高等教育研究部

研究・事業の概要

高等教育政策にかかる基礎的な事項の調査研究を行うことがこの研究部の目的です。活動目標のひとつは政策の企画立案に資する調査研究を行うことで、内外の政策動向などに関する研究と、大学の改革動向などにかかわる研究を実施しています。そのほかの活動目標として、高等教育政策の展開に貢献するための理論的・実証的な調査研究があります。また、大学・研究機関・行政機関等のあいだに交流ネットワークを形成することを視野に入れて公開研究会などを行っています。
現在、高等教育研究部では、主な研究として以下のものを行っています。

国際的な共同研究

チューニングによる大学教育のグローバル質保証‐テスト問題バンクの取組

研究概要

平成26年度にプロジェクト研究として取り組んだ「テスト問題バンク」の拡大と定着を図る事業です。 平成27年度は、引き続き機械工学分野の取組を国内3拠点で展開するとともに、国際的な情報発信・交流を進めることで、より広範な「コンピテンス枠組みの共有と水準規定」を目指します。さらに、取組を通して合意されたコンピテンス枠組みに基づく学位プログラムの在り方について検討を深めます。
本取組は、国際チューニング・アカデミー(International Tuning Academy)の依頼を受けて平成27年度より本研究所に設置するチューニング情報拠点(Tuning National Centre)の活動の一環として取り組みます。

OECD高等教育における学習成果調査(AHELO)

研究概要 経済協力開発機構(OECD)が進めるAHELO(Assessment of Higher Education Learning Outcomes)は、学生が大学教育を通してどのような知識・技能・態度を習得したかを、世界共通のテストを用いて測定することを目的とする調査です。2009年から2012年にかけて実施されたのは、そうした国際的な学習成果調査が実施可能であるかどうかを検証するためのフィージビリティ・スタディであり、17か国の参加のもとに、「一般的技能」「経済学」「工学」の3分野で展開されました。日本は12大学504人の学生の参加のもとに工学分野で参加しました。実施にあたっては、国立教育政策研究所がOECDの委託を受けた国際コンソーシアムのメンバーとしてテスト問題の開発に関わるともに、文部科学省の委託を受けた国内拠点としてテスト問題の翻訳、国内調査の実施、報告を担当しました。
フィージビリティ・スタディの結果、OECDは、国際的に合意された能力枠組に基づいて妥当性と信頼性のあるテストを開発し、大学と学生の協力を得て実施することは可能であると結論づけ、現在、本調査に移行するかどうかを各国と協議しています。

プロジェクト研究

修学支援拡充後の高等教育費負担と進路選択に関する研究

研究代表者 濱中義隆
事務局 朴澤泰男
研究期間 令和8年度~10年度
研究概要

令和2年度から、低所得者世帯の学生に対し、「高等教育の修学支援新制度」が始まった。令和6年度からは、中間所得世帯のうち多子世帯や私立理工農系学部等に通う学生等に対象が拡充され、令和7年度からは、多子世帯の学生等への支援が更に拡充された。
修学支援新制度は、こうした近年の拡充により、低所得者世帯に対する経済支援のみならず、多子世帯を中心とした家庭の教育費負担の軽減へと性格を拡張してきた面がある。修学支援拡充に伴い、保護者の教育費負担の状況や、高校生の進路選択はどう変わったのか。その政策効果を検証する必要がある。
本研究では、令和元年度より2年おきに実施してきた「高校生の進路に関する保護者調査」の分析を行い、修学支援新制度の定着・拡充に伴い高等教育進学希望率や奨学金申請状況と世帯収入の関連性がどのように変化してきたのか、同制度が高等教育の機会均等や学費負担の軽減にどの程度寄与してきたのか等を明らかにする。また、諸外国における高等教育の修学支援(授業料・奨学金)制度、高等教育費負担や進路選択の動向を調査する。
これらの調査・分析から得られた知見をもとに、修学支援拡充の政策的効果を検証するとともに、制度の更なる改善に向けたエビデンスとインプリケーションを提示することを目的とする。

