第三学年

単元 実用的な手紙の書き方

(一) 単元設定の理由 1 生徒たちは、これまで書物を父母から買って与えられることが多かったが、このころから自分で買うことが多くなり、書物について問い合わせたり、注文したりする機会が多くなる。書物ばかりでなく、学用品・運動具なども同様である。ことに、地方の学校では、このように問い合わせたり注文したりする場合が多い。三年生となり、最上級生となったため、生徒会の委員、ホームルームやクラブの役員など、責任のある位置にある者が多くなり、急にこのような実用的な手紙を書く機会が増してくる。生徒会の記録を見ても、問合せ・注文・依頼などの手紙が、たびたび発送されていることがわかる。学芸会・運動会、父母の会、映画会・見学・遠足など、行事についての案内状・通知状などいろいろの実用的な手紙も多く、学校新聞や雑誌に関係したもの―記事を書いてもらうように頼む手紙とか、新聞・雑誌代の催促の手紙―なども多い。

2 社会科、職業・家庭科などの学習に伴い、社会に関する認識が高まってくる上に、実際に社会へ出る日も近いことは、実用的な手紙への関心を深めている。

3 一般の社会生活の中で、書く生活の大部分は、手紙を書くことである。実用的な手紙はことに多い。実用的な手紙に書き慣れ、じゅうぶん用の足りる、正確な手紙を書く力を持つことは、社会生活を円満にしていく上に、たいせつなことである。また、多くの生徒は、いろいろな職業につくであろうが、それらの生徒には、よい実用的な手紙を書く能力がたいへん重要である。

4 生徒の八○パーセントは、手紙を実際に書いたことがある。それは自分で書いたものもあり、父母のために代筆したものもある。

5 学用品・運動具・洋服などの商店や製造所から、いろいろの広告の手紙を初め、案内状などの実用的な手紙を受け取って、いろいろ、実用的な手紙の実例を見る機会も重なっている。

6 もし、生徒が、前に「社交的な手紙」を学んでいるなら、卒業を前にして実用的な手紙を学ぶことは、適当である。

7 実用的な手紙を書く機会が増すとともに、読む機会も多く、いろいろな人の文章、いろいろな字体の手紙に接することができる。手紙の書き方についても、読んだり話し合ったりして、手紙を書くことを中心に、豊かな言語活動をすることができる。

(二) 目標 1 実用的な手紙は、社交的な手紙に比べて、どういうところに特色があるかを知る。

2 実用的な手紙には、どんな種類があるかを学ぶ。

3 実用的な手紙を書くには、どういう点に注意しなければならないかを学ぶ。

4 筆無精でなく、気軽に手紙を書く態度や習慣をつける。

5 実用的な手紙の形式や文体などを学び、各種の実用的な手紙が書けるようになる。

6 実用的な手紙を書くことをとおして、社会についての認識を深める。

7 次のような点について、特に、能力を増す。

イ それぞれの手紙の種類と場合とに応じて、用具・用紙を効果的に使う。

ロ 必要な用件を、わかりやすく、速く書く。

ハ いろいろの書き方の手紙を速く読みとる。

ニ 必要に応じて、気軽に、速く手紙を書く。

8 次のような習慣を持つ。 イ 参考書・実物見本などを集めておいて活用する。

ロ 細かいことについて調べたことを話し合ったり、報告や解説をしたりする。

ハ 研究したことや、研究のための資料を整理しておく。

ニ 住所録を整理しておく。

(三) 内容 1 各方面から集めた実用的な手紙の種類・内容・形式・用語・文体・書体。

2 実用的な手紙と社交的な手紙との関係。

3 それぞれの実用的な手紙の特色・組み立て・順序など。

4 一般的な手紙に特有な、用語や敬語の使い方。

5 硬筆・毛筆による細字の書き方。

6 封筒・びんせん・はがきなどの書き方。

7 ごく一般的な漢字のくずし方。

8 普通の、身近な郵便規則。

(四) 学習活動の例 1 学級で、手紙に関した次のような話をし合う。 イ 用事の手紙を書いた経験。 どんな用事で書いたか。

そのとき感じた困難。

ロ 用事の手紙をもらった経験。 どんな用事であったか。 右の話を聞きながら、次のような点をまとめるようにする。

 どんな用事の手紙が、書かれることが多いか。

 書く場合の困難はどういう点にあるか。

2 各家庭・学校・商店・会社などから実用的な手紙を集める。 イ 手紙を集めにいくところや、面接のしかた、事務所や商店その他に手紙を集めにいったときに注意することなどについて話し合う。 話し合いながら、必要なことをメモしておく。

メモをもとにして、訪問の手続や行動に関する注意を、見やすくまとめる。

ロ 紹介状をもらう。 学校長などに目的を話して、紹介状を依頼する。

学校長などからの紹介状を謄写版刷りにする。

ハ 各方面から手紙を集める。 なるべく、どの手紙がよく、どの手紙がよくないか、また、できたらその理由などを聞いてくる。 ニ 手紙集めについての報告会をする。
3 作家その他著名な人の書いた実用的な手紙を集める。

