第V章 各学年における指導目標と指導内容

 1.この章では,小学校における図画工作教育の目標を達成するために,各学年でどのような目標をもって,どのような内容の学習をさせたらよいかの概要を示した。これによって小学校における図画工作教育の範囲と程度との大要を知ることができる。

 2.この章に示したものは,全国的に見た立場でかいたのであるから,各学校ではその地域の実情に即するような案をたてなければならない。

 3.この章では,指導目標と指導内容を,描画・色彩・図案・工作・鑑賞の五つ,および態度,習慣に分けて述べたが,これらは互に有機的関連をもっており,分けることにある不自然さを伴うのであるが,指導内容の系統を理解するために,便宜上分けてかいたのである。

 4.図画工作教育の一般目標において述べた,造形品の美的価値や美的価値を判断し,選択する能力は,主として色彩・図案・工作・鑑賞等で養い,造形品の配置配合の能力は,主として,描画・色彩・図案・工作等で養うようにしている。また表現力は描画・図案・工作等で養い,鑑賞力は鑑賞教材のほか全教材の関連の上に養われるものである。

 5.この書に示した指導内容は,このままの形で学習させるのでなく,適宜分解結合して,単元や指導主題をきめて学習させるのである。その取扱については第W章で述べる。

 6.本文中ところどころに注を加えて参考に資した。

       項目別時間配当表(パーセント)
 
学年
項目
描画
40%
40%
35%
35%
30%
30%
色彩
5%
5%
10%
10%
10%
10%
図案
10%
10%
15%
15%
20%
20%
工作
40%
40%
35%
35%
30%
30%
鑑賞
5%
5%
5%
5%
10%
10%

各学年における指導目標と指導内容

1.描  画
 
 
第 1 学 年
第 2 学 年
第 3 学 年
第 4 学 年
第 5 学 年
第 6 学 年

1.児童の活動性と表現欲の満足とを得ながら,絵をかく経験を積み,生活経験を豊富にする。

2.@自己の表現に対する誇と自信とを持たせる。

1.前学年に準ずる。

 

 

2.前学年に準ずる。

1.見たり,感じたりしたことを自由にのびのびと創造的に描写する力を養う。

 

2.前学年に準ずる。

1.自然物や人工物の形・色・明暗・陰影・遠近などを観察し,それと創造的に描写する力を養う。

2.前学年に準ずる。

3.美に対する感覚を鋭敏にし,豊かな美的情操を養う。

1.前学年に準ずる。

 

 

2.前学年に準ずる。

3.前学年に準ずる。

1.前学年に準ずる。

 

 

2.前学年に準ずる。

3.前学年に準ずる。

  E

1.いろいろな遊戯,家庭でのお手伝い,学校や社会での行事,簡単な景色,交通機関,その他児童の生活環境から適宜のものを選んでかかせる。

 かくものはなるべく社会科その他の学習と関連するものとする。

  E

1.前学年に準じ,かくものの範囲を広める。絵日記などもかかせるがよい。

  E

1.遊戯・社会事象・童話・動物・静物・風景・人物その他児童の環境から適当なものを選んでかかせる。

 かくものは,なるべく社会科・理科その他の学習と関連あるものをとる。

  E

1.前学年に準じ,絵地図のようなものもかかせる。またできれば壁面もかかせる。

  E

1.静物・風景・建築物・人物などをかかせる。絵巻物・紙しばいの絵などを構想によってかいたり,絵地図や絵人り地図などもかく。また時に精密な描写をしたり,速写,略写をしてみたりする。他の学習との関連に留意する。

  E

1.前学年に準ずる。

  F

2.描写に当っては,物の大きさの割合や,物と物との関係については,まだとやかくいわないでよい。

 描面の技法についても,とやかくいわないで,自由にのびのびと創造的にかかせる。

  F

2. 前学年に準じ,描写技法についての指導はひかえ目にして,自由にのびのびと,創造的にかかせる。

  F

2.物の大きさの割合や,物と物との関係について漸次注意してかくようにする。

B描写技法についての指導は,児童の要求に応じて,徐々に指導する。

  F

2.形・色・明暗・陰影・遠近などの表現について,徐々に指導する。

  C

 構図について,きわめて初歩的な指導をする。

  FA

2.形・色・明暗・陰影・遠近などの表現について,ある程度の指導をする。

 構図についてある程度の指導をする。

 ある程度美を意識して表現するようにし,画面の調和について初歩的な理解をさせる。

  F

2.第5学年に準じ,いくらか程度を進める。

  GD

3.描画材料は,不透明水えのぐ・色紙・クレヨン・パス類・鉛筆その他なるべくいろいろな材料を使う経験をさせる。

  G

3.前学年に準ずる。

  G

3.前学年に準じ,各材料の長所,短所について,ある程度の理解を持たせる。

  G

3.透明水えのぐや,できればポスターカラーのようなものを加える。

 簡単な版面を加えてもよい。

  G

3.前学年に準じ,材料使用の技能を発達させる。

  G

3.前学年に準ずる。

40%
40%
35%
35%
30%
30%

  描 画 の 注

@ 自己の表現に対する誇と自信とを持たせることは,特にたいせつなことで,自分でかいたものに,ひけめを感じたり,自分は絵をかくことがへたであるとの感じを持たせたらおしまいである。他人の力をかりないで自分の力でかき,他人のまねをしないでかいたものは尊いものだという感じを持たせなければならない。そこに自主的精神が宿り,民主的教育の基盤がつちかわれていくのである。

A 第4学年になると,形を正しくかくことや,形の遠近による変化,物それ自身の色の明暗や,陰影によって生ずる明暗についての表現に漸次注意してくるようになる。したがってその表現についても徐々に指導しなければならない。このようなことは,中学校になってもなかなかうまくできるようにはならないものであるから,第4学年ころからその指導を始めるといっても,児童の技能発達の程度に即応したきわめて初歩的なものでなければならないことはいうまでもない。

 また,形・色・明暗・陰影・遠近などの表現は,それを1度や2度試みたり,理解させたりしただけで会得できる性質のものではない。視覚によって理解し,手によって理解しなければならないものであるから,くり返しくり返し,たゆまない練習の機会を与えるようにしなければならない。

B 第1・2学年の児童は,かこうと思うものはたいていのものがかけるので,どのようにかいたらよいかに迷ったり,どうもうまくかけないとの感をいだくことは少ないのであるが,第3学年ごろになると,かこうと思うことをどうかき表わしたらよいかに迷ったり,かいてみても思うようにかけないとの感をいだくようになるのが普通である。このような状態になったことを描写技法について学びたいとの要求が起ったというのである。したがって「児童の要求に応じ」といっても,必ずしも児童が直接的にいろいろな要求をするという意味ではない。しかし技法的な指導は,ゆきすぎになると,かえってよい結果を見ないことに注意すべきである。

C 構図についての初歩的な指導といっても,抽象的な構図法の説明をするのではなく,絵をかくには構図に注意しなければならないことを理解させ,あとは具体的な例について(児童の作品を例にとるもよい)。このような構図よりも,こちらのほうがよいというようにして,だんだんよい構図ができるようにしていくのであって,第4学年ではどのような構図がよいというようなことをきめて指導することは,かえってよくない。

D 描画材料について,これまで低学年ではクレヨン,高学年ては水えのぐというようになっていたが,それぞれの描画材料には,それぞれの特色があり,かつ児童にはいろいろな描画材料を使わせる経験をさせるのがよいのであるから,第1学年からいろいろな材料を使わせることにした。そのおもなものは,

○ 不透明水えのぐ

 透明な水えの具は,低学年では使いにくいので,もう少し不透明な被ふく性の多いえのぐが使いやすい。しかしここでいう不透明えのぐというのは,ポスターカラーのようなものではなく,実際は半透明なものである。低学年では混色せず,単色で塗って表現させるがよい。これは主として色彩画をかくに用いる。なお透明な水えのぐは,第4学年ぐらいから,必要に応じて用いる。

