第二章 各学年の単元

 

第 七 学 年(中学校第一学年)

 

単 元 一

 

 日本列島は,われわれに,どんな生活の舞台を与えているか

要 旨

 この単元の目的は,まず生徒に,日本の産業地理及び歴史の概略を学習させ,次に続く他の諸単元を理解するに必要な,基礎を養わせようとすることにある。

 日本列島が,狭い海を隔ててアジア大陸の東縁に位することは,わが文化の発展にいろいろな影響を及ぼして来た。また,その地勢が複雑で,山地が広い面積を占め,その間に,狭い平野や盆地が介在している事実も,われわれの生活に種ゝな特色を与える上に大きな力を持って来た。さらに,島国であるにもかゝわらず,気候は大陸的で,四季の変化がはっきりしており,地域によっても,その気候に著しい相違が認められる。日本人はその生活を,それぞれの地域の自然に適応させて営んで来たから,今日でも,各地に特色のある古い生活様式が残されている。しかしながら,明治以後の西洋文明の輸入によって,日本の産業その他に急激な変化がもたらされ,土地利用の上にも,新しい特色が生まれて来た。かくして,現代の日本では,新旧二様の特色が,まだ完全な融合の域までに達しないで,たゝ入り交っている状態にある。その実例は,わが国の産業や,われわれの日常生活中のいろいろな点に認めることができる。

目 標

(一) 日本の自然環境の特色を理解させること。

(二) 日本列島の地理的位置及び自然環境の長所・短所を認識させること。

(三) われわれの生活舞台の歴史的拡大に関する理解を得させること。

(四) 各地域の特色ある産業及び生活を理解させること。

(五) 日本の産業や,日常生活に見られる新旧様式の錯雑性を認識させること。

(六) 地図の取り扱いになれさせ,位置・方位・距離・地形・気候・土地利用の状態などが,読めるようにすること。

(七) 日本の自然及び文化の状態を,あるがままに見る態度を養わせること。

教材の排列

(一) 郷上の自然現境及び産業の発達状態は,どんなであるか。

(二) 日本列島の地理的位置は,文化の発展にどんな影響を与えて来たか。

(三) 日本列島は,われわれの生活舞台として,どんな地勢環境を持っているか。

(四) 日本の気候には,どんな特色があり,われわれの生活と,どんな関係を持っているか。

(五) わが国土は,どのように開発されて来たか。

(六) 東北日本諸地方の自然環境・資源・産業には,どんな特色があるか。

(七) 中央日本諸地方の自然環境・資源・産業には,どんな特色があるか。

(八) 西南日本諸地方の自然環境・資源・産業には,どんな特色があるか。

学習活動の例

(一) 郷土の県は,同本列島のどの辺に位するか。どんな郡に分れ,大都市としては,どんなものが発達しているか。また,県は,どのくらいの面積で,どのくらいの人口を養い,人口密度はどのくらいになるか,これを,日本の他府県と比較すること。

(二) 郷上の県の地理的位置には,どんな有利な点や不利な点があるかを考えて討議すること。

(三) 郷土の県の山地・丘陵地・平野の分布図を描き,それらがそれぞれ,大体どのくらいの面積の割合を占めているかを推定して,報告すること。

(四) 郷土の県の平野には,どんな川が,どのように流れているか。また,どんな産業が行われ,都市や交通機関が,どのように発達しているかを図に描くこと。

(五) 郷土の県で,有名な山地としては,どこにどんなものがあるか,それらは,どのような山で,高さはどのくらいか。また,なぜ有名かを調べて,報告すること。

(六) 郷土の県の山地・丘陵地は,どのように利用され,また,そこでは,どんな生活が営まれているかを調べて,報告すること。

(七) 郷土の県の気候は,地方の位置や地勢によって,どんなに違っているか。そして,これによって,人の日常生活に何か違いが見られるかを調べて,報告すること。

(八) 日本列島の地理的位置の長所・短所を列挙して,討議すること。

(九) 古代に,大陸の文化が,どのようにしてわが国へ伝わったか。どんな文化が入って来たか。それがわが国ではどんなふうに保存されて来たかを調べて報告すること。

(一○) 日本の地勢図から,海抜百メートル以下,百メートル以上,千メートル以上,千五百メートル以上の土地の分布状態を調べ,われわれの活動に対し,地勢上有利な地方,不利な地方を概観すること。

(一一) 日本のおもな山脈を図示して,それぞれの名まえを記入すること。

(一二) 日本の有名な高山も高さの順に並べた図表を作り,それぞれの名まえ・高さ,その属する山脈名を書き入れること。

(一三) 日本の火山分布図によってが日本の火山が,どんな排列を示しているかを調べて,討議すること。また,郷土の附近に火山があれば

(一四) 郷土の小さな谷をさかのぼり,上流へ進むにつれて,だんだん平地が狭くなって行くありさまを観察すること。そして,

(一五) 日本の平野では,たくさんの人口を支えているが,世界のどこの平野でも同様か。もしそうでないものがあれば,

(一六) 日本のおもな平野について,

(一七) 日本のおもな盆地と,その中心都市の名まえを,河川別にして列挙すること。

(一八) 日本の海岸線の中で,出入の多い岩浜及び単調な砂浜が,それぞれ長距離にわたって発達している部分を,図示すること。

(一九) 自然条件だけからいえば,どんな地形の海岸に港が発達しやすいか。また,どんな地形の海岸に発達しにくいかを考えて,討議すること。

(二○) 郷土の海岸へ行って,海岸の地形,波の作用,潮せき(汐)や潮流のありさまを観察すること

(二一) 東京・北平(ペーピン)・ロンドン・ワシシトシ・ヴェルホヤンスク.パタヴィアの月別気温,雨量表を図表になおし,東京の四季及び降雨の状態には,各地と比べて,どんな特色があるかを調べて,討議すること。

(二二) 札幌(さっぽろ)・鹿児島(かごしま)・松本・潮岬(しおのみさき)の月別気温表から,日本の四季の変化が,土地の位置や地勢によって,どのように違うかを調べて,報告すること。

(二三) 郷土の気象観測所を見学して,気象観測の方法や,郷土の気象について,いろいろ説明を聞くこと。また,気象資料を写させてもらい,これを用いて,郷土の気候の特色を明らかにして,報告すること。

(二四) 夏の高温・多湿に対して,郷土の生活(衣・食・住)ではどんな適応が営まれているかを調べて,討議すること。

(二五) 冬の寒さに対して,郷土の生活では,どんな適応が営まれているかを調べて,討議するとと。

(二六) その他,郷土の生活様式の中で,気候に深い関係を持っていると思われる点を列挙して,討議すること。

(二七) 郷土の生活の中で,新しい様式と古い様式とが,たがいに調和せずに存在している例を挙げて,討議すること。

(二八) 府県別面積・人口表から,わが国の府県別人ロ密度図を作ること。

(二九) 役場や県庁へ行って資料を集め,郷土の人口分布図や,人口密度図を作ること。

(三○) 北海道の平野分布図を描いて,おもな都市を記入すること。

(三一) 北海道の一月と七月の気温図から,位置や地勢が,気温の年変化に,どのように影響するかを,調べること。

(三二) 北海道の開拓の歴史を調べ,また,北海道の農業生活が,他の諸地方と違っている点を調査して,報告すること。

(三三) 北海道の自然と深い関係を持つと考えられる産業を調べ,その将来について討議すること。

(三四) 北海道の都市が,他の地方の都市と違っている点を調べること。また,おもな都市について,その持つ意味(産業・交通など)を,簡単に書いた表を作ること。

(三五) リアス式海岸の成因について考えること。また,三陸の海岸に大きな港が発達しにくい理由を考えて,討議すること。

(三六) 奥羽地方の平野分布図を描き,平野の名まえとその中心都市とを記入すること。

(三七) 男鹿(おが)半島の成因について考えること。また,自分の知っている半島の中で,これと同じような成因を持つものの名・所在地を挙げ,さらに,その成因を説明する略図を描くこと。

(三八) 奥羽地方の鉱産資源について,短い論文を書くこと。

(三九) 大和(やまと)の朝廷は,奥羽地方をどのようにして開いたかについて調査し,報告すること。

(四○) 関東平野の生活が,利根(とね)川から受けている恩恵について,短い作文を書くこと。

(四一) 関東平野の都市人口分布図を作り,また,商工業の発達状態の地域的相違を調べて,報告すること。

(四二) 京浜(けいひん)工業地帯に,深い関係を持って行われている,関東地方の農業や漁業について調べて報告すること。

(四三) 関東地方の行遊地・休養地について調べて,短い作文を書くこと。

(四四) 江戸時代に,諸地方で新しく土地を開き,産業を盛んにすることにつとめたが,その当時の経済的事情について調べて討議すること。

(四五) 富士山の断面図を作り,表面の傾斜の変化状態を調べること。(垂直と水平の割合を,いろいろに変えて試みること)。また,組で協力して富士山の模型を作ること。

(四六) 郷土の代表的な山について,地図からその断面図をいろいろに作ってみること。

(四七) 中央日本の水系図を描き,地形図と対照しながら,

(四八) 郷土の県の流域面積図を作り,かんがい(灌漑)面積とどんな関係があるかを調べること。

(四九) 中部地方の平野分布図を描き,おもな都市を記入すること。

(五○) 日本海沿岸の積雪の状態,及び積雪期間の生活について調べて報告すること。

(五一) 養蚕を行っている農家へいって,養蚕についてのいろいろな説朋を聞き,また,実際の状況を見学すること。

(五二) 世界の養蚕業の状態を調べ,わが国の養蚕業の重要性,及び郷土の養蚕業の現在と将来とについて,討議すること。

(五三) 世界の茶の生産について調べ,また,わが国の茶畑の分布,茶の生産及びその重要性について調べて報告すること。

(五四) 郷土では,茶がどのように生産されるか,あるいは,どこの茶が多く供給されているかを調査して,報告すること。

(五五) 北陸地方と東海地方との自然,及び商工業の発達状態を比較して報告すること。

(五六) スキーが,わが国へ輸入された歴史を調べること。日本のおもなスキー場の分布図を作ること。雪の質が,地方によってどのように違うかを調べて,報告すること。

(五七) 名古屋附近の特色のある農業について調査し,また,郷土の農業の特色について,討議すること。

(五八) 近畿地方の都市人口分布図を描き,商工業の発達状態の地域的相違について,短い説明をつけること。

(五九) 近幾地方の行遊地・休養地の分布,及びそれぞれの特色を調べて,報告すること。

(六○) 琵琶湖は,われわれにどのような利益を与えているかを調査して,報告すること。

(六一) 気温・雨量表から,山陰・瀬戸内海沿岸・南四国の気候の相違を示す図表を作り,また各地域の気候に深い関係を持つ産業について,調査すること。

(六二) 中国地方の水田分布状態には,どんな特色があるか,そのわけを調べて,報告すること。

(六三) 瀬戸内海の風景・潮流・交通について調べて報告すること。

(六四) 中国・四国地方の都市人口分布図を描き,産業の発達状態の地域的相違について,短い説明をつけること。

(六五) 桜島の噴火について調査して,報告すること。

(六六) 北九州が,わが国で最も早く開けた事情について調べ,討議すること。

(六七) 長崎港の歴史,及びわが国の文化の発展に及ぼした影響について調査して,報告すること。

(六八) 九州地方の都市人口分布図を描き,産業の発展状態の地域的相違について,短い説明をつけること。

(六九) 九州地方の行遊地・休養地の分布,及びそれぞれの特色を調べて,報告すること。

(七○) 九州地方に開かれた歴史的な港は,みな,現在でも重要な意味を持っているか。もしそうでないものがあれば,なぜ衰えたかを調べて,討議すること。

学習効果の判定

(一) 生徒は,わが国の自然環境と生活との関係を理解することに,興味を増して来たか。

(二) 郷土の生活について,自然現境との関係を考えるようになったか。

(三) 自然環境の影響を過重視して,環境論的見解に陥ってはいないか。

(四) 郷土の産業や日常生活を見なおし,その不自然な点を発見しようとする態度が見えて来たか。

(五) 術語の知識が豊富になり,また,その使用になれて来たか。

(六) 地図の使用法に進歩が認められたか。

 

