家 庭 経 済 目 録
    ま え が き
    総  目  標
    単元1 家庭の収入
  単元2 家庭の支出と予算
一般家庭 単元3 買い物をじょうずにし,物価騰貴をおさえるには
  単元4 じょうずな消費
  単元5 収入の余った場合,不足した場合
    単元6 家計簿記のくふうと記入
選  択  
  単元7 家庭の経済準備(貯蓄および保険)
 

  ま え が き

 これまでの家庭科では,その学習を指導するに当って,とかく家庭管理や家庭経済の部面を,その他の部面ほどに重要視せず,またその内容の取り扱いが必ずしも実際的でなかったうらみがある。

 新しい日本をつくるためには,今までよりもっとよい家庭生活を建設しなければならない。しかるに一般家庭の主婦は,ただただ家庭内の毎日の仕事に追いまわされ,また一般家庭の生活は,食物費に収入の七割前後を奪われ,生活の充実向上はおろか,その安定さえもおびやかされているありさまである。

 ここに取りあげたものは,新しい日本を建設するために,現在の日本の家庭が,解決を求められている時間と労力および物と金の能率問題である。これらの課程を学習することによって,生徒を通してその家庭生活を刷新することができるであろうし,またそれを切望するものである。

 これまでは主婦が朝早くから夜おそくまで,ただただ家庭の仕事に忙殺され,また家庭生活に没頭することをもって,日本女性の一大美点であるかのようにみずから考え,また他からもそうされて来たのであるが,今後の日における主婦の生活は,もっと広い視野から見直されなければならない。すなわち家務に忙殺されるのではなくて,時間と労力および物と金との余裕を生み出し,家庭生活を楽しむとともに,読書や研究によって教養を高め,あるいは近隣・友人・親類とのよい間がらをつくって,ともに向上し,あるいは職業,社会事業に従い,かくして社会の一員としての責任をも,十分に果たすべきである。

 家庭経済を安定向上させるには,適当な収入を得ることが,もとよりたいせつであるけれども,その支出および物の消費を正しくじょうずにすることも,またこれに劣らず肝要である。その上そのことは,健全な産業を栄えさせ,物価を安定させて,住みよい日本をつくるためにも,必要欠くことのできない条件である。

 指導方法として,この部面は実習が少ないので,指導材料を十分豊富に持っていなければ,その目的を達成することが困難であろう。

 ここにあげた事がらは,たとえばせんたく,そうじ,台所のあと片づけなど,家務一般にわたっての標準を示したものである。生徒がこれを家庭で実際におこなった結果に,努力のかいを見いだすことができたならば,よい実習だということができるであろう。また考えようによっては,学校内でも実習ができる。すなわちたとえば家庭科としての設備が不十分であっても,生徒の手によって学校の諸設備を整理したり,備品の購入年月・価格・使用年限などの記録をつくったり,これらを修繕することなどは適切な,実習とみなすことができる。

 指導の一手段として,たとえば二組か三組をいっしょにして,専門家を招き,一,二時間を使って,台所道具の取り扱い,修繕などについて実習したり時間をじょうずに使う能力を養うために,あるいは社会事業に活躍している婦人を招いて,どうしてその時間を生み出すことができるかを聞き,あるいは図書館の司書を招いて,生み出した時間でどんな本を読んだらよいか,その指導を受け,あるいはその地方で模範とされる主婦を招いて,家庭外にどんな奉仕をしているか,またどんな社会施設を利用しているかを,話してもらうことも大いに価値のあるものである。

 

  総 目 標

1.正しい生活基準をまもり,家庭経済の安定と向上とをはかって行くために,必要な知識と能力とを身につけること。

2.経済生活を良心的に営む信念と態度とを持つようになること。

3.経済社会を繁栄させて物価を安定にし,また社会の幸福を増すことに,消費者の立場から寄与する精神と実践的態度とを養うこと。

 

  単元1 家庭の収入
目  標
指   導   内   容
学   習   活   動
参  考
1 正しい生活
 基準をまも
 り,また,家
 庭経済の安定
 と向上とをは
 かって行くた
 めに,まず家
 庭には収入,
 ことに所得の
 必要なこと,
 および収入の
 種類について
 理解を深くす
 ること

 

 

 

 

 

2 所得の源泉
 である勤労お
 よび財産につ
 いて,勤労に
 励み,財産を
 正しく使うこ
 とが,社会の
 福祉増進に貢
 献することを
 理解すること

 

 

 

 

 
 

3 正しい手段
 で所得を得,
 正しい態度で
 生活する信念
 を養うこと

 

 

 

 

 

4 収入の側か
 ら生活の安定
 と向上とを得
 るには,所得
 の余裕と安定
 とがたいせつ
 であることを
 理解し,その
 実現にくふう
 努力する精神
 を養うこと

1 家族の生活に必要な収入,ことに所得

 
 (1) 家族の暮らしむきが安定であり,向上して行くことは,
  よい家庭生活の重要な一条件であるが,それにはまず継
  続的に貨幣の収入をはからなければならないこと――家
  庭生活を幸幅に営むには,衣食住をはじめ,いろいろの
  物が必要である。しかし現代の家庭は自給経済ではなく,
  交換経済の生活を営んでいる。そこで貨幣の収入を継続
  的に得なければ,家庭の生活を続けることができない。

 (2) 収入のおもな種類

 イ.経常収入,すなわち所得と,臨時収入との区別――
  家庭は所得によって生活するのが健全であること。

 ロ.実収入と,実収入外の収入との区別――家庭は実収
  入,ことに,その中の所得によって暮らすのが健全で
  あること。

 

 

 

2 家族の生活をささえるためにことにたいせつな所得は,
 いろいろな物から生ずるが,結局は勤労するか,財産の活
 用によってはいって来ること。――勤労の尊さと義務,お
 よび私有財産権を正しく使う義務。

 

 

 

 

 

 

 

 

3 勤労所得のおもなもの,財産所得のおもなもの――それ
 を所得する者の正しい生活態度。

 

 

 

 

 

 
 