○ パス類

 パス類にはいろいろな性質のものがあるが,だいたいにおいて,描画上から見ると,えのぐとクレヨンとの中間的なものである。

○ クレヨン

 主として線で表わすのに適する。

○ 鉛 筆

 鉛筆も主として,線で表わすときに用いる。

○ 色 紙

 色紙をはって諸種の表現をすることもある。このとき色紙は,えのぐと同じ意味で用いるのである。
 
 

E 指導内容の1は,主として題材の系統を示したものである。

F 指導内容の2は,主として技法についての指導系統を示したものである。

G 指導内容の3は,主として材料に関する系統を示したものである。

2.色  彩
 
 
第 1 学 年
第 2 学 年
第 3 学 年
第 4 学 年
第 5 学 年
第 6 学 年

主要なA有彩色および@無彩色のB名まえを覚え,実際に色を扱うことによって,色に対する感覚を発達させる。 前学年の継続。 C色の明るさについて理解させ,実習をとおして配色の効果を,色あい,色の明るさに関係あることを理解し,色を扱うことの興味を増大する。  色の明るさについての理解を増し,色彩感覚を発達させる。

 有彩色のD純色E明色・暗色の理解,目だつ配色,目だたない配色を理解し,初歩的な配色の技能を養う。

 色のあざやかさについて理解し,色彩感覚を発達させる。

 有彩色のF清色,濁色,G色の寒暖等について理解し、色あい,色の明るさ,色のあざやかさの別を配色上に有効に使ういくらかの技能を養う。

 前学年に準じ配色の技能を増大する。

 

 

 

  L

H1.標準色によって

 あか,だいだい,きだいだい,きいろ,きみどり,みどり,あおみどり,あお,あおむらさき,むらさき,あかむらさきの有彩色11色と,しろ,はいいろ,くろの無彩色3色の色名を覚える。

(ただし有彩色のI(基本色としては,10色または12色を選ぶこともできる)

 

 

   M

2.えのぐの色,クレヨンの色,色紙の色,絵や模様の色,その他手近にある物の色と標準色の色とを比べて,色のなまえを覚える。(色あいと色の名については,あまり厳密な要求をしないでよい。しかしみどりやあおみどりを,あおといったり,だいだいをあかといったりすることは,たださなければならない。

   N

3.色紙を切ったり,ちぎったりして,色ならべをする。

 図案その他の学習との関連をとる。

  L

1.前学年に準じ,いっそう確実にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  M

2.前学年に準じ,いっそう確実にする。

 

 

 

 

 

 

  N

3.色紙,色布片などを集めて色ならべをする。

 図案その他の学習との関連をとる。

  L

1.色の朋るさを測る尺度として,無彩色11段階について知り,それを明るさの順にならべられるようにする。「色の明るさ」ということばの意味を理解さる。

 

 

 

 

 

 

 

   M

2.有彩色の純色と,無彩色とのJ明度の当合を指導する。

 

 

 

 

 

 

   N

3.いろいろな物の色を集め,それを「あかのなかま」「だいだいのなかま」「きいろのなかま」「みどりのなかま」「あおのなかま」「むらさきのなかま」というように,色あいによって分類する。

   O

4.配色の調査と実習

(1)の服飾品,ポスター,その他身辺にあるものの配色を調べ,その色あいの関係,色の明るさの関係を調べる。

(2)2色ないし3色の配色練習。

模様の配色。図表の配色。人形のへや,きせかえ人形,その他のものの配色。

 以上図案・工作,社会科その他の学習との関連をとる。

  L

1.前学年に準じ,いっそう確実にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  M

2.同じ色あいの色にも,明るい色と,暗い色のあることを理解させ,有彩色の純色,明色,暗色と無彩色との明度の当合を指導する。

 

 

 

 

   N

3.前学年の継続。

 色を明るさによって,5段階くらいに分類する。

 
 

   O

4.配色の調査と実習

(1)第3学年に準じ調べるものの範囲を拡大する。

(2)目だつ配色,目だたない配色について理解し,2色ないし,3色の配色練習をする。

 模様の配色。

 図表,地図などの配色。

 工作で作るものの配色。

 以上図案・工作,社会科・算数料その他の学習との関連をとる。

  L

1.有彩色のえのぐに水または白えのぐ,あるいは黒えのぐをまぜて明暗いろいろな無彩色を出す練習を指導する。

 白えのぐと黒えのぐとをいろいろな分量にまぜて,明暗いろいろな無彩色を出す練習をする。

 各種の無彩色と有彩色,有彩色と,有彩色とをまぜて,いろいろな色を出し,色のあざやかさについて理解させる。

 「色のあざやかさ」ということばの意味を理解させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  N

3.いろいろな物の色を集め,それを色のあざやかさによって2段階,または3段階くらいに分類する。

 

 

   O

4.配色の調査と実習

(1)ポスター,レッテル,服飾品その他身辺にある物の配色について,色あいの差,色の明るさの差,色のあざやかさの差がどのようになっているかを調べ,それが見た感じの上にどのような影響をもっているかについて考察する。

(2)暖色・寒色のとりあわせ,K主調色の選び方に注意して配色の練習をする。

 図案・工作,社会科・算数料・家庭科その他の学習との関連をとる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

  O

4.配色の調査と実習

(1)各種の色紙,または,えのぐを使っていろいろな配色の実験をする。

 この実験をとおして色あいの差の大きい配色と小さい配色。

 色の明るさの,差の大きい配色と小さい配色。

 色のあざやかさの差に大きい配色と小さい配色が,配色上どんな効果となるかについて考察したり,話し合ったりする。

(2)同じ色あい,同じ明るさ,同じあざやかさの色を使った配色でも,その使用色の面積をかえると,よい配色となったり,よくない配色となったりすることを実験をとおして理解させる。

(3)簡単な図柄の図案の配色を,いろいろにかえてみて,どれがよいかについて研究する。

(4)以上で習得したことを実際のものに適用する。以上各項とも図案・工作その他の学習と関連をとる。

5%
5%
10%
10%
10%
10%

  色 彩 の 注

@ 無彩色

 しろ・はいいろ・ くろなどのように,あかみ,きいろみ,あおみなどの色みを少しも持っていない色を総称して無彩色という。

A 有彩色

 あか・きいろ・みどり・あおなどのような,色みを持っている色,すなわち無彩色以外の色を総称して有彩色という。

B 色の名まえ

 色の名の呼び方については,大きく分けて二とおりある。一つは個々の色についての呼び方であり,他の一つは系統的な呼び方である。

 個々の色についての呼び方にも,特に細密な呼び方をする場合と,たいへんゆるやかな呼び方をする場合とある。一般的に慣用されている色の名の呼び方は,たいへん大ざっぱなものが多く,たいていはこのゆるやかな呼び方である。

 たとえば日の丸の旗の丸のような,少しだいだいみをおびた色も,べにいろのような少しむらさきみをおびた色も,あかみを多量に持っている色ならば,すべて単に「あか」と呼ぶような場合である。特に細密な呼び方は,「あか」といえば,だいだいみも,むらさきみも含まない純粋なあかみを多量に持っている色だけをあかと呼び,少しだいだいみをおびた色は,ひいろといい,少しむらさきみをおびた色は,べにいろであるというように厳密な呼び方である。しかし色の名は,色の数に比べれば,その数は非常に少ないもので,一つ一つの色にそれぞれ違った名をつけることはできないから,いくら厳密なよび方をしようとする場合でも,多少の幅をもっていることが常である。

