のほかに,次の項目を注意深く考えなければならない。

 1.商業文の書き方

 2.勘定書を作成すること

 3.つづり字・句とう法および構文の型に重点をおくこと

 4.その他高等学校に適当な商業上のすべての経験

 

1.読みやすさと体裁  

2.取扱の容易さ

 

3.文字の形

 文字はじゅうぶんに丸みがあって,よどみのないものでなければならない。

 

 教師は教科書の選択にあたって,上に述べたいろいろな要素に注意しなければならないが,いかなる場合にも,主として地方の必要に応ずるようにしなければならない。  

   評  価  表
 
 
最も良い
良  い
普  通
やや悪い
悪  い
全面的基準

  A.一般目標

         
  B.おもな語学上の目標          
  C.おもな教養上の目標          
共通の要素

 1.語学的要素

  A.語いの選択

         
  B.英語の文体          
  C.文の長さ          
  D.音  声          
 2.教養的要素

  A.教育基本法

         
  B.民主的な生活様式          
  C.見解の公正          
  D.英語国民の理解          
  E.現在の必要への即応          
 3.心理的要素

  A.生徒の発達

         
  B.生徒の関心          
  C.必要最低基準

   (聞き方・話し方・読
    み方および書き方)

         
 4.組  織

  A.学習活動の展開

         
  B.分量と区分          
  C.適当な配列          
 5.その他の要素

  A.印  刷

         
  B.さし絵など          
  C.目次と注          
  D.体裁と価格          
読本に特に必要な要素

 1.教養面

         
 2.内容の変化とつりあい          
実際的使用の教科書に特に
  必要な要素

 1.英語の性質

         
 2.教材と選択          
 3.帰納的な学習指導          
 4.機能的な組織          
商業英語教科書に特に必要な
  要素

 1.教材

         
英習字帳に特に必要な要素

 1.読みやすさ

         
 2.取扱の容易さ          
 3.文字の形          
合    計
         

 合計は読本の場合と実際的使用の教科書の場合とは違うであろうが,それは問題ではない。読本の合計は,同じ種類の教科書の間でのみ比較されるものだからである。

 上にあげた要素は,それぞれ等しい重要さをもつものではないが,読本と実際的使用の教科書との関連を考慮しなければならない。