附  録

 

 左にかかげたものは、第二章の終りに作業単元の基底の例として示した主題の解説であります。これは、基底の内容の重点を示すもので、もちろん基底の形式によってかかれてはいません。ゆえにここに示されている主題の内容は児童に教えこまれねばならぬ教材といったものではなく、個々の教師がこれらの基底の上に作業単元を構成し展開する場合に考慮にいれるべき事項、すなわち児童の学習活動を考える場合に留意すべきことがらであります。 第 一 学 年

 

家 庭
家庭生活を成立させている条件を初歩的に理解させ、児童の家庭における位置をさとらせ、これに適応させることを主眼とし、その内容としては 家庭―家族と自分との続き柄(親せき)、家庭内外の仕事(職業や物資の調達におよぶ)、児童が家族から受けている世話、児童のできる仕事

施設―いろいろなへや、台所、井戸、水道、ふろ場、物置等、主要な家具、それらの施設や家具の役割用途(物資の入手や保全、生命の保護、厚生慰安等にふれる)

菜園・家畜・家きん―それらの有用性

家庭の楽しい行事―交通機関を利用する行楽などにも触れる。

児童の一日の生活―起居寝食に必要な良習慣、家庭の慰安娯楽におよぶ。

理解事項 1 家庭では自分たちの衣食住の心配をしていてくれること。

2 家庭には児童たちの安全を保つために、いろいろな設備がしてあること。

3 注意したり整とんしたりすることによって家庭はもっと美しくなること。

4 たがいに親切をつくしあえば家庭生活はもっと楽しくなること。

5 家庭には慰安娯楽のいろいろな方法があること。

6 家庭の人たちは楽しい時間を作るためにおたがいに助けあうこと。

 菜園の作物や家畜は人々によって世話をされ保護されていること。

 

学 校

学校は児童にとって新しい、しかも一つの広い社会であるから、これに適応させることによって広い社会生活の経験へ導入することができる。その内容としては、 学校の施設―いろいろな教室・講堂・校長室・職員室・衛生室・小使室・便所・給食調理場・運動場、それらの中の主要な設備品、公共施設の使いかた、安全施設

学校の成員―職員・小使・上級生等、それらの人々が自分たちのためにつくしてくれる仕事

登校下校―交友、通学の道すじ、交通機関、交通の安全におよぶ。

学用品―文房具の生産・分配・消費・保全におよぶ。

学校行事―学校給食・遠足・学芸会・運動会等の日行事および年行事

理解事項 1 学校や家庭では、自分たちが勉強してよい子になるように、心づかいをしていること。

2 学校には自分たちの健康で安全な生活ができるように、いろいろの施設がしてあること。

3 学校用品や給食の材料の生産や分配に、社会の多くの人々の力が働いていること。

4 いろいろな交通機関が自分たちに利便を与えていること。

5 学校には自分たちの生活を楽しくするためのいろいろな施設や行事があること。

6 自分たちが楽しい時間をすごすためには、きまりを守ったり、他人にめいわくをかけぬようにして、おたがいに仲よく協力しなければならないこと。

7 注意したり整とんしたりすることによって学校が美しくなり楽しくなること。

 

友だち

友だち仲間の生活は家庭や学校と違って、同年ぱいの、また同じ立場のものだけが集まって自由に作る社会であり、その意味で一つの自然な民主的の社会である。

 児童はこれによって家庭や学校から得る経験とはまた別な貴重な経験を得るのである。その点に着眼をおいて、子どもどうしのつきあいや遊びや協同学習を通じて、民主的社会の一員としての基本的な理解と態度とを養うことを目的とする。その内容としては

友だち―学校の友だち、近所の友だち、遠方の友だち

友だちとの交際―友だちの名まえのよびかた、訪問、誕生日その他の招待、病気や不幸の見まい、境遇の違う友達、心身に欠陥のある友だち、遠方の友だちとの通信、けんか

遊  び―遊びのきまり(ルール)、順番を待つこと、遊び道具の貸借、おもしろい遊び、危険な遊び、家人や近所に迷惑をかける遊び

おもちゃ―おもちゃの種類(危険なおもちゃ)、おもちゃの買いかた、作りかた、保存のしかた、おもちゃの貸借、おもちゃ屋の店、児童のしゅう集品

愛がん動物

協同学習―話しあい、協同作業、文房具の貸借

登校下校―道すじ、交通機関、交通の安全、道くさ、助けあい

友だちの家の人たち―友だちの家の成員、職業

理解事項 1 友だちどうし親切にすれば、おたがいにもっと楽しくなれること。

2 友だちどうし楽しく生活するためにはいろいろな方法があること。

3 楽しい時間をすごすためには友だちどうし助けあわねばならないこと。

4 友だちどうし楽しく遊ぶためにはきまり(ルール)にしたがわなくてはならないこと。

5 楽しく遊ぶためには他人の権利を尊重しなければならないこと。

6 自分たちは両親のおかげをうけていること。

7 自分たちは世間の人々の世話になっていること。

8 社会には児童たちの安全を保つためにいろいろな設備がしてあること。

 