 色の系統的な呼び方にも,特に色相の系統に従ってつけられた色相名としての呼び方と,特に色相の系統に従うのでなく,大ざっぱな色わけによって,あか系,きいろ系,みどり系,あお系,むらさき系,ちゃいろ系などというような呼び方との二とおりに考えられる。前者の色相名は,さくらの花のような明るい色も,べにえびちゃのような暗い色も,あずきの実のようなくすんだ色も,同じようなあかみを多少にかかわらすもっていて,他の色みをおびていない色を総称してあかというのであって,色あい別の呼び方である。後者の場合は,系統的な呼び方には違いないが,色相名のようにはっきりしたものではなく,非常に大ざっばな呼び方である。

 児童には,色の名の呼び方について,初めから厳密なことを要求する必要はないが,だんだんに正確な呼び方をおぼえさせるがよい。一般社会で使われている個々の色に対するいろいろな色名については,高学年になるに従って,だんだんに知らせることが必要であろう。

C 色の要素

 色の感覚には,色あい(色相),明るさ(明度),あざやかさ(彩度),の三つの要素がある。

 色あいとは,あかみ,あおみ,みどりみ,きみどりみといったような色みのことで,これは有彩色を特色づける性質である。

 明るさとは,くろは暗く,しろは明るく,はいいろは,しろとくろとの中間の明るさであるというように,色にはそれぞれ明るさの違いがある。そして無彩色は,この明るさの違いによってのみ,他の無彩色と区別しうるのである。有彩色にも,さくらの花の色は,南天の実の色よりも明るく,あずきの実の色は,南天の実の色よりも暗いというように,同じあかの色あいに属する色でも,明るさの違いがある。また,菜の花の色と,すみれの花の色とを比べると,きいろとむらさきという色あいの違いのほかに,菜の花の色は明るく,すみれの花の色は暗いというように,明るさの違いがある。

 あざやかさとは,同じ赤の色あいに属する色でも 南天の実の色と,あずきの実の色とを比べると,南天の実の色は,あざやかで,あずきの実の色はくすんでいるというように,あざやかさの違いがある。有彩色は,同じ色あい,同じ明るさの色でも,あざやかさの違いによって区別することができる。

D 純 色

 ある色あいに属する色の中,最もその色あいの特色をよく発揮したあざやかな色を,その色あいの純色という。純色は厳密にその色あいの中の一点を意味するのではなく,ある幅をもっているものを考えてよい。

E 明色・暗色

 明るさの度合の高い色を明色といい,低い色を暗色という。

F 清色・濁色

 ある純色に,しろだけが加わった明色,またはくろだけが加わった暗色を,その色あいの清色といい,純色と清色に,はいいろ(しろとくろがいっしょにまざった)が加わった色を,その色あいの濁色という。一般に純色に,しろまたはくろをまぜると,あざやかさの度合が低くなる。また清色にはいいろをまぜると,はいいろの分量が多くなるほど,あざやかさの度合が低くなる。

G 色の寒・暖

 すべて寒い感じのする色を寒色といい,暖い感じのする色を暖色という。普通あか・だいだい・きだいだい・きいろなどを暖色,あおみどり・あおなどを寒色という。きみどり・みどり・あおむらさき・むらさき・あかむらさきなどを寒暖の中間の色といっている。

H 標準色

 技術庁色規格委員会できめられた色をいう。現在明度の標準の無彩色11段階と,色相の標準の純色 24色がきめられている。

 なおこの標準に基いて,日本色彩研究所の研究による有彩色の清色,濁色600余色も標準色といわれている。小学校用標準色紙は,日本色彩研究所(東京都港反赤坂福吉町1番地)で調製している。

I 基本色

 有彩色の基本的な色として,この書では色和(色あい)24色の中から下に線をひいた11色をとっている。

あか  だいだいあか  あかだいだい  だいだい  きみだいだい きだいだい  だいだいき  きいろ  みどりき  きみどり  きみみどり みどり  あおみみどり  あおみどり  みどりあお  あお  むらさきあお  あおむらさき  あおみむらさき  むらさき  あかみむらさき  あかむらさき  むらさきあか  むらさきみあか。  すなわちこの24色を輪状に配列したとき,あかの左右だけを二つとびにとり,他は一つおきにとっていって,11色をきめたのである。なお規格の24色は,相となりあう色相間の感覚的な距離が等しくなるようにとったものである。

 基本色のとり方には,上記のもののほか,なお1.2の取り方がある。その一つは,下図に示すように,ま図にAの符号のある あか・きいろ・あおの3色をとり,次にその中間のBの符号のある色をとって6色とし,この6色を基本色とするか,さらにこの6色の中間色,Cの符号をつけた色6色を選んで,計12色を基本色とする考えもある。

 この基本色の取り方は,えのぐの混合を基に考えられた3原色説からきたもので,比較的わかりやすい取り方であるが,この欠点とするところは,各色相色間の距離が等しくないこと。相対する色が,補色関係にならないこと等である。

 次に下図のような基本色の取り方もある。まず図にAの符号のある,あか・きいろ・みどり・あお・むらさきの5色をとり,その中間のBの符号のある5色をとった10色を基本色とする考え方である。この10色にすると,相対する色がだいだい補色に近くなって,学年が進んでから,色を取り扱うときにつごうがよいというのである。なお相対する色を完全な補色関係になるようにするには,色相を多少調節しなければならない。

J 明度の当合

 有彩色の明るさを,無彩色と比較して,何番の明るさに当るかを見ることをいう。

K 主調色

 いくつかの色を配色する場合,その中の最も勢力のある色で,配色全体の調子を支配するような色を主調色という。

L 指導内容の1は,

 主として色あい,色の明るさ,色のあざやかさなど色彩常識の基本的な指導内容の系統を示したものである。

M 指導内容の2は,

 色あいの当合と,明るさの当合に関する指導内容の系統を示したものである。色のあざやかさに関する場合は,小学校程度では困難であるから,採用しなかったのである。

N 指導内容の3は

 主として色の収集分類に関する指導内容の系統を示したものである。

O 指導内容の4は

 配色に関する指導内容の系統を示したものである。

P 本文に番号なし

 色彩教育の参考として,文部省編集「学習資料色彩編」を東京書籍日本書籍・大阪書籍各株式会社から刊行発売している。

3.図  案
 
 
第 1 学 年
第 2 学 年
第 3 学 年
第 4 学 年
第 5 学 年
第 6 学 年

1.自由に色や線を使って模様風のものをかいたり,手近にあるものを美しくならべたり,整理したりするようなことをとおして,装飾的な欲求を満足させ,生活経験を豊かにする。 1.前学年に準じ,経験の幅を広くする。 1.配列の美しさ,@対称の美しさについて,初歩的な理解をし,それを実際の図案に適用する技能を養う。 

 

 

 2.身辺にあるものを美しく配置したり,装飾したりするいくらかの経験をする。

1.色あい・色の明るさ・形・面積のA従属対立Bつり合い,C調和の美しさについて,初歩的な理解をし,それを実際の図案に適用する技能を養う。

 

 2.身辺にあるものを美しく配置したり,配合したり,装飾したりする初歩的な技能を養う。

1.第4学年に準じ,やや程度を高める。

 

 

 
 

2.第4学年に準じその範囲をいくらか広めたり,程度を少しあげて指導する。

1.線の方向,線のくり返し,形や面積の大きさのD級数配列,色の連続と反復による運動の感じや,Eリズムの感じについての初歩的な理解をし,それを実際の図案に適用する技能を養う。
 

2.第5学年に準じ,さらにその範囲を広め,程度をあげて指導する。

 

 

 

  F

1.いろいろな物の形や色を集め,それを整理したり,ならべて模様を作ったりする。

 木や草の葉を集めて整理したり,美しくならべたりすること。

 木や草の実や種子を集めて整理したり,美しくならべたりすること。

 いろいろな色紙を切ったり,ちぎったりして色ならべをすること。

 色彩の学習と関連。

  G

2.色や線で自由にのびのびと模様風のものをかく。

 

