第15章 商業外国語

 

 第1 目 標

 この科目においては,英語・中国語・ロシヤ語・オランダ語・スペイン語・マレー語など,わが国の貿易上に必要な諸外国語の中で,1種または数種を選んで学習するわけである。現在最も多く学習されているのは,英話と中国語とであるから,この2種について以下に述べることにする。

 

A.商 業  英 語

 

 第2 単元の例

 

 第3 学習指導上の要点

 1.この科目で商業英語というのは,商業経済事象に関係のある英語という広い意味に用いている。

 2.単元の例としては,第1部から第3部までに分けて示したが,その全部または一部について,5単位ないし15単位まで学習することになるのであるから,生徒の必要や,地域社会,学校の状況に応じて,各部の特色を生かし,適当な学年において適当な内容を選択して学習することが望ましい。

 3.わが国が待望の自由貿易に新発足をした今日,世界市場にじゅうぶん活躍のできる有能な商業人の育成は急務とされている。世界的な商業語としての英語を学ぶことは,その意味においてきわめてたいせつなことである。

 4.語学としての指導については,英語科にならって行うが,第1部から第3部までをとおして,いつも英語で考える習慣(Thinking in English)が,特に重視されなければならない。

 5.一般に商取引においては,顧客に対する第一印象(First Impression)が,非常にたいせつであるから,会話においても,文書の作成や処理についても,常に端正(Neat and Tidy)を保つ習慣を養うように指導されなければならない。

 6.第1部は,生徒の日常生活経験にできるだけ結びつけて,普通英語の素地に商業経済的要素を取り入れ,それを中心として「聞き方・話し方」の能力を養うのが主眼である。

 7.第2部は,商業通信文の「読み方・書き方」の能力を養うことが主眼であって,従来,商業英語の学習の中心とされていた部分である。  8.第3部は,英語をとおして,商業経済に関する知識・理解を深めるため「読み方」の能力を養うことを主眼とする。  この科目の学習についての,準備と活動の例を示せば次のとおりである。

 1.教師の準備と活動

 2.生徒の準備と活動  

 第4 学習指導計画の一例

 1.単元名  商業上の手紙は,どのような要素(Elements)から組みてられ,また,どのような形式(Style)に分けられるか。

 2.目 標

 3.教材区分と時間配当。  4.準備と資料  5.学習活動  6.他の教科・科目との関連。  7.評 価  
B.商 業 中 国 語

 第2 単元の例

 

 第3 学習指導上の要点

 1.中国との貿易に必要な中国語を,もっぱら実用的な見地から学習するのが,この科目の目標であるが,中国との貿易には,中国特有の商業経済組織や商慣習を理解することが,缺くことのできない要素であるし,さらにまた,一般に中国の文化や民族心理や社会事情を理解することも,貿易の上にきわめてたいせつなことである。それは,そのような面を無視したならば,慣習や,心理や社会事情の異なる国との貿易を,円滑に遂行して行くことが困難であるからである。したがって,この科目においては,単に語学として学習するばかりでなく,以上の点によく留意して学習することが望ましい。また,広大な地域において用いられている中国語には,多くの種類があるが,いわゆる北京官話は最も標準的な中国語とされているから,一般には,この標準的な官話について学習することが適当であろう。

 2.この科目の学習にあたっては,上述の理由によって,まず一般的な日常の会話から始め,次いで商業に関する用語を習得するのがよいであろう。また白話文(口語文)によって,話すことと聞くこととを練習するとともに,時文(文語文)によって,読むことと書くこととの練習を,並行して行うこともよいであろう。したがって,この科目をじゅうぶんに学習するためには,最高15単位までの時間数をかけることができるのであるが,少くとも5単位としての時間数は必要とされるわけである。その中で,白話文に要する時間数は,時文に要する時間数の2倍程度とするのが適当であろう。

 3.この科目の学習指導について注意しなければならないことは,中国と日本との文化的関係や,両国の民族心理ならびに言語形態の異同をよく考察してどのようにすれば,最も効果的にかつ系統的に,中国語を習得させて行くことができるかという方法をくふうすることである。そのためには,生徒の知識の発達程度や,国語・英語などの学習段階をじゅうぶんに考慮して,それに即応して指導して行かなければならない。