健康な生活

児童は学校にはいって生活が変ったために、心身の負担も大きくなり、危険の率も大きくなる。またほかの子供たちと自分を比較して自分の身体について自覚するようになる。その点に着眼をおいて児童に自己の身体に関する自覚をもたせ、健康で安全な生活の条件を理解させ、生活上の良習慣を打ち立てるように導くことを目的とする。その内容としては 身体検査―身長・体重・胸囲、体重の季節的増減、目の衛生、歯の衛生、其の他身体の主要器官の衛生(身体検査にさきだって、医者のすることを理解させるために予備知識を与えること)
衛生室―けが・病気(児童が学校で起しやすい病気、季節と病気)寄生虫駆除、伝染病と予防学校給食やべんとう―給食材料、食物の種類(動物性・植物性)適切な食物の選択(食物の生産・分配・消費につながる)偏食、食物、食器および手の清潔

教室、通風―温度、清潔、姿勢(すわる姿勢、立つ姿勢、歩く姿勢)

児童一日の生活―起床・就寝・睡眠時間・活動と休息・食事(定時、間食)の時刻および分量、買食い、排せつ(規律・清潔)等に関する良習慣の確立、身体の清潔、家の清潔

衣服―衣服の材料、季節と衣服、衣服の保全(衣料の生産・分配につながる)衣服の清潔

安全な生活―家庭や学校の危険防止、交通の安全(通路歩行および交通機関利用に関して)

理解事項 1 自分たちの生活を楽しくするためには健康でなければならないこと。

2 健康法を守れば健康な強い身体になれること。

3 家庭や学校や社会には児童たちの健康や安全を保つためにいろいろな施設がしてあること。

4 人間は食料や衣服を動物や植物から得ていること。

5 家庭でも学校でも自分たちの衣食住の心配をしていてくれること。

6 衣食住について社会の多くの人々に世話になっていること。

7 家庭でも学校でも季節季節にその用意をすること。

 

第 二 学 年

 

近所の生活
一年間学校生活をした児童たちは、社会的にやや眼が開けてきて、近所の生活にも関心をもち理解もできるようになる。また近所での手つだいやお使いなどもできるようになる。その点に着眼をおいて、近所の人々の、職業の上のみならず生活のあらゆる部面における相互依存を理解させ、これに適応させることを目的とする。内容としては 近所の人々の職業

交際および協力―配給(物資の生産・運搬・通信につながる)、留守の依頼、手つだい、道具の貸借、慶弔慰問、生活改善、共同耕作、趣味娯楽等

利便の共用―井戸や用水、共同ぶろ(公衆衛生、大掃除につながる)等

子どもと近所のおとな―応待のしかた、お使いの口上、お手つだい等

公共施設―役場・学校・警察・消防署・公会堂・図書館・郵便局・公園・神社・仏閣・教会・農業会等・およびその利用のしかた

公共のために働いている人々―医師・警官・消防夫・夜警・郵便集配人等

子供の近所での遊び―遊び場所(危険な遊び場所―交通につながる)、遊びかた

理解事項 1 近所の人々は生活物資を手にいれるために協力していること。

2 近所の人々は忙しいときに力を貸しあっていること。

3 近所の人々は利便を共同にしていること。

4 近所の人々は保健衛生に協力していること。

5 各人が保健衛生の良習を守れば公衆衛生は改善されること。

6 近所の人たちは生活の改善に協力していること。

7 近所の人々は祝いごとや娯楽をともにしていること。

8 われわれの生活に必要な物資の生産・分配には多くの人々の力が働いていること。

9 医師・警官・消防夫・郵便集配人等は社会の福利のためによく働いていること。

10 社会には人々の福利のために設けられた公共施設があること。

 

農 家

農家の生活を通じて、農業の人間生活に対する重要性、農村と町との相互依存関係、人間と自然との依存関係を理解させることを主眼とし、内容としては 農家の家屋―農家のある地域の特性、家屋のならびかた(町との違い)、家のつくり、附属たてもの、庭や周囲

農家の作物や動物―附近の農家の作物の種類、家畜の種類とその有用性、養蚕、作物の病害、害虫や益虫、作物を荒らす鳥獣、土地や気候と農業との関係

農家の人々の仕事―一年中の仕事、一日の仕事、男女の仕事、子供の仕事、近所の協力

農家の道具―農具・車、その他(それらの生産・分配につながる)

生産物の供出や販売―農業会、交通・運輸につながる。

農家の人々の楽しみ―一日のうちの楽しみ、一年のうちの楽しみ

理解事項 1 われわれは主食物や衣料のおもな原料を農家に仰いでいること。

2 農村と町とはたがいに依存しあっていること。

3 人間は食料や衣料を動植物から得ていること。

4 農家の人々の生活は土地や気候などの自然的条件によって影響されていること。

5 農家の人々は生産や販売に関してたがいに協力していること。

 

商 店

商店は、児童たちにとっては、近所の社会でいちばんにぎやかで、いろいろな珍しいもの、ほしいものがあるところであるから、興味が深い。また二年生くらいになると、そろそろお使いにもいかされる。しかし彼らは商店が自分たちの生活にどんなに重要であるかについては十分理解していないであろう。これらの点に着眼をおいて、児童の衣食住についての関心を深め、これらについての両親の苦心、また食料や衣服の材料やその他の生活に必要な主要物資が、生産され運搬される経路をわからせることによって、社会の人々の生活上の協力を理解させることを主要目的とする。学習内容としては 商店の種類―近所の商店の種類とそこで売っている商品(家人や自分たちがいちばん多くいく店)