 

 

 

  H

3.教室に花を飾ったり,絵をかけたり,壁に絵や図を配置に気をつけてはったり,教室を装飾したりして,環境を美しくすることに対する関心を高める。

  F

1.前学年の継続。

 

 

 マッチの棒ならべ,花や花びらならべ,ボタンや貝がらならべ,色ならべのようなもの。

 

 

 

  G

2.前学年の継続

 

 

 

 

 

  H

3.前学年の継続。

 机の中や,家庭における身のまわりを美しく整理したりする。

  F

1.葉,花,その他のものをならべ模様をつくる。

 色紙が作った大小の正方形,長方形,三角形,円などをならべて模様をつくる。

 葉その他のものをならべて対称形の模様を作ったり,色紙の切り抜きで対称形の模様を作ったりする。

 色彩・工作,その他の学習と関連をとる。

 

  G

2.自由な気持で,ポスター・きせかえ人形・人形のへや・紙ばさみ,箱・ノートブックの表紙・その他工作で作ったものなどの図案をかく。

 色彩・工作その他の学習との関連をとる。

  H

3.前学年の継続。

  F

1.ポスター,書物やノートの表紙,紙箱の模様,その他の図案を色あい,色の明るさ,形の大小などの従属による変化,対立による変化,つり合い,調和などに注意してかく。

 色彩,工作その他の学習との関連に留意する。

 

 

 

  G

2.自由な気特で,ポスター・表紙・学用品の装飾図案や工作で作るものなどの図案をかく。

 色彩・工作その他の学習との関連をとる。

 

 

  H

3.身辺にあるものを,美しく配置配合したり,整理したり,装飾したりする。

 いろいろな成績品や参考品などを教室の壁面に配置よくはる。

 1枚の大きな台紙に,幾枚かの図画作品その他のものを配置よくはる。

 写真のはりこみ帳や新聞の切り抜き帳に,写真や切り抜きを配置よくはる。

 教室や家庭のへやに配置よく額をかけたり花を飾ったりする。

 教室や家庭の室を気持よく,便利に整理したり,家具や学用品などを便利に美しく配置したりする。

 その他

  F

1.ポスター・レッテル・表紙・身のまわり品・家庭用品・工作で作ったもの・その他の図案を,色あい・色の明るさ・色のあざやかさ・線・形・面積などの従属・対立・つり合い・調和などに注意してかく。

 

 

 

 

  G

2.自由な構成で,学習上必要なもの,家庭用品,かんばんその他の商業的のもの工作で作るものなどから適当なものを選んで図案をかく。

 色彩・工作・社会科・その他の学習との関連をとる。

  H

3.前学年の継続。

 

 

 第4学年に準ずるもののほか

 茶わんとびん,茶わんと茶たく,ペン皿と筆立てといったようなものにつき,どれとどれが形や色,それを作ってある物質などの点から見て,よく調和するかについて話し合う。

 何かの会合のとき,机の配置をどうするか,花などはどこに飾ったらよいかなどについてし合い,それを実行する。

 学校の掲示場をどこに設けたらよいかを話し合いできめたり,その掲示場を感じよく保存したりする。

 その他

  F

1.ポスター,ブックカバー,しま・かすり・その他の模様ものの染織物,身のまわり品,家庭用品,工作で作ったものなどの図案を,線の方向,線のくり返し,色の連続や反復,形や面積の級数的配列などによって,できる運動の感じや,リズムの感じを出すように注意してかく。

 色彩・工作・その他の学習と関連をとる。

 

  G

2.前学年の継続。

 

 

 

 

 

  H

3.前学年の継続。

 

 

 教室の壁や天井の色と,机,戸棚などの色とが調和しているかどうかについて話し合い,自分のよいと思う色の図案をかいてみる。

 教室,昇降口,その他の室の整理や,いろいろなものの配置について話し合い,できれそれを実際に改善したり,改善のための図案をかいてみる。

 自分の持ちものや,家庭用品などを気持よく整理したり,装飾したりする。

 学校園の配置や校庭の樹木の位置などが適当であるかどうかについて話し合い,自分たちの手で改善できるものは改善する。

 小さな庭の設計をしたり,住宅の間取図をかいたりする。

 その他

10%
10%
15%
15%
20%
20%

  図 案 の 注

@ 対  称

 直線・平面等を中心として,同じ形が向き合いの関係にある場合,およびある点を中心にして180度回転して重なるような関係にある場合に,その二つの形は互に対称という。たとえばある形を鏡にうつしたとき,その実物と鏡に写った像との関係のようなものである。対称は図案上における最も簡単なつり合いの作り方の一つである。対称の関係にある形を対称形という。

A 従属と対立

 従属と対立とは,ともに変化の方式である。従属による変化というのは,形・色・明暗・面積などが漸次に増大したり,減少したりしている変化である。まっすぐにならんでいる電柱を見ると,近いものほど長大に見え,遠くなるに従って漸次細小に見える。このような変化は形の従属による変化である。五重の塔の下層は最も大きく,上層に至るに従って小さくなっている変化も形の従属による変化である。あか・だいだいあか・あかだいだい・だいだい・きみだいだいというように並んでいる色は,色相の従属関係による変化である。また暗い色から,漸次明るい色へと並べた色は,明度の従属関係による変化である。面積においても,小さい面積から,だんだんに大きい面積への変化は従属による変化である。なおだんだんに増したり,減ったりする場合のならべ方は,必ずしも一直線にならんでいなければならないというものではない。

 児童には,従属というような語はわかりにくいかも知れない。そのようなときは,「だんだん増しの変化」「だんだん減らしの変化」などといってもよいであろう。

 対立による変化というのは,大きいものと小さいもの,太いものと細いものというように,性質の違ったものを対立させた場合の変化である。直線と曲線・平面と曲面との取り合わせのようなのも対立による形の変化であり,しろとくろのようなのは,明度による色の対立の変化,あかとあおみどり,きいろとむらさきあかの組み合わせのようなのは,色相の対立による変化である。その他男と女・海と山・昼と夜などのようなのも対立による変化である。

 寺院建築におけるたけの高い五重の塔と,どっしりと横にひろがりを持つ金堂との配置のようなのも,対立の変化の好例である。

B つり合い

 対称も一つのつり合いであるが,対称形でないものにも,左右なり上下なりがよくつり合って,安定の感じを与えるものがある。たとえば生花の天地人の三者は,決して対称にはなっていないが,しかもよくつり合って安定の感じを与えている。法隆寺の五重の塔と金堂などもよく両者がつり合っている。

 つり合いには,形のつり合い,色のつり合い,面積のつり合いなどいろいろなつり合いがある。このつり合いのことを平衡とか,均衡とかいうこともある。

 つり合いには静的なつり合いと動的なつり合いとがある。人がいろいろなポーズをして立っているときは,静的なつり合いが保たれ,走っているときの姿勢などは動的なつり合いが保たれているのである。

C 調  和

 だいだい色は暖い感じがし,あおは涼しい感じがするというように,色はある感情を現わすといわれている。そして色は単に暖,寒というような感情を現わすだけでなく,いんうつ・快活・崇高(すうこう)・卑近(ひきん)・その他いろいろな感情を現わすといわれている。

 感情を現わすものは単に色だけでなく,正三角形と正方形とを比較するときそこに異なった感情をよび起し,直線形と曲線形とではまた違った感情をよび起す。

 このように,あらゆる造形的要素は,それぞれ感情を現わす要素となっている。したがってこれら造形的要素の選択,組み合わせのいかんによって,はなはだたいくつなものとなったり,不安定のものとなったり,その反対に人に快感を与えるものとなったりする。

