単元W われわれは食糧をいかにして得ているか

〔要 旨〕

 食糧の点では,人間は衣服などよりも,自然と強く結合している。衣服や用具などは商業的影響を受けて変化しやすいが,食糧は昔からその居住地域の気候と最も密接な関係をもつ。もっとも今日の食糧は決して身のまわりで生産されるものだけでなく,数千里の遠方からも送られるが,昔は,人々はその居住地域の生産物にのみ依存していたから,各地の住民に,それぞれの食習慣ができて今日に及んでいる。例えば,パン食・米食,各種の肉食・飲料などのごとくである。

 食糧としては主食のほかに肉と魚,調味料,各種の野菜と果物,砂糖や香辛料,愛好品(茶・コーヒー・たばこ等)もあり,これらはおのおのある一定の自然環境のもとで生産され,また需要供給の関係から生産が規定される。19世紀以後,大工業が発達して,人口の大集団ができると,その地域で集約的な生産が行われる一方,大規模な方法で,生産する(人口の少ない)地域から大量の食糧が食糧不足の地域へ輸送されるようになった。国際貿易の中で食糧の占める地位は極めて高い。また同時に食糧品を原料として各種の食品工業も盛んになった。かくして食糧の生産は,それのみでなく,交通・工業などの問題と密接に関連して,今日の社会生活の基礎的な諸問題を解くかぎとなっている。

 またいろいろの栽培植物や家畜が,その原産地から各地へ伝えられた経路や,当時の事情は,文明史と深く関係している。

〔参考書〕

 伊藤 兆司          農業地理学              昭和8年 古今書院

 石田 龍次郎         資源経済地理(食糧部門)       昭利16年 中 興 館

 那須  賂          日本農業論              昭和4年 千倉書房

 山田 勝次郎         米と繭の経済構造           昭和17年 岩波書店

 吉岡 金市          日本の農業              昭和19年 伊藤書店

 宇野 円空          マライシヤに於ける稲米儀礼      昭和16年 東洋文庫

 ケルレル(加茂儀一訳)    家畜系統史              昭和10年 岩波丈庫

 宇田 道隆          海                  昭和14年 岩波新書

 青鹿 四郎          農業経済地理             昭和10年 叢 文 閣

 宮坂 梧郎          畜産経済地理             昭和11年 叢 文 閣

 今田 溝二          水産経済地理             昭和11年 叢 文 閣

 白崎 亨一/佐久間 哲三郎  商品の科学              昭和12年 国 勢 社

 宮本 常一          周防大島を中心としたる海の生活史   昭和11年 アチックミューゼアム

 

〔目 標〕

〔学習活動の例〕

 各問題にはいる前に,次のような総括的な学習をすることが望ましい。

 

〔問題第5〕(教科書第7章)米はどんな条件のもとで作られ配給させれるか。

 米は日本人の主食であるばかりでなく,日本農業の中心的作物であるから,米に関する世界的状況を知るとともに,日本の状況を徹底的に研究するようにしたい。特に都会の生徒については日本の農村の実情,農民の労働を十分に知るようにしたい。少なくとも知りたいという欲望をもたせることは必要である。

〔教材の排列〕

〔学習活動の例〕  

〔問題第6〕(教科書第8章)小麦はどこで収穫され消費されるか。

 世界では小麦を主食とするものは米に次いで多い。また日本人は小麦のパンは主食にはしないが,麦類は畑作物の第一位を占める重要なものである。米の章で水田を研究したように,麦で畑を研究することにしたい。特に世界的な小麦の生産と貿易をみることによって,今日の国際間のつながりを了解することが大切である。また日本にはみられない大農的な生産様式についても,注意をむけることが望ましい。

〔教材の排列〕

〔学習活動の例〕  

〔問題第7〕(教科書第9章)魚はどうしてわれわれの食卓にのぼるか。

 副食物としての魚は日本にとっては栄養上,最も重要なものであるとともに,産業としても重要である。日本の漁村の生活を理解し,また栄養の改善に関心をもつように,この問題は説かれねばならぬ。

〔教材の排列〕

〔学習活動の例〕  

〔問題第8〕(教科書第10章)肉はどうしてたやすく手にはいるようになったか。

 欧米人の獣肉に対する関係は,日本人の魚に対するのと同じく,それはみずからも飼うとともに,海外の遠方からも大量に送られる。また動物性の製造品も多く,国際貿易の対象となって動く。

〔教材の排列〕

〔学習活動の例〕  

〔問題第9〕(教科書第11章)砂糖はどうして多くとれるようになったか。

 砂糖はぜいたく品であるといってもよい。しかし世界の産物として,また国際貿易の上から重要な地位を占めている。甘蔗と甜菜はおのおの興味ある問題を提供している。即ち,前者については熱帯栽植業に注意を向けなければならない。これは19世紀中期以後に起った世界の新しい産業形態の一つである。それに対して後者は,科学的実験が新しい産業を起したものとして,その発展をみなければならぬ。そしてこの両者は,異なった自然ならびに社会の環境のもとに生産されて,相互に競争している事実を読みとらなければならない。塩もまた砂糖と同じ意味をもつ調味料であるが,これについては“問題第11”で触れることにする。

〔教材の排列〕

〔学習活動の例〕  

〔問題第10〕(教科書第12章)われわれは何を飲むか。

 茶やコーヒー・カカオは砂糖より更に食糧としての栄養価値は少ない。しかし産業上に,また貿易上に占める重要性は砂糖に劣らない。茶を飲むか,コーヒーを使うかは,住民の習慣によるが,生活程度の向上によってその消費量は増加し,したがって大きな生産地が新たに開かれた。

 茶やコーヒーと同じような意味をもつものに,たばこや各種の酒類がある。これらについては“序文”や“希望”に述べたように,教科書ではほとんど触れてないから,学習にあたっては適当に加えられることを希望する。

〔教材の排列〕

〔学習活動の例〕  

〔問題第11〕(教科書第13章)栄養上,野菜や果物はどんな役割をはたすか

 野菜・調味料・果物などの役割は,主食のそれとは異なるが,やはり重要なものである。そしてあるものは国際貿易にも重要な地位を占めているが,その他のものも一国内で都市と農村との間に常に動いている。

〔教材の排列〕

〔学習活動の例〕  

〔学習効果の判定〕