商品の経路―生産・注文・運搬・配給等の経路(配給と自由販売)

商店のある場所―交通につながる。

商店の家のつくりかたや設備―店・かんばん・陳列だな・電話・自転車・リヤカー等

商店の人々―主人・家人・店員等(店員の休養や娯楽につながる)

商店へのお使いのしかた

理解事項 1 生活に必要な品物を手にいれるために家の人たちは苦心していること。

2 生活に必要な品物を手にいれるために近所の人たちは協力していること。

3 いろいろな商店があるために近所の生活は大きな利便を得ていること。

4 交通のひんぱんなところに商店ができること。

5 生活の必要をみたすために、社会の人たちが広く協力していること。

 

郵便集配人

児童は郵便集配人にしたしみをもち、郵便集配人がくると喜んで郵便物を取りにいきたがるものである。これらの興味を利用し、郵便集配人の仕事を理解することによって、公共のために働いている人々に対する感謝を深め、さらに通信機関がわれわれの生活にどんなに重要であるかを理解させることを主要目的とする。学習内容としてはおよそ次のことがらが考えられる。 郵便集配人の仕事―封書・はがき・電報(ポスト・郵便自転車・郵便自動車)

郵便局―郵便局の仕事の概略、手紙の旅、局員の勤務と休養

封書・はがきのだしかた―宛名、差出人の名まえ、切手のこと

封書・はがき・電報はどんなことに使うか

郵便集配人への協力

その他の通信機関

理解事項 1 郵便集配人は世の中のみんなの人のために働いていること。

2 郵便集配人は夜中でも仕事をしていること。

3 通信機関によってわれわれはおたがいに交際したり助けあったりできること。

4 通信機関によって遠くの土地と速く通信ができること。

 

公共のために働く人たち

公共のために働く人々の仕事を理解させ、社会に対する信頼感を助長し、かつそれらの人々への感謝を深めることを目的とする。公共施設としては役場・警察署・消防署・郵便局・駅・学校・図書館・公会堂、その他いろいろあろう。また公共のために働く人々の取りあげかたにもいろいろの見地があろう。たとえば、炭坑労働者・道路工夫村の保健婦などもとりあげ得るわけである。ここでは前掲の目的にてらし、かつどこの児童にとっても身近にあるものとして医師・警察官消防夫だけを取りあげる。 医 師―医院・病院・往診のこと、伝染病予防のこと(予防注射、用水・井戸、台所食器等の清潔、はえの駆除、衣服およびからだの清潔、共同ぶろ・食料品店・菓子屋等と衛生)

警察官―警察署・駐在所・派出所・交番、盗難防止、生命の保護(危害防止・交通安全・公衆衛生)経済取締等、その勤務と休養

消防夫―消防署・監視所・消防組・消防ポンプ・でぞめ式(防火宣伝・夜警・火の用心につながる)これらの人々の勤務と休養、急病災害の報知、非常災変に処するこれらの人々の活動(海難・水害、その他の災書)

理解事項 1 公共の安全を保つためにいろいろの公共施設があること。

2 公共のために働く人々のおかげで私たちは安全かつ幸福に生活ができること。

3 公共のために働く人々はいつでも仕事にかかる用意をしていること。

4 公共のために働く人々に協力しなければならないこと。

 

第 三 学 年

 

地域社会の生活(いなかの生活あるい町の生活―できるならば大昔の生活と比較する。)
児童の住む村なり町なりの地域社会を成立させている基本的な諸条件を理解させる。(いなかの生活と町の生活を比較し、その相互依存の関係を理解させる。)その内容としては

いなかの生活

自然的条件―位置・地形・気候

部落と交通―部落の分布、にぎやかな所、交通ひんぱんな道路、交通機関

村のくらし―職業、おもな物産、商店

衣食住のおもな物資の入手方法(村でできるもの、町から買うもの、他の土地に求めるもの) 公共施設―役場や農業協同組合や公会所などの有用性

村の慰安娯楽―娯楽機関や年中行事、その他村人の慰安娯楽の求めかた

昔の村と今の村―その土地の人々が昔どんな生活をしていたか

町の生活 自然的条件―位置・地形・気候

区域と交通―商店区域とその他の区域、交通のひんぱんな道路、交通機関

町のくらし―職業、おもな物産、物産の原料の入手と販路

衣食住物資の主要なものの入手方法(町でできるもの、いなかから買うもの、よその土地に求めるもの) 公共施設その他大きな施設―町役場(市役所)の組織と機能等。

町の慰安娯楽―娯楽機関、年中行事

村と町の比較、両者の相互依存関係

その土地の起りと昔の生活

理解事項

1 郷土の人々は生活に必要な物資の入手のためにたがいに協力していること。

2 郷土の人々は職業上たがいに協力していること。

3 町といなかとはおたがいに産物を交易しあっていること。

4 町でもいなかでも生活必需品の多くを他の土地に求めること。

5 自然的条件が人間の生活に大きな影響を与えていること。

6 厚生慰安の活動も環境と密接不離な関係をもつこと。

7 いなかと町とは厚生慰安の上でも相互に依存していること。

8 人はよりよい生活条件を求めて移動する傾向があること。

 

