「早期教育」文献リスト解説 ミニ報告                      1999.5.1.
「早期教育」に関する文献リスト(仮)を検討して
                        橋本 昭彦
■この報告のねらい
 「先行研究のレビューのたたき台」を提供するのが、本報告の意図である。
 最近「はやい、やすい」だけを旨とした、ごく粗い文献リストを二つ(図書、論文)作って、筆者のホームページにのせた。ともに既成の文献データベースを、書名(論文名)だけで検索したものである。このような粗いリストを材料に、教育史専門の筆者が何を論じられるわけでもないが、この報告内容を論評していただいて何らかの認識を形成・共有できることになれば、幸いに思う。

■作成したリスト
 「図書リスト」は、学情センターのホームページにつないで、図書情報データベース「WEBCAT」を利用した。「WEBCAT」は、全国の大学等の図書館で電子登録されている本は全て収録しているので網羅性は高い。但し、大学によっては古い図書はまだ遡及登録が進んでいないので、古い年代の図書が漏れていると思われる。抽出基準であるが、「ソウキ キョウイク」「ソウキョウイク」が書名に含まれている物だけを採った。有効件数は、計63件だった。
 「論文リスト」は、同じく学情セの有料データベース「ZASSAKU」を用いた。「ZASSAKU」は国会図書館の『雑誌記事索引』をベースにしているが、入力されているのは、1985年以降の論文だけなので、それ以前の論文は漏れている。また短大の紀要等、一部の雑誌は収録対象外なので、これも漏れている。同じキーワードで、55件を得た。

■リスト情報にみる発表傾向
 以下は素人の臆断であるが、粗リストの表題をみる限り、下記のことが言える。
1.「早教育」の語は1910年代に現れ、1950年代ごろには半ば死語となっている。
 「英才教育」を意識した用法である。8件ある。
2.「早期教育」の語は、1970年代から見られる。
 特殊教育の分野では学術用語になっているようである。特殊教育以外の用法では、32件ある。英才教育・外国語教育・幼児期の習い事一般の三つの含意があるようだが、学術書は皆無のようである。
※以上の1と2で、特殊教育の専門書以外の図書は、40冊を数えるが、国立教育研究所には一冊も無かった。

3.専門雑誌論文でおいても、「早期教育」の用語は特殊教育の用語である。
 「早期教育」「早教育」合わせて55論文のうち、特殊教育の学術論文以外のものは30件であり、「特集」が組まれた4誌に17件が集中する。いずれも世間のいわゆる「早期教育ブーム」への対応法を説いた一般向けの論説・エッセーである。うち、「早期教育」の語で登場するのはバブル崩壊の1993年以降であり、1988年に発表された4論文は「早教育」の語を使用する。
 特集をおこなったのは、下記の4誌である。
 1)『教育』43(13)、1993.12、pp.6-61
 2)『母の友』521、福音館書店、1996.10.、pp.14-34
 3)『子どものしあわせ』542、草土文化、1997.2、pp.9-33
 4)『児童心理』42(9)、1988.7、pp.1072-1086

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