単 元 二

 われわれの家庭生活はどのように営まれているであろうか。

要 旨

 家庭は社会の基礎となる単位である。家庭が社会にその新しい一員を送り出すという点及び家庭が家族のおのおのに社会生活に必要な道徳や習慣に関して多くの訓練を与えるという点,この二つの点から,そういえるであろう。

 わが国においては,いままでなお家庭生活に個人の独立性が少ないとか,女性の地位が低いとかいうような古い時代の慣習の色合がこく残されている。道徳的・習慣的な面においてもまた経済的生活の面においても,家族間の関係においても,今後日本の社会の発展とともに,改善すべき点が多い。そこで現在でもすでにその兆候がみられるが,そのような事情の中で,家庭生活における矛盾や混乱が次第に激しくなることが予想される。矛盾や混乱は新しく見なおされた個人の徳性の確立にもとづいて,国民社会を建てなおしてゆく方向に家庭生活をとゝのえてゆくことによって,取り除かれるであろう。即ち,各家族の人格の独立の尊重と,その独立をもととした相互扶助の精神と生活を科学的に改善してゆく努力によって家庭生活が建設されなくてはならない。そのような新しい家庭生活の中で従順とか尊敬とか克己とか慈愛とか犠性とかいう古くからの徳性にも新たな生命が与えられ,それらは公民的徳性及び家庭的徳性としてよみがえるであろう。

 社会の変化は家庭自身の中に多くの影響を与えるであろうことも予想される。社会習俗の変化,政治的経済的変化そのほか種々の社会問題が家庭生活にいろいろの問題を投げ与えるであろう。

 このような事実をかえりみる時,われわれは家庭の制度を(一)社会の健全な基礎を供する面をすべて保存するという観点から検討し,またそれと同時に(二)民主的社会の基礎として家庭生活を改善することが必要である。

 よい家庭の一員となるために必要ないろいろな点に関して個人を育てあげてゆくのは家庭教育とともに学校教育の受けもつべき仕事であろう。しかし,この仕事を十分に果たすのは容易なことではない。よい家庭生活を望むことができるためには,多くの理解と技能と態度と認識とを必要とする。これを育てるのはもちろん一教科の一単元においてよくするところではない。それはいろいろの教科の多くの個所で用意されなくてはならない。そこでこの単元では家庭生活に対する基礎的な理解と態度と認識とを与えることを目ざすのである。

 生徒は現在家庭生活に関していろいろの問題や疑問をもち,またいろいろの欠点をもっているであろう。教師はこれらの疑問のすべてに答えたり,家庭の欠点のすべてをなおしたりすることはできない。しかし,教師は生徒が勉強したり,考えたり,分析したり,計画したりするように,導くことはできる。このような活動を通じて,生徒各自はわれわれが現在普通営んでいる家庭生活より,さらによき家庭生活を営むことができるようになるであろう。

目 標

(一) 家庭の生物学的,社会的な機能に対する理解。

(二) 家庭生活が歴史的に発展するものであるということの理解。

(三) 家庭生活の様式が国々によって異なるものであるということの理解。

(四) 家庭生活が社会生活に対してもつ重要性の認識を深めること。

(五) 家庭においてその一員として協力の精神をもって,各自の義務を果たし,建設的な家庭生活を営もうとする意欲を発展させること。

(六) 結婚やその他家庭生活に必要なことがらに対する健全な態度を発展させること。

(七) 家庭生活において生じるいろいろな問題に対してまじめにこれを解決しようとする態度を養うこと。

(八) 協力的な習慣・家庭生活・夫婦の関係・親子の関係,等の条件を改善する習慣を養うこと。

(九) 資料を勉強してこれを判定する技能。

教材の排列

(一) 現在の日本の家庭は過去からどのように発展して来たか。また他国民によってどのよらな影響を与えられたか。

(二) 他国の家族とくらべて日本の家庭生活はどのような特色を持っているか。

(三) 社会状態の変化によって,日本の家庭はどのように変わってゆくか。

(四) 日本の将来の家庭生活はどのように向上されるだろうか。

(五) われわれの国民生活の将来はどのように家庭生活にかゝつているか。

学習活動の例

(一) 昔から続いて来た古い家についての記録・情報・写真等を集めていろいろの知識を得てそれにもとづいて現在の自分たちの家庭生活と比較して,次のような点に関して,変わらないところ,変わったところについて討議すること。農家と都市の家との比較をするのもよい。

(二) 大陸特に中国から精神的・物質的にどのような影響が日本の家庭生活に対してあったろうか,それについて調べてみること。儒教と口本の家族制度との関係について調べ,作文を書いて学級に報告すること。

(三) 中国や朝鮮の家庭生活について,向こうに居住した人々をたずねて話しを聞くこと。われわれの家の生活と似ているところ,違っているところについて報告を書き,そのあるものを学級で朗読し,討議すること。

(四) 西洋の思想や習慣がわが国の家庭生活にどういう影響を与えたかについて研究し,討議すること。親子の関係,夫婦の関係などに変わったところがみられないだろうか。

(五) 未開社会の家の生活について先生の講義や書物からいろいろの知識を得て,それとわれわれの家の生活との異同について調べてみること。それについて討議し,われわれの家の生活がどのように発展して来たかについて結論を出してみること。

(六) 日本の家庭の生活と英・米・仏・露等の家庭の生活とを比較し,気のついたことについて説明すること。向こうに滞在した人々から話を聞いたり,雑誌や新聞の切り抜きを作ったりしてみるのもよい。

(七) クーランジェ著「古代都市」というような書物によって,ギリシャやローマの古い家族の生活と現代の日本の家族の生活と似ている点について研究してみること。

(八) 「日本の生活様式にとって洋式家屋に比較してみた日本家屋の優劣」について学級に簡単に話をすること。

(九) わが國の各時代の家屋を研究すること。現代に至るまでの家屋の発展のあとをたどること。種々の時代の家屋の絵をかき,設計図・棋型をつくること。

(一○) 日本の家族制度の変化と他の社会生活の変化――機械の使用など――と比較してみること。一番早く変化する生活様式はなんであろうか。

(一一) 自分の家の系図を作り,それに記されている人について研究すること。本家・分家等の同族社会に関する問題につき,できるだけ資料を集めて研究し,学級で討議すること。

(一二) 戸籍謄本(抄本)をみて記入方法や事項を調べ,その意味を研究してみること。履歴書の書き方を練習すること。

(一三) 地理の書物,あるいは他の資料から他の国の国民の家庭生活について知ること。学級の生徒にその報告を読んできかせること。自分で選んだ国々の家庭について説明できるような画をかくこと。諸国の家庭生活をもとにして戯曲や物語を書くこと。物語を読むか,話して聞かせるか,または劇にする。できるだけいろいろの点で日本の家庭生活と他の国々の家庭生活とを比較すること。またその違いの背後にある思想について研究すること。

(一四) 「近代的な産業が日本の家族に与えた影響」という題でできるだけくわしい研究を行うこと。

(一五) 現在自分の家で働いている者と祖父の時代の家族と比較してみること。仕事の性質,仕事の場所,及び状況・報酬などについて。

(一六) 新憲法の中で家の生活に関係している条項をとり出して,現在の家庭生活と比較して研究してみること。なぜそのような条項が重要であるかについて討議すること。

(一七) 民生委員をたずねて,失業や病気や貧困や主人の死亡が家庭生活にどんな影響を与えているかを聞き,学級に報告すること。そういう家族は増えているか。どういう原因によるか。

(一八) 「婦人の職業と家庭生活」という題で作文を書いてみること。婦人の職業で古くからあるものはどういうものか。新しいものはどういうものか。特に母が職業を持っている場合,子供にどういう影饗を与えるかということについて討議すること。

(一九) 配給制度について父母あるいは兄姉からいろいろのことと聞き,食糧の不足が家庭生活にどういう影響を与えたかについて調べてみること。

(二○) 疎開や戦災などによって家庭生活がどういう影饗をうけているか。新聞などの記録を集めて,学級に報告し,それにもとづいて学級討議を行うこと。

(二一) 近所の住宅調査をやること。ます適当な住宅とはどういうものかを明らかにした後,適当な住宅が不足しているかどうかを明らかにすること。新聞やその他の資料を調べて,市・町・村・都道府県でまた国家で住宅改善のためにやっていることを明らかにすること。近所の家をいっそう役に立つように改善し,その美しさを増すための計画をつくること。

(二二) できれば,学校地区の住宅戸数・畳数・人口総数を調べ,一戸当たりの平均人数,ひとり当たりの畳数などについて図表を作ってみること。住宅問題の重要さについて研究し,討議してみること。

(二三) 自分の家庭生活のすべての方面で,家庭をいっそう明かるく,面白く,美しく,住みよい所とするために実際にできる計画を立てること。この計画を実際にあてはめてゆくこと。

(二四) 自分の家庭で用いる実際の予算を立てること。自分のつかう小づかいを家庭の経費全体から再検討してみることも必要である。小づかいをもつのはどうして子どもにとってよいことかという点について討議すること。

(二五) 自分たちの家で年中行事はどんなことをしているだろうか。それぞれ学級で報告すること。将来の家の生活にとって有意義と思われるものはどんなものだろうか,討議してみること。

(二六) 家庭で家族全体のために設けられでいることがらについて詳細な表を作ること。家族のためになるような活動を各自がどんなふうに分胆できるであろうか。

(二七) 家庭で一月の間にやるような計画について研究すること。計画の完全な表をつくること。それぞれの場合,それはどういうふうにしてきめられるか。家庭の全員が相談して計画に責任をもつことができるようにつとめること。

(二八) 一週間の家庭における各自の分担する仕事の表,及び休養や娯楽の計画表を作ること。

(二九) 母の手助けをする十通りの方法を表に作ること。同様の表を父・姉・妹・兄・弟について作ること。

(三○) 合衆国やイギリスその他の国々の家庭では仕事をどういうふうに分担しているかということについて,自分の学級に短い報告をすること。

(三一) 家の中で起りがちな不慮の災害について表をつくってみること。それらを除くための実際の計画を立てること。

(三二) 家庭の和楽のために,遊びや休養を考えてみること。それを自分の家庭にとり入れること。

(三三) 近所の家庭や親類を招いて「夕べのつどい」をする計画を立てること。みんながいろいろのことに参加できるように計画することを忘れてはならない。

(三四) どこかへ家族といっしょに行楽する計画を立てること。その際みんな興味をもてるような仕事を含めておくのがよい。

(三五) 「○○へのわが家の行楽」という題で作文と書くこと。(実際の行楽の記述)。

(三六) 現在の家の家族間の関係を示す略図を書き,その改善について参考意見を述べること。

(三七) 自分と両親との関係は今まで通りの日本の親子の関孫と一致するだろうか。それに答えられるように,家庭の歴史的な発達を研究すること。

(三八) 自分の日常の習慣を研究すること。一家はどんなに多くの習慣を作って来たか。そのすべてはよいものだろうか。迷信にもとづいているものはないだろうか。家の習慣と迷信とについて表を作ってみること。