「全国学生調査」の効果的な活用方法に関する調査研究

研究代表者 濱中義隆
事務局 朴澤泰男
研究期間 令和5年度~7年度
研究概要

文部科学省が実施する「全国学生調査」は、令和7年度以降、本格実施に移行することが決定しているが、調査結果を大学教育の改善や国の政策立案にいかにして活用するかといった点に関して、依然として課題が残されている。
本研究では、既に実施された3回の「全国学生調査」の試行調査の個票データを分析し、単純集計や大学の機関属性等との基礎的クロス集計を超えた、集計・分析結果の効果的な公表方法としてどのようなものがありうるかを検討する。
また、試行調査に参加した各大学が、調査結果を自らの教育改善に結びつけているかに関する好事例の情報収集を行うとともに、各大学のIR担当者等のネットワーク構築を通じてその共有を図る。以上の調査・分析を通じて、「全国学生調査」の本格実施後の活用方法について有益な知見を提供することを目的とする。

高校生の高等教育進学動向に関する調査研究

研究代表者 濱中義隆
事務局 朴澤泰男
研究期間 令和2年度~4年度
研究概要

本研究では、全国の高校3年生の保護者を対象に行った質問紙調査データを使用して、「高等教育の修学支援新制度」導入後の高校生の進学動向を明らかにし、中間所得層等の家計負担度等を分析するとともに、継続的な調査実施を支えるための調査内容・方法を検討することを目的とする。特に、高等教育機関への進学と世帯収入の関連性や、この関連性が学力、性別、地域、高校タイプ等によってどう異なるかを検討する。

18歳人口減少期の高等教育進学需要に関する研究

研究代表者 濱中義隆
事務局 立石慎治
研究期間 平成30年度~31年度
研究概要

平成30年度より、18歳人口が再び減少期に入ることから、進学需要の低下あるいは入学者の多様化を背景とする高等教育システムの再編の議論が避けられない状況にある。同時に、地方創生の観点から大学の東京圏への進学者の集中の抑制ならびに地方大学の振興が課題となっている。しかし、これらの課題解決のための議論の前提となる地域ごとの進学需要の構造(実際の入学者の通学圏を考慮した、都道府県単位よりは大きな地域ブロックを想定)については、これまで利用可能なデータの限界もあり十分に解明されているわけではない。
本研究では、高等教育進学に伴う学生の地域間移動を機関単位で分析することを通じて、①地域ごとの今後の進学需要の予測、②域内・域間の進学需要パターンに基づく機能別分化を構想するとともに、③地域間での進学機会格差形成のメカニズムを詳細に検討することを目的とする。

学生の成長を支える教育学習環境に関する調査研究

研究代表者 深堀聰子
事務局 朴澤泰男
研究期間 平成28年度~29年度
研究概要

大学教育の質は、適切な教育学習環境を整備することができているかとともに、学生に期待される学習成果を身に付けさせることができているかという観点からも問われるようになっています。そうした中で、一方では学生の主体的学習を促すと想定される活動(アクティブ・ラーニング等)、他方では学習成果の可視化を目指す取組が積極的に推進されていますが、 両者の関係性は必ずしも明確に示されていません。
そこで本プロジェクト研究は、教育学習環境と学習成果の関係性を、実証研究に基づいて明らかにしようするものです。本研究では、学習成果を「学生の成長」と幅広く捉え、次の1~4に係るいかなる教育学習環境が、学生による知識や能力の習得、成績、学習時間の増加などの指標と正の相関を持つのかを、全国的な調査データ及び事例研究から明らかにすることを目指します。

  1. 大学のグローバル化戦略が学生の成長に与える影響について
  2. 大学の教育内容・方法の改革が学生の成長に与える影響について
  3. 学生集団の構成の多様性(ダイバーシティ)が学生の成長に与える影響について
  4. 学生集団の規模が学生の成長に与える影響について