4 家庭の収入が,余裕があり,安定でなければ,よい家庭
 生活は営みにくい。

  収入の余裕と安定とを増すには,

 (1) 他の家族の者も働いて所得を得る

 (2) 本職業のかたわら,副職業をも持つ

 (3) 財産をいろいろの種類や場所に分散する
 というように,所得を生ずる源泉に,危険分散主義を応用
 することがたいせつである。また生徒の境遇では,家事を
 手伝って,使用人なしですむようにしたり,家庭菜園をつ
 くったり,家具の破損を修理したり,持ち物をなが持ちさ
 せたりなどして,家庭の支出を減らすことによって,間接
 に収入の余裕をつくることに,協力することができる。 

1 問題または討議

 (1) よい家庭生活とは,どんな生活か。

 (2) 収入を継続して得ることができなかったならば,家族の暮
  らしはどうなるであろうか。

 (3) これまでに収入を得たことのある経験について,その目的・
  苦心・努力・喜び・金額・使途などを話し合う。

 (4) 臨時収入や実収入外の収入で,毎日の生活をささえて行っ
  ては,どうなるであろうか。

 (5) 所得によって家族の生活をささえるのがなぜ健全であるか。

2 調査

 (1) 級の共同作業によって,級または学校全体の生徒について,
  その家庭の職業および収入を調査して,表をつくる。

  イ.職業および収入の種類,その調査,家庭数に対する割合

  ロ.臨時収入の種類

  ハ.勤労所得は家族のだれが得るか

3 問題または討議

 (1) 憲法は職業選択の自由をなぜ認めているか。また,私有財   産権をなぜ認めているか。

 (2) どういう理由から,肉体的労働にも,精神的労働に対する   と同様な敬意をはらうべきであるか。

 (3) 財産が,家族の勤倹力行によってできた例を話し合う。

 (4) また財産が,社会の恩感によってできるものである理由を   考え,その理由と実例とを話し合う。

4 調査

 (1) 生徒について,その家庭の財産の種類を調べ,更にこれを,   動産と不動産とに分類する。

 

5 問題または討議

 (1) 日本の経済を破壊から再建に向かわせるには,勤労所得を
   得るについて,どんな態度であるべきか,それぞれの勤労所
   得について考える。

 (2) その所得高は,一般に何によって定まるか(イ)賃銀・給料,
  (ロ)利潤,(ハ)給料,(ニ)諸種の謝礼,(ホ)地代, (ヘ)利子

 (3) 地代,ことに大都市の地代は,社会の進歩につれて,あが
  る傾向が強い。その理由および地主の家庭の正しい生活態度
  の具体策を考える。

 (4) 利子だけで暮らしている家庭では,その生活に対する考え
  方をどう改めたらよいか。

 (5) 利率低落の傾向は,なぜ経済社会の健全な発達を助けるこ
  とになるか。

 (1) 勤労に危険分散主義を応用して,その所得を安定させるこ
  とのできた例はないか。

 (2) 財産に危険分散主義を応用する方法を,具体的に考える。

 (3) 銀行預金に危険分散主義を応用してあったために,利益の
  あった実例はないか。

 (4) 株券の所有に危険分散主義を応用するには,どうすればよ
  いであろうか。

 (5) どんな家事の手伝い,または手づくりをして,間接に収入
  の余裕を増すことができたかを話し合う。

 (6) どんな手伝い,または手づくりをして,間接に家庭の収入
  に余裕をつくろうと考えるか,将来の計画を立て,その実行
  の結果を報告する。 

家族経済学
総論・収入論・

支出論

(松平友子)

東洋経済新報 
その他の経済雑誌

 

新聞

 

  単元2 家庭の支出と予算
目  標
指   導   内   容
学   習   活   動
参  考
1 家庭の支出
 の内容・種類
 などに対する
 理解を深め,
 予算をつくり
 家計簿記を記
 入する素地と
 すること

 

 

 

 

 

2 所得の高と
 生活費の割合
 との関係,お
 よびそれらの
 生活費ことに
 文化費の役割
 を認識して,
 正しい生活基
 準をまもりな
 がら,生活の
 充実向上をは
 かる意欲を強
 めること

 

 

 

 

 

 

3 文化費ひい
 ては所得の少
 ない多数の家
 庭に対して,
 あたたかい同
 情を持ち,収入
 の余りをつ
 くって社会に
 経済的奉仕を
 することを喜
 びとする精神
 を養うこと
 
 

4 正しい生活
 基準に対する
 認識を深め,
 その実践に対
 する信念をか
 ためること

 

  

5 正しい生活
 基準をまも
 り,一定の収
 入のもとに最
 も充実した生
 活を営む手段
 として,予算
 生活の必要を
 理解し,適当
 な予算をつく
 る能力と予算
 生活を励行す
 る興味とを養
 う

1 生活のための支出

 (1) 時間上の区別――現在の生活のための支出と,将来の
  生活の備えとしての支出(時には過去の生活のため――
  負債――の支出)

 (2) 対象上もしくは目的上の区別――生活必要費(食物費・
  被服費・住居費および光熱費)と文化費(衛生費・教化
  費・交際費・公共費その他)

 (3) 性質上の区別――費と臨時費

 (4) 純財産高に及ぼす結果上の区別――実支出と実支出外
  の支出

 

 

2 所得の高と生活費の割合どの開係およびそれらの生活費
 の役割

 (1) 所得の高と食物費の割合,および食物費の役割

 (2) 所得の高と被服費の割合,および被服費の役割

 (3) 所得の高と住居費の剤合,および住居費の役割

 (4) 所得の高と光熱費の割合,および光熱費の役割

 (5) 所得の高と文化費の割合,および文化費の役割

 
 
 

3 家庭の文化費を多くするくふう

 (1) 生活必要費をじょうずに使って,少ない費用でその効
  果をあげる。

 (2) 社会施設を利用する。

 

4 収入の剰余をつくって,所得の少ない家庭のために,間
 接に文化費を捕うための,経済的奉仕を喜んですること―
 ―明かるい文化の高い社会の建設に,寄与することかでき
 る。

 

 

 

 