(三九) 数人のものと組をつくって家庭の中で一般に起りがちな行為を戯曲につくって演じて,ある考えを現わしてみること。

(四○) 家庭における男性と女性及び男児と女児との関係という主題について学級の前で小人数のグループがテーブルを囲んで討議すること。

(四一) 家庭問題についてのラジオ放送を聞き,それを学級に報告すること。続いて学級討議をやること。

(四二) 家庭の問題について話をするために学級討議に両親を招待すること。

(四三) 自分の町や村は家庭を持つ場所としてどんな利害を持っているか。その害になる点を除くにはどんなことができるだろうか。

(四四) 家庭生活改善のために自分の町や村に何か機関が設けられているかどうか明らかにすること。その機関は現在どんな仕事をしているか。家庭生活の改善のために学校はどんな援助をすることができるだろうか。それらについて討議すること。

(四五) 隣保の人たちがいっそう住みよい場所をつくり出してゆくために,自分の家族はどういう助力をすることができるか,考えてみること。

(四六) 隣保の家庭の改良という使命を持った家庭クラブを組織すること。

(四七) 隣保の家庭の統計調査をすること――各家庭の家族数・年齢・教育の高さ・雇よう関係等――それらを図表で説明すること。それは市町村でやる調査票の書き込みの練習にもなる。

(四八) 家を建てるための資材とそれを手に入れる方法を研究すること。用いられている資材の標本を集めること。どうしてそれは手に入るか。自分の地区の家屋と他の地区の家屋とを比較すること。

(四九) 日本の家屋の特色を調べ,特色をはっきり形に現わしている模型をつくること。日本の家屋のいろいろな点で保存すべきものと,近代生活にとってもっとよいものにするために,ないほうがよいと考えられる点とを明らかにすること。和洋の家屋の設計図や絵や写真を集めること。

(五○) 日本の家庭生活に必要な家具について表をつくること。どんなものがあるか。どんな部屋におかれるか。使用法はどうか。自分の家の由緒のある家具について,その歴史を調べてみること。同じ種類の家具の変遷を調べること。生活様式その他料理法というような家庭生活の変化と比較研究してみること。

(五一) 自分の知っている家庭でうまくいっていると思われるものについて,研究文を書くこと。その家庭をうまくいかせている原因と思われることがらに力を入れるがよい。

(五二) 日本あるいは他国の模範的な家庭生活の物語を探し,それを学級に読んできかせること。

(五三) すぐれた人々の伝記を調べ家庭生活において幼時どんな影響を受けたかという点について作文を書いてみること。

(五四) 学級で兄弟姉妹の数を調べ,平均人数を出してみること。このまゝで行けば,五十年後にはどのくらい日木の入口が増えるかを計算してみること。

(五五) 理想的な家庭に対する自分の考えを書いてみること。これを学級で朗読し批評を聞くこと。

(五六) 家族生活あるいは家庭というものを特に取り上げた詩を集めること。

(五七) 自分が理想的と考える家庭や家族のことを歌う詩をつくること。

学習効果の判定

(一) 生徒たちは家庭生活の改善に対して興味をもつようになったかどうか,観察すること。

(二) 生徒たちは他国の人々の家庭生活に理解を示し,その風習を尊重するようになったか。また同時に好ましい変化を示すようになったか。生徒の討議を観察し,書いたものを調べて記録すること。

(三) 生徒たちは家族間の個人的な関係を積極的によくしようとする努力を示しているか。両親にたずねて,評定すること。

(四) 生徒たちは相互の家族関係に対して,責任感を強くもつようになったかどうか,観察すること。

(五) 生活を組織的に計画的にするようになったかどうか,記しておくこと。

(六) 他人の家族に対して好意的な関心をもつようになったかどうか,観察すること。

(七) 自分の経済生活を健全にするようになったかどうか,観察すること。

(八) 人々に会って話を聞いたり,報告をしたり,記録をしたりする能力ができるようになったか。学校生活における種々の活動を観察すること。

 

単 元 三

 学校は社会生活に対してどんな意味をもっているだろうか。

要 旨

 社会のはたらきとしての教育のもつ意義は次第に重要視されるに至った。特に他の共同社会が産業の発達につれて,その機能に変化をきたし,例えば家庭などの教育の機能は次第に減ってくる傾向にあるので,学校のもつ社会的意義はますます大きくなってくる。それは次の世代に必要な文化的遺産を伝え,また同時に社会のありかたを定めるのが,学校のおもな目的だからである。

 そこで生徒に学校のもっている社会的機能を理解させることが何よりも必要になる。それは生徒が目的を意識して自発的に学校生活を営むことができるためである。そこでまずわが国の学校制度や学校教育活動の現実に対する認識を深めることがたいせつになる。

 ところで現在のわが国においては,あらゆる意味における社会の改革が要求されているが,それが成功するためには,教育によって各個人の理解や態度が新しく発展させられ,新しい生活目標や新しい生活習慣,新しい社会に必要ないろいろな技能などが得られなくてはならない。この点について学校教育のもつ重要性はどんなに高く評価してもよい。

 今後学校は地方生活の文化的中心として,地方の生活のいろいろな方面,文化・衛生・政治・社会行動等について啓もう的な役割を果たすことになるであろう。このような学校の活動は教師のみによってなされるのでなく,学校社会の活動として生徒がこれに参加し,あるいはさらに,生徒自身の手によってなされる時,いっそうかっぱつな,またいっそう親密なものになってゆくのではなかろうか。そこで生徒が学校生活を有効に,豊かに楽しいものにしてゆくために,上のようないろいろな点について,理解を深めることがたいせつになるであろう。

 このような点を考えてこの単元は編成されたのである。意義のある学校生活は生徒に受け入れられ,そうしてそれはまた生徒の行動に影響を与えていかなくてはならない。社会に対する学校の意義を学ぶためには,絶えず考慮がはらわれなくてならないのだから,その学習はこの単元だけに限られてはいけない。しかしこの単元は,学校生活の意義を理解し得るように生徒のいろいろな活動を導いて学校の意義と国民社会に対する現在の教育の関係を明らかにし,同時にいろいろの知識を与えるであろう。

目 標

(一) 社会的要求としての教育の意味と社会の機能としての学校の意味の理解。

(二) わが国の学校制度の発展についての理解。

(三) 学校の組織や機能についての理解。

(四) 学校生活をもっと有効に営もうとする態度を発展させること。

(五) 自分たちの活動を通して社会の一員としての訓練を受けようとする態度を育てること。

(六) 自分たちの学校生活を改善し民主化しようとする態度を育てること。

(七) 他の人々とともに働くこと。指導者と協働者の責任のたいせつなことを認識すること。

(八) 学校生活を責任感を持って協力して発展させる習慣。

(九) 新聞やラジオ,その他の手段によって,情報を集める技能。

(一○) 人々に会見して知識を得る技能。

教材の排列

(一) 社会は教育に対してどんな配慮をしているか。

(二) 学校はどうしてわれわれの社会人としての資質を高めてくれるか。

(三) われわれはどのように学校生活を改善することができるか。

学習活動の例

(一) 明治維新以後の学校制度に関するおもな法令を集めて,わが国の学校制度上どういう変化があったかを調べてみること。徳川時代の教育機関について簡単な知識を得て,それと明治以後の教育機関と比較してみること。教育の普及ということについて,明治以後のわが国の政府は,どんな努力をはらって来たかについて討議すること。

(二) 自分の学校の歴史を研究すること。学校はいつ創立されたかを調べ,それから現在までの歴史をたどってみること。教科課程で生じた変化について説明すること。学校の歴史を明らかにした小冊子をつくること。

(三) 自分の地方の村・町・市・都道府県の小学校の数,生徒数な調べること。過去十年間の統計があれば,それにもとづいて,グラフをつくること。同様のことを中学校についても行うこと。

(四) 日本の学校にはどんな種類があるか,これを調べて,その分布図をつくること。

(五) 旧制度の中等学校及び上級学校の入学について研究してみること。小学校卒業生の何割が中等学校へ行くか。その何割が志望を達せられるか。自分の地方。(府・県等)について調べてみること。入学難という問題で討議してみること。なぜ入学難は除かれなくてはならなかったか。

(六) 日本の教育の進歩に貢献した人々の表をつくること。おのおのその名の下にどういう功績によるかを書きこむこと。その人々について,自分の知っていることを学校に報告し自分の報告と同級生の報告と比較すること。

(七) 歴史の本を読んで,日本の歴史のある時代に少年少女たちが受けていた教育上の便宜と自分たちの現在受けている便宜とを比較してみること。

(八) 自分の学校や近隣の学校を研究して,次の諸点を明らかにすること。

(九) 自分たちの郷土の社会の人たちで,学校に関係があると思われる人たちをたずね会見すること(市町村長,市町村の議員とか学校委員等)。その人たちの仕事が教育とどんな関係があるかについてはっきり知ること。学校の現在の経営組織を改良する方法について討議すること。

(一○) 自分の学校に適用される国家・都道府県・その他の法令を集めて研究すること。それらについて討議して,おのおのの規定が学校に及ぼす影響について考えてみること。

(一一) 委員会をつくり,委員を選んで,都道府県庁の教育課長その他の学校関係の役人をたずねて会見すること。この人たちはどうしてその役に選ばれたか。その人たちの職務はどういうふうに遂行されているか。その人たちの資格,給与等について正確な知識を得ること。選挙された県民によってつくられる一般人の委員会が県の学校を管理し,適当な教育者を用いて学校の実際の仕事にたずさわらせるような組織と,現在の組織とを比較研究してみること。

(一二) グラフをつかって自分の町が保健・防火・政治・その他の項目に関して支出する費用を学校のためにつかう費用と比較すること。別のグラフを用いて昭和十年以来の軍事戦費と教育費とを比較すること。

(一三) 登校日に普通やっていることがらをすべて挙げてみること。登校の準備,登校,学校にいる間,こういうことがらはいったいいつどこで教えられたのだろらか。学校生活に対して,自分の家庭ではどんな準備をしてくれたろうか。

(一四) 同級生間の関係,生徒と先生との関係という題で作文を書くこと。理想的な友情,理想的な師弟について討議すること。

(一五) 仕事,遊戯,学習活動に際して各個人は時間をどういうふうに使っているか。一週間に費される時間の表。時間をもっと有効に用いるように組みこむことのできる方法について討議すること。

(一六) 趣味や教養を高めるために,最もよいと思われる書物を読むこと。教室でそれらの書物について討議すること。自分がそれらの書物に特別な興味を感じた理由を話すこと。良い書物を自分たちの学級(学校)の文庫に加えるにはどうしたらよいかを考えること。生徒のひとりを図書係に任命すること。学級や学校の図書の数を増し,質をよくするための実際の計画を立て,その計画を効果あるように遂行すること。

(一七) 自分の学校や学級の生徒の間で人気のある休養や娯楽や趣味などはどんなものか,投票できめること。

(一八) 自分の学校の出席記録を研究すること。グラフをつかって,欠席の何割が病気によるものか,明らかに示すこと。自分たちの土地の学校の生徒がかゝる病気を,病気にかゝる割合の順で表にしてみること。

(一九) 伝染性の病気でない病気欠席の生徒を見まうこと。長い病気だったら学級で見舞状を書くこと。病人の看護法を学ぶこと。

(二○) 生徒全部に対する身体検査の結果を記録して,それにもとづいて身体的欠陥をなくす方法を討議すること。(個々の生徒の欠陥ではなく,身体検査の結果わかった一般的な欠陥を討議しなくてはならない)。

