国立教育政策研究所 平成20年度教育改革国際シンポジウム 「高校と大学の教育接続―高校生の学びをいかにつなぐか―」 〜講師のプロフィールと各報告の概要〜 |
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| ■はじめに |
| 今回のシンポジウムは、「高校生の学びをいかにつなぐか」という副題を掲げ、高大の教育面での接続に焦点をあてています。この部分は、高大の接続を実現するうえで最も中核になるものでありながら、実際的な困難も多い活動領域です。ここが重要であり、かつ難所であることは、海外でも似た状況にある国・地域が少なくありません。 このたびは、カナダ(オンタリオ州)、オーストラリア(メルボルン州)、韓国(ソウル特別市)、アメリカ(オレゴン州)において、それぞれ高大の教育内容・実践に踏み込んだ活動をおこない、実質的な成果を挙げつつある事例についての報告者を海外からお招きします。いずれの国も、基調講演で紹介されるような共通の時代状況を共有している面があり、似たような状況を抱えつつも、それぞれの教育の制度・施策・実践の伝統や特色を活かして、新しい境地を開こうとしています。 このたびのシンポジウムが、高大接続・高大連携の最前線で奮闘しておられる関係者や、その奮闘を支える立場で熱い関心を持たれる皆様が、それぞれにとっての新しい境地を開く上での参考になれば幸いです。 |
| ■荒井克弘氏 ( Dr. Katsuhiro Arai ) 【基調講演】 |
| (東北大学大学院 教育学研究科 教授) |
| 「高大教育接続の動向と課題」 |
| 【略歴】 東京都生まれ。東京工業大学大学院(博士)修了。国立教育研究所室長、広島大学・大学教育研究センター教授、大学入試センター教授を経て、現職。専門は高等教育研究、教育計画論。東京工業大学工学部高分子工学科卒業。同大学大学院理工学研究科博士課程修了。 |
| ■シルビア・バーナード氏 (Ms. Sylvia Barnard) 【カナダ】 |
| (ケンブリアン大学・学長) |
| 「オンタリオ州のデュアル・クレジット・システム」 |
| 【略歴】 カナダ・オンタリオ州生まれ。トロント大学修了(修士)。通訳者を経て、ヨーク学区で小学校教師を10年間務め、教頭・校長職に就く。その後シムコ郡学区の教育長となり、幅広い教育関係者と連携して学区の教育計画の立案や実施に関わる。2000〜2002年バリー市にあるジョージアン・カレッジの副学長(教務担当)となり、2002年8月から現職。 公私にわたって経済開発、地域共同体、国際交流など各種の審議会・委員会活動に参画。教育関係では、オンタリオ州教務担当副学長調整委員会委員長、全国学習障害者中等後教育連絡会などを歴任。現在、オンタリオ州大学長会議評議員、オンタリオ州天然資源省公園委員会委員。 |
| 【報告】 オンタリオ州で高校と大学の教育を接続するうえで「実を挙げている」2大事業についての報告。School/College/Work(「学・大・職連携事業」)、関係者の人間関係作り・異業種間交流を促進することで高大の教育接続を実質化するとりくみ。Dual Credit Program (「二重単位制」)は、進学適性がありながら、学校への不適応や家庭の事情などで困難な状況にある高校生に対して、大学の教育課程の一部を高校課程の一部として読み替えることで、高校での勉学と大学進学の準備を共に進める意図で行われる。 参考:”Dual Credit Program”: http://www.edu.gov.on.ca/morestudentsuccess/dualCredit.html |
| ■ジョン・オウエン氏 ( Dr. John Owen ) 【オーストラリア】 |
| (メルボルン大学教育学部 プリンシパルフェロー、 前同大事業評価研究センター所長) |
| 「ビクトリア州の中等教育修了資格と高等教育」 |
| 【略歴】 オーストラリア、ビクトリア州生まれ。メルボルン大学大学院(修士)、モナシュ大学大学院(博士)修了。理科教師として教育の世界に入る。メルボルン大学に戻って、1992年から2002年までの間、教育学部附属の事業評価研究センター所長を務めるかたわら、オーストラリア教育研究所客員研究員として活動。 オーストラリア国内で数々の教育改善プロジェクトや、教育の評価プログラムを担当すると同時に、国際的にも学会発表や専門雑誌などを通じて活動している。2002年には、広島大学教育開発国際協力研究センター客員研究員、2003-2004年にはモルジブ共和国における教育計画とその評価に関するコンサルタント、2006-2007年には、 タイ国のスワン・ドゥシット大学における英語教育事業の評価を担当する。主著に『プログラム評価』(国内・アジア版2006年。米国版2007年)。 |