5 正しい生活基準のめやす

 (1) 明かるくて不安のない生活は,負債があっては望めない
  こと――正しい生活基準は,収支のつりあいを得ること。

 (2) 生活の安定向上には将来の備えが必要なこと――正し
  い生活基準は,収支のつりあいを得るだけでなく,どれ
  だけが収入を余すことをめやすとすべきこと。

 

6 正しい生活基準をまもる最も有効な手段は,予算生活を
 励行することであること。

7 支出の予算をつくるには

 (1) 民主的手段によって,家族間に理解と協力とを得る

 (2) 家庭の収入の種類や金額を明らかに知る。

 (3) 経常収入からは,経常費だけでなく,その必要な金額
  と時期とがだいたいわかっている臨時費をも出す計画に
  する。

 (4) 臨時収入は,非常の場合および特別の目的(旅行をす
  る,ミシンを買うなど)に備える方針で,計画する。

 (5) 支出科目間のつりあいを適当にとる。――家計調査や
  学者の理想配当を参考とし,家族間の正しい要求や必要
  を,できるだけ多く満足させることのできるように計画
  する。 

1 表をつくること,観察すること。

 (1) 級の共同作業によって内閣統計局家計調査をもととして表
 をつくり,次のような事がらを観察する。

  イ.収入別一箇月一世帯平均総支出内訳を調べて,総支出を
   時間上から区別し,その比率をも調べる。

  ロ.収入別一箇月一世帯平均実支出内訳を調べて,実支出を
   対象上からと性質上からと区別しまたその各比率を調べる。

2 問題または討議

 (1) どんな物に支出すれば,それを食物費とするか。家族の生
  活に,それはどんな役割を持っているか。

 (2) 同じく,被服費以下についてどうか。

3 表をつくること,観察すること。

 (1) 上の表によって

  イ.最も割合の多いもの,その次に多いものは何費か,何%
   ぐらいか,また「その他の諸費」の割合は,何%ぐらいか
   を調べる。

  ロ.収入の多少によってその割合が,特に目だって増減する
   傾向のある生活費は,どれどれか,収入の少ないほど,ど
   ういう傾向を示しているかを観察する。

  ハ.同一収入階段では,給料生活者と労働者との間に,生活
   費の割合について,どんな異同の傾向があるか。食物費・被
   服費・住居費・光熱費およびその他の諸費について観察する。

 (2) 級の共同作業によって,各自家庭の支出内訳を材料として
  集計した結果を表につくり,(1)に準じて観察する。

4 問題または討議

 (1) 生活費中,一般に食物費の割合が最も多く,しかも所得の
  少ない家庭ほど,その割合を増すのはなぜであろうか。

 (2) 家庭の文化費を間接に補う社会施設に,どんなものがある
  か。
 

5 討議

 (1) どこの家庭も,それぞれに相当の文化費を持つことのでき
  る世の中は,明かるくて幸福な社会ということができる。家
  庭の立場から,どうすれば,そのような社会をつくることが
  できるかを話し合う。

 

 

 

6 問題

 (1) 家庭の支出が,その収入につりあうようにするには,どう
  すればよいか。収支のつりあいを得ることがなぜたいせつか。

 (2) 不時の出費があっても,つねに収支のつりあいを保つこと
  ができるためには,平素どんな心がまえがたいせつか。

 (3) 将来の備えをつくるには,平素の生活基準をどうすればよ
  いか。

7 問題または討議

 (1) 予算を立ててこづかいを使った場合と,立てないで使った
  場合との結果を比較して話し合う。

 (2) どうすれば予算に対する家族の理解と協力とが得られるか。
  また,これらが得られないとなぜいけないか。

 (3) 租税や保険料の支払に備えて予算をつくるには,どうする
  か。

 (4) 冬の光熱費の増加に備えて予算をつくるには,どうするか。

 (5) 臨時費の予算をとる必要がないのに,臨時収入がある場合
  には,それをどう処置する計画にするのがよいであろうか。

8 話を聞く

 経験の豊かな主婦を招いて,予算生活の実際について話を聞く。

9 実演

 予算をつくるための,家族会議を劇にするのもよい。

10 実習

 (1) 自分のこづかいについて,予算を立てる。

 (2) 共同作業によって,牧入の大・中・小のそれぞれにつき,
  予算をつくる。

 (3) 最少限度に必要な家具の種類とその費用,またそれがあれ
  ば生活を豊かにすることができると考える家具の種類と,そ
  の費用の見積もり,それをどんな収入から買うかを計画する 

家族経済学提要 総論・収入論・
支出論

 

家事会計論・経済準備論
(松平友子)

 

 

 

内閣統計局家計調査報告

生計費論
(中川友長)

 

最低生活費の研究
(安藤政吉)

 

  単元3 買い物をじょうずにし,物価騰貴をおさえるには
目  標
指   導   内   容
学   習   活   動
参  考
1 自分や家族
 の買い物をじ
 ょうずにする
 関心と能力と
 を養うこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 物価に対す
 る認識を深め
 より少なく支
 出して,より
 多く効果をあ
 げ,そしてよ
 り多くたくわ
 えることに社
 会的責任感を
 強めること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

  

3 価格および
 配給の統制が
 現在の日本に
 必要なわけを
 理解し,物価
 騰貴をおさえ
 て,一日も早
 く住みよい日
 本とするため
 に,統制を支
 持し,これに
 協力して,明
 かるい自信の
 ある生活を営
 む精紳と態度
 とを養うこと

1 買い物をじょうずにする一般的注意――物は買い入れ方
 によって高くつく。

 (1) 平素から望ましい態度を持つこと。

  イ.用途の同じ品物をいろいろと比較研究しておく。

  ロ.買う店の信用・特長などに注意をはらっている。

  ハ.団体購入や消費組合(生活協同組合)の利用につい
   て,研究しておく。

  ニ.好機をのがさず買いおく方がよい物,その都度必要
   量だけ買う方がよい物,現金買いがよい物,月賦買い
   でもよい物は,それぞれ何であるかを研究しておく。