大学生の学習実態に関する調査研究

研究代表者 濱中義隆
研究期間 平成25年度~27年度
研究概要

1990年代以降の大学改革の取組の中で、大学教育改善のための様々な施策(教育課程の体系化、組織的な教育の実施、授業計画の充実、全学的な教育マネジメントの確立など)が進展してきましたが、これらの制度改革が十分な実効性を上げるためには、学習の主体である学生の学習行動、とりわけ自律的な学習時間の確保・増大が不可欠であるとの認識が政策的にも高まっています(中央教育審議会答申『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて』平成24年8月)。
本研究は、全国の大学生を対象とする大規模調査により、学生の学習行動の実態を把握するとともに、大学における教育課程の編成や授業の在り方など環境的要因と学生の行動・意識との間の相互作用を分析することにより、今後の大学教育に対する政策的支援や制度改革を考える上で有用な知見を提供することを目的としています。

大学の組織運営改革と教職員の在り方に関する研究

研究代表者 川島啓二
事務局 朴澤泰男、立石慎治
研究期間 平成26年度~27年度
研究概要

本研究は、大学組織における既存の政策的議論が多様な高等教育機関の実態に即していないことを問題意識とするものであり、機関レベルの組織運営改革、改革を担う人材という視点から、大学のガバナンスの実態を解明することを試みます。さらに、こうした取組を通じて、今後目指すべき大学像について組織運営の観点から展望するとともに、今後の教育改革や各大学の取組を支援することを目指します。

国際的なテスト問題バンクの開発と国内的普及による大学教育のグローバル質保証
~AHELOフィージビリティ・スタディの成果を踏まえた国際共同研究~

研究代表者 深堀聰子
研究期間 平成26年度
研究概要

OECD-AHELOフィージビリティ・スタディでは、大学教育の質保証に不可欠な要件である大学間での「コンピテンス枠組の共有と水準規定」を推進していくために、学習成果アセスメントの実施が極めて有望なアプローチの一つであることが示されました。ただし、そのためにはテスト問題と採点ルーブリックの作成、および採点の過程において大学教員が中心的役割を果たす必要があります。またテスト問題や採点ルーブリックを広く公開して、テストを通して測定されようとしている能力に関する具体的な議論を喚起していく必要があります。本研究は、「テスト問題バンク(ツールボックス)」構築のアプローチから、これらの課題に取組むものであり、豪州ACER・カナダHEQCOとの共同研究として進めています。

AHELO調査結果の分析に関する研究会

研究代表者 深堀聰子
研究期間 平成26年度
研究概要

国立教育政策研究所は、平成20年度~24年度にわたって、OECD-AHELOフィージビリティ・スタディに、OECDよりテスト問題開発の委託を受けたAHELOコンソーシアムのメンバーとして、また文部科学省よりテストの国内実施の委託を受けたAHELOナショナル・センターとして取り組んできました。本研究会は、これらの活動から得られた知見を今後、大学教育の改善にどのように役立てていくのか、とりわけ調査結果の分析を通して、大学にどのような情報を還元していくことが有効なのかについて、具体的な示唆を得ることを目的とするものであります。

学習成果アセスメントのインパクトに関する総合的研究

研究代表者 深堀聰子
研究期間 平成21年度~23年度
研究概要

大学のマス化に伴う学生の多様化、学生の進路先の多様化、大学の機能分化は、大学の質保証システムに重大な変革を迫っています。また、大学のグローバル化に伴って、学生や教員の国境を越えた交流・移動が実質的に進展している国々では、大学教育の構造の共通化と大学の質保証システムに関する情報交換と調整が進んでいます。学生の移動等が進展していない国々でも、国際的通用性を備えた、質の高い教育を提供する必要性に対する認識が高まってきています。こうした状況の変化のなかで、従来の大学の質保証システムは十分に機能することが難しくなってきており、学生が大学教育をとおして具体的にどのような知識や技能を習得したか(学習成果)を、大学の出口段階で明らかにしようとする学習成果アセスメントが、従来の質保証システムを補完するアプローチとして、注目されています。
しかしながら、多様な歴史と伝統にもとづいて、多様な質保証システムを構築してきた各国にとって、学習成果アセスメントが必ずしも同等の妥当性をもつとは限らないし、学習成果アセスメントの導入に対する大学等の反応や、学習成果アセスメントの導入が大学の質保証システムにおよぼすインパクトも、一律ではないことが予想されます。学習成果アセスメントを導入することにいかなる意義があるかは、各国の大学の質保証システムのあり方との関連において、丁寧に吟味する必要があります。こうした問題関心にもとづいて、大学の質保証システムのあり方を体系的にとらえたうえで、学習成果アセスメントの導入が、大学や大学の質保証システムにどのようなインパクトをおよぼしているかを国際比較のアプローチを用いて明らかにすることが、本研究の目的です。