(二一) 学級や学校における身体の清潔と健康法の基準を定めて,生徒がみなこれを守るようにすゝめる運動をすること。

(二二) 学校衛生の基準について,県や国家の衛生当局でなくてはわからないことがらに関して,当局に手紙を書いて知らせてもらうこと。

(二三) 自分の学校に衛生委員会をつくって,校長先生や他の先生と協力して学校衛生の視察を行うこと。視察の結果を校長先生や他の先生とともに研究し,学校の衛生改善のために忠告してくれる委員会の勧告に進んで従うこと。自分たちで扱えない問題については学校や行政当局と話し合いをすること。

(二四) 学校の理想的な採光,暖房,換気,衛生条件について研究すること。できるだけ理想に近づけるという見地から自分の学校を研究することが必要である。

(二五) 個人または公衆の健康について物語や劇を書くこと。

(二六) 校内の清掃に関して現在の組織方法を検討し,その改良案について学級で討議すること。衛生上の見地を特に重んじなくてはならない。注意事項を徹底させるための方策を考えること。

(二七) いろいろな会の運営について議会的な方法を研究してみること。学級会や委員会で議会的な運営をやってみること。

(二八) 学級の生徒各自がはっきりした貴任と義務とを持つことができるように自分の学級を組織すること。級長,学級委員,協働者(一般学級員)及び先生,学校当局者との関係を建設的な態度で研究すること。

(二九) 学級自治会などによって学校における「公民権」について若干の規則をつくること。意見の一致をみてできあがった規則はパンフレットにして一般に知らせること。

(三○) 学校及び学校によい伝統をつくるように努力すること。そのためにいろいろな記録をつくっておくこと。学校や学級の歌をつくること。愛校心について学級で討議をすること。「愛校心と愛国心」「愛校心と人類愛」という題で作文を書くこと。

(三一) 学校内で行われていると思われる慣習・伝統・信条・行動の習慣や形式(おたがいのあいさつの仕方,先生との間がら等)について表をつくること。それからそれらの慣習の現在の意味を討議して,今もなお有用であるかどうかをきめること。もう役に立たない慣習や習慣については,どうしたらよいかを明らかにしてみること。これからよい慣習を作るにはどうしたらよいかを研究ずること。

(三二) 学級で学校の建物や運動場や学校園を建設し改良し美化する計画を立て,その計画を効果あるように遂行すること。

(三三) 観察・研究及びみんなの討議によって,学校の中で評判のよい人の性質や特徴を明らかにすること。みんなの要求にあうような特徴の表をつくってみること。生徒各自はこの表に照らして自分自身を評価してみるがよい。

(三四) 動作や身なりなどをよくしてゆくには,各人はどらしたらよいかを公開討議の形式で決めること。

(三五) 教室における学習の態度について建設的な討論を行うこと。最上の能率をあげることのできるように教室を改善すること。机の配置や席順はどうするのがよいだろうか。

(三六) 全学期を通して学校内の招待会(父兄招待会・敬老会・バザー等)を計画すること。その責任はまわり持ちにして,各自が少なくとも一年に一回主人役になる機会があるようにすること。

(三七) その地方居住の芸術家・小説家:音楽家・劇作家などを学校に招待して,父兄や他の学級に見せる会のプログラムをつくるのに援助してもらうこと。

(三八) 友人に手紙を書き,学校生活で自分が特別に好きなことがらについて知らせること。

(三九) 同じ種類の活動に興味を持つ生徒たちのグループで校内に同好会を組織すること。(スポーツ団体,写真会,遠足会,自然同好会等)。

(四○) 新しい運動競技を計画し,これを校内に紹介するために委員会を組織すること。

(四一) 運動競技をした後,その経験にしたがって,チーム・ワークの重要さについて討議すること。チーム・ワークということを社会生活や自分たちの生活のいろいろな方面について考えてみること。団結の力をはっきり現わした物語を探し,学級で朗読すること。

(四二) スポーツマンシップ(運動家精神)について,またそれと勝敗との関係について話し合うこと。運動家精神の発揮された実例や物語を集め,学級で朗読すること。学校における運動競技のあり方について討論すること。競技における応援団及び観客のとるべき態度について各自表をつくり,比較すること。それにもとづいて模範的な応援を行うこと。

(四三) 運動競技の価値を論ずること。競技における運動家の心構えについて表をつくること。運動競技によって学校どうし,生徒どうしの交歓をはかること。

(四四) 近所にある自分の学校と違った種類の学校をたずねること。それらの学校の生徒たちに自分の学校に来てもらい,その活動について話をしてくれるように頼むこと。

(四五) 食糧増産運動に参加できるように学校に組織をつくること。学校農園をつくること。自分の学級や学校の生徒の栄養の必要量を研究してみること。どの程度まで栄養の必要量がみたされているか。

(四六) 学校新聞をつくり,各学年並びに校内の同好会各部(運動競技・演劇,趣味等)から通信員を出すこと。紙の問題は考える必要はない。学校新聞は,たとえ部数が少なくて,各教室の公報板に一枚ずつ貼る壁新聞の程度でも価値がある。

(四七) 一年の課程の間に学校について集められた報告をのせた書物(年鑑)をつくること。建物の設計図,建物や生徒や先生の写真,学校に関する説明つきの統計的な資料,社会活動の記録・運動競技の記録・学校問題の討議についての作文などを含む。(必ずしも印刷する必要はないが,生徒たちに役だつように写しをつくること。)

(四八) 新たに入学しようとする生徒に役だつと思われる学校に関する知識をのせた小冊子をつくること。次の年に新しい生徒が用いる部数だけ準備すること。

(四九) 自分の学校の職員の人たちに会い,かれらの在学した学校,持っている学位や免許状及びそれらの内容について話を聞くこと。

(五○) すぐれた先生なら持っていなくてはならないと思われる資質の表を作り,それを他の生徒のつくった表と比較すること。みんなに満足のゆく標準がきまるまで,すぐれた先生としての資質について級友と話し合いをすること。

(五一) 自分の学校の卒業生をある年代にわたって,調査すること。どんな職業についているか。どんな上級学校に入ったかを調べること。それとともに自分の町の職業調査を行うこと。現在の組織による学校は自分が社会の生活に入って行くために訓練を与えてくれるかどうかを明らかにすること。

(五二) よい指導者やよい協働者の特色をあげ,討議すること。在学期間中に学級の全員が指導者として,活動できる機会をつくること。

(五三) 「日本の学校はもっと職業に必要な課程を採り入れるべきである」と決議されたとして,その問題について討議すること。

(五四) 事業の雇よう主に面会し,その人たちの教育に対する態度及び,その人たちが実業に就こうとする青年に必要だと考えている教育の種類を明らかにすること。

(五五) 学校は地方生活のためにどういうことをすることができるか,という点について,討議し,実行のできるものは計画して実行すること。(例えば運動競技の普及,勤労奉仕,演劇の公開,図書の公開等。)

(五六) 自分の両親が学校で行われる仕事のうちで一番たいせつと考えていることについて,両親と話し合うこと。両親はどういうやり方で学校教育を変えたいと考えているか。

(五七) 先生たちから六・三・三制度の意味を聞くこと。自分の学校はこの制度の中でどんな位置を占めるか。中学校の性質について先生たちと討議すること。この制度は教育上のどんな目的に役だつだろうか。

(五八) なぜ女子も男子に役だつ教育と同じ教育を受けることがたいせつなのだろうか。自分たちの年齢の男子と女子がいっしょに学校生活の経験を持つのはなぜよいことなのだろうか。

(五九) 自分の学校の昭和二十二年度教科課程の刷り物を手に入れること。それをいちいち昭和二十一年度及びそれ以前の教科課程と比較してみること。以前には重要視されたものが,なぜ新しい教科課程では重要視されていないのだろうか。

学習効果の判定

(一) 生徒は学校の価値をどの程度に理解したか。

(二) 生徒は学校生活に対して積極的な関心を持つようになったか。

(三) 生徒は指導者としてあるいは協働者として態度の上にどういう変化を示すようになったか。

(四) 学習態度はどのように民主的になったか。

(五) 学校の行事に対して責任感と協働的精神を示すようになったか。

(六) 人々に会見して知識を得る技能はどれほど向上したか。

(七) 自分の将来に対して関心を示すようになったか。

 教師は生徒の学校における種々の活動,討議・報告等を観察し,また他の教師や両親の意見を参考にして評定すべきである。

 

単 元 四

 わが国のいなかの生産生活は,どのように営まれているであろうか。

要 旨

農業及び漁業は,古来わが国民生活のもといをなして来たものであり,われわれの祖先は,絶えまない努力によってその生産を増し,狭い国土に多くの人口を支えて来た。今日ではこの努力はいっそう真剣となり,土地の集約的利用はほとんどその極度に達している。そして日本各地にはそれぞれの土地の自然に適応し,しかもヨーロッパやアメリカにはその例を見ない特色のある文化景観が展開している。

 自然に抱かれて,外部からはごくおだやかに見える日本のいなかの生活にも,その裏には昔からはかり知れない労苦や,いろいろ複雑した問題が含まれているとの事実を,都市に住む生徒が理解することは都市といなかの人々相互の心のつながりを深める上に,重要な意味があるとともにいなかに住む生徒も,これによって,郷土の日常生活について,反省を促される点が多いことと信ぜられる。

 また,わが国のいなかの生活にも,近代的文化が次第に取り入れられてはきているが,また古い日本の姿が,あらゆる点に濃く残されている。これについても,生徒のできる範囲内で,郷土を中心とする諸問題に関する研究や討議を行い,今後の郷土の生産や,生活の改善に役だたせるようにしたいものである。

目 標

(一) わが国のいなかの生産生活の特色を理解させ,その今後の改善及び発展いかんが,どんなに日本の再建に重要な意味を持つかを認識させること。

(二) わが国のいなかの生活が,それぞれの土地の自然に適応しながら,さまざまに営まれでいる実状を認識させ,各地の生活に対する理解を深めさせること。

(三) 自然に抱かれて,平和にみえるいなかの生産生恬にも,自然に対して,昔から,はかり知れない労苦が払われて来ていること,及びいろいろ複雑した社会問題が横たわっていることを理解させること。

(四) 郷土のいなかの生活に関する,いろいろな調査や討議によって,郷土のよい特色や,今後改善を要すべき点を認識させること。

(五) 地理的術語を理解させ,また比較的縮尺の大きい地図の読み方や,見取り図の描き方を習得させること。

(六) 統計・図表などの製作,使用に慣れさせること。

教材の排列

(一) 郷土の農村や漁村の生活は,どのように営まれているか。

(二) わが国の農業には,どんな特色があるか。

(三) わが国の平野は,どのように利用されているか。また平野では,どんな生活が営まれているか。

(四) わが国の山地は,どのような生活舞台を与えているか。

(五) わが国の海岸の人々は,どの程度まで海に生活資源を求めているか。

(六) わが国のいなかの家や村は,どんな姿をしているか。

(七) わが国のいなかの生活を,どのように改善したらよいか。

学習活動の例

(一) 郷土の村は,いくつの大字からなるか。大字は,いくつの小字からなるか。小字は,いくつの組からなるか。その組をなんと呼ぶか,それぞれの名前と,戸数とを調べて表を作り,さらにその分布図を書くこと。

(二) 郷上の面積・人口・戸数に関する資料を集めて,耕地面積・農業人工・農業戸数の割合を計算すること。そしてこれを日本各地と比べること。

(三) 郷土では,農業者ひとり当たり,どのくらいの面積の土地を耕していることになるか。耕地一平方キロメートル当たり,どのくらいの人口や農業者を養っていることになるかを調査し,これを日本各地の場合と比べること。