 造形的要素である形・色・質・量等の組合せを適当にし,いろいろな意味において,人に快感を与えるようになった状態を調和という。前項で述べた従属の変化や,対立の変化は,単に変化の方式であるばかりでなく,調和の方式として考えられなければならない。対称もまた同様である。

D 形や面積の級数的配列

 わが国で昔から7・5・3の割と称して,物の長さ,大きさの割合などを,7・5・3の割合にすると,よい調和が得られるといわれている。7・5・3は等差数列になっている。

 円の内接正方形と,外接正方形との辺の長さの割合は1:1.414となる。円に内接する正方形をかき,その正方形に内接する円をかき,その円に内接する正方形をかくというようにうして,だんだんかいていくと,だんだん小さくなっていく,この正方形の辺の長さまたは円の半径は公比が1:1.414の等比数列になる。このような正方形,または円も美的配列として図案上しばしば用いられる。このような配列を級数的配列という。

 級数的配列をする場合,刺激を等差数列的にするためには,実際の形や線の長さは,等比数列的にしなければならない。したがって7・5・3の感覚を起させるためには,実際の大きさは,8・5・3にしなければならないといわれている。3・5・8はだいたい1:1.9の等比数列になっている。

 児童には,このようなことを説明する必要はなく,大小のものを配列するときは,それぞれの場合によって,1・2・3・4(等差級数)にしたり,3・5・8(だいたい等比級数)にしたり,2・4・8(等比級数)にしたり,いろいろ考えて変化あり,統一あるようにくふうすべきであることを知らせる程度でよい。

E リズム

 リズムという語は,元来音楽上に用いられる語であるが,造形上にもしばしば用いられる。リズムはある刺激が,ある間隔をおいて起るとき生ずるもので,運動の感じを伴うものであるが,その現われにはいろいろある。例をあげて説明すれば,静かな室内で,ゆらゆらゆれならが立ちのぼる線香の煙の描く線のようなものにもリズムがあり,つる草がある動的な感じをもって伸びているところにもリズムがある。このようなリズムは線の方向によって起るリズムである。ある傾斜をもつ1本の直線をみても,そこに運動の感じはあまり起らないが,これが一定の間隔をおいて,くり返し並んでいるときは,そこに動きの感じが起り,リズムが生ずる。このようなリズムを線のくり返しによるリズムという。これは単に直線のくり返しのとき生ずるだけでなく,色のくり返し,面積のくり返し,形のくり返しなどのときにも起る。このリズムも調和の一方式である。

F 指導内容の1は

 主として図案構成の方法や,図案の原理に関する指導内容の系統を示したものである。

G 指導内容の2は

 だいたい自由な気持で構成する図案の指導内容の系統を示したものである。

H 指導内容の3は

 配置配合に関する指導内容の系統を示したものである。配置配合は,図案とは別の教材群として扱うことも考えられるが,その構成原理は,図案構成の原理と同様であるから,小学校では便宜図案の中に含めて指導することにしたのである。

I 本文中に番号なし

 図案教育の参考として文部省編集「学習資料図案編」を東京書籍・日本書籍・大阪書籍の各会社で刊行発売している。

 

4.工  作
 
 
第 1 学 年
第 2 学 年
第 3 学 年
第 4 学 年
第 5 学 年
第 6 学 年

1.紙・粘土・@その他身近にある使いやすい材料を使って遊びのために必要なものを作り活動性と表現欲とを満足させ生活経験を豊富にする。

2.はさみで紙を切るある程度の技能を養う。

 ある道具を使う初歩的な技能を養う。

1.前学年の継続拡充

 

 

 

2.ものさし・はさみ・三角定木などを使うある程度の技能を養う。

1.紙・粘土@その他手近にある材料によって諸種の形体を創造的に製作する初歩的な技能を養う。

 

2.はさみ.ものさし・A切出し小刀・三角定木・コンパスその他手近にある道具を使う初歩的な技能を養う。

3.簡単なC展開図をかいたり読んだりする初歩的な技能を養う。

1.紙・粘土・竹,@その他の材料を用い,諸種の造形品を製作する初歩的な技能を養う。

 

2.前学年の継続,および切出小刀,竹ひきのこぎり,竹わりなたその他手近にある道具を使う初歩的技能を養う。

3.前学年の継続。

 

 

4.紙を主とする工作法の理解。

 竹を主とする工作法の理解。

 紙製品・竹製品の良否を判定するいくらかの能力を養う。

1.木・竹・粘土・糸・布・金属その他の材料を用い,諸種の造形品を,創造的,計画的に製作する初歩的な技能を養う。

 

2.前学年の継続,およびB簡易木工用具針金板金工用具,手芸用具などを使う初歩的な技能を養う。

3.D簡単な工作図をかいたり,読んだりする初歩的な技能を養う。

4.木材・金属・糸布その他の材料の性質,用途の理解と,それらの材料による工作法の理解。

 木製品・金属製品その他身近にある造形品の良否判定するいくらかの技能を養う。

1.前学年の継続拡充。

 

 

 

2.前学年の継続。

 

 

3.前学年の継続。

 

 

4.前学年の継続。

 

 

 

  E

1.簡単な色紙入れの袋,手紙さしといったような実用的なものを紙で作る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  F

2.色紙,中厚紙その他身辺にある材料を使って,遊びのためや,学習上必要ないろいろなもを作る。

 折り紙を折る。

 ままごと遊びの道具を作る。中厚紙で動物を立つように作り,それで動物園や牧場などを作る。中厚紙で,樹木・家・その他のものを半立体的に作り,それで景色を構成する。

 木の葉・木の実その他の人工物,自然物で遊び道具を作る。

 その他

 以上の構成方法は,児童らしい構成方法によればよい。

 構成結果の正確さを要求するのはまだ早い。

 描画・社会科,理科その他の学習との関連をとる。

 

 

  G

3.粘土でいろいろな動物・野菜・果物・簡単な器物などの形を,自由にのびのびと作る。

 製作に当っては,大きさの割合や,形の正しさなどについての要求はまだしないがよい。

  E

1.中厚紙で,箱,筆立,封筒のような実用的なものを作る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  F

2.前学年の継続。

 

 

折り紙を折る。

 中厚紙,その他の材料で,家具・交通機関その他のものの模型を作る。

 有合わせの材料できせかえ人形・かるた・ままごとの遊びの道具などを作る。

 立体または半立体的に作ったいろいろなものを集め,それで景色や,ある地域の模型を作る。

 木の葉・木の実その他自然物や人工物を使って,遊び道具を作る。

 構成方法は児童らしい方法によらせらればよい。

 描画,社会科・理科その他の学習との関連をとる。

 

 

  G

3.粘土でいろいろな動物・人物・野菜・果物・器物・建築物などの形を自由にのびのびと作る。

 形の大きさの割合とか,正しさというようなことについては,まだやかましくいわないでよい。

  E

1.中厚紙,厚紙,その他の材料を使って,箱,紙ばさみ,一帖とじの簡単な実用的な帳面を作る。

 図案,色彩,その他の学習と関連。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  F

2.中厚紙・厚紙その他の材料を使って遊び道具,いろいろなものの模型,学習上必要なものなどを作る。

 七色めがね・こま・簡単なたこ・その他の遊び道具。

 家・室内家具・交通機関などの模型。

 その他有合わせの村料で,美しいものや役にたつものを作る。

 なるべくいろいろな材料や道具を使う経験をさせる。

 構成方法については,必要に応じて徐々に指導する。

 描画・図案・色彩,社会社・理科その他の学習との関連をとる。

 

 

 

 

 