  ホ.被服類・家具類などについては,あらかじめ買い物
   表をつくり,時間と交通費との節約をくふうすること

 (2) 買い入れに際して必要な注意

  イ.ぜひ必要な物か,収入にふさわしい物かどうか。

  ロ.品質をよく調べ,レッテルに注意する。

  ハ.価格が公正であるか,数量が正確であるか。

  ニ.他の店の物と比較する。

  ホ.持ち帰ることのできる買い物は,配達させないで,
   持って帰る。

 

 

 

 

 

2 物価の上がり下がりするわけと,それを望ましい状態に
 する方法

 (1) 物はまた,その時の物価が高ければ,買い物が高くつ
  き,無益に支出がかさむこと。

 (2) 物価は一面,個々の物の需要と供給との関係で,変動
  すること。

 (3) 物価は他面,貨幣の需要と供給との関係,ことにその
  数量の増減によって騰落すること。

 (4) 日本における最近の物価変動の状態

 (5) 消費者側から物価騰貴をおさえる方法

  イ.通貨を縮少させ,また産業資金を豊かにするために,
   貯蓄および保険を奨励すること。

  ロ.不合理な需要をおさえ,また健全な産業を栄えさせ
   るために,消費を節約し,物を活用すること。

  ハ.配給組織を合理化し,価格や配給の統制を,支持し
   協力すること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3 生活必需品の価格および配給の統制と,消費者の支持協
 力

 (1) 生活必需品の価格および配給統制の実情と,その理由

 (2) これに対して消費者が理解し,支持協力する方法をく
  ふうし,実行すること。

  

1 問題と討議

 (1) たとえば100円で買える副食物の種類,数量を調べ,その
  栄養価値を比較する。

 (2) 調理実習の買い物当番が買って来た品物について,その
  じょうず・へだを批評し,その理由を話し合う。

 (3) じょうずな買い物,へたな買い物の経験を話し合う。

 (4) まとめて買う方がよい物,およびそのよい時期と,その都度
  必要なだけを買う方がよい物の例

 (5) 適当な機会にまとめて買うことのできる用意はどうするか。

 (6) 規格品または既製品を買うことの可否を話し合う。

 (7) 現金買い,掛け買い,月賦買いの可否を論ずる。

 (8) どんな店から買うのがよいか。

 (9) 個人商店,消費組合,団体購入の優劣を話し合う。

 (10) 消費組合に加入している家庭の者は,その組織や実状を話
  す。それがもし,成績のあまり思わしくない場合には,その
  原因や理由を探索する。

2 調査

  レッテルまたは広告を集め,商品の種類,用途,製造所など
 の表をつくる。

3 練習

  食料・衣料・身のまわり品・食器・家具・学用品などを持ち
 寄り,その品質の良否を判別することを練習する。

4 実演

  考えなしで買い物をする客と,注意深く,じょうずに買い物を
 する客との劇をし,これについて級で討議するのもよい。

5 問題または討議

 (1) 増産されて供給が増せば物価はどうなるか。また一般家庭が
  ぜいたくや浪費をして,不必要な需要を起せば物価はどう
  なるか。

 (2) 一般に生活程度を高めれば,需要は増して物便は高くなる
  傾きがある。生活程度を高めても,物価の高くならないよう
  にするには,どうすればよいか。これを生産,すなわち供給
  と,消費,すなわち需要との例から考えて,それぞれの手段
  を話し合う。

 (3) 政府の財政がつりあいを得ないで,赤字公債を出す結果,
  通貨膨脹を来たした時に,貨幣の価格はどうなるであろうか。

 (4) 貨幣の価格が暴落すれば,物価はどう変わるか。またその
  結果,経済社会の各方面に,どんな影響があるであろうか。

 (5) 通貨を縮少させるには,一般家庭ではどうすればよいか。

 (6) 生産を増すに必要な産業資金を多くするには,家庭でどう
  すればよいか。

 (7) 社会の限られた生産力が正しく使われて,健全な産業が栄
  え,生産を豊かにする物の生産が増すことを促すには,消費者は  どうすればよいか。

 (8) 粗悪,不正もしくは偽造商品の実例,およびその製造・販
  売に対する消費者の対策,政府のこれに対する消費者保護の法律  や施設の例を話し合う。

 (9) 新聞・雑誌などの広告を批判する

6 調査

 (1) 日本銀行調査の物価指数と,日本銀行券発行高とを調べて,
  グラフにする。

 (2) 商品を限定し,それについて,その地方における価格の動
  きを調べ,その原因を研究する。

 (3) 一定の商品について,その配給径路と各段階の価格とを調
  べる。

7 見学

  一般商店・配給所・消費組合・小売り市場・卸売り市場など。

8 問題または討議

 (1) 登録制や通帳または切符制によって,現に配給されている
  物の名称・数量,これらの統制がよく行われているかどうか。
  なぜ統制する必要があるか。統制がよく行われていない場合
  には,その理由を反省する。

 (2) やみ市について論ずる

 (3) 優良品や模範優良店を,推奨する実行方法を話し合う

 (4) 値下げ運動や,不正商人への不買同盟について話し合う

9 練習

 (1) 配給調味料の消費計画をつくる

 (2) 衣料切符の点数の消費計画をつくる

家族経済単提要 総論・収入論・

支出論

(松平友子)

 

日本経済の生態

(波多野鼎)

 

東洋経済

新報のような経済雑誌

 

新聞

 

 

  単元4 じょうずな消費
目  標
指   導   内   容
学   習   活   動
参  考
1 物の価値を
 知り,浪費や
 ぜいたくの害
 悪を悟って,
 これをたいせ
 つに使う精神
 を養うこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 自分の持ち
 物や日用品な
 どを節約する
 能力と実践的
 態度とを養う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

3 廃物や未利
 用物を利用す
 る興味と能力
 とを養うこと

 

 