(四) 郷土の水田と畑の割合を調べ,また水田と畑の分布状態を示す地図を作ること。

(五) 郷土の米の反当収量は平均どのくらいか。土地によってどう違うか。また,郷土の人口を養うには,どのくらいの過不足があるかを調査して報告すること。また,郷土の米の増産法や消費節約法について調べて討議すること。

(六) 日本の米の産額や,消費に関する記事を,新聞や雑誌から集めて,日本の食糧問題について討議すること。

(七) アメリカ合衆国の農業の特色を調べて,わが国の農業の特色と比べること。

(八) 郷土では,毎年いつごろ田植が始まり,また,いつごろ取り入れが始まるか。日本のいろいろな地方と比べて,どのくらいの違いになるか。近くの農村で,郷土の場合とかなり違うところがあるか。もしあれば,それはなぜかを調べて報告すること。

(九) 郷土では,水田の裏作には,一般に何が作られるか。近くの農村でも,同じものを植えるか。また違ったものを一般に作るところがあるか。もしあれば,それはなぜか,を調査して報告すること。

(一○) 資料を集めて,わが国のおもな畑作物及び家畜の分布図を描き,地域による特色を明らかにすること。

(一一) 郷士では,畑にどんな作物が多く植えられているか。季節によって,作物の種類がどのように違うかを表にすること。また今後,どんな作物の栽培に,力を注ぐのがよいかについて討議すること。

(一二) 畑作物の中で,郷土附近の特産物となっているものは何か。この畑は全耕地の何パーセントを占め,どのくらいの収穫があるか。この作物の分布図を描くこと。そしてこれはどのように加工されて,どこにおもに売り出されるか。県,あるいは日本全体から見て,どんな重要性を持つかを調査して討議すること。

(一三) 郷土の全戸数中,養蚕を行うものはどのくらいあるか。まゆはどこの製糸工場へ送られるか。桑畑は畑の何パーセントぐらいに当たり,また,どんな分布を示しているかを調べて報告すること。

(一四) 郷土附近の製糸工場や,その他,農産加工物製造工場を見学して,いろいろな設明を聞くこと。また,郷土の経済生活に対する,それらの工場の重要性について討議すること。

(一五) 日本の養蚕や,製糸に関する記事が新聞にでるごとに,切り抜いておいて,相当な量になってから,それをもととして日本の養蚕業や製糸業の重要性及び将来について討議すること。

(一六) 郷土では,どんな牧畜が行われているか。おもに何を飼い,牧場としては,どんなところが利用されているか。農家では,農耕にどんな家畜を使用するか。農家一戸当たり平均何頭ぐらいになるか。家畜をどのように愛護するかを調べて報告すること。また郷土の牧畜業発展の必要性について討議すること。

(一七) 新聞から日本の牧畜に関する記事を集め,これをもととして,日本の牧畜の将来進むべき方向について討議すること。

(一八) 郷土の地形はどんな状態か。低地・扇状地・台地・丘陵地・山地などにわけた地図を作ること。

(一九) 郷土の低地は,どのように利用されているか。まだ利用されていない部分があるか。それはどういうところかを調べ,これを有用地化するには,どうしたらよいかについて討議すること。

(二○) 低地の村は,どのような位置を占めているか。家の屋敷は,盛り土がしてあるか。それはなんのためか。さらに改善すべき点がないかを調べて報告すること。

(二一) 川にそう堤防の内側と外側とでは,どちらが土地が高いか。堤防の内側と外側とで,土の状態がどう違うか。それはなぜか。天井川の例があれば,なぜそうなったか,それによって,どんな利益,不利益をうけているかを調べて報告すること。

(二二) 郷土の低地の井戸は,深さがどれくらいか。水面までは,どれくらいの深さか。水面までの深さは,場所によってどう違うか。また,天気や季節によって,どう違うか。水がかれる時はないか。扇状地や台地についても,同様なことを調査して報告すること。また,衛生上から見た,郷土の井戸の構造や,水質について調べて討議すること。

(二三) かんがいや排水は,どのように行われているか。かんがい用水路はどのように発達しているか。ため池その他,貯水池の設備があるか。それらはどんな地形のところを利用し,また,いつごろ作られたかを調査し,できれば地図に描いて報告すること。そしてこれらを,今後どのように改善,発達きせたらよいかについて討議すること。

(二四) 扇状地の開墾に際しては,どのような労苦が払われて来たかについて調査すること。

(二五) 扇状地には,まだ原野の部分があるか。開墾されたところは,どのように利用されているかを調査し,地図に書いて報告すること。また,今後の開墾地の最も有利な利用法について討議すること。

(二六) 扇状地には,村や町がどのように発達しているか。水はどうして得ているか。井戸は各戸ごとにあるか。それとも一つを何戸ぐらいで共同に使っているか。その場合は,どんな不便や利益があるかを調査して報告すること。

(二七) 郷土の台地は,どんな土からできているか。表面は,どのように利用されているか。村や町が発達しているか。水はどうして得ているかを調べて報告すること。

(二八) 平野の生活の有利な点,不利な点を列挙して討議すること。

(二九) 郷士の谷底の広さは,川によってどう違うか。傾斜はどうか。谷底や斜面は,どのように利用されているか。村はどんな位置を占めているかを調べて報告すること。また,谷底の村の生活の有利な点,不利な点について討議すること。

(三○) 郷土に山村があるか。そこの生活は,平野の村とどんな点が違っているかを調査して報告すること。

(三一) 郷土の山地,丘陵地の斜面は,どのように利用されているか。階段状の水田は,高いところでは,平地から何メートルぐらいまで発達しているか。畑も階段になっているか。斜面の耕地は,今後もっと広げられる可能性があるかを調査して報告すること。

(三二) 郷土から他地方へ,ある季節だけ出がせぎにでかける人があるか。もしあれば,それはどうして必要なのか。その季節,人数,出かけるおもな地方,従事するおもな職業を調査して報告すること。

(三三) 郷土の山地には,どんな樹木が多いか。林業としては,どのようなことが行われているか。林業に従事している人は,何人ぐらいか。副業か専業かを調査して報告すること。

(三四) 郷土では,どんな樹木が最も有用か。木材はどのように運びおろされ,どこの製材場へ送られるかを調査して報告すること。

(三五) 郷土には,林業先覚者としてどんな人があったか。そしてどんな仕事を残したかを調べて報告すること。また,郷土の林業をさらに発展させるためには,どのような努力をしたらよいかについて討議すること。

(三六) 新聞から,日本の林業に関する記事を集め,これをもととして,日本や郷土の林業の,現在と将来について討議すること。

(三七) 山地の生活の有利な点,不利な点を列挙して討議すること。

(三八) 郷士の家々では,副業としてどんなことを行っているか。これは季節によって,どのように違うか。副業による年収入はどれくらいかを調べること。また,副業のやり方を,今後どのように改善したらよいかについて討議すること。

(三九) 郷士で行われている副業の種類や,やり方は,今日までに,どのような変化をして来たか。最近新しく行われるようになったものとしては,どんな種類があるか。それはどういう動機から始められるようになったかを調べること。また,今後どのような副業に力を注ぐことが,最も有望かを考えて討議すること。

(四○) 郷土の海岸は,どんな地形か。海岸の村の人々は,何で生計を立てているか。漁業を専業とする村があるか。郷土では,漁業人口と農業人口との割合はどんなであるかを調べて報告すること。

(四一) 郷士の漁付はどのようなところに位置しているか。漁村では,男女の仕事がどのように違うかを調べて報告すること。

(四二) 郷土の海岸では,どんな魚類,貝類,海草類が多くとれるか。それらはいつごろ多くとれるか。そしてそれらの水産物は,どのように取り引き,または処分されるか。その方法は今日までに,どのように変わって来たかを調べて報告すること。

(四三) 郷土の海岸では,どんなやり方で漁業が行われているか,沿岸の漁業では,船はどのくらいの沖まで出かけるかを調査して報告すること。

(四四) 郷土の漁業のやり方は,昔に比べれば,どのような変化をして来たかを調査すること。そしてさらに今後どのように改良したらよいかについて討議すること。

(四五) 郷土の海岸では,漁獲高や,とれるものの種類は,昔に比べてどのように変化して来たか。それはなぜであるかを調べて報告すること。

(四六) 郷土の沖を流れる海流の方向や速さは,季節によって,どう変わるか。これが漁業にどんな関係をもっているか。両親や村の人に聞いて報告すること。

(四七) 潮境とは,どんなところか。潮境附近に魚が集まるのはなぜか。わが国近海や郷土の海岸で,おもな潮境はどの辺か。そこではどんな漁業が行われているかを調べて報告すること。

(四八) 郷土の漁港は,どんな地形を利用しているか。また港の設備としては,どんなことがなされているか。それはなんのためか。出入する船には,どんな種類があるかを調べて報告すること。

(四九) 郷土ではどんな水産物加工が,行われているか。その工場を見学して,係りの人からいろいろな説明を聞くこと。また,郷土の生活に対するその工業の重要性について討議すること。

(五○) 新聞や雑誌から,わが国の水産業に関する記事を集め,これらをもととして,わが国や郷土の水産業の重要性や,将来について討議すること。

(五一) 海岸の生活の有利な点や,不利な点を列挙して討議すること。

(五二) 郷士の農家の周囲には,樹木が植えられているか。どんな種類の樹木か。それは何のためかを調査して報告すること。

(五三) 屋敷内には,一般に家屋がどのように配置されているか。これにはところによってどんな違いがあるか。郷土の代表的な農家について,見取り図を書くこと。

(五四) 屋敷の周囲,または屋敷内に畑があるか。それはなんとよばれて,主として,どんなものが栽培されているか。屋敷内の広場では,どのような仕事がなされるか,を調べて報告すること。

(五五) 郷土の家屋はひらやが多いか,二階建てが多いか。家の造り方には,どんな様式があるか。古くからある家と,新しく建てられた家とでは,その造り方にどんな違いが見られるか。代表的なものを,いくつか写生すること。

(五六) 郷土の代表的農家の間取り図を描き,将来はどのような点を改善すべきかについて討議すること。

(五七) 農家と漁家とでは,家の様式にどんな違いがあるか。両方の代表的なものを写生して比べること。そして,どうしてそのように違うかについて調べること。

(五八) 衛生上や居住の便利の上から見た,わが国の家屋に関する記事を,新聞や雑誌から集め,これをもととして,郷土の家屋の長所,短所について討議すること。

(五九) 郷土では,家々がどんな集まり方をしているか。その見取り図を描くこと。郷土附近で,散村・集村,路村,街村の代表的なものは,どこで見られるかを調べて報告すること。そしてそれらの形式は,各家の生活や村の共同生活の上から,それぞれどんな長所,短所があるかについて討議すること。

(六○) 郷土の村や町は,その昔どんな意味から発生したと考えられるか。また,現在の意味は,どのような点で昔と違っているかについて調べて討議すること。

(六一) 郷土では,人々は平常どんな着物を着ているか。季節によって,ふだん着はどんなに変わるか。また,仕事の種類によって,仕事着がそれぞれ変わるか。あるいは季節によってどのように変わるかを調べ,これを他の地方と比べて,郷土の服装の特色を明らかにすること。

(六二) 郷土の村では,日用品を売る店はどのように分布しているか。また店の多く並んでいる通りは,どの辺に,どのように発達しているか。その通りの見取り図を描いて,商店の種類の分布を明らかにすること。