動植物と人間の生活(できるならば大昔と比較する)

動植物がわれわれの生活にどんなに役立っているかを理解させて、その保護利用の方法を学ばせることが目的である。その内容としては 郷土の産業と動植物―農業・養蚕業・牧畜・漁業・狩猟・林業・工業等、益鳥と益虫

衣食住と動植物―衣服の植物性原料と動物性原料

建築資材としての植物(日本の家屋と外国の家屋)

家具・燃料・紙

これ等の物資の生産地と生産地よりの運搬

交通運輸と動物―牛・馬・荷車やそりを引く犬

生命資源の保護と動物―犬・猫、益鳥・益虫

愛がん動物と鑑賞用植物

動植物の飼育栽培法のくふう―くふうの効果、品種の改良

大昔の人々はどのように動植物を利用したか

理解事項 1 人間は生活に必要な物資や手段を多く動植物から得ていること。

2 動植物を育て、保護し、うまく利用することによって、人間の生活は進歩してきたこと。

3 自然的条件は動植物および人間に大きな影響を与えること。

4 動植物の飼育栽培法をくふうすればいっそう人間生活に役立つこと。

5 衣食住その他に関する物資を得るために、一つの土地と他の土地とはたがいに依存していること。

6 動植物はわれわれに楽しみを与えてくれること。

7 われわれの祖先は動植物を利用する方法をくふうし発達させてきたこと。

 

郷土の交通運輸(できるならば文明の開けない前の交通運輸と比較する)

郷土の交通運輸について学ばせ、それが郷土の生活に大きな役割をしていること、郷土の発展に貢献していること、それが祖先の苦心によって開かれたものであることを理解させるのを目的とする。学習内容としてはおよそ次のようなことがらが考えられる。 道 路―村の道と県道および国道、道路はどんなところを通っているか、旧道と新道、一里塚、昔の宿場、人の多く通る道、車馬の多く通る道、そこを通る車馬の種類、車馬の積載物、その行先、バスと名勝旧跡

汽車と電車―駅の機構、そこに働く人々、乗客と貨物と郵便物(どんな物資がどこからくるか、またどこへいくか)、駅の近、トンネルと鉄橋、鉄道や電車のできる前の道路と、できた後の道路、鉄道や電車の開通による部落の変化(昔の宿場と今のにぎやかな所)、鉄道や電車と産業・観光との関係。

港と船着場―河川・運河・湖沼・海の交通・運輸、般の種類、乗客と貨物、その行先(海外との交通や貿易にはここで深くたちいる必要はない)港や船着場とその付近、鉄道や道路との関係、船と観光や魚つり

大昔の人々の交通運輸―人間はどのようにしてはじめて交通運輸の方法を学んだか

理解事項 1 衣食住の物資を入手するために人々はたがいに依存していること。

2 一つの土地と他の土地とはたがいに産物を交易すること。

3 交通・運輸の発達は一つの土地と他の土地との間の相互依存関係を増大すること。

4 一つの土地と他の土地との相互依存関係が増大すれば交通運輸が発達すること。

5 交通運輸の発達は郷土の生活をかえること。

6 人々の生活様式はその住んでいる土地の自然的条件と深い関係をもつこと。

7 われわれの祖先は苦心して交通・運輸の道を開き、方法をくふうしてきたこと。

 

第 四 学 年

 

地域社会の現在と過去
児童の住む地域社会の基本的な構造についての理解を与え、かつ地域社会を切り開いてきた人々の努力のあとをかえりみ、過去の姿と対比させることによって、地域社会についてさらに深く理解させることを目的としている。

したがって、その内容としては次のものが考えられるであろう。

郷土のくらし―衣食住のおもな物資の入手方法、おもな物産・職業・商店・工場 地域社会(郡や府県を中心とした)の政治や行政のしくみとその施設

地域社会の慰安娯楽

地域社会における危険防止の施設と方法(自然の災害・疾病などに対して)

昔の郷土―地域社会にのこされている身近なものを中心にして 地域社会を切り開いてきた人々のくらし(住みついた土地・住居をいかにして作ってきたか、衣食をいかにして手にいれてきたか、危険をいかにして防止してきたか)

昔の郷土のくらし(政治や経済のしくみ〔名主・庄屋等〕、昔の人の慰安娯楽とその有用性)

郷土の附近に発見された遺跡・遺物(石器・土器・金属器・住居跡・貝塚)―郷土室・博物館

大昔の人の衣食住の入手の方法(狩猟・牧畜・農耕)

理解事項 1 現在のわれわれの生恬は、昔とくらべて衣食住の材料が得やすく便利になっていること。

2 社会が複雑になってくると、それを統制していくためにいろいろの施設が必要になってくること。

3 昔の人々の経験は現在の人々に役立つこと。

4 昔にくらべて、保健や娯楽に関する諸種の施設がましてきたこと。

5 祖先がその生活を豊かにかつ安全にするためには、おおぜいで協力する必要があったこと。

6 昔は今にくらべて、くらしは簡単素朴であるが、それだけに多くの苦心がはらわれていたこと。

7 われわれの先は、困難な自然環境に適応しながら、いろいろな施設を作りだしたこと。

8 郷土を切りひらいた人々は、後世のものが働きよいように考えて、いろいろの仕事をしたこと。

9 われわれの祖先はよい生活を求めて移動してきたこと。

10 われわれの祖先は困難な自然環境で生活を切り開くため、周囲の動植物の利用のしかたを発見したこと。

昔の交通通信

交通通信の機関の発達は、現代においてきわめていちじるしく、その影響はわれわれの生活のいろいろな面にあらわれている。ここでは郷土に見られる簡単素朴な交通通信の方法を手がかりとして、昔の交通・通信のありさまを学ばせ、それと対比させることによって、現在の状態についてのいっそう深い理解を与えることを目的とする。その内容としては 郷土の交通通信の状態―道路・馬車・自転車・自動車・電車・汽車・駅・電話・電信・郵便局・放送局