4 科学的で簡
 素な生活様式
 を建設して,
 日本経済の再
 建と,その後
 の発展に寄与
 する喜びと信
 念とを持つよ
 うになること

1 生活の豊かさと消費のしかた――予算額を最大限度に生
  かして,充実した生活をするには,買い物のしかたのほか
  に,更に消費のしかたが大いに関係すること。

2 物をたいせつにしなければならない理由と,浪費やぜい
 たくの害悪

 (1) 物をたいせつにしなければならない理由

 (2) 浪費やぜいたくの害悪

 (3) 浪費やぜいたくに陥っていないかを,日常生活につい
  て反省すること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3 消費をじょうずにするくふう

 (1) 学用品について

 (2) 食物について

 (3) 被服について

 (4) 住居について

 (5) 光熱について

 (6) 教化・娯楽・交際などについて――せっかく文化費
  の予算を相当にとることができても,その使い方が正し
  くない時は,真の文化生活を楽しむことができないもの
  であること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4 破損品や廃物,未利用物を利用するくふうと実行

 

 
 
 

5 日本経済の再建と家庭の消費

 (1) 国内消費量の約80〜90%は,家庭で消費するといわ
  れていること。

 (2) 日本経済を再建して,一般家庭が明かるくて平和な文
  化生活を営むことのできる国土とするためには,各家庭
  ですぐれた勤労力を養うこと,復興資材や生産財の輸入
  力を増すこと,生産資金をたくわえること,物価騰貴を
  おさえること,消費財を生産財にまわすことなどがたい
  せつなこと。

 (3) 上のことは,どれも家庭における消費の節約ないし物
  の活用をおろそかにして,効果をあげうるものではない。
  そこで私どもは,科学的で簡素な生活様式を建設するこ
  とに努力して,あすの明かるい平和な文化国家に対する
  希望と信念とを持ち,その実現に対する責任を喜んで分
  担すること。

1 問題または討議

 (1) 日常生活にどんなにいろいろの物が必要か。試みに,けさ
  たべた食物,使った器具,今着ている着物,持っている学用品
  などについて,数えあげてみる。

 (2) それらの費用を概算する。またその費用はどうして得られ
  たか。

 (3) 自分で物をつくった時の骨折りを語る。また,買った物を
  つくるのにどんなに多くの人が骨折ったか。

 (4) 農業・漁業などの例から,生産には天地の恩恵もあること
  を語る。

 (5) 産業を盛んにし,教育・科学・芸術・宗教などの普及発達
  に,どんなに物が必要であるかを考える。

 (6) 貧しい家庭の多いこと,自分の家でも,もっとほしい物が
  たくさんあること,住みよい社会とするのに,まだまだ物の
  不足なことを考えてみる。

 (7) ぜいたくをしたり浪費をすれば,家庭の生活はどうなるか。
  また産業資金のたくわえはどうか。物価に及す影響はどうか。

 (8) 物価が高くなれば,輸出貿易はどういう影響を受けるであ
  ろうか。一般家庭の生活はどうなるであろうか。

 (9) 生活程度が一般に低くなれば,国民の休位や教養ひいては
  勤労力はどうなるか。その結果,産業界や文化方面への影響は
  どうか。

 (10) 自分および自分の家で,ぜいたくなことや,むだをしては
  いないか。反省し合う。

2 見学

  食料品・衣料・身のまわり品・学用品・家具・薬品その他家
 庭用品の製造工場

3 問題または討議

 (1) 短くなった鉛筆,小さくなった消しゴム,その他学用品の
  使い方について話し合う。

 (2) 家族の食習慣は,食物を浪費することがあるから,反省する。

 (3) 共同献立・共同炊事の利用の可否および利用法を話し合う。

 (4) 被服・家具・食器などについて,一つ物を幾通りにも使う
  くふうをする。

 (5) どんな住居の手入れを自分でするか,またできるか。

 (6) 節電・節炭の重要性とその方法とを話し合う。

 (7) 太陽熱・魔法びん・火無しこんろの利用の実例を話し合う。

 (8) 読み物,娯楽などの選び方とその方法を話し合う。

 (9) 社会施設の利用や近隣の家庭などと協力して,物や施設を
  共同に使うくふうを話し合う。

4 練習または作業

 (1) 食物の消費について,次のような練習をする。

  イ.できるだけ少ない費用で,保健に適する献立をつくる。

  ロ.比較的短い時間で,しかも手軽な方法で,栄養があり,
   消化しやすく,家族の好みに適する調理の研究と練習をす
   る。

  ハ.残り物やくず物を出さない調理法の研究と練習をする

  ニ.各家庭が,虫やねずみの害,腐敗などによって受ける食
   料の損失がその10%,その月額60円と仮定しても,日本全
   戸数2000万ではいくらになるかを計算してみる。

 (2) 一定の上着をとり,これと調和するその他の被服を選定す
  る練習をする。

 (3) 自分のへやまたは戸だな,押入れ,台所などを立体的に利
  用する設計図をつくる。

 (4) 家庭菜園の栽培計画表をつくる。そして上の図とともに展
  示する。

 (5) たとえば,はだ着,くつ下など,すべて物をなが持ちさせ
  ることを目的としてくふうし,これを展示する。

5 展示

 (1) 自分で破損を修理した家具

 (2) 死蔵品・廃物・未利用物を更生,利用した作品

6 問題または討議

 (1) 被服の数を少なくして,しかも容儀を整え,不衛生になら
  ないようにするくふうを話し合う。

 (2) 交際費,結婚のひろう,出産祝いなどにつき,科学的で簡
  素な生活様式の立場から論ずる。

7 見学

  広い家,狭い家,文化的設備の整っている家庭,簡素ではあ
 るが科学的態度の生活をしている家庭など。

家族経済学提要
論・収入論・

支出論

(松平友子)

 

新聞・雑誌の記事

 

  単元5 収入の余った場合,不足した場合
目  標
指   導   内   容
学   習   活   動
参  考
1 予算実行の
 結果を決算す
 ることの必要
 を理解し,そ
 の方法を知る
 こと

 

 

  

2 決算して確
 定した収入の
 剰余を賢明に
 処置して,生
 活の安定と向
 上とに役立て
 る精神と能力
 とを養うこと

 

 

 

 

3 決算して確
 定した収入不
 足の処置を適
 切にし,家庭
 経済を一日も
 早く常態に回
 復させる心が
 まえと能力と
 を養うこと

 