(六三) 郷土の農村では,男は一般に,朝は何時ごろから,夕方は何時ごろまで働くか。これは季節によって,どのように違うか。労働時間の月別変化表を作ること。

(六四) 郷土の農忖では,女は家庭の仕事以外には,どんな仕事に従事するか。農業に従事する時間は,一般にどれくらいか。この月別変化表を作ること。

(六五) 郷土では,生徒は自分の家や社会の,どんな仕事の手伝いに従事するか,自分たちの助力できる仕事で,郷土の社会にとって,最も有意義なものとしては,どんな種類や方法があるかについて討議すること,そしてその結果を実行すること。

(六六) 郷土の自然の風景は季節によってどのように変わるか。各季節の風景の特色,その移り変わりの時期,季節によって人々の仕事の忙しさにどのような変化が見られるか,などについて調べること。

(六七) 郷土の年中行事としては,どんなものがあるか。月別にした表を作ること。そしてこれらが,季節による仕事の種類や忙しさと,どのような関係があるかを調べること。

(六八) 郷土では,農産物や水産物の収穫量や種類を増加させるために,これまでに,どんな努力が払われて来たか。また,これについては,今後どのような方面に力を注ぐべきかについて討議すること。

(六九) 郷土附近には,まだ耕せる土地が残されているか。もしあれば,それはどういうところか。こゝを耕せば,どのくらいの生産をあげることができるかについて討議すること。

(七○) 郷土では,昔と今とでは,村や町の発展状態に,どんな変化が見られるか。昔のありさまや,だんだん変わってきた状態を,両親や老人に聞き,また戸数や人口の変化を示す資料を集めること。そしてその変化が,特に目立つようになったのはいつごろからか。また,どのような変化が起って来たかを調べて報告すること。

(七一) 郷土では,生産の種類,生産方法や施設,労力の配分などに,今後改善を必要とする点がないか。これについて調べて討議すること。

(七二) 郷土では衣服・食物・家屋・衛生状態その他に,今後改善を必要とする点がないか。これについて調べて討議すること。

(七三) 郷土では,今後どのような工業を起すことに,力を注いだらよいか。これについてよく調べて討議すること。

(七四) 郷土をもっと発展させるには,どうしたらよいか。各自でよく研究して討議すること。

(七五) 役場の人に学校へ来てもらって,郷土の現状や将来どんな計画が立てられているかについての話をしてもらうこと。

(七六) 資料を集めて,わが国の農業と漁業の発達の歴史を,できるたけ古い時代から調べ,いろいろな時代の農業と漁業生活の特色を明らかにすること,そして各時代の生活状態を,郷土の現在のそれと比べること。

(七七) わが国の歴史を通じて,農業者や漁業者は,社会的にどんな貢献をして来たか。現在の農漁業者の経済的,社会的地位は,江戸時代に比べてどんな相違があるか。農漁業者は,社会的にどんな待遇をうけて来たかについて調べること。

(七八) 農漁業者の生活改善について,農林省ではどんな仕事をしているか。県や町村では,これについて,どんなことをしているか。また政府では,生産増大について,これまでにどんな仕事をして来たかについて調べること。

(七九) 郷土の農業会や水産業会は,どんな仕事をしているか。この組合に加入することによって,人はどんな利益をうけているかについて調べること。また,組合の人に面会して,当面の問題としてはどんなことがあり,これに対して,どんな解決策が考えられているかについての説明を聞くこと。

(八○) 郷土では,農地制度改革について,最近どんなことがなされているか。政府から公にされた農地改革に関する法令の印刷物を手に入れて,これに,ついて研究すること。そしてこの改革法の実施によって,郷土の農業者の生活は,どのような影響を受けるかについて調査すること。

(八一) 郷土では,農業講習としてどのような事業がなされて来たか。また,それが,どんな成績をあげてきたかについで調査すること。

(八二) 郷土の農漁村には,著しい社会階級として,どんな種類のものがあるか。そしてそれらの階級の存続は,民主主義社会と相容れるかどらかについて討議すること。

(八三) 郷土の人々は,どんなレクリエーションを楽しんでいるか。郷土で行われているレクリエーションの種類の表を作ること。そして今後,郷土のレクリエーションの機関を,どのように改善すべきかについて討議すること。

学習効果の判定

(一) この単元の学習に入る前と,この単元を終った後とでは,わが国のいなかの生活に関する生徒の理解や認識の程度が,どのくらい違って来たか。

(二) 生徒は,いなかの生産生活の労苦を認識するようになったか。

(三) わが国のいなかの生産生活の長所,短所を理解し,また郷土の自然や,生活の特色を認識するようになったか。

(四) わが国や郷土のいなかの生産と生活の,今後進むべき方向について,真剣な関心を抱くようになったか。

(五) 郷土に関するいろいろな調査を,生徒同志が,どの程度に熱心に,また,協力して行ったか。

(六) 地図の読み方や描き方,統計,図表などの取り扱い方,術語の使用に進歩のあとが認められたか。

 

単 元 五

 わが国の都市は,どのようにして発達して来たか。また,現在の都市生活には,どんな問題があるか。

要 旨

 明治以後,日本の産業,ことに商工業はその面目を一新し,それまでは消費の中心であった昔の都市の中,地理的及び歴史的条件に恵まれたものは,近代的工業生産及び商業を主体とした姿に改まって,農村から多数の人口を吸収し,また一方では,多くの新興都市も出現した。その他の地方的都市にも,程度の差こそあれ,中・小工場が設けられて,生産が行われ,商店の数も著しく増加した。しかし,その変化がはなはだ急速に行われたために,都市を中心として営まれている近代的産業は,必ずしも健全な発展状態にあるとはいえない。都市の生活にも,不自然,不合理な点が少なくない。特に,終戦後の日本には,都市の産業,生活などに関して,真剣に研究して解決すべき問題が,はなはだ多い。

 例えば,限られた狭い国土の中で,多数の人口を養わなければならないわが国としては,今後,平和的工業の発展に多くの期待をかけなければならない。しかし,工業用鉱産資源にあまり恵まれていないわが国では,今後の工業を,どういう方向に進ませたらよいか。わが国の工業の一大特色をなして来た中・小工業を,いかに改善発展させたらよいか。従来の工業地帯を,どのように再配置すべきか。無制限・無統制に大きくなった日本の都市を整備し,また,その生活から,不自然や不便な点をとり除き,健全な都市を建設するには,どうしたらよいかなどの諸問題が,山積しているのである。

 これらの問題は,いずれもわが国の将来にとって,はなはだ重大な問題であり,国民が一致協力してその解決に当たらなければならない。したがって,年若い生徒に,その十分な解決は,もとより期待し得ないが,少なくとも,日本の都市の現状をありのままにながめさせ,他日,わが国の都市に関する諸問題の解決に当たる準備としたいものである。

 この単元の学習に際しては,中学校理科教科書,私たちの科学一八「生活をどう改めたらよいか」が大いに参考となるであろう。

目 標

(一) 日本の昔の都市と,近代化された今日の都市とでは,その機能や市民の生活状態などに,著しい相違のあることを理解させること。

(二) 近代工業の発達に必要な鉱産資源は,わが国には種類は多いが,その量は限られていることの理解,及びこの欠点を補うために,今後,大いに平和的,建設的な努力をしなければならないことの理解を得させること。

(三) 日本の近代的工業の発達は,まだ不健全な状態にあることを理解させること。

(四) 日本の商工業地帯の現状に関する理解と,その将来への関心を深めさせること。

(五) 外からは,はなやかに見える都市の生活にも,いろいろな不自然な点や,生活上の苦労が多いことを,認識させること。

(六) 都市生活の改善に関心を持ち,都市の清掃・美化など,自分たちでできることには,積極的に援助する態度を養わせること。

(七) 地図・統計・図表などの取り扱い方に熟練させること。

教材の排列

(一) われわれの住んでいる都市は,その昔どんな状態であったか。

(二) どうして近代的都市に,その姿を変えたか。

(三) わが国は,近代工業の発達に必要な,どんな天然資源を持っているか。

(四) わが国の近代的商工業地は,どのように発達しているか。

(五) わが国の都市の生活には,どんな特色があるか。

(六) わが国の都市を住みよい所にするには,どうしたらよいか。また,われわれは,これに対してどのように協力できるか。

学習活動の例

(一) 郷土の代表的な都市について,できるだけ古い時代の町の姿や,当時の人々の生活状態を調べて,論文を書くこと。

(二) 郷土の都市の以前のありさまや,人々の生活状態を,両親や町の老人に聞いて,報告すること。

(三) 郷土の都市では,いつごろから昔の姿が失われ始め,どのようにして近代都市に変化したかを,町の多くの老人に聞いて,その結果をまとめて報告すること。

(四) 郷土の都市で,中世あるいは近世の城下町から発達したものを挙げ,また,今日はそれぞれどんな発展状態を示しているかを調べて,報告すること。

(五) 郷土の都市で,近世の城下町から発したものについて,昔の町のおもかげ(町名,建物の特色,遺跡など)が,どこに,どのように残っているかを調べて,報告すること。

(六) 日本の都市で,近世の城下町以外から出発したものの例をできるたけたくさん挙げ,その発展を促した原因を,それぞれ調査して,報告すること。

(七) 郷土の都市で,昔は重要な城下町であったが,今日はあまり発展していないものの例を拳げ,その原因について調査して,報告すること。

(八) 郷土の都市で,城下町以外から発したものの例を学げ,それらが,昔はそれぞれどんな状態であったかを調べて,報告すること。

(九) 日本の都市で,市場町・宿場町・門前町などから発したものを,できるだけ多く挙げて,その表を作ること。

(一○) 日本の都市で,その発生にいろいろな意味を合わせ持っているものの例を,できるだけ多く挙げ,その表を作ること。

(一一) 郷土の都市で,市場町から発したものについて,昔は,どこで,どのように市が開かれたかを調べて報告すること。

(一二) 日本の都市で,その発生した昔の意味を,現在でも持ち続けているものの例を調べて報告すること。

(一三) 日本の都市には,単一機能を持つもの(例えば,政治的都市・学術的都市)があるか。また,外国には,どんな例があるかを調べて,報告すること。

(一四) 日本の近代都市の代表的なものについて,それが明治以後,今日のような著しい発展をもたらした有利な地理的及び歴史的嫌件を調べて,討議すること。

(一五) 郷土の代表的都市について,今日のような発展を促した有利な条件を調べて,討議すること。

(一六) 日本の天然資源に関する新聞や雑誌の記事を集めておき,それをもととして,日本の平和的産業の発展に際して,どんな天然資源を,どのように開発したらよいか。また,どんな不足資源を輸入しなければならないかを調べて,討議すること。

(一七) 日本のおもな炭田につき,それぞれが日本の工業の発展に,どんな重要な関係を持っているかを調べて報告すること。

(一八) 郷土の炭田へ行って,石炭がどのように埋蔵され,また,どのように採掘されているか,どんな炭質かを見学すること。

(一九) 日本の大工業地へは,それぞれおもにどこの炭田から,石炭が供給されるかを調べて,報告すること。

(二○) 郷上で使う石炭は,おもにどこから,どのようにして送られるか。どんな炭質がを調べて,報告すること。

(二一) 日本の石炭の産出に関する新聞や雑誌の記事を集めておき,これによって,日本の石炭資源の将来について,討議すること。

(二二) 日本の石油資源について,調査すること。

(二三) 郷土の県の天然資源の分布図を作り,県の工業的発展に対する各資源の持つ現在の意味,及び将来の重要性について,討議すること。

(二四) 郷土の鉱山へ行って,鉱産資源が,どのように採掘されているかを見学し,いろいろな説明を聞くこと。

(二五) 日本の水力発電所の分布図を描き,その分布が,どんな自然的条件と最も深い関係があるかを調べて,討議すること。

(二六) 日本の大工業地帯へは,電力が,それぞれどこから供給されるかを調べて,報告すること。また,郷土の電力についても,同じような調査を行うこと。

(二七) 郷土の水力発電所へ行って,それが,どんな地形を利用して作られているかを調べ,また発電所を見学して,発電の設備や,こゝから,どのくらいの電力が,どの範囲に供給され,郷土の産業の発展に,どんな意味を持っているかなどについて,よく説明してもらうこと。