  G

3.粘土でいろいろな器物の形をつくる。

 粘土で,植物・動物などの形を,丸彫りしたり浮彫りにしたりする。このとき描画との関連をとる。

 粘土で交通機関や,建物などの形を作る。

 製作は創造的にのびのびと作る。

  H

4.製作と関連して簡単な展開図を,読んだりかいたりする。

  E

1.厚紙・竹その他の材料を使って,筆箱・筆立・紙ばさみ・状さし・お手玉入れの箱・はし・ペーパーナイフその他家庭生活や学習上必要なものを作る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  F

2.各種の紙,竹その他身辺にある材料を使って遊び道具,いろいろなものの模型,学習上必要なものなどを作る

 中厚紙,厚紙などを主材料として,和洋の住宅・商店・倉庫・学校その他公共建造物などの模型を作る。またそれを集めて部落や町などの模型を構成する。

 中厚紙,厚紙などを主材料として,室内の模型を作る。

 竹でいろいろな笛・水鉄砲・竹とんぼのような遊び道具を作る。

 その他有合わせの材料で,美しいものや,役にたつものを作る。

 なるべくいろいろな材料や道具を使う経験をさせる。

 漸次正則な方法によって製作するように導く。

 描画・図案・色彩,社会科・理科その他の学習との関連をとる。

  G

3.粘土で,植物・人物などの形を,丸彫りまたは浮彫りで作る。

 これは描画と関連をとる。

 粘土で手びねりの器を作る。このとき図案的の考慮をする。

 製作を計画的にしてはじめる。

  H

4.前学年の継続。

 

  I

5.いくつかの実例について,紙製品・竹製品のよしあしについて話し合う。

 

鉛筆の軸はどんな形をしたものが使いよいか,どんな塗りのものがよいか。どんな木質のものが削りよいか。筆入れはどんな材料で

作ったものが丈夫か,どんな形のものが使いよいか。

はしには竹・木・アルミニウム・角などいろいろあるが,どんな材料で作ったものがよいかといったような問題を環境から選ぶ。

 

 

 

 

 

 

  J

6.紙製品・竹製品などの簡単な修理をする。

 工具の手入れ・保存。

  E

1.木材・竹・金属・糸布その他の材料を使って,家庭生活や学習上必要な実用になるものを作る。

 主として木材によって土びんしき・衣紋かけ・手さげの口木のような1枚の板で作るもの。

 簡単な本立・簡単なブックエンド・状さし・足付の台るいのような簡単な組たての製品。

 竹を主材料とする粘土べら・土びんしき・はし入れ,筆巻きのようなもの。

 針金の安全ピン,くさりのようなもの。

 簡単なあみもの,その他の手芸品。

 図案・色彩その他の学習との関連をとる。

  F

2.木材・竹・金属その他の材料を使って,遊び道具や模型および学習上必要なものを作る。

 羽子板・たこ・こま・ピンポンバット,野球バット,ローラースケートその他の遊び道具を作る。

 家屋の模型,交通機関の模型など。

 機械や機構の模型などを作る。

 理科の実験用具,その他教科の学習に必要なものの作製。

 その他有合わせの材料で,有用なものや,美しいものを作る。

 図案・色彩,理科・社会科その他の学習との関連をとる。

 

 

 

 

 

  G

3.粘土で動物・植物・人物などの簡単な彫刻をする。これは描画との関連をとる。

 粘土で巻づくりの器物を作る。このとき図案的考慮をする。

 粘上で建造物の形を作る。これも図案的考慮をする。

 

  H

4.製作と関連して工作図をかき,また工作図を読む。

  I

5.いくつかの実例について,工作品の材料の良否工作法の良否などについて話合う。

 

 学校の学習机は,どのような大きさや形のものが便利か,どんな塗料で塗ってあるものがよいか。

 いろいろな本立てやブックエンドを集め,それを比較して,どの材料がよいか,どの形や大きさのものが使って便利か,また見て美しいか。

 いろいろな本や雑誌を集め,その紙質,製本の方法,大きさなどを比較して,どれがよいかについて話し合う。

 その他日常使っている学用品を比較しての価値評価。

 家庭用品・学校の備品を比較しての価値評価など。

  J

6.木製品・金属製品・糸布製品などの小修理をする。

 工具の手入れ・保存。

  E

1.前学年の継続。

 

 

 主として木材によって簡単な台類・簡単な箱類・盆類・ほうちょうさし・状さし・額ぶち・ペンざらのようなもの

 竹を主材料とする,うちわ・簡単なかご・ざるの類・筆立・ペンさら・手ぬぐいかけ・おしぼり入れ・虫かごのようなもの。

 針金製のもち焼きあみ,魚焼きのようたもの。

 板金の筆洗い,じょうご,ちりとりのようなもの,その他の手芸品。

 図案・色彩その他の学習との関連をとる。

  F

2.前学年に準じ,その程度を高め,範囲を広くする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  G

3.粘土で動物・植物・人物などの簡単な彫刻をする。これは描画との関連をとる。

 粘土で流しこみ作り,型ごめ作りの器物を作る。できればそれを焼成する。これは図案との関連をとる。

 なお,ろくろ作りについてひととおりのことを知る。

  H

4.前学年の継続拡充。

  I

5.前学年に継続し,第5学年で扱わなかったものを扱い,かつ見方の程度をいくらか高めたり,かえたりする。

 どびん・きゅうす・やかんなどのような注器を集め,つぎ口の形や持つところの形や位置の適否について話し合ったり,机・腰かけのようなものを扱うにしても,板のそったり割れたりしたものや,接合部のゆるんだものなどを比較し,それは材料がわるいためか,取扱い方がわるかったためか,工作法がわるかったためかなどについて話し合いをするなどである。

 

 

 

 

 

 

  J

6.前学年の継続。

 工具の手入れ・保存について。

40%
40%
35%
35%
30%
30%

  工 作 の 注

@「その他身辺にある使いやすい材料」とか「その他手近にある材料」とか,「その他の材料」とかいうのは,その地方にある木や草の葉,茎等のような自然物や,きびがら,経木その他売品となっている補助的な材料とか,各種の のりその他の接着剤や,くぎのような緊結材料・塗装材料などをさすものである。これらの材料は,学年の程度・土地の情況等に応じてなるべく豊富に取り入れることが望ましい。また,高学年では,紙などを特にあげていないが,これらも無論用いてよいのである。

A 切出小刀

 第3学年から切出し小刀を入れておいたが,小刀は木や竹などをけずる用途と,紙などをたつ用途とをもっている。鉛筆のようなものを削ることは,もっと低学年でもできる。しかし紙をたつことになると,第3学年くらいでは,まだうまくいかないが,この学年くらいから紙をたつ経験をさせるがよいとの意味で入れたのである。したがって鉛筆その他の物を削る用途をおもに考えて,もっと低学年から入れることもよかろうし,紙をたつことは困難が伴うとの考えで,第4学年くらいから入れるもよいであろう。いずれにしても,小刀をとぐことはまだよくできないであろう。

B 簡易木工具・簡易金工用具・手芸用具

 これら用具は,特にどれだけのものと示していないが,学校の実情に応じ,巻末附録にある材料・用具表を参考として,適当のものを選定するがよい。なお工具は,便宜学年をくりあげ,くりさげて使用することも差しつかえない。

C 展開図

 展開図は第3学年から入れておいたが,第1,2学年でも,紙で立体を構成していくには,展開図をかかなければならないことも起るであろうが,第3学年になって,「開いた図」とか展開図とかいうことばも教えて,単に,製作する実材の上に直接折り目をつけて展開図の代用にしたり,方眼紙の目を教えて図をかくというようなことだけでなしに,直接実材によらないで図をかいてみることや,簡単な図は方眼紙にたよらないでもかけるようにするのは,第3学年くらいからが適当と思われるので,この学年に入れたのである。実際問題として,第3学年くらいになると,方眼のひいてない厚紙で製作しなければならないようなことが起り,やや本式の展開図をかく必要が起るのである。