昔の交通

道路・街道の交通(村道・県道・国道)旧道と新道、峠など

昔の街道の交通(一里塚、昔の宿場、関所、松並木、道しるべなど)

水運(渡し舟、河岸、渡し場、船橋など)

むかしの乗物(かご・牛・馬など)

交通と町の発達(宿場・城下町・港町・津・市など)

昔の通信 現在の生活の中に見られる簡単な通信方法(音によるもの―太鼓・汽笛・サイレン、色や形によるもの―旗・光―みぶりによるもの、文字によるもの―告知板・回覧板)

昔の通信の方法(飛脚・馬によるもの・のろし・太鼓・かがり火・手旗)

未開社会の交通・通信の状態との比較
理解事項 1 交通や通信の機関の発達が社会の人々を結びつけるのに大きな役目を果たしていること。

2 新しい生活環境を切り開くのには、交通や通信の方法をくふうすることがたいせつであること。

3 交通の道すじは、気候や地勢、天然資源のいかんによって左右されていること。

4 交通・通信機関の発達が、近代の日本の建設に大きな役割を演じてきたこと。

5 交通・通信機関によって、われわれの生活は大きな恩恵を受けていること。

6 交通・通信機関には、多くの人々が働いていること。

7 社会の統制には、交通・通信が不可欠であること。

8 交通・通信機関の発達によって時間の利用度が増してきたこと。

 

資源の保護利用

動物・鉱物・植物などの資源が、いかに保護利用されているかということ、またそれが人々の生活にどんな幸福や利便をもたらしているかということについての理解を与えることを目的とする。その内容は、郷土の生活にあらわれた身近なことがらを中心にして構成されるのが自然であろう。したがって 郷土における資源の利用とその諸施設 水力資源―水車・河川・用水路・貯水池・運河・発電所・ダム

鉱産資源―石材・石油・石炭・銅・鉄・貴金属・宝石等

土じょう資源―肥えた土じょうとその保存利用、開墾、新田開発

水産資源―貝塚・養魚・製塩・養殖、郷土の魚貝類海草類・漁場・漁港・漁業組合・水産試験所

林産資源―果樹・木炭(炭焼き)、製材所・製紙、その運搬の施設

自然美―郷土の天然記念物、公園・名所・自然の景色

動物資源―牛・馬・羊・山羊・鶏等の家畜・家きん、養蚕・益鳥・毛皮獣、牧場・馬市などのこと。乳・製糸

資源の保護、保全についての問題―節電・節水・治水(堤防・植林)、治山(濫伐・山火事)、防風林

その他の諸施設―農事試験所、測候所、観光関係の諸施設

資源の保護・利用・開発につくした人々の話―作物や品種の改良・移入

狩猟生活から農業・牧畜および鉱業の起りまで

理解事項 1 人間の生活は、いろいろな資源に依存していること。

2 資源のたくみな利用によって生活が向上してきたこと。

3 われわれの生命の保護保全には、資源の保護利用が大きな役割をもっていること。

4 郷土を切り開いてきた人々は、郷土の資源をうまく利用することにより、現在の郷土の生活をつくりあげてきたこと。

5 昔にくらべていまの世の中は、資源の保護利用が進んできたこと。

6 社会が進歩し、ひろがるにつれて生活を維持するために資源の保護利用の必要がましてくること。

7 機械文明の世の中となって、資源の濫用が資源の枯渇を招きやすいこと。

 

昔の商工業

現在の社会生活において、商業や工業のもつ働きと影響はきわめて大きい。ここでは、おもに郷土に残っている商業や工業の古い姿をさぐることによって、現在の郷土の商工業についての理解の基礎を与えることを目的とする。

その内容としては

地域社会の商業 郷土の昔の商業のしかた―市・市場(定期の市、臨時の市)・出かせぎ・行商・商店

商業の起り―商業の起り、市の発生、商人の出現、商人の社会的位置、貨幣

いなかの店と町の店

郷土で開かれる市―その種類と時期

地域社会の工業 郷土にある簡単な工業―手工業・家内工業とその特産品

大昔の人はどんなふうにして物を作ったか―石器・土器・金属器の作りかた

職人の起り

水車の利用

理解事項 1 世の中が進歩するにつれてしだいに分業がおこなわれてくること。

2 分業が進むにつれて、われわれの生活はきわめて能率的になってきたこと。

3 困難な環境の中の生活では、物を賢明に生産し、消費し、じょうずに利用する必要のあること。

4 さまざまな生活物資を入手するため、人々はたがいに依存していること。

5 工業の進歩によって、われわれの生活は飛躍的に発展してくること。

6 気候や自然資源が、工業や商業の方法や種類に大きな影響を与えていること。

7 困難な自然環境を克服するためには、工業の力がきわめて大きいこと。

 