| 【報告】 オーストラリア・ヴィクトリア州の固有の中等教育修了資格で、「Victorian Certificate of Education(VCE)」と「Victorian Certificate of Applied Learning (VCAL)」を取り上げ、高大の教育接続上の意義と課題をみる。前者は、大学進学希望者に取得希望が多く、後者は実践的な職業関連の経験、識字能力・計算能力・実生活に必要な能力を重視する趣旨の資格。後者も、TAFE (Technical and Further Education =オーストラリア独特の公立の職業専門学校)等の高等教育に接続。 参考:VCE:http://www.vcaa.vic.edu.au/VCE/ VCAL:http://www.vcaa.vic.edu.au/vcal/ |
| ■チョン・クァンヒ氏 (鄭 廣姫;Dr. Chung KwangHee) 【韓国】 |
| (韓国教育開発院 高等・人材教育研究本部 大入制度研究室長) |
| 「韓国における高大接続の傾向と事例」 |
| 【略歴】 韓国・ソウル生まれ。梨花女子大学院 (修士)、筑波大学大学院 (博士)修了後、日本学術振興会外国人特別研究員(国立教育政策研究所)として研究に従事。その後、韓国教育開発院(KEDI)研究員・同先任研究員を経て、現職。梨花女子大学教育大学院非常勤講師などを歴任。 日本での研究経歴が長く、韓国の教育政策・実践の中心的な研究機関に在職。高校教育の改善と大学の適格者選抜のための「高校−大学連携方策研究」や、韓国における教師のリーダシップの特性研究などに従事。主要著書に、『韓国教育思想の哲学的理解』(共著)、『西洋教育の理解』(共著)、『世界の教育革命』(共著) (いずれも韓国語)など。 |
| 【報告】 韓国の中等・高等教育の関係についての現状分析の報告に続いて、高大接続の課題にどのような取り組みを行っているかを、KEDIで実施する「高大接続モデルに関する8年研究」(1)(2)を通じて得られた知見をもとにして、日本語で報告する。 参考:School-College Articulation Modeling: KEDI 8 Years Study http://eng.kedi.re.kr/ |
| ■パトリック・バーク氏 ( Dr. Patrick Burk ) 【アメリカ】 |
| (オレゴン州教育省 首席政策担当官) |
| 「州政府の高大接続施策〜高校現場の実態に根ざす多様な実践」 |
| 【略歴】 ミズーリ州生まれ。ルイジアナ州で教師・大学カウンセラーとして働いたのち、シカゴ大学大学院に学ぶ。博士課程修了後、シカゴ学区での教育計画づくりに携わった後、ポートランド市公立学校の管理職に転じる。以後26年間、ポートランド市で小中高等学校長や教育次長等を経て、2002年から州教育省に移って教育省次官(NCLB改革担当)を務めた。2007年より現職。 |
| 【報告】 高校生の未来につながる授業や学習を保障するためには、「生きる力」を学びの核として高大の接続の実を挙げる必要がある。そのようなせっぱ詰まった期待によって、オレゴン州ではここ10数年のうちに、いくつもの教育接続のための取り組みを実施してきた。本報告では、州がとりくんだ8つのプログラムを紹介する。特に、プロフィシエンシー(熟達度;見える学力)という観点から、高校生が身につけるべき資質を規定した州の1995年の「学習スタンダード」に始まり、州立大学の無試験入学選考制度(PASS制度)の曲折や教訓を経て、最新の施策に至った事情を紹介する。 参考:新しい州の高大接続施策”The Expanded Options Program” http://www.ode.state.or.us/search/results/?id=350 |
| ■田中義郎氏 ( Dr. Yoshiro Tanaka ) 【指定討論者】 |
| (桜美林大学大学院 教授、桜美林大学総合研究機構長) |
| 【略歴】 カリフォルニア大学ロスアンゼルス校教育大学院(博士)修了。玉川大学教育学部・大学院文学研究科教授を経て、現職。専門は、比較文化論・高等教育論。主に大学カリキュラムの比較研究を進めている。 |
| ■橋本昭彦氏 ( Dr. Akihiko Hashimoto ) 【パネルコーディネーター】 |
| (国立教育政策研究所 教育政策・評価研究部 総括研究官) |
| 【略歴】 大阪府生まれ。広島大学大学院(博士)修了。広島大学教育学部助手、国立教育研究所室長を経て、現職。専門は比較教育史・試験制度史、評価論。 |