 4.発音の指導においては,注音符号を用いることが効果的であろう。初めにあたって,この符号を記憶するために,ある程度の努力は必要であるけれども,37字に過ぎない注音符号を記憶することはそれほど大きな困難ではないであろう。その上,これを習得したならば,400音あまりから成る中国語の発音が,すべてこれによって組み立てることができて,学習の興味と熱意とを増すのに役だつであろう。また,母音と子音との発音を系統的に習得するためには,発音配列図表を用いると便利である。

 5.白話文については

 以上のような項目があげられるが,学習指導にあたっては,これらの項目を適宜に整理し排列して,難易・繁簡の順序を立て,語い・句型をだんだんと豊富にし複雑にして行くのがよいであろう。学習のはじめの段階では,もっぱら家事に必要な語句を選び,続いて交際・応待の語句に及び,ついで商業関係の用語を習得して行くことが,一般に適当な順序であろう。

 6.時文については,時代に適切であって,初歩にふさわしい一般的な語句を選んで,実用的に興味深いように指導することがたいせつである。簡潔で平易な教材で,いろいろな読み方・語法・語句を含むものを選んで,読み方の能力を養うように指導することが望ましい。

 中国語をかなりじょうずに話す人でも,案外に話す範囲が狭く限られていることがあるが,それはもちろん語いの不足ということもあろうが,言いまわしの形態が貧弱であることにも,その原因がある。したがって,冗漫な文章を避けて,できるかぎり簡潔・めいりょうな語形を数多く選び,生徒の興味をわかせながら指導することによって,おのずから中国語の学習を効果的にして行くことができるであろう。

 

 この科目の学習についての準備と活動の例を示せば,次のとおりである。

 1.教師の準備と活動。

 2.生徒の準備と活動。  

 第4 学習指導計画の一例

 1.単元名  母音と子音とには,どのような種類があるか。それはどのように発音するか。また,その表現にはどのような記号を用いるか。

 2.目 標

 3.教材区分と時間配当  4.準備と資料  5.学習活動  6.他の教科との関連

  日本語や英語の発音およびその表現記号と比較して,その異同を明らかにすることは,中国語の発音の学習にとって,大きな効果をもたらすものである。

 7.評 価。

 

 第5 参 考 書

    書    名            著  者        発 行 所

   商業英語通信軌範         苫米地 英 俊      ダヴィッド社

   英語商業通信文          光 井 武八郎      北  星  堂

   貿易英語                〃         実業教科書

   貿易英語             伊地知 純 正      稲  門  堂

   新商業英語通信          橋 本   修      愛  育  社

   外国貿易商業英語通信の理論と実際 中 村 賢次郎      富 士 出 版

   商業英語の実際          前 田 定之助      有  精  堂

                    坂 本 義 雄

   コレスポンデンス入門       小 林 元 仲      ダイヤモンド社

   英文手紙の実例と練習       高 橋 盛 雄      大  盛  堂

   英和商工辞典           藤田  仁太郎      研  究  社

   経済用語和英辞典         東洋経済新報       同     左

   支那国音辞典           宮 原 民 平      文  求  堂

                    土 屋 明 治

   中華発音辞典           梅     鈎      養  徳  社

                    平 岩 房次郎

   中国語発音辞典                       大阪外語大学中国語研究会

   四角号碼増訂王雲五小字彙     王   雲 五      内 山 書 店

   発音小辞典               〃            〃

   国音学生字彙           方 毅・馬 滬         〃

   ポケット中国語辞典        宮島吉敏・矢野藤助    愛  育  社

   北京語の発音           魚 返  善 雄     文  求  堂

   広東語の発音              〃            〃

   中国文化読本           魚 返  善 雄     開  成  館

   倉石中国語教本(1―5)     倉 石  武四郎     弘  文  堂

   中国語法読本              〃         日 光 書 院

   急就篇・同前訳          宮 島  大 八     内 山 書 店

   官話指南             鄭永邦・呉啓太         〃

   現代中国語法入門         熊 野  正 平     三  省  堂

   華語助動詞の研究         平 岩  房次郎     養  徳  社

                    鳥 居  鶴 美

   中国慣用語句例解         三 原  増 水     第 三 書 房

   第一歩からの中国語独習書     有 馬  健之助        〃

   速成広東語            影 山    巍     文  求  堂

   大公報・文涯報(新聞)                   香     港