第9章 商 業 経 済

 

 第1 目 標

 

 第2 単元の例

 

 第3 学習指導上の要点

 1.商業経済科は,将来,商業を経営したり,または,商工業その他の事業経営において,その事務を担当したりする者にとって必要な,基礎的な職業的資質を養うことを,おもな目的としているので,この科目の目標は,自然,多方面にわたることになる。

 分業と交換とを基礎とする,今日のわれわれの経済生活において,商業は大きな社会的使命をになっている。したがって,この科目においては,まず,商業の機能の理解を,いわゆる固有商業と機関商業とに分けて,目標の1および2に掲げた。今後,この方面に進む生徒は,このような理解を持つことによって,自己の職業に誇や責任を感じ,進んで社会の幸福と発展とに貢献しようとする心構えや態度を,身につけることが望ましい。

 次に,商業課程を修める者の大部分は,みずから商業を経営したり,または商工業その他の事業の経営において,その事務を担当したりすることを志望しているのであるから,そのために必要な,知識・技能や,能率的に事務を処理する態度を習得することが,たいせつである。この科目の目標の3および4は,このような必要に応ずるものである。

 第3に,現在のわれわれの経済生活は,事業の経営においても,家庭の経理においても,商業諸機関の提供する用役の利用なしには,合理的・経済的に,これを営むことができない。したがって,商業諸機関を利用するのに必要な知識を身につけることは,すべての人に必要であるということができるであろう。この科目の目標の5は,このような意味で取り上げられた。

 最後に,今日われわれの経済生活は,国内的にはもちろん,国際的にも,相互に密接に有機的に結びつけられている。したがって,事業の経営に当る者はもとより,一般の人々としても,国民経済や世界経済のしくみや,これを支配している法則を理解しないでは,事業や家庭の円滑な運営や発展をはかることが困難である。ことに,新しい経済事象が生じたときに,事業経営や家庭経理を,どのようにこれに適応させて行くかということは,このような理解を欠いたならば,不可能になってくるであろう。この科目の目標の6は,このような必要に応じて掲げられたのである。

 2.この科目は,商業課程の学習の基礎となるものであって,ほとんどすべての商業科目と密接な関連がある。したがって,将来,生徒がいろいろな商業科目を学習するときに,その手びきとなり,助けとなるものである。たとえば,商取引において,しばしば用いられる書式や文書の作成とか,諸料金の計算のしかたとか,商業に関する法律規定の知識などについて,一応,基礎的な理解を得るように,この科目の学習指導上考慮されることが望ましい。

 3.この科目の学習をとおして,生徒は,商業の経営や商工業その他の事業の事務について,その仕事の性質・内容・機能を理解し,それに必要な知識・技能を習得するのであるから,自己の個性・能力・興味に応じて,将来どのような方面に進めばよいかということを考えるのに,役だつわけである。このことは,また,生徒が学年の進むに従って,どのような商業科目を選択すればよいかということを定める基準にもなるわけである。この科目の学習指導において,このような職業指導の面をじゅうぶんに考慮していくことが望ましい。

 4.上に述べたように,この科目は商業科の中で基礎的な地位を占めるものであるから,商業課程においては,第1学年から必修することが望ましい。しかし,教材の分量が多いことから,1か年で全部の単元を学習することは無理であるし,また,内容もだんだんと高度になってくるから,2か年または3か年にわたって学習することが適当であろう。

 5.単元の例は,次のような趣旨に基いて設定された。すなわち,単元1では,生徒の日常生活に即して,商業の働きを大づかみに理解し,単元2と単元3では,国内および国際間の,商品流通にあたる売買業について学習する。単元4から単元7まででは,いわゆる機関商業を,その利用者の立場から,その機能や取引手続について学習し,単元8では,商業経営を中心として,企業経営の形態・組織・管理などの,一般的な原則的な問題について学習する。単元9では,以上の諸単元を総合する意味で,経済生活のしくみや,そこに行われる経済法則を理解し,商業の社会的経済的機能をはあくしていく。

 これらの各単元に,どのくらいの重みを持たせるかということは,経済社会の一般情勢や,地域社会の必要に応じて,適当に決定されることが望ましい。単元の例について,それぞれの具体的な内容を示せば,次のとおりである。

単元 1.われわれの日常生活において,商業はどのような働きをしているか。

単元 2.商店の業務は,どのように行われるか。 単元 3.貿易商の業務は,どのように行われるか。 単元 4.運送機関は,どのように利用されるか。 単元 5.倉庫は,どのように利用されるか。 単元 6.銀行は,どのように利用されるか。 単元 7.保険は,どのように利用されるか。 単元 8.事業は,どのように経営されるか。 単元 9.経済社会において,商業はどのような機能を果しているか。  この科目の学習についての,準備と活動の例を示せば,次のとおりである。