第 五 学 年

 

衣食住の発達とその資源
現代の社会生活における衣食住を基盤とし、人間生活における衣食住のありかたやその発展の状況を理解させ、あわせてそれと連関をもつ諸種の産業について必要な理解を得させることを目的とする。 したがって、その内容としては、次のようなものが考えられるであろう。

衣食住の今昔―昔の人の衣食住、新しい形式方法材料器具の発見、歴史的変遷、職業による相違、衣食住の合理化

郷土の衣食住―季節や行事との関係、気候風土に基づく特徴、他の土地との比較

衣食住の資源

衣―衣服の種類と材料(麻・木棉・皮革・羊毛・ステープルファイバー等) ○養蚕業(産地・産額、方法、品種改良、製糸業・絹織物業) 食―食物の種類と材料 ○農業(農産物〔果実・茶・たばこ等を含む〕の種類と主要産地、産額、用途、工業との関係、気候、地勢人口と耕作法、農具、肥料、労力、輸送、市場、農業協同組合、農事試験場、品種改良)

○牧畜業(産額・主産地、用途、条件と経営法、飼料、品種改良、)

○漁業(魚貝海藻類の種類と主要漁獲地、漁獲物の利用法、近海漁業、湖や河川の漁業、遠洋漁業、養殖、漁獲物、漁場、海流、各種の漁船と道具、魚鮮発見法、漁獲物の輸送、加工)

住―住居、家具、燃料の種類と材料 ○林産資源―種類、主産地とその産額(日本および世界)、貿易、製材、製炭とその輸送
衣食住に関する諸問題 ○農 業―多角経営、農地問題、耕地整理、供出、食糧問題と見返り物資、貿易、農村の衣食住と厚生慰安

○水産業―施設(漁業協同組合・魚市場・水産試験所)網元と漁業権、漁村の生活(保健、厚生慰安、協力の組織)危険防止(海洋気象台、無線電信・ラジオ)

○林 業―植林、濫伐と水害、山で働く人々(炭焼・木こり)

○鉱 業―炭坑のありさまと施設、鉱山で働く人々、燃料問題

理解事項 1 土地により職業により、衣食住その他の生活のありさまが異なること。

2 祖先の人たちは、衣食住の様式を改良するためにつねに苦心してきたこと。

3 発明発見により、衣食住の方法が合理化され、生活を向上させたこと。

4 発明発見は、環境を統御する手段となること。

5 科学の発達により、狭い地域に多くの人々が住むことが可能になったこと。

6 林産物や鉱産物は、時代により社会生活に役立つありさまが違うこと。

7 現在の日本の食生活は、農業や水産業の生産のいかんにより、重大な影響を受けること。

8 衣食住やそれと関連する諸産業は、気候風土に影響されることが多いこと。

9 発明発見により、諸産業の方法は改良され進歩したこと。

10 くふうにより生産物の質と量とを向上させることができること。

11 満足できる衣食住は、多くの人々のみえない労苦の結果、可能になること。

 

現代の交通・通信・運輸

発明発見により、いちじるしく便利になった現代の交通・通信・運輸の状況を、社会生活の面への影響を中心として理解させることを目的とする。しかも、ここでは、それらが、速度においても、また量的にも、飛躍的な成長を遂げている現代の生活の特色と、不可分の関係にあること、そして、それらの活動舞台はすでに全世界にひろげられ、将来における進歩発達は、さらに、いちじるしいものがあるであろうと予想されること等が認識され理解され、かつ展望されねばならぬであろう。 したがって、その内容としては、次のようなものが考えられるであろう。

交通路―陸海空とその長短

交通・運輸の機関―汽車・電車・自動車・船舶・航空機

その種類・用途・動力 そのための施設―橋・トンネル・運河・高架線・地下鉄道・燈台・駅・港・倉庫・運送業

通信の方法と施設―郵便・電信・電話・海底電線・無線電信・ラジオ・郵便局・電信局・放送局

交通・通信・運輸にたずさわる人―業務と勤務時間

新しい交通・通信―エレベーター・エスカレーター・航空機の発達・ロケット・電送写真・印刷通信機・テレビジョン、海底トンネル

交通・通信・運輸に関する諸問題―所要の時間と料金・労力・輸送力・事故防止

産業との関係―工・鉱・商・漁(農・林)

理解事項 1 発明によって、交通・通信・運輸の距離と速度とが増大したこと。

2 交通・通信・運輸の発達は、社会生活に大きな変化を与えること。

3 社会生活は便利になればなるほど、いちじるしく相互依存の度をたかめること。

4 交通・通信・運輸は、人々の生活においてしだいに重要な意味をもってきたこと。

5 人間は、あらゆる空間を征服しようとしていること。

6 交通機関が大規模に活動するほど、事故の際の損害もまた大きいこと。

7 交通・通信・運輸を円滑に活動させるためには、大きな人員を要すること。

 

保健と厚生慰安

発明発見によって、保健の方法が進歩し、厚生慰安の施設も豊富になってきたこと、およびそれらが社会生活において重要な意義をもつものであることを理解させることを目的としている。 したがって、その内容としては次のようなものが考えられるであろう。 疾  病―結核、伝染病、ある地域や職業に多くみられる病気、近視