D 工作図

 工作図とは,普通正投影図法によって,物の形状・構造・寸法を明示し,それによって直ちに工作しうる図のことである。児童に正投影図を理論的に理解させることは困難であるから,物体の長さ・高さ・幅・構造などを正確にかき現わす場合,普通の絵のようにかいたのでは,正確なことはわからない。そこでそのような図の必要なときは,物体をま上えから見た図(平面図)をかけば,物体の長さと幅とを正確に表わすことができ,物体をま正面から見た図(立面図)をかけば,物体の長さと高さとを正確に表わすことができる。この二つの図を組み合わせてかけば,たいていの物体を正確に表現できることを理解させることができる。平面図と立面図とを関係的に表現する方法を知らせ,また必要に応じて側面図を関係的にかき表わす方法を理解させる程度でよい。

 児童に工作図をかかせる場合は,方眼紙を用いてかかせれば,表現が容易になる。また定木・コンパス等を用いてかく図をかかせると共に,手がきの図をかかせるがよい。

 工作図の指導をするには,第1段階として,方眼紙にかいた工作図と,実物とを対照して,その表わされている意味を理解させ,それを臨写させ,第2段として簡単なものの製図をさせるのも一つの方法である。

 なお,わが国では,製図法として,第1角法といって,平面図を下にかき,そのま上に立面図,立面図の右側に左の側面,立面図の左側に右の側面をかく方法と,第3角法といって,平面図のま下に立面図をかき,立面図の右側に右の側面を,立面図の左側に左の側面をかく方法とがある。児童には第1角法によってかかせるのが解りやすいであろう。

E 指導内容の1は,

 主として実用的なものを製作する指導内容の系統を示したものである。

F 指導内容の2は,

 主として遊び道具・模型・他教科の学習上必要なものを製作する指導内容の系統を示したものである。

G 指導内容のは,

 粘土で製作する系統を示したものである。この頃は第2項に含めてかいてもよいのであるが,粘土は他の材料による工作とは多少趣を異にし,また指導のねらいにも相違した点があるので,別項目にしたのである。

H 指導内容の4は,

 製図に関する指導内容の系統を示したものである。

I 指導内容の5は,

 主として製作物の実用価値や美的価値を評価することに関する指導内容の系統を示したものである。これらの教材の中には,鑑賞の指導内容2と密接な関連をとらなければならないものが少なくない。

J 指導内容の6は,

 主として修理加工の工作の系統を示したものである。

K 本文中に番号なし。

 指導内容の系統として,上記のほか,使用材料の系統,使用工具の系統,工作法の系統等も考慮する必要があるが,使用材料のおもなものについては,指導目標1.指導内容2.および3.におのずから含まれているから,特に取り出して示すことをやめた。使用工具の系統は,指導目標2.におもな工具があげてあるが,これは指導内容各項の指導をすれば,おのから系統立てられていくものであるから,特に取り出して指導内容としてはあげなかった。工作法に関する系統は,指導目標3.に大体のことがかいてあり,また指導内容の各項に附帯して自然に指導されていくべきものであるから,特にその系統を示すことをしなかったのである。

L 本文中に番号なし。

 工作教育の参考として,文部省編集・小学校図画工作科・学習資料・紙工編・紙工続編・粘土編・竹工編等が,東京書籍・日本書籍・大阪書籍各株式会社から刊行発売されている。

 

5.鑑  賞
 
 
第 1 学 年
第 2 学 年
第 3 学 年
第 4 学 年
第 5 学 年
第 6 学 年

  @

1.環境にあるものの美しさに対する関心をもたせる。

 

  A

2・自他の作品を尊重する態度を養う。

  @

1. 前学年の継続。

 

 

  A

2.前学年の継続。

  @

1.環境にあるものの美的価値について,初歩的な判断ができるようにする。

  A

2.前学年の継続。

  B

3.よくできた作品や優秀な技術を尊重する態度を育成する。

4.自然美や美術品を鑑賞する初歩的な能力を養う。

  @

1.前学年に準じ その範囲と程度とを幾分進める。

 

  A

2.前学年の継続。

  B

3.前学年の継続。

 

4.前学年の継続。

  @

1.前学年の継続拡充。

 

  A

2.前学年の継続。

  B

3.前学年の継続。

 

4.前学年の継続,および美術品の文化的価植について,いくらかの理解をさせる。

  @

1.前学年の継続拡充。

 

 

  A

2.前学年の継続。

  B

3.前学年の継続。

 

4.前学年の継続。

 

 

 

  C

1.教室に絵を飾ってながめる。そしてその絵の好ききらいについての話合いをする。

 飾る場合は,児童のかいたものや,教師のかいたもの,その他専門家のかいたものなど。

  D

2.教科書や雑誌などの表紙や,さし絵,その他環境にある物の美しさや,好ききらいについて話し合う。

  C

1.前学年の継続。

 

 

 

 

 

  D

2. 前学年に準じ。話合いの材料にするものの範囲を拡充する。

  C

1.郷土の自然美について話し合ったり,絵や彫刻などの話を聞いたり,その絵や彫刻の好ききらいについて話し合ったりする。

 

 

  D

2.環境にある幾つかのものの美的価値についての判断をする。

 教科書や雑誌の表紙やさし絵などの良しあしについて話し合う。

本のさし絵は適当なところに入れてあるかどうか,さし絵と文章との関係はよいかなどについて話し合う。

 筆箱の形や色や装飾は,どんなのが美しいかについて話し合う。

 ポスターや服飾品などの配色は,どんなのがよいかについて話し合うなど。

 色彩・図案・工作などの学習と関連をとる。

 

 

 

  E

3.自分の郷土にどんな美術品や工芸品があるかについて調べたり,話し合ったりする。

  C

1.前学年の継続。

 

 

 

 

 

  D

2.前学年の継続拡充。

 書物のさし絵の良しあしや,文章とさし絵との配置の良しあしの批判。

 日常用いている茶わん・さらなどのようなものを集め,同種類のものを比較して,どれが美しいかについて批判する。

 筆箱・筆立・ペンさら,木立のような学用品を集め,同種類のものを比較して,どれが美しいかについて批判する。

 図案や色彩の学習と関連して,ポスター・表紙・その他のものの美しさについて,話し合ったり,批判したりする。

 その他

  E

3.前学年の継続。

  C

1.よい自然美の写真を集めて,鑑賞したり,実際の景色を鑑賞したりする。

 またすぐれた美術品のいくつかについて知り,それを鑑賞し,幾人かの美術家について知る。

  D

2.前学年の継続拡充。

 

 いろいろな花びん,菓子ざら,茶わん,その他のものを集め,同種類のものを比較して,どれが美しいかについて話し合ったり,批判したりする。

 地域にある住宅その他の建築物につき,どれが見て形がよいか,周囲との調和がよいかなどについて話し合い批判する。

 ポスター・レッテルその他のものを集め,それを比較してどれが美しいかについて話し合ったり,批判したりする。

 その他色彩・図案・工作などの学習と関連あるものについてその美しさについて批判する。

  E

3.国にどんな美術品があるか,それを保存するためにどんな施設があるかについて調べたり,話し合ったりする。

  F

4.美術展覧会などの見学。

  C

1.前学年の継続

 

 

 

 

 

  D

2.前学年の継続拡充。

 色彩・図案および工作の学習と関連して,いろいろな染織物,身のまわり品,家庭用品などについて,同種類のものを集めて,それを比較し,どれが美しいかについての話し合いをしたり,批判したりする。

 建築物,室内装備などについて話し合ったり,批判したりする。

 その他色彩・図案・工作などと関連をとり,環境にあるもののま美しさについて話し合ったり,批判したりする。

 

 

 

  E

3.前学年の継続。

 

 