(二八) 郷土の火力発電所を見学して,その設備,電力供給の範囲,産業に対する重要性などについて,説明を聞くこと。

(二九) 日本の水力資源に関する新聞や雑誌の記事を集めておき,これをもととして,日本の水力資源の現在の利用程度,及び将来性について,討議すること。

(三○) 郷土の都市の電力消費に関する資料を集め,その季節による変化や,一戸あるいは人口ひとり当たりの平均消費量を計算すること,そして,これをもととして,電力節約について,討議すること。

(三一) われわれの生活を,今よりもさらに楽しく,便利にするためには,どんな電力の利用法があるかを考えて,その表を作ること。

(三二) 日本の鉱山町の例を,できるだけたくさん挙げ,その所在地,鉱工業の種類を書いた表を作ること。また,鉱山町の生活様式が,一般の都市とどのように違うかについて,討議すること。

(三三) 郷土の鉱山町へ行って,その町の発達状態や,人々の生活が,普通の町の場合と,どのような点で違っているかを調べて,報告すること。

(三四) 鉱山町の盛衰について調べて,討議すること。

(三五) 生徒を幾組かに分け,各組の生徒同志で相談の結果,最もよいと思われる方法で,人口三万以上の日本の都市分布図,及び都市人口分布図を,協力して描き,その結果を比較して,討議すること。

(三六) 郷土の諸都市では,どんな大工業・及び中・小工業が営れているかを調査して,その分布図を描くこと。また,それらの工業が,どのようにして発達して来たか,将来性ばどうかについて調べて,討議すること。

(三七) 郷土の都市の中・小工業について,その種類,工場の数,及びその分布,各工場の従業員の数を調べて,報告すること。

(三八) 郷土のいなかで行われている中・小工業の種類,工場の数,及び各工場の従業員数を調べ,また,それらの中・小工業が,いつごろ起ったか。それによって,村(または町)の発展が,どんな影響を受けたかを調べて,報告すること。

(三九) 工業に関する専門家を学校へ招いて,知りたいと思っている工業上のいろいろな問題や,日本の工業,及び工業地帯の長所・短所の説明をしてもらうこと。

(四○) 日本の四大工業地帯葉,その発達に,それぞれどんなすぐれた地理的条件を持っていたかを調べて,討議すること。

(四一) 日本の工場が,大都市に集中するようになったのは,なぜかを調べること。また,その結果の長所・短所について,討議すること。

(四二) 郷土の都市,あるいはいなかに,今後どんな工業を盛んにさせたらよいかを考えて,討議すること。

(四三) 郷土の都市を,今後いっそう発展させるためには,どうしたらよいかを考えて,討議すること。

(四四) 郷土の都市やいなかは,どこの商圈に属するかを調べ,また,郷土産の商品の中で,最も勢力のあるものを調べて,報告すること。

(四五) 郷土の都市では,大売出しの時,どのくらいの範囲の附近のいなかから,人々が集まって来るかを調べて,報告すること。また,その都市の商業の中心地としての有利な点,不利な点について,討議すること。

(四六) 日本の大都市へは,食糧が,それぞれどこから,どのようにして輸送・供給されるかを調べて,報告すること。また郷土の都市についても,同じようなことを調べること。 

(四七) 郷土の都市の職業別人口統計を図表にすること,また,性別及び年齢別人口統計の図表を作ること。そして,他の都市に比べて,どんな特色が見られるか,また,それはなぜかを調べて,報告すること。

(四八) 郷土の都市は,以前に比べて,すっと大きくなっているかどうか,いつごろから目立って発展し始めたか,どの方面に,新しく建物が建てられて来たかを,両親や老人に聞いて,報告すること。

(四九) 郷土の都市の人口・戸数などに関する資料を,できるだけ古い時代のものから集め,その変化の状態を示す図表を作ること。できればその変化の状態を地図に描くこと。

(五○) 郷土の都市の家屋を調べ,どこに近代的建物が多いか,どこに古い形式の家屋が多く残っているかを調べて,その分布を地図に描くこと。また,両者の建築様式は,それぞれどんな長所や短所を持っているかについて,討議すること。

(五一) 郷土の都市の家屋の様式には,他の地方のものと違った特色があるかどうかを調べ,もしあれば,それが郷土の自然と何か関係を持っているかどうかを調べて,報告すること。

(五二) 郷土の都市の家屋の様式には,職業によって,何が著しい違いが見られるかどうかを調べ,もしあれば,それぞれの代表的なものの写生をすること。

(五三) 日本の都市で,道路が整然としているものの例を拳げ,その原因について調べて報告すること。

(五四) 郷土の都市の道路分布図を描き,道路が整然としている部分や,複雑な部分を区別し,その理由を考えること。また,将来,どのように道路を改善すべきかについて,討議すること。

(五五) 郷土の都市の交通のラッシュ・アワーの開始と,その終了時刻とを調べて報告すること。

(五六) 郷土の都市の交通のラッシュ・アワーに見られる混雑を軽減させるには,どうしたらよいかをいろいろ考えて,討議すること。

(五七) 郷土の都市の戦災復興の現状,及び特来の復興について,どんな計画が立てられているかを調べて,報告すること。

(五八) 郷土の都市の地図を描き,役所・学校,その他,公共の建物・銀行・会社などが,どのように分布しているかを書き入れること。そして,現在の分布状態が,市民の日常生活にとって,不便な点がないかどうかについて,討議すること。

(五九) 郷土の都市の地図を描き,おもな商店街・工場地区・住宅区を区別すること。

(六○) 郷土の都市の生活様式や建物,あるいは街頭で見られる風景で,新しい形式と古い形式のものが,互に調和しないで存在している例を挙げて,討議すること。

(六一) 郷土の都市の郊外住宅地の分布図を描き,また,これらが,いつごろから,どのようにして発達したかを調べて,報告すること。

(六二) 郷土の都市に散在している井戸について,地下水面の深さの分布・水質などを調べ,地形や地質に,どんな関係があるかを研究すること。

(六三) 郷土の都市の水道は,どこから,どのようにして引かれているかを,地図に描くこと。そして,水道は,いつごろ設けられたか,その以前には,人々は,どのようにして水を得ていたかを調べて,報告すること。

(六四) 郷土の都市の水道施設には,改善を要すべき点がないかどうかについて討議すること。

(六五) 郷土の水道の水源地へ行って,浄水の状態を見学すること。

(六六) 郷土の都市の水の消費量に関する資料を集め,一戸あるいは人口ひとり当たり,月平均どのくらいを消費していることになるか,また,この量は,他の都市に比べて,多いか少ないかを調べて,報告すること。

(六七) 郷土の都市の水の消費量は,季節によって,どんな変化を示すかを図示し,その理由について考えて,討議すること。

(六八) 水の消費に関する新聞や雑誌の記事を集めておき,これをもととして,郷土の都市の消費節約について,討議すること。

(六九) 郷土の都市のガス会社へ行き,ガス供給能力の現状,及び将来についての説明を聞くこと。また,現在のガス供給量,使用している戸数を調べ,これから,一戸当たりの使用量を計算し,これを,他の都市や全国の平均と比べること。そして,日本及び郷土のガス消費節約の必要性,及びその具体的方法について,討議すること。

(七○) 新聞や雑誌から,わが国の都市生活に関する記事を集めておき,これをもととして,郷土の都市生活の改善について,討議すること。

(七一) 郷土の都市の衛生状態を,今後,どのように改善したらよいか,また,生徒は,これに対して,どのように協力したらよいかを考えて,討議すること。

(七二) 郷土の都市の美化に対して,生徒として,どのような点で協力できるかを調べ,討議すること。

(七三) 外国へ旅行したり,あるいは外国に住んだことのある人々を学校へ招いて,外国の都市生活に比べて,日本の都市生活には,どんな長所や短所があるかを話してもらうこと。そして,郷土の都市生活の短所を,できるだけ早く改善するには,どうしたらよいかを考え,討議すること。

(七四) 都市計画に関係している人を学校へ招いて,郷土の都市について,将来どのような計画が立てられているかを,説明してもらうこと。

学習効果の判定

(一) 生徒は,郷土の都市の歴史的発展の調査に興味を持ち,また,郷土の都市の将来に対して,深い関係を持つようになったか。

(二) 生徒は,わが国の工業の発達に必要な天然資源の種類・量,及び分布を理解し,今後,どのような資源の開発に努め,また,外国からの輸入に頼らなければならないかを認識するようになったか。

(三) 生徒は,日本の商工業発達の現状を正しく理解し,その長所・短所を認識するようになったか。

(四) 生徒は,郷土の都市生活に含まれている欠陥を認識し,これが改善に真剣な興味を感じ,また,自分たちのできる範囲で,これに協力するようになったか。

(五) この単元の学習に入る前と後とでは日本の商業や,都市生活に対する生徒の理解・態度は,どのように違って来たか。

(六) 生徒の地図・統計・図表などの取り扱いの上に,目立った進歩が認められたか。

 

単 元 六

 われわれは余暇とうまく利用するには,どうしたらよいだろうか。

要 旨

 産業革命後における資本主義的生産機構の発展に伴なって,産業組織の合理化と生産能率の増強ということが,強く主張されてきた。その結果,大量生産の方式は,近代の生産組織を形づくる最も重要な条件となって来た。このような生産機構のもとにおいては,労働者の地位は機械の番人となって,「より早く,より多く」という生産の至上命令のもとにおかれるようになった。そこでは労働は生産の質を決定するものというよりも,むしろ生産の量的な要素となってくる。高度の分業組織においては,労働者は,全生産工程のごく小さな部分でしかない単調な仕事を,くり返すことになる。こうした種類の労働は,それほどおもしろいものではなく,また,疲労しやすい。このようにすゝんだ生産社会では,これまで聖なる祈りの一日であった日曜日は,休養と娯楽の週末休みの意味をもつようになって来た。そこで,労働組合などが,労働時間の短縮を,資本家側に要求するようになるのも,自然のなり行きであろう。

 他方,家庭の主婦は,毎日,子供の養育や,洗たくや,料理などの家庭の雑用に追われてゆっくり休む暇もない。家庭生活を民主化するということは,家庭の主婦により高い教養を求める機会を与え,これを現在の状態よりもっと望ましいものにすることが目的である。さらに,家庭生活を自由なものにするには主婦を家事労働から少しでも解放して,それによって生まれる時間を利用することにより,婦人の一般的教養を高め,その地位を向上させることでなければならない。これをわが国の現状に照らして考えてみると,レクリェーションの問題はなによりもまず,より多くの余暇を生み出すために日常生活の能率をたかめることを意味することになる。そして,その点で,特に困難を覚えるのは,農村生活の改善ということであり,わが国におけるレクリェーションの問題の重要な点は,農村生活のなかに横たわっている。もちろん,牧歌的な農村の生活のなかにも,なにほどか楽しみや慰みもあるのであろう。たゞその労働が,季節的にかたよっていて,その上,家族労働という特有の組織であるが故に,農家の人々は過労に陥りやすい。