その排除―医者・病院・療養所・健康相談所・健康法・治療法・予防法・予防注射・消毒・清掃、おもな医学上の発見

事  故―機械薬品による傷害・火災・交通事故・天災

その防止―鉱山工場の危害防止、防火、交通標識、信号、交通機関の安全装置、退避、救急法と輸血

厚生慰安―種類(人々により、土地〔日本・世界〕より異なる)、効用

その施設―公園・運動場・劇場・映画館・美術館・博物館・図書館・動植物園

保健と厚生慰安の歴史―変遷とその理由

理解事項 1 医学上の発見は人間の平均寿命を長くしたこと。

2 発明発見をもっとも意義あらしめるためには、それによってすべての人の幸福がはかられなければならないこと。

3 科学的な知識は、迷信を減少させること。

4 合理的な研究と準備とは、危険を防止することに役立つこと。

5 芸術作品も、発明発見により保護され、普及させられること。

6 厚生慰安の方法も、時代と場所とによって変化があること。

7 厚生慰安の方法や施設は、世の中が複雑になればなるほど、くふうを加える必要があること。

8 慰安の方法やそのための施設は、必ずしも健全であるとはかぎらぬこと。

 

政 治(国民の福祉のための組織と施設)

人々の幸福な生活を保証し、社会の安寧を維持していくために、どのような心がまえと制度・施設が必要であるか、またそのために現に存在する制度や施設はどのようなものであるかを、具体的に理解させることを目的としている。 したがって、その内容としては、次のようなものが考えられるであろう。

学 校―組織、自治会、委員会

諸施設

市町村―市区町村会・役場・税務署・警察署

都道府県―裁判所・都道府県庁・都道府県会

国   ―内閣・議会・諸官庁

公共物―公共財産の保護、公共施設の活用

政治のかたち―立憲政治、憲法と法律、選挙、政党、男女同権

諸問題―配給、供出、住宅、都市(国土)計画、引揚者、失業者、労働問題、協同組合

理解事項 1 社会が進歩するにしたがって、政治のしかたは民主的になること。

2 発明発見は、たえず考えかたや生活のしかたを変化させていること。

3 人間は、生命や財産資源を保護するために、発明発見を利用すること。

4 人間の社会生活には、自主的な統制が必要であること。

5 公共物を尊重する人のみが、その恩恵に浴する資格があること。

6 政治は、人民の幸福のためにおこなわれるものであること。

 

第 六 学 年

 

工業と動力
近代における工業の発達、とくに大量生産の出現は、社会生活に多くの変革をもたらした。ここでは、世界的規模にまでひろげられて展開するわれわれの生活において、工業のはたしている役割と、またそれらの工業と不可分の関係にある動力のもつ重要性とを、具体的に認識理解させることを目的としている。 したがって、その内容としては次のようなものが考えられるであろ。

工 業―種類と発達の理由、変遷(家内工業と工場工業、産業革命)

その発達の条件―自然資本・労力・原料資材・販路・輸送、他の産業や交通との関係

工業に関する諸問題―大量生産・分業・工場・工業地帯・労働問題・危険防止・保健と厚生慰安

動 力―人力・畜力・火力・水力・風力・電力

おもな動力資源とその施設―木炭・ガス・石炭・石油・電気・炭坑・油田・発電所等

理解事項 1 機械生産は、分業による方法をいっそうおし進めていること。

2 動力の利用が進むと、社会生活はいちじるしい変化をきたすこと。

3 発明発見、とくに動力の活用は、家庭生活を改造すること。

4 工業の発達は、たえず他の産業や交通・運輸と関連していること。

5 機械生産の発達によって、人間の労力は軽減したこと。

6 機械生産の結果、人間の生活は、物質的に豊かになってきたこと。

7 大量生産や資源の利用は、これまで必ずしも公共の福祉のみを目的とはしていなかったこと。

8 機械は、生命・財産・資源を保護するとともに、逆にこれらを傷つけることもあること。

9 大量生産は、祖先の不断の努力によってかち得られたものであること。

10 工業は、人口を都市ないし特定の地域に集中しようとすること。

 

新聞とラジオ

通信の発達によって、世界がいよいよ狭く、いわば一つになってきたという意味を、各種通信機関のうち、もっとも現代的であり、かつ日常生活に親しい新聞とラジオとによって、理解させることを目的としている。 したがって、その内容としては次のようなものが考えられるであろう。 新 聞―種類・発行部数・特色・読者層・外国通信・新聞の歴史

新聞社―情報の入手から、読者の手にはいるまで

組織、おもな業務、主催する行事 新聞の効用―社会・経済・政治・学問・芸術・宗教・教育・保健・慰安・世論・広告気象

ラジオ―聴取者、プログラム、ラジオの利用、放送局、外国放送、新聞との効用の差異

新聞、ラジオ以外のもの―雑誌・単行本・映画・テレビジョン

理解事項 1 通信の発達は、世界をしだいに狭いものにしてきたこと。

2 通信の発達は、人々の意見の交換をきわめて容易にしてきたこと。

3 新聞やラジオは、多くの人々の知識を豊かにし、判断の資料を供給していること。

4 新聞やラジオは、正しく使用された場合に、民主的な生活を促進し得ること。

5 新聞やラジオは、教育および慰安に役立つこと。

6 新聞は、真実の報道をするために努力していること。

7 新聞やラジオは、報道に要する時間を短縮するために、最善をつくしていること。

8 新聞やラジオは、人間生活のすべての面に役立っていること。

 