4 集めた手紙(A 商店・会社など、実社会から集めたもの)について研究する。

イ 手紙を用件によって分類する。

ロ 分担する手紙の種類によってグループになり、それぞれ、次のようなことについて調べる。

どんな場合に、どういう人からどういう人にあてた手紙か。

内容として、どういうことが書いてあるか。

どういう組み立てで、どういう順序に書いてあるか。

何に、何で、書いてあるか。

どんな形式で書いてあるか。

どんな用語が使われているか。

どんな文体が使われているか。

どんな書体で書いてあるか。

5 集めた手紙(B 書物などから集めた、作家その他著名な人のもの)について調べる。 イ 用件によって分類する。

ロ それぞれ、次のことを用心にして調べる。

その筆者は、どういう仕事をした人か。

どんな場合に書いた手紙か。

特におもしろく思った点、またはすぐれた書きぶりであると思った点。

6 参考書によって調べる。 イ 実用的な手紙について書かれた本は、どんなものがあるか調べる。目次を見たり、序文を読んだり、全体にざっと目をとおしたりして、書物の大要を知るようにする。

ロ 参考書を速く読みながら要点を書きとめる。

7 実用的な手紙について、適当な人から話を聞く。だいたい、今まで受け取った実用的な手紙についての感想と、それをとおしての忠告を聞く。

8 実用的な手紙を社交的な手紙と比べて、その特色を箇条書きにする。

9 作家その他有名な人の手紙の中から、いくつかを選び、パネル討論の形で研究する。

10 各グループによる、それぞれ分担している手紙の書き方についての研究発表会をする。

11 実際に必要な手紙を書いて発送する。

12 実際にいろいろの用件について手紙を書く練習をする。

各グループから、かわるがわる出題し合って、内容・形式・条件などのさまざまな手紙を書き、評価し合う。 13 学級全体で、学習の結果を「実用的な手紙の書き方」という一冊の本にまとめる。

14 書いた手紙・はがき・封筒および集めた手紙の中の適当なものの展示会をする。

(五) 評価 1 次の点に対する知識と理解の度とをテストによって調べる。 イ 実用的な手紙の特色。

ロ 実用的な手紙の種類。

ハ 実用的な手紙の書き方。

ニ 敬語。

ホ 手紙用語。

へ 郵便規則。

2 終りにまとめられた「実用的な手紙の書き方」について、いろいろの方面から調べる。

3 いろいろの手紙を書いているとき、また、書かれた手紙について、次のような点に重点をおいて調べたり、観察したりする。

イ 用紙・用具が適当に使われているか。

ロ 毛筆なり硬筆なりが、どの程度に使いこなされているか。

ハ どのくらい速くきれいに書けるか。

ニ 字の書き方が読みやすくなっているか。

ホ 文意がはっきりわかるか、また、わかりやすいか。

へ 必要な用件が、明確にわかり、さらに味わいがあるか。

ト ことばづかいは適当か。

チ 実物見本などをよく利用しているか。

4 作家その他著名な人の手紙について研究するとき、実用的な手紙の中にある味わいを、どのくらい読みとれるかを調べたり観察したりする。

5 集めた手紙を分類するとき、いろいろの筆跡がどのくらい読めるかを観察する。

6 手紙の書き方についての研究発表の際に、各種の手紙の書き方が、どのくらい、はっきりと理解されたか、参考書はどのくらい活用されているかを観察する。

7 展示会を見て、特に次のような点について観察する。

イ いろいろの筆跡をどのくらい読むことができるか。

ロ 手紙について、深く関心を持っているかどうか。

ハ 文字の書き方が、どのくらい整ってきたか。

ニ 文字の書き方について、関心を持っているかどうか。

8 手紙を集めにいったことについての報告を聞いたり、いろいろの手紙の練習として設けられる手紙の種類や内容について考察して、社会についての認識をどのくらい持っているかを見る。

9 次のような項目について反省させる。

イ 手紙を書くことが重荷でなくなってきたかどうか、さらに筆まめになってきたかどうか。

ロ 社交的な手紙と実用的な手紙との区別がわかったかどうか。

ハ 実用的な手紙の種類がわかったかどうか。

ニ はがきの表が形よく書けるようになったか。

ホ 封筒がらくに書けるか。

ヘ それぞれの手紙の用件の軽い重いがわかるようになったか。

ト 郵便のきまりがだいたいわかったか。

チ 資料を集めたり整理したりしてあるか。

10 次のことについて、生徒と話し合ったり、教師として反省したりする。 イ 計画と準備とが適切でじゅうぶんであったか。

ロ 具体的な指導が適切であったか、特に、特殊な生徒への指導が適切であったか。

ハ 学習活動がかたよりはしなかったか。

ニ 時間は適当であったか。