 

 

 

  
 

4 家庭経済に
 おける負債の
 弊害を認識し
 て,平素から
 負債を生じな
 いように,注
 意努力する自
 主独立の精神
 と生活態度と
 を強めること

1 決算の必要とその方法

 (1) 買い物や消費のしかたがじょうすであったかどうか,
  予算実行の結果が,果たして正しい生活基準をまもって,
  生活の安定向上を実現することができたかどうか,予算
  のつくり方の良否などを知って,次の予算をつくり実行
  する貴重な参考資料とすること。

 (2) 収支の科目別に,予算と対照させて勘定書きをつく
  る。――家計簿記を記入しておくことが必要であること。

 

2 決算の結果,収入の剰余があった場合

 (1) 収支のつりあいを得て,収入の剰余を産み出すことに
  努めた理由は,生活の安定と向上とを得んがためである
  こと。

 (2) 従って,剰余の適当な処置として,次の方法が一般的
  に推奨される。

  イ.何かの意味で,負債となるものがある家庭では,
   まっさきに,それを返すことに使う。

  ロ.次には,非常準備金やその他の目的のためにたくわ
   える。

  ハ.生活の向上と社会への経済奉仕に使う。

3 収入に不足を生じた場合

 (1) 収入の不足を生ずる原因

 (2) 不足に対する当面の処置――次の三段ある。

  イ.預金引出金・保険金などの非常準備費でしまつする。

  ロ.それでも不足するときは,所得を生じないか,また
   は大して生じない財産を思いきって売って,しまつを
   する。

  ハ.万やむをえない場合に,負債を借り入れる。

 (3) 不足に対する根本の処置――経常的に生ずる収入不足
  に対しては,一応,当面の処置をとった上で,根本的に,
  経常収入の増加と,経常支出の節減をはかって,一日も
  早く,生活基準の立てなおしをすること。
 

4 家庭経済と負債

 (1) 家庭経済における負債は,独立心を妨げ,卑屈で暗い
  生活をしなければならない原因となるから,極力避ける
  こと。

 (2) 負債を借り入れる先

  イ.親類・友人などから借り入れる時は,とかく将来に
   おもしろくない問題を残すからむしろ避けた方がよい。

  ロ.銀行・保険会社・郵便局・信託会社・恩給金庫・庶
   民金庫・質屋などが,それぞれの条件によって金の貸
   し出しをしていること。

 (3) 負債を返す方法――前記の根本的処置をすみやかに
  とって返すよりほかに,道がないこと。 

1 問題または討議

 (1) 予算をつくり,実行しても,いっこうに決算をしなかった
  ならば,どうであろうか。

 (2) 決算の結果,収支の関係がどんな状態であることが明らか
  になれば,満足してよいか。

 (3) 決算をするには,収入や支出を科目別にした金額が,はっ
  きりわからなければならない。それを知るにはどうすればよ
  いか。

 (1) 家庭の生活基準をしだいに高めて行くには次のような場合,
  収入の剰余をどう処置すればよいかその処置の理由も考える。

  イ.やお屋に青物代150円,家主に先月分の家賃300円の借り
   があって,本月分の収入が250円余った場合。

  ロ.家主に滞り借金がまだ100円残っていて,本月分の収入
   が300円余った場合。

  ハ.どこの払いも滞っていなくて,またどこからも借りがな
   いけれども,医薬費・出産費・結婚費・葬祭費などの臨時費の
   備えは,まだ心細い状態であって,収入の余った場合。

  ニ.将来の備えができる見通しがだいたいついていて,余っ
   た場合。

  ホ.家庭は社会に対して,どんな経済奉仕ができるか。また
   どんな奉仕が望ましいか。

 (1) 家庭はどんな原因から,収入の不足を生ずるであろうか。

  (イ)収入の側から生ずる原因,(ロ)支出の側から生ずる原因,(ハ)
  経常的性質を持つ原因, (ニ)臨時的性質を持つ原因に分けて列挙
  する。なぜならば,経常的原因から生じた収入不足の場合
  には,当面の処置の上に,根本的に不足を生じないような処
  置が必要であるからである。

 (2) 収入不足に対する当面の策として,どんな方法があろうか。
  それらをどの順序でとればよいか。その理由も考える。

 (3) 経常的に生ずる収入不足を,根本的に生じないようにする
  具体的な方法を話し合う。

 (4) 生活基準を立てなおす一つの手段として,住居を家賃の安
  い手ぜまな家に移すことが推奨されるのはどうしてであろう。

 

 (1) 家庭の負債には,どんなものがあるか。その利害はどうか。

 (2) 家庭の負債はどんなところから借り入れることができるか。

 (3) 親類・友人などから借りることは,避けた方がよいといわ
  れるのはなぜであろうか。

 (4) 親類や友人などから負債を申し込まれた場合にどうするか。

 (5) 負債を返す方法は,どうするか

2 見学

  質屋・庶民金庫・恩給金庫の業務(銀行・信託会社・保険会
 社の貸付業務の見学は貯蓄に関する単元指導の機会に兼ねる。)

3 調査

 (1) 銀行・簡易生命保険・保険会社・信託会社などの貸付の条件

 (2) 質屋・庶民金庫・恩給金庫について

家族経済学提要家事会計論,
経済準備論

(松平友子)

 

二宮翁夜話
(福住兄)

福翁自伝
(福沢諭吉)

 

  単元6 家計簿記のくふうと記入
目  標
指   導   内   容
学   習   活   動
参  考
1 家計簿記の
 記入が予算生
 活の第一歩で
 あることを理
 解し,帳簿を
 くふうする能
 力を養うこと

 

 

 

 

2 家計簿記を
 正しく記入す
 る興味と能力
 とを養い,つ
 いにはこれが
 記入の習慣を
 持つようにな
 ること 

 

  

  