交 易
現在の社会生活における交易の意義を明らかにするとともに、必要な物資の流通ということについて、小は個人の経済から、大は一地域、一国ないしは全世界の経済におよぶまでを、具体的な生活面において理解させることを目的としている。 したがって、その内容としては次のようなものが考えられるであろう。

個人経済―収入と支出、経費の合理化、貯蓄

郷土の商業―特産物、市場、商店(マーケット・デパート)等

商業発達の条件―位置・人口・産業・交通

物資の流通―統制経済と自由経済、配給と闇、生産者と消費者

対外貿易―見返り物資、貿易再開、主要輸出品と相手国

金融機関―銀行・取引所・無盡・講・質屋・保険

国家経済―貨幣・物価・インフレーション・税金・経済安定本部・物価庁・大蔵省・商工省・農林省

理解事項 1 交易のしかたには、昔からいろいろ形があったこと。

2 商業の発達は、交通・運輸の発達を条件とすること。

3 商業は、特殊な条件をそなえた土地にいちじるしく発達すること。

4 人間の生活水準の向上は、必ず商業を進展させること。

5 国内の商業は、たえず対外貿易の影響をこうむること。

6 ふつう物資は、移動することによって価値をしょうずること。

7 需要が供給よりも大であるときは、一般に統制の必要をしょうずること。

8 大量生産の時代になって、商業のしかたが進んできたこと。

 

わが国と関係の深い国々

現在の日本の生活は、種々の面において、諸外国と連関をもっているということができる。このことは、将来ますます大きな意味をもつことになるであろう。ここでは、このことを通して、他国に対する日本の義務と寄与、また他国の日本に対する義務と寄与について知らせ、さらには外国人に対する理解を養い育てることを目的としている。 したがって、その内容としては、次のようなものが考えられるであろう。

おもな国々―中国、アメリカ等

外国との関係―交際の歴史、進駐軍、放出物資、ララ物資、現在における貿易

外国の生活―衣食住のありさま、子どもの生活、家庭・学校その他の諸施設、慰安、生活の合理化、機械力

世界における日本―外国および外国人に対する正しい態度、外国との相互依存、過去の交易、戦争の放棄、講和会議、通商、国際連合、移民、世界平和と日本人の使命

理解事項 1 時代が進めば進むほど、人々にとって世界は身近なものになること。

2 機械文明の発達は、各国相互間の依存の度をたかめること。

3 日本は、将来多くの国々と密接な関係をもつこと。

4 科学が進歩し普及している国々では、日常の生活も合理化されて便利であること。

5 異なった土地に住み、異なった生活をする人々は、多くの共通の欲求をもつが、これらの欲求をみたす方法としては異なった慣習を作ったこと。

6 日本人と外国の人たちとは、等しく人類の一員として、たがいにその慣習を尊敬しあい、幸福をねがいあわなければならないこと。

7 日本は今後、世界平和をねがい、世界文化に寄与すべき使命をもつこと。

 

現在の社会とその将来(現在の社会の諸問題)

ここでは、いわばこれまでのまとめとしての意味をもって、現在の社会の当面する課題と、その解決としての将来の発展とを、児童が各自その切実な問題を通じて認識理解していくことを目的としている。 したがって、その内容は次のようなものが考えられるであろう。

衣食住の現状―配給、食糧問題、見返り物資、住宅問題、燃料問題

生活の改善―衣食住の合理化、因襲の打破、くふうとむだの排除、科学の尊重

保健、厚生慰安―施設の完備、公共心の養成、発明発見、余暇の善用

政 治―憲法の精神の実現、封建的なものの打破、正しい選挙、文化国家、世界平和

その他の社会問題―動力の問題、輸送の問題、労働問題、農地問題、国土計画・都市計画の問題、救済事業(引揚者、不具老疾者、孤児・浮浪児、傷い軍人)

理解事項 1 現在における生活の方法の多くは、将来改善されなければならないものであること。

2 生活の改善には、発明発見をたくみに使いこなす必要があること。

3 機械生産の発達した現代においては、人々の厚生慰安にもちいる時間がふえたこと。

4 人間は常に、より豊かな、より楽しい社会を建設しようとしていること。

5 現在の社会を改善することは、現在の青少年に与えられた任務であること。

6 戦争の防止のためには、あらゆる努力が払われなければならないこと。

7 将来の社会においては、いよいよ個人の人格が尊重されること。

8 将来の社会においては、不合理な因襲や圧迫によって、不当な取り扱いを受けるようなことから守られること。

9 日本の現在直面している困難を解決するためには、国内の人々の協力と諸外国の援助とが必要であること。

 

 

小学校 社会科 学習指導要領補説編

Approved by Ministry of Education

(Date Aug. 25, 1948)

 

昭和二十三年八月二十五日翻刻印刷

昭和二十三年九月十五日翻刻発行

(昭和二十三年八月二十五日文部省検査済)

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