 1.教師の準備と活動

 2.生徒の準備と活動  

 第4 学習指導計画の一例

 1.単元名  貿易商の業務は,どのように行われるか。

 2.目 標

 3.教材区分と時間配当  4.準備と資料  5.学習活動  6.他の教科・科目との関連  7.評 価  

 第5 参 考 書

    書    名         著   者          発 行 所

   商業通論           増 地  庸治郎       千 倉 書 房

   商業概論           鈴 木  保 良       北  隆  館

   商業学            深 見  義 一       春  秋  社

   商学入門           福 田  敬太郎       広  文  社

   配給論               〃           同  文  館

   新しい商店・会社の経営    平 野    保       ダイヤモンド社

                  森      博

   配給経済要論         鈴 木  保 良       巌  松  堂

   商業経営の基礎知識          〃          泉  文  堂

   配給経済論              〃          金  星  堂

   配給市場組織(改版)     向 井  鹿 松       丸善株式会社

   財貨移動の社会的組織

   広告宣伝の実際        小 沼    昇       実業教科書

   手形小切手の実務       中 倉  貞 重       ダイヤモンド社

   改正商法大意         松 本  蒸 治       岩 波 書 店

   商法(再訂増補版)      田 中  誠 二       千 倉 書 房

   商法(上・下)        石 井  照 久       勁 草 書 房

   外国貿易論          向 井  鹿 松       広  文  社

   外国貿易論          福 田  六 輔       刀 江 書 院

   国際貿易講話         上 坂  酉 三       千 倉 書 房

   外国貿易論             〃           東 洋 書 館

   国際貿易論          藤 井    茂       国 元 書 房

   貿易の基礎知識        日 本 貿 易 会      泉  文  堂

   国際経済入門         波多野    鼎       広  文  社

   倉庫経営入門         向 井  梅 次       倉  友  社

   交通概論           佐 波  宜 平       有  斐  閣

   交通概論           松 葉  栄 重       世 界 書 院

   海上運送実務         牧 野  幾久男       巌  松  堂

   保険経済           印 南  博 吉       東 洋 書 館

   火災保険論          加 藤  由 作       春  秋  社

   海上保険講義            〃           厳  松  堂

   貨幣論            岡 橋    保       春  秋  社

   貨幣論入門          高 垣  寅次郎       広  文  社

   金融論入門          小 島  昌太郎          〃

   金融論            山 口    茂       春  秋  社

   企業金融論          岡 村  正 人       東 洋 書 館

   銀行通論           高 木  暢 哉       春  秋  社

   株 式            奥 村  綱 雄       高 山 書 院

   新訂経営要論         増 地  庸治郎       巌  松  堂

   経営学入門          古 川  栄 一       実業教科書

   経常経済入門         高 瀬  莊太郎       広  文  社

   企業経営講話         鈴 木  保 良       税務経理協会

   企業経営新論―民主化と合理化 高 宮  晋         労働文化社

   企業体制           山 城    章       新 紀 元 社

   協同組合概論         国 弘  員 人       巌  松  堂

   株式会社新論            〃           東 洋 書 館

   経営組織           小 野  寛 徳       ダイヤモンド社

   経営管理総論         藻 利  重 隆       千 倉 書 房

   事務運営の科学        岩 佐  剛 一       実業の日本社

   経営合理化の常識       森 川  覚 三       ダイヤモンド社

   労働法            吾 妻  光 俊       有  斐  閣

   賃銀論            増 地  庸治郎       同  文  館

   産業人事管理         三 好  豊太郎       森 山 書 店

   賃銀管理           米 田  清 貴       ダイヤモンド社

   改訂企業経営比較論      松 本  雅 男       千 倉 書 房

   経営比較論          古 川  栄 一       同  文  館

   経営費用論          山 城    章          〃

   予算統制論          古 川  栄 一       森 山 書 店

   新経営者―経営者論の展開       〃             〃

   工業経営論          増 地  庸治郎       千 倉 書 房

   工業経済新論         野 田  信 夫       ダイヤモンド社

   経済学総論          土 方  成 美       日本評論社

   経済原論           土 方  成 美       巌  松  堂

   経済原論           小 泉  信 三       日本評論社

   経済学新講(1―5.)     高 田  保 馬          〃

   経済学原理          高 田  保 馬       日本評論社

   経済学入門          波多野    鼎          〃

   純粋経済学          中山   伊知郎       岩 波 書 店

   経済学一般理論            〃          日本評論社

   経済学原理          岸 本  誠二郎          〃

   経済理論の一般的基礎     青 山  秀 夫          〃

   理論経済学概要        舞 出  長五郎       岩 波 書 店

   経済学大綱          河 上    肇       改  造  社