 

  F

4.前学年の継続。

5%
5%
5%
5%
10%
10%

  鑑 賞 の 注

@ 第1,2学年くらいの児童は,まだ客観的の批判力が発達していないから,美に対する批判もできないが,美しいものに対する関心を持たせることはできる。この意味で鑑賞の基礎的な態度として,美しいものに対する関心を持たせることを目標としてあげたのである。この目標を達成するためには,児童の環境に,児童の関心を引きやすい美しさを持っているものを,絶えず提供することがたいせつである。

A 鑑賞の態度として,まず養わなければならないことは,自分の作品や他人の作品を尊重する態度である。この態度を養うことを特定の教材として扱うのではなく,指導の全般をとおして養わなければならない。そのためには,まず教師が児童の作品その他をていねいに扱わなければならない。児童の作品の上にむやみに朱で○をつけたりするようなことも慎まなければならない。

B ここに優秀な技術というのは,必ずしも美のための技術だけを意味するものではなく,用のための技術も含めた意味に解されたい。事実上美・用両面の技術は分離して存するものではなく,同時に作用することが多いからである。

C 指導内容の1は,自然美や美術品を亨受することを主とした指導内容の系統を示したものである。

D 指導内容の2は,主として実用性を持っているものの実用価値や美的価値を評価し,鑑賞する指導内容の系統を示したものである。

E 指導内容の3は,郷土や国にどんな美術品があるかの調査研究や,美術品の保護施設などについての指導内容の系統を示したものである。しかしこれらの事は,小学校においては多少の関心を持たせる程度でよいので,あまり進んだ扱いはしなくてよいであろう。

F 指導内容の4は,鑑賞のために美術展覧会・美術館・博物館などのような,社会的施設を利用することを示したものである。第5学年からやることにしておいたが,よい機会があれば,もっと下の学年からやらせてもよいであろう。

6.各学年各教材を通じて養うしつけ・態度・習慣

 図画工作科で養わなければならない態度・習慣等については,目標のところで一応述べたが,これは描画・色彩・図案・工作・鑑賞等の指導内容の一部をなすものであるから,ここに一括してそのおもな事項を述べる。

 1.仕事のあと始末をし,整埋整とんをする習慣をつける。

 仕事をするときは,ある程度用具や材料をとりひろげることは必要であるが,しかも用具などは常に置くべきところに置き,仕事が終ったならば,よくあと始末をし,整理整とんをすることは,学習能率をあげる上からきわめてたいせつなばかりでなく,一般的なしつけとしてもたいせつなことであるから,この点については不断の注意をして,よい習慣をつけるようにしなければならない。

 2.清潔の習慣をつける。

 よごれた手で物を扱ったために,作る作品や参考品をきたなくすること。三角定木,ものさし,その他の用具などが清潔でなかったために,作品をよごしてしまうようなこと。水絵をかくとき,えのぐを含んでいる筆をふったために,教室の床や壁をよごすことなどに類することを,図画工作の学習にまま見かけるが,このようなことを改め,常に身辺を清潔に保つことは,図面工作教育の効果をあげるうえにきわめてたいせつなことである。

 図画工作の学習の中には,粘土を扱う仕事や指絵のように,どうしても手や机などをよごすものがある。このようなものは,また別の意味で清潔の習慣をつける機会の多くを持っているものであるから,作業の必要からくる手や机のよごれは気にしないで思いのまま仕事をやらせ,作業が終ったならば,手や机などをきれいに洗ったり,清掃したりすることをじゅうぶんにやらせなければならない。そのためには相当の時間をさくことも考えなげればならない。粘土や指絵のようなものは,手や机をよごすからやらせないというのは決して清潔の習慣をつけるゆえんにはならない。

 3.共同のものをたいせつに使い,他人に迷惑をかけないようにする態度や習慣を養う。

自分の所持品はたいせつにするが,公共のものはなげやりに使うことがままあるが,図画工作科は,この悪い態度を是正するのにつごうのよい機会を多く持っているものであるから,この点にじゅうぶんの留意をして指導しなければならない。

 描画・図案・工作などで使う用具や材料は,なるべく多種多様のものを備えておき,多様の経験を与えることを重視する現在においては,いきおい用具・材料は個人用として児童各個に持たせることよりも,共用として学校に備えておいて,自由に使わせることが多くなるのであるから,共同のものをたいせつに扱う態度・習慣をつけることは,人としての資質として必要なばりでなく,図画工作の学習上からも強く望まれることである。

 4.他人と協調する態度を養う。

 学校の設備を使うとき,みんなが満足するようよく協調して使うこと。材料の分配に当ってよく公平が保たれるようにすること。共同製作や共同研究をするとき,自分の考えを主張し,自己の適性を満足させるとともに,他人の主張をよくきき,他人の長所も認め,共同の仕事をよりよくできるようにすること。教師の指導力を自分ばかりで独占しないで,他人と協調して,教師の指導や援助を受けることなどの態度を育成し,円満な社会生活が営めるようにしなければならない。注意しておれば図画工作の学習には,このような態度を育成するよい機会が多いのである。

 5.自分の行為に対する責任感を育成する。

 共同の仕事をするとき,自分の分担を責任を持って遂行すること。自分の仕事が満足すべき結果になったとき,それに対する誇りを感ずるとともに,うまくいかなかったとき,その責任を材料や用具のせいにしたり,他人のせいにしたりするようなことをしないで,あくまで自分の責任としてその原因を追求し,再び失敗をくり返さないように努める。自分の選んだものに対して責任を持つことは,図画工作教育上きわめてたいせつなことである。

 6.持久的,実践的態度を育成する。

 何事に対しても持久的にねばり強くやり,計画したことは,途中でざせつすることなく遂行するという実践的態度をとることは必要であるが,図画工作の学習における一くぎりの作業に要する時間の長短,作業中に起る困難さの程度は,学年に応じ,それぞれの児童の能力に応じて無理のかからない教育計画をたてなければならないことはいうまでもないが,それかといってあきっぽくて途中で仕事をやめてしまったり,ちょっとした困難に出会った場合に,すぐ計画変更をしたりするようなことは望ましくない。学年相応の持久力や多少の困難にぶつかっても,それを遂行するところの実践的態度を徐々に育成していくことは,要望されなければならないことである。

 持久力や実践的態度を養成するには,仕事の立案計画が児童の能力に適合したものでなければならない。そのためには教師の教育計画が適当であるとともに,児童自身の立案計画が適当でなければならない。この点から見て,計画の指導もまた重視されなければならない。

 7. 資源愛護の精神を養う。

 資源愛護の精神を養うには,いろいろな段階がある。卑近なこととしては工作で何かを作るとき,材料をむだにしないことや,余材を他に利用できるかどうかを考え,用途のありそうなものは整理して保存することなども資源を愛護することである。また廃材の活用とか,道具をたいせつに使うことなども,資源を愛することになる。このようなことは実習をとおして,よく理解させ,一般のしつけとして身につけさせておくことが肝要である。

 さらに進んでは資源の愛護は,広く人類の福祉の上から見てわれわれの努めなければならない義務であることを,児童の程度相応に理解させることがたいせつである。たとえば自分で買ってきたものは,自分だけのものであるから,どんなにむだ使いをしても,他人には迷惑にならないと考えがちであるが,ひとりでもむだに物を使えばそれだけ世の中のものが少なくなって,間接に他人に迷惑を及ぼすことになることを理解させるようなことである。このようにすべての資源は個人の所有であるとともに,人間共有のものであることを,身近な実例について理解させ,資源愛護の精神を養わなければならない。

 だれか友だちが珍しい物を持っていると,前後の考えもなくそれを買うようなことは,資源愛護の精神から見ておもしろくない。またそのようなものを見せびらかすことも,よいことではないことを理解させなければならない。