高等教育の現代的変容と課題-高等教育財政の課題と方向性に関する調査研究

研究代表者 塚原修一
研究期間 平成17年度~21年度
研究概要 政策動向に関する研究として、平成18年度から2年計画で実施しています。日本の高等教育財政について理念と現実の両面から調査研究を行い、その課題と方向性を明らかにすることを目的とします。その際、政府支出の規模とともに、配分方式や政策との関連づけにも注目し、国際比較を含めた検討を行います。調査研究の対象は国立大学法人の運営にかかわる経費を中心としますが、私学や研究費なども視野に入れます。

大学における教育改善等のためのセンター組織の役割と機能に関する調査研究

研究代表者 川島啓二
研究期間 平成17年度~19年度
研究概要 大学の改革動向にかかわる研究として、平成17年度から3年計画で実施しています。各大学には、FD(大学教員の能力開発)や授業評価、カリキュラム改革などの教育改善や学習支援を主たる目的としたセンター組織を設置する動きが広まっています。また、キャリア教育や留学支援など、大学に求められる教育ニーズがますます多様化しつつあり、そのような教育課題にどのような組織体制で対応していくべきかということも、各大学の重要な課題となっています。それらのセンター組織の組織目的・組織構成や活動実態とその効果などを実証的に検討することを通して、教育改革に資する「戦略的組織」という視点からセンター組織の今後の在り方を探ろうとするものです。

政策研究課題リサーチ経費

研究代表者 川島啓二
研究期間 平成20年度~22年度
研究概要

研究成果

令和 8年 3月 「『全国学生調査』の効果的な活用方法に関する調査研究」報告書
令和 5年 3月 高校生の高等教育進学動向に関する調査研究 第二次報告書
令和 4年 3月 「18歳人口減少期の高等教育進学需要に関する研究」報告書
令和 3年12月 高校生の高等教育進学動向に関する調査研究 第一次報告書
平成30年 3月 「学生の成長を支える教育学習環境に関する調査研究」報告書
平成28年 3月 「大学の組織運営改革と教職員の在り方に関する研究」最終報告書
平成27年 8月 「大学の組織運営改革と教職員の在り方に関する研究」中間報告書
平成26年 3月 AHELO調査結果の分析に関する研究会(研究成果報告書)
平成25年12月 学術振興施策に資するための大学への投資効果等に関する調査研究報告書(科学研究費補助金(特別研究促進費))
平成24年 3月 学習成果アセスメントのインパクトに関する総合的研究(研究成果報告書)
平成18年12月 新しい時代における大学と産業社会との相関システムの構築に関する調査研究-最終報告書-
平成18年 5月 大学における教育改善と組織体制 川島啓二
平成18年 3月 新しい時代における大学と産業社会との相関システムの構築に関する調査研究(中間報告8)-地域における経済団体等の人材育成事業及び大学等との連携に関する調査-
平成18年 3月 高等教育市場の国際化状況における政府と質保証の役割(科学研究費補助金(基盤研究(B))) 塚原修一
平成17年11月 新しい時代における大学と産業社会との相関システムの構築に関する調査研究(中間報告7)-大学における獲得能力と初期キャリア(ドイツの場合)-
平成17年 3月 新しい時代における大学と産業社会との相関システムの構築に関する調査研究-中間報告書6-
平成17年 3月 新しい時代における大学と産業社会との相関システムの構築に関する調査研究-学校インターンシップに関する基礎的研究(中間報告書5)-
平成17年 3月 新しい時代における大学と産業社会との相関システムの構築に関する調査研究-ギャップイヤに関する基礎的研究(中間報告書4)-

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