3 家計簿記の
 決算を行う手
 続および方法
 を理解し,予
 算生活を営む
 上に,これを
 役立てる意欲
 と実力とを持
 つようになる
 こと

1 家計簿記と予算生活――数字のないところに,計画は立
 たない。予算を立て,これと照らし合わせながら,実際に
 収支し,会計期未に反省を行い,正しい生活基準をまもり
 ながら,生活の安定向上を期待するには,必ず家計簿記を
 正しく記入しなければならないこと。

2 家計簿記に記入する材料――簿記学上の取引

3 使用帳簿の組織のくふう

 

 

 

4 使用帳簿の任務および記入法

 

 

 

 

 

 

5 家計簿記における決算の手続および方法――帳簿の締め
 切りと表の作成

1 問題または討議

 (1) こづかい帳を記入しているか。それによって,どんな便益
  を経験しているか。

 (2) 各自の家庭では,金銭出納の責任をだれが担当しているか。
  その責任者は,家計簿記を記入しているか。つけている場合
  には,つける理由,その毎日のおよその時間数,つけていな
  い場合には,つけない理由を尋ねて来て,級で検討し合う。

 (3) 家計簿記は,どんなことを材料として記入するものであろ
  うか。その実例をあげてみる。

 (4) 市販および家庭で記入の家計簿記を持ち寄り,その組織や
  形式を比較研究し,いずれによって級の記入練習をなすべき
  かを,話し合いできめる。

2 作業または練習

 (1) 級の共同作業によって,その地方における中等程度の給料
  生活者の家庭に例をとり一箇月分の収支の仮設例題をつくる

 (2) きめた使用帳簿のけい線を引き,各帳簿をつくって,その
  任務を話し合う。

 (3) 上の仮設例題を,どの帳簿のどの欄に記入すべきかを見わ
  ける練習をする。

 (4) つくった帳簿に,上の仮設例題を記入する。なお,その所
  要時間を記録しておく。

 (1) 家計簿記の決算を練習する。――使用帳簿を締め切り,表
  を作成する。なお,その所要時間を記録しておく。

 (2) 記入および決算に要した時間数の,それぞれの級の平均を
  算出し,更にその一日分平均を出してみる。――練習を積め
  ば,所要時間を大いに短縮することができるであろう。

 (3) 練習して得た経験から,各自,家計簿記の組織および形式
  をくふうし,または他の市販のものを選び,これに同じく仮
  設例題を記入決算する。なお,その所要時間をそれぞれ記録
  しておく。

 (4) その結果を級でいっせいに練習したものと比較して調べる。

  イ.その答は一致しているか  ロ.所要時間はどうか
  ハ.記入の難易はどうか    ニ.答の一致しない場合には,
    その正否と原因とを探究する。

3 討議

 家計簿記の練習をして得た感想,および今後,各自家庭の簿
  記を記入する責任を分担するくふうについて話し合う。

種々の家計簿記の帳簿

家事経済新講

家族経済学提要 家計簿記論
(松平友子)

 

標準家計簿記教科書
(有本邦造)

 

  単元7 家庭の経済準備(貯蓄および保険)
目  標
指   導   内   容
学   習   活   動
参  考
1 生活の安定
 向上に備える
 ことの必要,
 ならびにその
 手段としての
 貯蓄および保
 険の機能を理
 解し,その励
 行に努める意
 欲を強めるこ
 と

 

 

 

2 貯蓄および
 保険の利用が,
 産業資金の供
 給と物価の安
 定とをもたら
 し,住みよい
 経済社会をつ
 くる一大原動
 力となるわけ
 を認識し,そ
 の励行に対す
 る社会的,経
 済的責任感を
 深めること

 

 

 

 

 

3 家庭経済上
 に適当な貯蓄
 の種類とその
 概要とを知っ
 て,これを適
 切に利用する
 能力と精神と
 を養うこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4 家庭経済上
 に適当な保険
 の種類とその
 概要を知って
 これを適切に
 利用する能力<
 と精神とを養
 うこと

1 生活の安定向上と将来への経済準備

 (1) 生活の安定向上を妨げる種々の事がら

 (2) これらの事故に対する手段

  イ.極力事故を予防すること。

  ロ.起った事故を,早くとりしずめること。

  ハ.事故による損害を救うための経済準備をすること。

 

 

 

2 貯蓄の機能

 (1) 家庭経済上の機能

 (2) 経済社会上の機能

3 保険の機能

 (1) 家庭経済上の機能

 (2) 経済社会上の機能

 

 

 

 

 

 

 

4 家庭経済上に適当な貯蓄の種類とその概要

 (1) 預貯金――郵便貯金・銀行預金など

 (2) 有価証券――公債証券・債券・株券

 (3) 信託――指定金銭信託・生命保険信託など

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5 家庭経済上に適当な保険の種類とその概要

 (1) 生命保険――終身保険・生存保険・養老保険・年金保
          険など。

 (2) 社会保険――簡易生命保険・郵便年金・健康保険・厚
          生年金・失業保険など。

 (3) 火災保険――動産保険・不動産保険など。

6 貯蓄および保険の長短と,その利用法

1 問題または討議

 (1) 各自はどんな目的から貯蓄しているか。またどんな場合に
  貯蓄を引き出したか。

 (2) 家庭の収入は,どんな事故のために不安定となるか。

 (3) 家庭の支出は,どんな事故のために,臨時に多くいること
  になるか。

 (4) 生活不安を起すこれらの事故に対して,どんな方法をとる
  べきか。またとっているか。

  イ.事故の起るのを予防する手段として

  ロ.起った事故の拡大を,極力早くとりしずめる手段として

  ハ.事故による損害を,救うための経済準備として

 (1) 貯蓄の形式には,死蔵と投資との二種がある。家庭経済の
  立場から,死蔵と投資とに区別して,貯蓄の機能を話し合う。

 (2) 経済社会の立場から,同じく死蔵と投資とに区別して,貯
  蓄の機能を話し合う。

 (3) 収入のあった時すぐたくわえる場合と,そうでない場合,
  およびいつでも引き出せる貯蓄と,安定性のある長期の貯蓄
  とでは,貯蓄の社会的機能がどうちがうか。