 次にまた,注意しなければならない点は,集団的レクリェーションや,遊びを通じて他の人々と協力するということである。なるほどわれわれは,毎日の生活の無味乾燥を救い,その生活を豊にするために,慰みや道楽というものをいろいろ持っている。けれども,こうした道楽や暇つぶしにする慰みというものは,ともすれば,自分一人が楽しむといった利己的な芸事に傾きやすく,他人とともに楽しみを分かちあうことが最も望ましいということを,考えることが少なかったようである。そして,レクリェーションは,上流階級の遊び道具になり,かれらは,なにか上品な慰みを持ち真に社会生活を充実するのにそれが必要なものであるということを十分に理解しなかった。だから,金を作ることしか考えないような教養のない下層階級の人々は,暇ができた場合に選ぶところの道楽や芸事などは,肉体的な快楽のみを一般に選ぶような悪い習慣に陥るか,または,単なる上流のそれのまねごとに過ぎぬことが多いのである。つまり,わが国には,民主的な形のレクリェーションというものがなかった。今われわれは,上述のことにかんがみて,正しい,健康な,できるならば上品なレクェーションの道を開かなければならない。さらに,中央や地方の公共機関や団体が,こうした種々の機会と便宜をはかるように努力することが望ましい。

 この単元では,余暇の利用ということの意味と,その社会的重要性を明らかにし,各自が自分に適すると思うレクリェーションはなんであるかを考え,自分の地方で利用できる施設や便宜を調べることにより,余暇の進歩的利用法を研究させることを目的とする。 

目 標

(一) 一般目標

 われわれは,余暇を積極的に活用することによって,どのように社会生活を充実させ,発展させることができるだろうかという認識。

(二) 特殊目標

教材の排列

(一) 余暇の利用や,レクリェーションとはどういうことか。

(二) なぜ,われわれにレクリェーションが必要なのか。

(三) レクリェーションには,どんな種類や方法があるか。

(四) 自分は,どんなレクリェーションを好み,また,将来やってみたいと思うか。

(五) 自分自身にとって,また,家庭や学校や社会でのレクリェーションをより望ましいものにするには,どうすればよいか。

(六) より多くレクリェーションの機械を生み出すには,どらすればよいか。

(七) 中央や地方の公共機関や団体は,社会のレクリェーションのために,どんな責任を負っているか。

(八) レクリェーションのより健康的な能率的な活用によって,われわれの生活を発展させるには,どんな心がけがたいせつか。

学習活動の例

(一) 「よく遊びよく学べ」――この簡単な言葉について,どら思うか自分の考えたことを,書いてみよう。

(二) 自分と自分の家族の一人々々について,毎日の時間をどのように使っているか,家で討議すること。表にして,時間の経過につれて,して来たことを書いてみること。また,扇形グラフにしてあらわしてみること。特に,母の場合について,くわしく調べること。母親には・余暇がどれくらいあるだろうか。それを級友の調べたものと比較すること。これらの資料をもとにして,余暇がどのくらいあり,それらが一日の時間の何パーセントを占めるかを調べ,級友のものと比べること。学級の中で,時間のたくみな配り方をしている者を選び出すこと。

(三) 前の週末を,どのように使ったかを,級友について調べること。また,前の夏休み,冬休みの場合についても調べること。その実際を調べて,どのように使ったか,その使い方と,時間の長さと,そのために利用した施役によって,分類してみること。その資料をもとにして,次のことがらに対し,口頭で報告すること。

(四) 書物を読んだり,人に聞いたりして知識を得,次のことについて討議すること。

(五) 祖父母や,父母たちが若かったころに,慰みや暇つぶしにやったことなどに,どんなものがあったかを話してもらうこと。これを現在のものと比べてみること。レクリェーションと暇つぶしとの関係を考えること。

(六) 産業革命や生産の発達,都市の発展などについて書いた読み物を調べて,次のことを討議すること。

(七) 大都会と農村の生活を比べて,自分の経験したことや,人から聞いた知識にもとづいて,次の課題をグループで討議すること。

(八) 父母から,家庭内における仕事と,そのレクリェーションというにとについて,できるだけ多くのことを聞いて,グルーブで話し合うこと。

(九) 余暇の活用ということが,自分の生活をもっと豊かなものにするために,どんな意味を持っているかを考えて,次のことがらについて,討議し研究すること。

(一○) 自分の地方の略図をかいて,その上に,市・区・町・村か,府・県か,または国で行っているレクリェーションの設備を,色分けにして示すこと。

(一一) 自分の家庭における余暇の活用を,改善する案を立てること。特に,次のことがらに関して考えてみること。

(一二) 上のことに関係して,自分の家庭にある遊び道具や,暇つぶしにやっている慰みの道具や,レクリェーションの設備を,いっさい調べて表にすること。それに,家庭内のだれが,どの道具を利用するかを書き入れること。このような調査を,級友のものと比べて,自分の家庭で,将来備えたいと思うものを書き出すこと。

(一三) 日本の家庭において,婦人を中心として行われるレクリェーションの中には,たしなみとして,昔から重んじられたものがある。自分の地方で婦人がしているたしなみとしでのレクリェーションを,挙げてみること。

(一四) 家庭の生活を,いっそう楽しいものにするために,一家そろって実行できるレクリェーションを考えて,その実行計画を立ててみること。特に,戸外の活動を中心とするものについて,十分考えること。例えば,家庭楽園や,ピクニック・ハイキング・小旅行などについて考えること。○○への―家そろってのピクニックの計画(時間・経費など)を立ててみること。

(一五) 家庭で,夕食後の時間を,一家そろって楽しいものにするための計画を立ててみること。例えば,

(一六) 家庭の記念日を設けて,一家そろって楽しむ計画を立ててみること。例えば,誕生日など。

(一七) 何かのコレクションをやっている級友がある時は,学級で,時々展費会を開き,説明を聞くこと。

(一八) 家で,楽器をならしたり,ラジオをかける場合,隣近所のじゃまにならないように注意するには,どうすればよいか。

(一九) 自分の町で,個人的なレクリェーションのために役だっている余暇の利用法を,挙げてみること。例えば,

(二○) またレクリェーションのための公共の組織を挙げて,表にしてみること。例えば,

(二一) 自分の地方で,慰安と娯楽のために役だっているいろいろな機会や年中行事を表にして,話し合うこと。例えば,

(二二) 書物を読んで,日本の各地における珍らしい遊び,レクリェーションの形を調べて,表にすること。

(二三) 自分の地方で,レクリェーションのために便宜を与えでくれるいろいろな施設や場所を挙げて,表にすること。また略図をかいて,その位置を示すこと。そこをたずねた結果を,口頭や文書で,学級に報告すること。次のような種類に分けて,施設の一覧表を作ってみること。

(二四) 委員を幾組か・作り,分担して,自分の町のレクリェーションの施設をたずねて,その責任者と会見すること。その種類,規模,ある場所(その位置の適否)利用の程度,使用や管理の規則,経費などについて,調べた結果を,学級に報告すること。そして,改善案を考え,利用をいっそう能率的にする方法について討議すること。

(二五) 公共のレクリェーションのための施設を,いっそう楽しく利用できるようにするために,利用者としての心がけを,いろいろな施設ごとに討議して,実行の計画を立てること。自分の学級のみならず,学校全体の生徒が,この実行運動に参加するように,学校新聞や,ボスターなどを用いて,広告宣伝すること。

(二六) 学級における読書の傾向を向上させるために,良書すいせん会を設けること。定期的に集まって読書会を開き,最近自分の読んだものでよいと思ったものを,発表すること。

(二七) 学級文庫を設ける計画を立てること。読書によって,たゞ暇をつぶすというだけでなく,これを通して,趣味や教養を高めるように工夫すること。上級生や先生を招待して,指導してもらうのもよい。図書係は,交替で行うこと。図書の管理,貸し出しの手続きなどを,正しく能率的に行う目的で,町の図書館員と会見し,その方法を学んで学級に報告し・学級文庫の規則を作ること。また文庫の本の数をふやす実際的な計画を立てること。

(二八) 定期的に学級の読書傾向を調査して,学校に報告すること。

(二九) 自分の学級や学校の生徒の間で,人気のあるレクリェーションをきめるために,投票を行うこと。また,人気の悪い遊びをきめるために,おたがいにやめたほうがよいと思う遊びを調べて,報告すること。

(三○) 全学期を通じて,学校における招待会(父兄招待会,敬老会,戦災者・引揚者慰安会,バザー,音楽会など)を計画すること。その責任はまわり持ちにして,各自が,少なくとも,年に一回以上主人役となる機会があるようにすること。

(三一) 自分の地方に在住する芸術家・小説家・音楽家・劇作家などを,学校に招待して,父兄や他の学校に見せるプログラムを作る援助をしてもらい,また実際の指導を受けること。

(三二) 学級内に,同じ種類の活動に興味を特つ友人のグループで,同好会(クラブ)を組織すること。その実際の活動のスケジュールを立て,他の学級にも呼びかけること。

(三三) この学年の終りまでに,自分が入って活動すべきクラブを選ぶ目的で,いろいろなクラブの活動に,つとめて参加してみること。自分の個性にかなう趣味を一つ持つことは,最も必要なことであり,その趣味を通して,学校生活を充実させ,またそれを通して,対外的に活動することは,名誉あることである。

(三四) 身体の許すかぎり,戸外スポーツのクラブに参加すること。そこで,チームワークとはどんなことか,スポーツマシシップとはどんなことか,実際のスポーツを通して体験すること。また,この問題について,討議すること。

(三五) 応援団に参加して対校試合の応援に行くこと。愛校心とはなんであるかを,知ることにつとめること。また,観客としての正しい態度について,各自表を作り,それによって,模範的な応援を行うこと。対校試合の価値を論じ合うこと,また,選手制度と選手の心構えについて,討議すること。試合を通して,他校の生徒との交歓をはかること。

(三六) 自分たちで,演劇クラブを作り,脚本を書き上演すること。

(三七) 近くの国立公園に旅行する計画を立てること。次のような委員によって,こまかく案を立てること。

(三八) 自分が,将来たずねてみたいと思う名所旧跡や,海岸・山岳・高原・湖・温泉・国立公園などを,日本地図を書いて記入してみること。旅行の際に,地形や物産や人情風俗を,観察する準備を整えること。

(三九) 夏休みに日本アルプスに登るつもりで,登山計画を立ててみること。地図を用いてコースを定め,日程を立て,経費を計算してみること。また,登山のために,必要な用具なども準備する計画を立てること。

(四○) 冬休みにスキーに行く計画を立てること。特に,雪の質に応ずる用具や,スキーの予備知識を学ぶこと。

(四一) レクリェーションと社会的な厚生とは,どのような関係があるか,読書や専門家の話によって理解したところを,学級に報告して,討議すること。

(四二) 「健全なる精神は,健全なる身体に宿る」という言葉について,レクリェーションの立場から,作文を書いてみること。

(四三) 外国,特に,合衆国・イギリス・ソ連などにおけるレクリェーションの実情について,書物その他から知識を得て,日本のそれと比ベてみること。

学習効果の判定

(一) 生徒は,余暇を今までよりもよく利用できるようになったか,観察する。

(二) 余暇の活用が,生徒の勉強や活動に,どのようによい結果を与えたか,観察し,記録する。

(三) 他人と協力して,余暇を楽しむことの価値が理解できたかどうかが生徒と話し合って,判断する。

(四) 上品な教養を身につけて,野卑な粗暴な,態度がどのくらい克服できたか。記録する。

(五) 公共のレクリェーションの施設を愛護する習慣ができたか観察し記録する。

(六) 公共の席で,上品な行動をする習慣ができたか,記録する。

(七) 野外に出た時に,科学的に自然や社会を観察する習慣と能力ができたか,生徒の記録や報告を点検して,その発展を判定する。

(八) 生徒は,レクリェーションのために会合を計画し,運営する能力ができたか,観察する。