   近代経済学の解明(上・下)  杉 本  栄 一       理  論  社

   経済学史略          高 橋  誠一郎       慶応出版社

   経済学史概論         阿 部  源 一       千 倉 書 房

   体系経済学辞典        高 橋 泰蔵 編       東洋経済新報社

   財政学概論          井 藤  半 彌       日本評論社

   財政学                〃          千 倉 書 房

   財政学概論          島    恭 彦       三 笠 書 房

   現代財政学総論        高 木  寿 一       金  星  堂

   日本財政論          大 内  兵 衛       改  造  社

   租税論            汐 見  三 郎       有  斐  閣

   税              勝    正 憲       千 倉 書 房

   経済の勢力理論        高 田  保 馬       実業の日本社

   現代の経済学         波多野    鼎       春  秋  社

   経済社会学の構想       高 島  善 哉       白 日 書 院

   経済学史概要(上)      舞 出  長五郎       岩 波 書 店

   一般経済史概論        野 村  兼太郎       有  斐  閣

   日本経済の基礎知識      土 居    清       実業の日本社

   日本産業の構成        小 林  良 正       白  楊  社

   戦後経済の理論的諸問題    鈴 木  武 雄       実業の日本社

   経済新語辞典         日本経済新聞         日本経済新聞社

   配給組織論          谷 口  吉 彦       千 倉 書 房

   売買論            小 林  行 昌          〃

   商店の位置と商店街の研究   杉 本  秋 男       同  文  館

   広告要論           粟 屋  義 純          〃

   広告論            中 川    静       千 倉 書 房

   広告学            金 子    弘       森 山 書 店

   広告実務           松 宮  三 郎       東洋出版社

   広告の常識          粟 屋  義 純       千 倉 書 房

   チラシ広告の作り方      長 岡  逸 郎       同  文  館

   商店装飾の仕方        富 田  森 三          〃

   店舗設計陳列図解ハンドブック 川喜田煉七郎         金 沢 文 庫

   ダイヤモンド実務知識     ダイヤモンド社        ダイヤモンド社

   営業部員の実務        尾 形  順 三          〃

   国際貿易の基礎理論      白 石    孝       泉  文  堂

   戦後日本の貿易・金融協定   外務省通産省管理貿易研究会  実業の日本社

   民間貿易の実務        古 田  英 雄       ダイヤモンド社

   日本国勢図解         白 崎  亨 一       国  勢  社

   貿易政策大系         油 本  豊 吉       広  文  社

   倉庫論            内 池  廉 吉       千 倉 書 房

   倉庫論講義          前 高  治 一       厳  松  堂

   交通学一般体系        三 輪  清一郎       河 出 書 房

   交通経済の基本問題      麻 生  平八郎       白 山 書 房

   日本海運の現状及び将来    太 田  康 平       三  光  社

   海 運            岡 崎  幸 寿       ダイヤモンド社

   貨幣概論           荒 木  光太郎       有  斐  閣

   貨幣論            橋 爪  明 男       日本評論社

   金融の基礎知識        鍋 島    達       ダイヤモンド社

   外国為替の基本知職      東京銀行調査所        実業の日本社

   国際為替金融講話       堀 江  薫 雄       黄  土  社

   外国為替・金・銀       金 原  賢之助       東洋出版社

   貨幣と物価          荒 木  光太郎          〃

   外国為替論          谷 口  吉 彦       千 倉 書 房

   銀行論            高 垣  寅次郎       日本評論社

   銀行論            呉    文 炳          〃

   銀行経営論          田 中  金 司       千 倉 書 房

                  新 庄    博

   銀行論            山 口    茂       新 紀 元 社

   信託経済論          呉    文 炳       日本評論社

   信託業論           新 庄    博       千 倉 書 房

   取引所論           福 田  敬太郎          〃

   商品取引所論         上 林  規 正       岩 波 書 店

   取引所の常識         松 本  信 次       千 倉 書 房

   証券市場論(上・下)     上 林  規 正       白  楊  社

   証券読本           松 本  信 次       産 業 図 書

   保険経済概論         馬 場  克 三       文化評論社

   保険経済の理論        末 高    信       明  善  社

   保険学要綱          小 島  昌太郎       富  山  房

   火災保険論          滝 谷  善 一       千 倉 書 房

   海上保険論          椎 名  幾三郎          〃

   海上保険論          藤 本  幸太郎          〃

   生命保険論          末高    信          〃

   生命保険論          亀 田  豊治朗          〃

   協同組合           磯 部  喜 一       春  秋  社

   公企業            山 城    章          〃

   株式制度論          番 場  嘉一郎       同  文  館

   経営労務管理         藻 利  重 隆       東 洋 書 館

   経営分析           高 瀬  荘太郎       千 倉 書 房