 (4) 産業資金を供給し,物価を安定にするには,結局どんな条
  件を備えた投資が,奨励されなければならないか。

 (5) 家庭の経済準備としては,貯蓄するほかに,いろいろの保険
  が利用されている。ことに死亡や火災などに対しては貯蓄よ
  りも保険の方が広く利用されている。なぜであるかを論ずる。

 (6) 保険会社は,保険料でつくった一種の団体基金を,安心し
  て長期の投資に運用することができるのは,なぜであろうか。

2 調査および作表

  できれば,諸国における貯蓄および保険利用の統計を調べ,
 その比較表をつくる。

3 問題または討議

 (1) 普通預金や定期預金や当座預金を,実際に預け入れ,又引き
  出した経験を持っている者が,その手続を具体的に話し合う。

 (2) どの種類の預貯金をするのが適当か(イ)さしあたり入用
  のない手許金 (ロ)租税,保険料,冬場の光熱費などの積立金
  (ハ)結婚費,家屋改築費などの準備金。

 (3) 私どもの貯蓄で国債を消化することが,物価を安定にし,
  私どもの貯蓄をまもることになるのは,なぜであろうか。

 (4) 有価証券の相場の変動が,株券にことに激しいのはなぜか。

 (5) 株券の相場の変動から生ずる利益を目的として,株券を
  売ったり買ったりすることが,なぜ家庭経済上からは,最も
  慎むべきことであるかを話し合う。

 (6) 有価証券への投資について必要な注意事項を話し合う。

 (7) 生命保険信託が,なぜいっそう十分に遺族保護の目的に適
  することになるか。

4 調査および作表

 (1) 共同作業によって,級の家庭でしている貯蓄の種類,その
  間の利用の比率を調査して,表をつくる。

 (2) 郵便局・信用組合・銀行・証券会社などの営業案内や,新
  聞・雑誌の営業広告などを集めて,次の事項を調べる。

  イ.預貯金について――(イ)郵便貯金,その他の貯金(貯蓄
   預金),銀行預金のそれぞれについて,種類・内容のだいた
   い,利子 (ロ)預金と貯金との異同 (ハ)比較的安定性の
   多いもの (ニ)預貯金された資金は,どんなことに運用さ
   れているか (ホ)どんな銀行を選んで預け入れればよいか。

  ロ.有価証券について――(イ)その種類,内容のだいたい,
   利子および利まわり (ロ)長期安定性を持った貯蓄と見ら
   れる理由 (ハ)社債と株券との相逢点 (ニ)国債,主要な
   債券ならびに株券の相場変動の状況

 (3) 営業案内や新聞,雑誌の広告などにより,信託会社の業務の
  種類を調べ,その中から,一般家庭の利用に適当なものを選ぶ。

 (4) 指定金銭信託について,次の事がらを調べる。

  (イ)内容のだいたい (ロ)銀行預金との異同  (ハ)どんな目
  的に利用すればよいか。 (ニ)契約の手続(会社へ出向いてす
  る場合と,会社の所在地とちがった土地にいてする場合と)

5 見学

 郵便局・信用組合・銀行・信託会社・有価証券取引所などの業務。

6 問題または討議

 (1) 社会保険の制度は,今後ますますその普及と充実とが望ま
  れるのはなぜか。

 (2) 火災保険の保険料はいくらぐらいか。実例を話し合い,
  それに差のある原因を考える。

 (3) 保険料の払込方法も話し合う。

 (4) 火災保険金額は,被保険物の時価を越えて契約しても,
  その超過額は法律上,無効とされているから,注意しなければ
  ならない。なぜ無効とすべきか。

 (5) 貯蓄と保険とを比較して,その異同を話し合う。

  イ.経済上の必要を生じた場合に,これを満たすことのでき
   る程度

  ロ.ある種の事故に備える目的で蓄積した場合,他の種の事
   故のために必要ができたときの融通性

  ハ.蓄積を続けなかった場合にこれまでの蓄積はどうなるか。

 (6) 次の費用に対して備えるには,貯蓄と保険と,いすれが適
  当か。また,その理由を考える。

 (イ)子女の教育費 (ロ)結婚費 (ハ)火災による復旧費 (ニ)
  行楽費 (ホ)葬祭費 (ヘ)医療費 (ト)出産費

 (7) 貯蓄と保険と,それぞれの長所を利用して,生活の安定向上
  に備えるには,結局,どんな場合にどちらがよいかを話し合う。

7 調査および作表

 (1) 共同作業によって,級の家庭でかけている保険の種類,そ
  の間の利用の比率を調査して,表をつくる。

 (2) 郵便局・保険会社などから営業案内の類や,社会保険に関
  する新聞その他の記事を集めて,次の事がらを調べる。

  イ.生命保険について――(イ)終身保険・生存保険・養老保険・
  年金保険の概要 (ロ)どんな目的に利用すればよいか
  (ハ) 契約の手続,保険料の高および払込の方法。

  ロ.社会保険について (イ)簡易生命保険の種類 加入年齢,
   保険金の最高額と最低額,保険料額と払込方法 (ロ)郵
   便年金の種類,加入年齢,年金の最高額と最低額,掛金
   の払込方法,年金の支払を受け始める時期 (ハ)健康保
   険の強制被保険者について。どんな事故に対して保険の
   給付をするか。保険料はだれが負担するか。

  ハ.火災保険について――(イ)動産保険と不動産保険との
   概要

   (ロ)どんな場合に利用するか (ハ)契約の手続

  ニ.その他,一般家庭の利用に適当な保険の種類と概要

8 展示

 集めた営業案内・切り抜きの類,つくった表,貯蓄および保
  険を奨励する標語および絵画。

家族経済学提要 家事会計論

経済準備論
(松平友子)

 

新聞,経済雑誌

統計

各種信用機関の営業案内

 

  家庭経済の全般にわたる学習活動として
  1 P.T.A.の集会に書籍・パンフレット・ポスターなど
を展示するのもよい。

2 学報に論説を書くのもよい。

3 家庭寮で総合的に実習するのもよい。

4 新聞や雑誌の記事を切り抜き,または書き抜き,これを類別
して参考資料をつくるのもよい。